シミックホールディングスの株主総会に出席しました【2023年12月15日】

株主総会
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シミックホールディングス 第39回定時株主総会

日時:2023年12月15日(金) 10:00-10:45

場所:日本生命浜松町クレアタワー(大門駅直結)

出席株主数:約50名

お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり

 

企業概要

シミックホールディングス(2309)

HP:シミックグループ – CMIC Group

①製薬企業のバリューチェーンに対しCRO(医薬品開発支援)事業やCDMO(医薬品製剤開発・製造支援)事業やMarketSolutions(医薬品営業支援、オーファンドラッグ等の開発・製造販売・流通)事業を通じて支援をおこなう「製薬ソリューション」(売上構成比74%)、医療関連施設および医療従事者などを総合的に支援するSite Support Solutions事業と個人および自治体などにヘルスケアの新たなエコシステムを用いたソリューションを提供するHealthcare Revolution事業をおこなう「ヘルスケアソリューション」(売上構成比26%)を運営。

筆頭株主は社長の中村和男さんの配偶者の中村圭子さんが代表を務める中村家の資産管理会社のアルテミスで、同じく中村圭子さんが代表を務めるキースジャパンの保有分も含めると、757万株、44.4%を保有。
社長の中村和男さんが、第5位の株主として、56万株、3.3%を保有。

③中村家が過半数近くの議決権を保有しており、中村家の意思一つで物事を決められるオーナー企業。

 

株式情報

時価総額:500億円(2023年12月14日時点)

売上高:1,047億円(2023年9月期実績)⇒非開示(2024年9月期予想)

株価:2,645円(2023年12月14日時点)

1株純資産:2,137円(2023年9月末時点)、PBR:1.23倍

1株当期純利益:非開示(2024年9月期予想)、PER:非開示

1株配当:非開示(2024年9月期予想)、配当性向:非開示

配当利回り:非開示

株主数:15,458名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会での個人メモ

①2023年11月7日に、マネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる社長の中村和男さんが代表を務める北杜マネージメントによる公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けへの応募を推奨することを決議。本公開買付価格は2,650円。買い付け期間は、2023年11月8日から2024年1月4日まで。

②社長の中村和男さんは、上場を維持したまま当社グループの更なる企業価値向上の施策を実行する場合、先行投資や人事制度の抜本的見直し(例えば、優れた人材の獲得、雇用維持のための、各人の評価に応じた適切な報酬制度の導入や配置転換の実施により、一時的に費用が増加する可能性がある。)などにより、短期的には当社を頂点とした連結業績が悪化し、株価に悪影響が及ぶ可能性があり、この業績悪化について資本市場から必ずしも十分な理解と評価が得ることができず、株主の皆様の期待に沿えない可能性があると考えるようになった。また、中長期的な企業価値最大化を考えると、急速に変化していく事業環境において激化する競争に勝ち抜くために、抜本的かつ機動的な意思決定を柔軟かつ迅速に実践できる経営体制を構築することこそが、必要不可欠であると考えた。さらに、近年、株式の上場を維持するために必要な費用(継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用など)が増加しており、今後当該コスト経営上の更なる負担となる可能性があると考えようになった。
当社グループは2004年の上場以来、社会的な信用の向上や知名度の向上による優秀な人材の確保など、上場会社としてのメリットを享受してきた。他方で、事業活動を行うために必要な資金が確保できている現在の財務状況に鑑みても、当面はエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くなく、また、これまでに培ってきた社会的な信用やブランド力も非上場化に伴い失われるものではなく維持可能であると見ており、今後も継続して上場を維持することの必要性を見出しにくい状況にあると考えた。
以上の考えのもと、当社のさらなる成長および企業価値の向上を実現するためには、当社の株主におよぼすおそれのある一時的な業績悪化やそれに伴う当社株式の株価の低迷といったマイナスの影響を回避し、当社株式を非公開化することが最も有効な手段であるという結論に至った。

③北杜マネージメントによる公開買付けが成立することを条件に、株主優待制度を廃止。

④CRO事業(疾患予防・治療の研究開発を総合的に支援する事業)では、売上高は前期を上回った。海外バイオベンチャーの日本進出や異業種のヘルスケア領域参入などの総合コンサルティング強化。DX(Digital Transformation)推進やDTx(Digital Therapeutics)参入支援の増加(国立がん研究センターでは、中央病院初の希少がんオンライン治験(フルリモートDecentralized ClinicalTrials)を支援)。次世代抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療薬、バイオマーカーなど、モダリティの多様化が進む先端領域の有効性・安全性評価・分析案件増。

⑤CDMO事業(治験薬から商用まで医薬品製剤ならびにバイオ原薬の開発・製造支援事業)では、売上高はシミックCMOグループの連結除外による影響により、前期を下回った。DNPグループとの事業連携(DNPの包装技術とシミックの製剤開発技術の掛け合わせによる付加価値型医薬品開発、DNPの医薬原薬のプロセス開発・製造からシミックの製剤開発・製造に至る一貫体制の確立)。新型コロナウイルス感染症拡大やジェネリック品質問題の影響に対し、安定供給の確保に向けたニーズが拡大。エネルギー、原料、包装資材などの価格上昇による製造原価増加。足利注射剤棟は順調に大型案件の生産・販売を開始。米国の包装ライン稼働、新規案件獲得に注力。

⑥Market Solutions事業(医薬品などのメディカル・営業・マーケティング支援事業ならびにオーファンドラッグなどの開発・製造販売・流通事業)では、売上高は前期を上回った。人員調整を進める製薬企業がアウトソーシングを加速し、MR派遣市場が拡大。MR派遣業務の引き合いが順調で採用強化。尿素サイクル異常症治療薬グリセロールフェニル酪酸(海外販売名Ravicti)の 日本国内第III相臨床試験開始とこれに伴う研究開発費の増加。

⑦Site Support Solutions事業(医療関連施設および医療従事者を総合的に支援する事業)では、大型の新型コロナウイルス感染症ワクチン開発案件の減少により、 売上高は前期を下回った。堅調な受注獲得。医療機関の治験事務局支援が拡大。アカデミアとの連携拡充。

⑧Healthcare Revolution事業(個人および自治体などにヘルスケアの新たなエコシステムを用いたソリューションを提供する事業)では、売上高は自治体向け大規模ワクチン接種案件の需要減少により前期を下回った。新型コロナウイルス感染症関連案件の継続と自治体向け人財支援業務の拡大。疾病予防・健康情報やIT技術を融合したビジネスの拡大に取り組む(てんかん患者・家族向け支援プラットフォーム「nanacara」の導入医療機関の増加と「nanacara」を基盤としたサービスの対象疾患拡大、てんかん患者支援の薬局開設、デジタル田園都市国家構想に沿った地方自治体の事業支援開始)。「harmoワクチンケア」がマイナポータルと連携開始。

⑨マネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われる社長の中村和男さんが代表を務める北杜マネージメントによる公開買付けへの取締役会の賛同については、利益相反の恐れがあるため、中村和男さんは関わっていないとのことで、取締役の望月渉さんから賛同に至る経緯の説明があった。

⑩質疑応答で、「シミックCMOグループの連結除外による影響」について質問あり。取締役の松川誠さんから、「大日本印刷グループ(DNP)に、PVCモデル(医薬品の開発から製造、営業・マーケティングまで総合的な支援)を高く評価されている。」との回答。
質問の内容と回答がかみ合っていないように感じた。

⑪質疑応答で、「今後(上場廃止後)の意気込みについて」質問あり。「国内では創薬力の低下や海外の新薬が入ってこないなどの課題があるが、国に頼るのではなく、シミックが挑戦していく。」との説明あり。

⑫取締役と監査役候補者10名中、70歳以上の候補者は中村和男さん(1946年生まれ、76歳)、岩崎甫さん(1947年生まれ、76歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑬社外取締役を除く取締役8名の報酬等の総額は34,000万円。2022年12月に退任した2名についてそれぞれ3ヶ月分、着任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり4,689万円。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答は、各担当役員を中心に、内容によっては社長の中村和男さんも回答するスタイルでした。質疑応答時の回答の節々から、「海外の承認薬で日本では未承認の薬が増えている」「創薬力の低下」「先行き不透明」など、製薬業界が置かれている厳しい状況が伝わってきました。

議案がすべて可決され、閉会の挨拶時に、社長の中村和男さんからの「シミックが日本の創薬を復活させる」との力強い言葉があり印象に残りました。

MBOの成立がほぼ確実な状況であるのにもかかわらず、株主総会には約50名もの株主が参加していたことから見ても、シミックホールディングスに愛着を持っている株主が多かった印象です。MBOの成立で上場廃止となるのは寂しいですが、今後のさらなる医薬品業界への貢献を期待しています。

 

株主総会会場の日本生命浜松町クレアタワー
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