Casa 第10回定時株主総会
日時:2023年4月27日(木) 10:00-12:15(株主総会+事業説明会)
場所:住友不動産新宿グランドタワー(西新宿駅徒歩3分)
出席株主数:約30人
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
Casa(7196)
HP:暮らし、その先へ Your Life with Casa | 株式会社Casa (casa-inc.co.jp)
①家主と入居者の賃貸借契約締結に際して、入居者と保証委託契約を締結し連帯保証人となることで家主の賃料等の未収リスクが解消されるサービスを提供する「家賃債務保証事業」を運営。
②筆頭株主はリースやローン事業をおこなうリコーリース(8566)で、139万株、13.9%を保有。
不動産業者向け会員サービスをおこなうジャパンベストレスキューシステム(2453)が、第2位の株主として、112万株、11.2%を保有。
社長の宮地正剛さんも、第4位の株主として、73万株、7.3%を保有。
③株主優待(7月末)
100株:クオカード1,000円分
500株:クオカード2,000円分
1,000株:クオカード3,000円分
株主総会での個人メモ
①入居者から契約締結時に受け取る初回保証料と、契約締結の1年後より毎年受領する年間保証料2つの収益を柱とするストック型のビジネスモデル。
②求償債権割合(保証残高に占める求償債権額)は、8.5%。
③賃貸住宅内訳は、賃貸住宅数1,925万戸(推定)、管理会社市場52.4%、自主管理市場47.6%。管理会社市場の保証会社利用率は、2020年で85%となり、増加中。
④管理会社へのサービス提供として、業務効率の改善を目的とし、近隣トラブルサービスの構築などの付帯サービスの提供をおこなう。近隣トラブルの問い合わせ内容は、生活音・騒音42%、駐車場・駐輪場27%、ゴミ出し関連12%、害虫関係10%。
⑤自主管理オーナーの状況として、賃貸経営の悩みの内容は、家賃の滞納49%、室内の汚損42%、税負担が重い35%、ゴミ出しトラブル35%、空室率が高い29%、メンテナンス費用が高い24%、近所からの苦情22%、入居者同士のトラブル20%、退去時のトラブル20%、物件の老朽化16%。
賃貸管理システム「COMPASS」では、入居者募集から家賃管理、入居者トラブル対応、退去時の手続きまで、テクノロジーを活用した自主管理サービスによる、効率的な賃貸経営を実現。オーナーが自ら不動産経営の舵を握るために必要な知識、手段を提供することで、オーナー不動産業界の健全な発展を目指す。
⑥不動産賃貸業界では、入居者に対して不当な費用負担を強いる場合がある。その一例が、「督促手数料」と呼ばれる料金で、入居者に対し滞納が発生するたびに請求される。この手数料は、金額によっては、入居者の不利益となる恐れがあるため当社では督促手数料の徴収を行っていない。
⑦自分が住んでいる賃貸物件が売買により、管理会社が変更された場合、締結した保証契約が解除されることがある。この場合、高齢者や身寄りのない単身者などの入居者は、新たに保証会社に加入し、再度保証料の支払いが生じるので、当社では保証を解除する契約を行っていない。
⑧保証会社によっては、入居者の信用情報に問題がある場合や十分な信頼を持てない場合に保証会社より連帯保証人を求められることある。保証会社にも関わらず自社の保全のために人的保証人を求めることは、契約者にとって大きな負担となる。よって当社では保証人を求める契約をしていない。
⑨社長の宮地正剛さんから「トップラインが伸びていない理由として、大手代理店への紹介手数料が20~30%であったが、手数料UPの要請があり、取引を見直した。大手代理店の穴を埋めるために、中小の代理店との取引を増やしている。高い貸倒引当金が課題。」との説明あり。
⑩中期経営計画を修正。2025年1月期の目標は、売上高12,592百万円、営業利益1,635百万円。
⑪質疑応答で、「高齢者リスクに対応するサービス」について質問あり。「孤独死による部屋のクリーニングや、風評被害で家賃が下がってしまった場合の損害を補償する保険を自動付帯サービスしている。」との回答。
⑫質疑応答で、「同業他社のフォーシーズが、家賃滞納者に対して部屋の明け渡しを要求する条項を付け契約をしていた。最高裁で違法との判断が示されたが、影響は?」との質問あり。「このような契約内容は業界内でも聞かず、フォーシーズ特有の問題。CASAではそのような契約は無い。」との回答。
⑬質疑応答で、「コンプライアンス体制」についていくつか質問があり。「コンプライアンス対策として、特に注意が必要な家賃回収業務について、クレーム(事故)を吸い上げる体制を築いている。一方で、無理な回収を行わなくなった結果、8年位前から回収率が4%程度下がってしまっている。」との回答あり。
⑭取締役5名中、70歳以上の取締役は打込愛一郎さん(1952年生まれ、71歳)、嶋田一弘さん(1945年生まれ、78歳)の2名。質疑応答でも意見が出ていたが、役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑮社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は13,790万円。2022年9月8日に辞任した1名分を7ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり3,848万円と推測。
⑯議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したり、事前の議決権行使の具体的な数字を示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
賃貸不動産市場で需要が増えている家賃債務保証事業に興味があり、平均868円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主という投資家が集まっているので、自主管理家主としてCasaのお客様層と考えてなのか、株主総会や事業説明会での、会社側のちょっとした対応についても、株主への配慮を感じる部分がありました。
株主総会、事業説明会共に、社長の宮地正剛さんの、質問が出尽くすまでハキハキと質疑応答対応をしていた姿に好感を持ちました。事業説明会の内容もとても分かりやすく、有意義に感じました。
プライム市場の上場維持については、「流通株式時価総額」について基準を充たしておらず、2025年1月末までに上場維持基準を充たす目標としていますが、2023年1月末時点、プライム市場上場維持基準100億円に対し、流通株式時価総額は52.1億円(株価824円)。
流通株式比率に変動が無いとした場合、プライム市場の上場維持するためには、「824円×100億円÷52.1億円」=株価1,581円が必要となり、株価上昇を期待しています。
また、IT化の遅れている不動産市場に対し、「ダイレクトシリーズ」や「COMPASS」での差別化をはかり、管理会社市場と自主管理市場の双方を扱う強みを活かした成長も期待しています。コンプライアンスに留意し、誠実な会社であって欲しいと思います。継続保有の予定とします。