福井銀行 第205期定時株主総会
日時:2025年6月21日(土) 10:00-11:30
場所:福井銀行本店(福井城址大名町駅徒歩1分)
出席株主数:約100名
お土産:無し
企業概要
福井銀行(8362)
①福井県・石川県を主に、福井銀行・福邦銀行において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、国債・投資信託・個人年金保険などの販売業務などを行い、地域の金融パートナーとしてさまざまな商品・金融サービスの提供をおこなう総合金融サービス業を運営。
②クスリのアオキが、第5位の株主として、56万株、2.3%を保有。
投資活動などをおこなうDSG1が、第8位の株主として、37万株、1.5%を保有。
計測センサーや電子制御機器の販売などを手掛ける轟産業が、第9位の株主として、34万株、1.4%を保有。
③株主優待(3月末)
300株:優待品3,000円相当
1,000株:優待品5,000円相当
株式情報
時価総額:425億円(2025年6月20日時点)
経常利益:87.0億円(2025年3月期実績)⇒82.0億円(2026年3月期予想)
株価:1,762円(2025年6月20日時点)
1株純資産:5,759円(2025年3月末時点)、PBR:0.30倍
1株当期純利益:190円(2026年3月期予想)、PER:9.27倍
1株配当:58円(2026年3月期予想)、配当性向:30%
配当利回り:3.2%、株主優待含む利回り:3.8%(300株保有時)
株主数:12,737名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①福井県内経済は、緩やかに回復しつつある。個人消費は、北陸新幹線の県内延伸の効果が引き続きみられる中で回復しつつあり、企業の生産活動も持ち直しつつある。今後は、物価上昇や米国の政策動向、金融資本市場の変動などの影響に注意する必要があるが、各種政策や北陸新幹線の県内延伸の効果により、緩やかな回復が続くことが期待される。以上のような状況のなかで、当連結会計年度の連結ベースでの業績は、損益状況については、経常収益は、地域の課題解決業としてお客さまの真の課題解決に寄り添い、グループ一体となった粘り強い支援・伴走の結果として、利回り改善を図りつつ貸出金利息および役務取引等収益を増加させたことや、過年度に償却した債権の回収による取立益を計上した結果、前年比89億42百万円増加して、643億66百万円となった。また、経常費用は、市場変動を考慮した有価証券ポートフォリオ再構築に向けた国債等債券売却損の計上および預金利息の増加を主因に、前年比58億56百万円増加して556億64百万円となった。この結果、経常利益は、前年比30億86百万円増加して、87億1百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比34億49百万円増加して、71億66百万円となった。
②その他有価証券の時価評価の評価差額は2,527百万円。貸倒引当金の状況は18,821百万円。金融再生法開示債権は40,605百万円。貸出金残高は、前年比13,315百万円増の2,448,275百万円。預金等残高は、前年比151百万円増の3,421,827百万円。総資金利鞘は0.16%。
③当行グループの2026年3月期通期の業績については、経常利益82億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円を予想している。また、当行単体では、経常利益93億円、当期純利益58億円を予想している。
④福邦銀行との合併後の新銀行が誕生する026年度から新中期経営計画をスタートさせるため、中期経営計画Iを1年延長する。この期間は「福井銀行・福邦銀行の合併を着実に進め、新銀行としての成長戦略に結びつけるための1年間」と位置づける。
⑤福邦銀行との経営統合費用は、システム統合対応費用が増加し、総額122億円(当初計画比+11億円)を見込む。システム統合対応に伴う外部委託費の増加を主因とし、経営統合費用を積み増し。実施計画期間(2030年3月まで)内で総額27億円の交付金を受ける計画。
⑥メインシナリオは、26年3月、27年3月に政策金利を+0.25%ずつ引上げ。
⑦2025年5月9日開催の取締役会において、株主還元方針の変更(配当性向引き上げ)について決議。1株当たり年間50円の安定配当に、業績連動を合わせた配当性向の目途を20%程度から30%程度に引き上げる。また、合わせて配当性向の基準を、単体の当期純利益から連結の親会社株主に帰属する当期純利益に変更する。2025年度(2026年3月期)より適用。
⑧取締役候補者11名中、70歳以上の候補者は田川博己さん(1948年生まれ、77歳)の1名。
⇒役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑨監査等委員である取締役を除く取締役と執行役11名の報酬等の総額は32,700万円。2024年6月に就任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり3,041万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、福井銀行本店内のホールでの開催。土曜日開催。
⇒株主との対話の観点から、株主総会の集中日開催を避けた土曜日の開催は良い対応だと思う。
②質疑応答で、「少子高齢化で商売を止める人が増えている。相続で預金がメガバンクに流れている。地域活性化への対策は?」との質問あり。「シャッター街が進んでいる。重要な社会課題と認識。事業承継問題、生産労働人口がへっている。福井県内の経営者の平均年齢は60.7歳。M&Aの取次や出資による経営サポートについて、できるかぎり務める。地元を守り、雇用を守りたい。」との旨の回答。
③質疑応答で、「株価が低迷している。ROE3%の目標で十分なのか?株価目標は?」との質問あり。「ROEは5.26%と地銀平均並みに収益力がついてきた。これを株価にどうつなげるか。自己資本比率は8%を回復したが、地銀平均よりはまだ低いので自社株買いなどの対応が取りにくい。長期的に対応していく。来期は合併により統合費用が先にかかってくる。株価目標は無いが、ROE水準はもっと上げていきたい。」との旨の説明。
④質疑応答で、「東証から最低投資金額を10万円程度に引き下げるようにとの話が出ている。株式分割についてどう考えているのか?」との質問あり。「現時点、最低投資金額50万円が指針として出ている。慎重に判断したい。」との回答。
⑤質疑応答で、「地銀再編についての考えは?」との質問あり。「同じ県内での合併の他に、県をまたぐ群馬銀行と第四北越銀行の統合が発表された。まずは福邦銀行との合併を優先してしっかりと対応する。それ以上、検討していることは無い。」との説明。
⑥質疑応答で、「生成AIの活用状況は?」との旨の質問あり。「30%の行員が使用している。まだまだ生産性向上への取り組みが必要。パソコンに導入済み。」との回答。
⑦質疑応答で、「ユニチカ(3103)がセーレン(3569)に繊維事業の一部を譲渡する。福井銀行が関わっていることはあるのか?」との質問あり。「今回のM&Aに直接関わっていない。ユニチカの仕事をしている会社は県内にある。」との説明。
⑧質疑応答で、「PBR0.3倍程度。東証からPBR1倍への改善要請が出ているが、PBR1倍を目指す意思はあるのか?」との質問あり。「何としてもPBR1倍に持っていきたい。収益力を上げ、配当を上げ、1倍に近づけたい。まずは地銀平均のPBR0.5倍に持っていきたい。」との回答。
⑨質疑応答で、「優秀な人材ほど不安を感じ見切りをつけて辞めてしまう傾向にある。福邦銀行との統合において、福邦銀行の行員が辞めてしまわないように配慮して欲しい。」との意見あり。「人心融和を掲げており、しっかりと対応していく。」との旨の説明。
⑩質疑応答で、「地域丸ごと支援について、コンサルティングサービスの利益は?」との質問あり。「法人コンサルティングについて、プラス15億円の目標に対し、プラス12億円の実績。」との回答。
⑪質疑応答で、「小切手・手形について廃止の方針があるが、対応は?」との質問あり。「昨年4月から新規受付を停止している。電子決済へのシフトをお願いしている。」との説明。
⑫質疑応答で、「株主との対話のため、IR窓口を新設して欲しい。」との意見あり。「東証から、IR担当を作るようにとの話が出ている。しっかりと準備していきたい。」との回答。
⑬質疑応答で、「福邦銀行との統合につき、システムトラブルや特殊詐欺の横行が心配。対応は?」との質問あり。「システム統合については、しっかりと準備を進めている。特殊詐欺については、アナウンスをしながら取り組んでいきたい。」との旨の説明。
⑭質疑応答で、「やっていることも業績も良い。株価対策のため、株を買いたいと思ってもらえるように対応して欲しい。」との意見あり。「株価を上げたいと強く思っている。発信がまだまだだった。世界から目を向けてもらえるようにIRに取り組んでいく。」との回答。
⑮質疑応答で、「プライバシー保護のため、質問の際に名前を名乗らせず、出席票番号のみで対応している会社が増えている。他社と同様に、名前を名乗らす対応を止めて欲しい。」との意見あり。「個人情報保護の問題もあるので検討する。」との説明。
⑯議案の採決方法は挙手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の挙手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
⑰株主総会終了後に、頭取の長谷川英一さんから、福邦銀行との統合について説明あり。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調で、PBRが1倍を大きく割れており、株主優待も魅力的なので、国内金利上昇の恩恵を期待して、平均1,801円で投資しました。
今回、実際に頭取や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、福井銀行本店内にあるホールでの開催でしたので、良い機会となりました。株主が出席しやすい土曜日開催にも好感を持ちました。
株主総会の議長は、会長の林正博さんが務められ、質疑応答については頭取の長谷川英一さんを中心に対応されていました。多くの質問が出ていましたが、丁寧に回答対応されており、好印象でした。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、福井銀行は、1株当たり純資産5,759円に対し、株価1,762円(2025年6月20日時点)、PBR0.30倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
株主総会では、閉鎖的な社風を感じる一方で、株主総会の土曜日開催や丁寧な質疑応答が印象に残りました。国内政策金利の上昇による業績向上を期待し、継続保有の予定とします。
2025年6月2日に到着した福井銀行の株主優待の内容についてはこちら↓
福井銀行の株主優待が到着しました【2025年6月2日】 | ぽこタンの株主総会日記
