村田製作所 第90回定時株主総会
日時:2026年6月29日(月) 10:00-11:40
場所:ホテルグランヴィア京都(京都駅直結)
出席株主数:約500名
お土産:村田製作所のロゴ入りハンドタオル、ペットボトルのお茶の配布あり
企業概要
村田製作所(6981)
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①電子部品ならびにその関連製品の開発および製造販売を主たる事業として、コンデンサ、インダクタ、EMI除去フィルタなどの製造販売を行う「コンポーネント」(売上構成比96%)を中心に、高周波モジュール、表面波フィルタ、リチウムイオン二次電池、センサなどの製造販売を行う「デバイス・モジュール」(売上構成比4%)、ヘルスケア機器、ソリューションビジネスなどの製造販売を行う「その他」(売上構成比4%)を運営。
②第6位の株主は、京都フィナンシャルグループの子会社の京都銀行(5844)で、3,234万株、1.8%を保有。
第7位の株主は、ノルウェー政府で、2,695万株、1.5%を保有。
株式情報
時価総額:211,400億円(2026年6月26日時点)
売上高:18,308億円(2026年3月期実績)⇒19,600億円(2027年3月期予想)
株価:10,770円(2026年6月26日時点)
1株純資産:1,493円(2026年3月末時点)、PBR:7.21倍
1株当期純利益:160円(2027年3月期予想)、PER:67.3倍
1株配当:70円(2027年3月期予想)、配当性向:43%
配当利回り:0.6%
フリーキャッシュフロー:2,314億円(2026年3月期実績)
株主数:169,288名
会計基準:IFRS
株主総会前の事前情報
①2026年3月期は、当社グループが属するエレクトロニクス市場の部品需要は、AIサーバーおよび周辺機器における電子部品の搭載数の増加によりデータセンター関連の需要が拡大した。また、自動車市場はxEVの成長率の鈍化がみられるものの、AD/ADASの進展により堅調に推移している。そのような中、高周波モジュールや樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少したが、積層セラミックコンデンサがサーバー向けを中心に幅広い用途で増加したことに加え、インダクタがスマートフォンやモビリティ向けで、EMI除去フィルタがサーバーやモビリティ向けで増加した。その結果、為替変動(前年比1円79銭の円高)の影響はあったが、前年比5.0%増の1,830,856百万円となった。利益については、製品価格の値下がりや表面波フィルタ製品に係る事業において、のれんの減損損失を計上した影響はあったが、生産高増加に伴う操業度益やコストダウンといった増益要因もあり、営業利益は前年比0.8%増の281,835百万円、税引前当期利益は同1.4%増の308,643百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.0%増の233,920百万円となった。当連結会計年度のROIC(Return On Invested Capital)(税引後)は、有形固定資産などの投下資本が増加したことにより、前年同期比0.3ポイント減の9.7%となった。
②事業別セグメントの売上収益概況は、コンポーネントの売上収益は前年に比べ12.3%増の1,159,734百万円となった。コンデンサ(積層セラミックコンデンサなど)は、積層セラミックコンデンサがサーバー向けを中心に幅広い用途で増加した。その結果、コンデンサの売上収益は前年に比べ12.6%増の936,418百万円となった。インダクタ・EMIフィルタ(インダクタ、EMI除去フィルタ)は、インダクタがスマートフォンやモビリティ向けで、EMI除去フィルタがサーバーやモビリティ向けで増加した。その結果、インダクタ・EMIフィルタの売上収益は前年に比べ11.0%増の223,316百万円となった。
③デバイス・モジュールの売上収益は前年に比べ5.9%減の655,966百万円となった。高周波・通信(樹脂多層基板、高周波モジュール、コネクティビティモジュール、表面波フィルタなど)は、高周波モジュールがスマートフォンやPC向けで、樹脂多層基板がスマートフォン向けで減少した。その結果、高周波・通信の売上収益は前年に比べ11.0%減の394,829百万円となった。エナジー・パワー(リチウムイオン二次電池、電源モジュール)は、電源モジュールが代理店や産業機器向けで減少したが、サーバー向けで増加した。一方で、リチウムイオン二次電池がサーバー向けで増加したが、ゲーム機向けで減少した。その結果、エナジー・パワーの売上収益は前年に比べ1.1%減の154,063百万円となった。機能デバイス(センサ、タイミングデバイスなど)は、センサがモビリティ向けで、アクチュエータがコンピュータ向けで増加した。その結果、機能デバイスの売上収益は前年に比べ9.5%増の107,074百万円となった。
④用途別の売上収益概況は、通信は、スマートフォン向けで積層セラミックコンデンサやインダクタが増加したが、高周波モジュールや樹脂多層基板が減少した。その結果、通信用途の売上収益は前年に比べ3.1%減の652,957百万円となった。
⑤モビリティは、自動車向けで積層セラミックコンデンサやセンサ、インダクタが増加した。その結果、モビリティ用途の売上収益は前年に比べ4.8%増の474,484百万円となった。
⑥コンピュータは、PC向けで高周波モジュールが減少したが、サーバー向けで積層セラミックコンデンサやリチウムイオン二次電池が増加した。その結果、コンピュータ用途の売上収益は前年に比べ28.4%増の310,392百万円となった。
⑦家電は、ゲーム機向けでリチウムイオン二次電池や積層セラミックコンデンサが減少したが、AV機器向けでコネクティビティモジュールが増加した。その結果、家電用途の売上収益は前年に比べ0.1%増の142,694百万円となった。
⑧産業・その他は、代理店向けで電源モジュールが減少したが、積層セラミックコンデンサが増加した。また、産業機器やエネルギー市場向けでコンデンサが増加した。その結果、産業・その他用途の売上収益は前年に比べ7.8%増の250,329百万円となった。
⑨2027年3月期は、当社グループが属するエレクトロニクス市場においては、メモリの価格高騰や中東情勢の影響による原材料などの供給懸念もあり、部品需要の先行きは不透明な状況にあるものの、AIサーバーおよび周辺機器における需要拡大やデータセンター関連投資の増加などを背景に、部品需要が増加する見通し。このような状況のもと、次期の売上収益は、パワーツール向けでリチウムイオン二次電池が、スマートフォン向けで樹脂多層基板が減少するものの、サーバー向けでコンデンサや電源モジュールが、代理店向けでコンデンサが増加することを見込んでおり、前年比7.1%増の1,960,000百万円を計画している。製品価格の値下がりや固定費の増加といった減益要因に対し、生産高増加による操業度益やコストダウンなどの増益要因により、営業利益は380,000百万円(前年比34.8%増)、税引前当期利益は390,000百万円(同26.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は293,000百万円(同25.3%増)と増益を計画している。設備投資は旺盛なサーバー需要で拡大が期待できる製品の生産能力増強を中心に、全体で250,000百万円を計画している。ROIC(税引後)については、有形固定資産や棚卸資産などの投下資本が増加するものの、営業利益が増加することにより、前年比2.6ポイント増の12.3%になると見込んでいる。通期前提為替レートは150円/USD。
⑩株主への利益還元策として、配当による成果の配分を優先的に考えている。長期的な企業価値の拡大と企業体質の強化を図りながら、2027年を目標にDOE(親会社所有者帰属持分配当率)5%に引き上げることを実現することとしている。 また、当社は自己株式の取得についても株主への利益還元策として捉えており、資本効率の改善を目的に適宜実施することとしている。
⑪2026年3月2日に、「当社および東北村田製作所が営むマイクロ一次電池事業につき、2025年7月8日付で当社が新設した完全子会社への吸収分割の方法による承継、ならびにマクセル(6810)への新会社の全株式の譲渡を、2026年3月1日付で完了した。」と公表。2017年にソニー(ソニーグループ(6758)の子会社)より当事業を含む電池事業を譲受し、事業を展開してきたが、このたび、当事業の発展にあたってベストオーナーであるマクセルへの事業承継が最善であると判断し、事業の譲渡を決定した。今後、当社および東北村田製作所は、円筒形リチウムイオン二次電池事業に経営資源を配分し注力していくことで、パワーツール市場およびESS(Energy Storage System)市場を主軸として競争優位性を高め、さらなる事業の拡大を目指していく。
⑫2026年6月29日に開催予定の第90回定時株主総会の第3号議案「監査等委員である取締役4名選任の件」の候補者である榎本成一さんについて、議決権行使助言会社Institutional Shareholder Services, Inc.が、独立性に問題があるとの理由から反対推奨する旨のレポートを発行。榎本成一さんが本定時株主総会で会計監査人として選任予定であるあずさ監査法人にて過去に業務に従事していたことを理由に、独立性に欠けると指摘。当社の見解として、榎本成一さんは、2017年8月まで、あずさ監査法人の業務執行者であったが、榎本成一さんの在籍中に同監査法人が当社の会計監査人であった期間はなく、榎本成一さんは当社の会計監査業務には一切携わっていない。また、同監査法人を退職してから既に約9年が経過しており、その間、同監査法人の業務・運営には一切関与しておらず、独立性に疑義は生じないと考えている
⑬監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は52,300万円。単純平均で取締役1人当たり10,460万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。報酬等の総額が1億円以上である者は、中島規巨さんが、17,700万円。岩坪浩さんが、11,700億円。南出雅範さんが、11,500万円。
⇒使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会冒頭に、社長の中島規巨さんから、「東北地方に事業所があるが、地震の影響は無い。」との旨の説明あり。
②株主総会冒頭に、社長の中島規巨さんから、「不正アクセスによる業績への影響は無い。再発防止に取り組んでいる。」との旨の説明あり。
③事業報告にて、エレクトロニクス業界の景気循環サイクルについて説明あり。1985年、2000年、2015年、2030年と30年毎にピークを迎える。2030年は、AI、クラウド、デジタルツインによる大きな変化。
④事業報告にて、MLCCのシェアは40%、ハイエンドでは50%との説明あり。MLCCの国内での製造は、福井、出雲が中心。
⑤質疑応答で、「株式分割は検討しているのか?」との質問あり。「東証の定める目安は投資金額50万円未満。流動性や株主構成などを見て、総合的に判断する。」との旨の回答。
⑥質疑応答で、「M&A実施後の状況について」質問あり。のれんの減損を計上したが、全体を見ると着実に成果が出ている。」との説明。
⑦質疑応答で、「社員のエンゲージメントを高めるために、具体的に何を行っているのか?中途採用と新卒採用で異なるのか?」との質問あり。「離職率は数%。かそつ(中途のこと?)入社は慣れるまでにいろいろある。新卒は入社3年目までの離職率は、他社が30%程度であるのに対し、5%以下となっている。エンゲージメント向上のために、役員との対話などを行っている。」との旨の回答。
⑧質疑応答で、「中国の同業他社との競争状況はどうなっているのか?他社では、いつの間にか中国企業に逆転されているケースが多い。」との質問あり。「中国企業との競争において、情報を守ることが一番重要。材料、生産設備、生産プロセス、全てを自前でやっている。中国のマーケットは無視できないので、ローエンドに対し、利益を削ってでも同業を育てないためにシェアを取りに行く。」との旨の説明。
⑨質疑応答で、「今回、4号議案で会計監査人を変更するが、詳しい背景を教えて欲しい。」との質問あり。「会計監査人の就任期間が長期にわたるとガバナンス上の懸念が出てくるが、トーマツは1968年に就任後、就任期間が長期にわたっていた。2年前から4大監査法人で会計監査人の変更を検討していた。今回の変更により、ガバナンスの向上をはかる。」との回答。
⑩質疑応答で、「AIデータセンターの寡占化が進み、スマホの時のように客先に価格交渉力を握られてしまうのでは?」との質問あり。「スマホでは、失注した理由で価格は無い。特性のみ。ハイエンドは、価格よりも性能で採用が決まる。ターゲットを絞り込んで、価格対応も行っていく。データセンターは、最先端品を物量として供給できるかが重要。技術的に優位性のあるところで戦う。一方で、中国の同業に対しては、価格での対応を行う2本柱の対応としている。」との旨の回答。
⑪質疑応答で、「情報流出が起きた。内部統制、社員の声を聞く仕組みはあるのか?」との質問あり。「監査委員会、内部統制委員会が設置されている。また、各部署でも機能を持っている。機能していると思っている。社内で聞く仕組みも社外で聞く仕組みもある。」との説明。
⑫質疑応答で、「監査等委員である取締役候補者である榎本成一さんについて、議決権行使助言会社から、独立性に問題があるとの理由から反対推奨する旨のレポートが発行されている。離職してから9年g経っているので問題無しとのことだが、20年経っても影響はあると思う。機関投資家からおかしな就任と見られてしまい、株価に影響が出てしまうのでは?」との旨の質問あり。「離職から9年経っているので、問題は無いと考えている。機関投資家とも対話をしているが、概ね理解を得ている。監査等委員会でも推奨している。」との回答。
⑬質疑応答で、「今期の業績予想において、ドル円の為替を150円としているが、160円程度で推移している。業績への影響は?」との質問あり。「1円振れると、売上で90億円、営業利益で45億円の上振れの影響がある。」との説明。
⑭質疑応答で、「京都フューマノイドアソシエイツに参加している企業はイマイチだと思う。具体的な取り組みを教えて欲しい。」との質問あり。「日本特有のヒューマノイドでレスキューを対応する。日本を代表するそれなりのネームの企業が入っている。成果を上げるのは難易度が高い。中国やアメリカが先行している。」との旨の回答。
⑮質疑応答で、「2030年にエレクトロニクス業界の景気循環サイクルがピークを迎えるだろうとのことだが、当面の事業の見通しを教えて欲しい。」との質問あり。「ハイパースケーラーが大きな投資をしている。その投資に対し、対応できる商品を拡充する。その先を見据えて準備が必要。」との説明。
⑯質疑応答で、「Googleとの共同開発について、詳しい説明が欲しい。」との質問あり。「電源モジュール開発など、AIバリューチェーンにおいて、広範囲で協業を進めている。」との回答。
⑰質疑応答で、「キオクシア(285A)やサムコ(6387)との取引はあるのか?」との質問あり。「直接の取引は無い。」との説明。
⑱質疑応答で、「中国・台湾での売上が50%を占めている。台湾有事への対応は?」との質問あり。「サプライチェーンの複線化は順調に進んでいる。iPhoneや任天堂は中国で生産されている。レアアースなどの輸出規制や調達のリスクがある。在庫の保有や調達先の複線化、代替品の選定を行ってる。重大な問題は生じていない。中国ローカルへの売上は20%未満。」との回答。
⑲質疑応答で、「会計監査に関して、監督機能として長期的な計画を教えて欲しい。」との質問あり。「監査等委員会設置会社としており、内部統制システムと連携して対応している。会計監査人とも連携して監査を実施している。今回、会計監査人に問題があって変更となったわけではない。」との旨の説明。
⑳質疑応答で、「重要な会議や商談の前の勝負飯は?」との質問あり。「ストレスのない好きなものを食べている。」との回答。
㉑質疑応答で、「社員持ち株会に10%の支援があるとのことだが、どの程度の社員が加入しているのか?株価が上がっているが、社員が売り時を逃さないように出口推奨もやったらどうか?」との質問あり。「継続して企業価値向上に取り組むのが私(中島規巨さん)の務め。国内においては、譲渡制限付株式を30株付与したこともあり、70%の社員が加入している。売りたいとの問い合わせもあり、インサイダー取引にあたらなければ、制限なく売却できる。」との説明。
㉒議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、多くの質問が出ていましたが、社長の中島規巨さんを中心に丁寧に回答対応をされていました。
事業報告では、エレクトロニクス業界の景気循環サイクルについて説明があり、1985年、2000年、2015年、2030年と30年毎にピークを迎えるとのことで、今後の対応において知見となりました。
なお、電子部品業界は、お客様の製品の需要動向にお客様の保有する部品の安全在庫が作用し、結果としてお客様の製品の需要増減時には、お客様の製品の純粋な需要増減以上に、電子部品会社への発注が急増減するので、決算情報の理解には注意が必要です。
株主総会では、閉鎖的な社風も感じましたが、日本を代表する企業のひとつであり、エレクトロニクス業界の長期的な発展を見据え、再投資も検討します。


