窪田製薬ホールディングスの株主総会に出席しました【2023年4月21日】

株主総会
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窪田製薬ホールディングス 第8期定時株主総会

日時:2023年4月21日(金) 14:00-15:00

場所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(市ヶ谷駅徒歩2分)

出席株主数:約30人

お土産:無し

 

企業概要

窪田製薬ホールディングス(4596)

HP:窪田製薬ホールディングス株式会社 | Kubota Pharmaceutical Holdings Co., Ltd. (kubotaholdings.co.jp)

①ウェアラブル近視デバイスなどの「医療機器」、在宅眼科医療機器ソリューションなどの「在宅・遠隔医療モニタリング機器」、スターガルト病の治療薬候補の「低分子化合物(エミクススタト塩酸塩)」をパイプラインとして開発する眼科医療ソリューション・カンパニー

筆頭株主は、社長の窪田良さんで、1,025万株、18.6%を保有。

旧アキュセラ・インクの完全子会社としてアキュセラ・ジャパン株式会社(現 窪田製薬ホールディングス株式会社)を設立。当社の完全子会社として、アキュセラ・ノースアメリカ・インク(米国子会社)を設立。旧アキュセラ・インク及び米国子会社間で旧アキュセラ・インクを消滅会社、米国子会社を存続会社とする三角合併により、旧アキュセラ・インクを吸収合併した米国子会社が当社の完全子会社となる。当社商号を「窪田製薬ホールディングス株式会社」に、米国子会社の商号を「アキュセラ・インク」に変更。

従業員は5名(連結で7名)のみと少人数

 

株主総会での個人メモ

①多くの12⽉決算の企業は、会社法上の基準⽇(基準⽇において株主名簿に記載されている株主が、株主総会で議決権を⾏使することができる。)を12⽉末⽇と定めており、加えて基準⽇の効⼒が会社法では基準⽇より3か⽉以内と規定されているため、翌年3⽉末⽇までに定時株主総会を開催している。窪田製薬ホールディングスは、定款において基準⽇を12⽉末⽇ではなく2⽉末⽇に設けている。基準日をずらして総会集中日を避けることが推奨されていることを受けて、定時株主総会を4⽉に開催

②株主総会開始前に、会社側から出席している株主に対して「会場内でのマスク着用のお願い」のアナウンスがあった一方で、出席している取締役と監査役の全員、および、株主席にて出席している新任取締役候補全員がマスク未着用であったのには違和感。一貫性の無い対応が気になる。

③発行済株式数4,886万株の状況で、バークレイズ・バンク・ピーエルシーに、2022年9月5日を割当日、行使期限を2024年9月5日までとした新株予約権(行使価額修正条項付)1,000万株を発行下限行使価額は81円。行使価額は、直前取引日における終値の94%。株式の大幅な希薄化が進む。
新株予約権の行使が完了するまで、下限行使価額を意識して86円程度まで株価が下落する可能性もあり。

④2022年11月1日より、IRお問合せ窓口での電話対応を廃止し、当社IRお問合せフォームでの対応に一本化。これまで、IR電話窓口へ、株主をはじめ投資家等より、数多くの問合せがあり、その中には、業績動向などの非公開情報や、金融商品取引法の「重要事実」に該当する可能性のあるもの、株価の動向などのお問合せも多く含まれていたとのこと。誹謗中傷の内容についてもあった模様。

⑤世界の近視⽤レンズ市場は今後5年間で10%以上の成⻑が⾒込まれている。2050年には近視⼈⼝は世界⼈⼝の50%(47億5800万⼈)になると予測され、WHOが世界的な近視の流⾏に警告を発している。特に失明につながる強度近視の⼈⼝は9億3800万⼈にまで増加すると予測され、10⼈に1⼈が失明のリスクを抱える。デジタルデバイスが急速に普及する中で近視抑制は国際的な課題である。
特にアジア諸国では急速に近視⼈⼝が増加している。20歳以下の近視保有率は80%を超える国が続出。⽇本は、世界有数の近視⼤国。特に⼩学⽣(34%)は40年間で2倍に増加。コロナ禍で低学年学童において近視の進⾏速度が増⼤。東北メディカルメガバンクの22,379⼈の調査では⾼学歴ほど眼軸(角膜から網膜までの長さ、長くなると遠くが見えくくなる。)が⻑い傾向。
昨今の近視増加は環境要因が⼤きいとされており、近⽅視時間の増加や野外活動の減少が問題視されている。治療は眼軸伸⻑を抑制することが重要となる。

⑥網膜分離症、網膜剥離、⽩内障、緑内障は、強度近視の⼆次性眼疾患の合併リスクが高い。緑内障は国内における失明の原因疾患の第⼀位である。幼少期の近視の進⾏は、成⼈になってからの失明リスクを増やす。

⑦近視の治療法で⼀般的なものは、屈折矯正により、光の屈折を調整し、焦点を網膜に合わせることが⼀般的。眼軸⻑を短縮させるような根本的な治療法はない。クボタメガネは他社製品との有効性の⽐較において、眼軸⻑の抑制効果と近視進⾏抑制効果のいずれもトップクラス安全性も⾼く、装⽤時間も短時間で、患者のQOL維持にも優れている。

クボタメガネは、⾃然な⾒え⽅を維持しながら、1⽇1〜2時間で対象眼と⽐較して眼軸⻑の短縮を確認。台湾・⽶国で医療機器登録を完了。⽇本では、野外活動を再現するAR機器として販売を開始、医療機器として販売を拡⼤を目指す

⑨クボタメガネは、近視を元の状態に戻すことを目指している。スマホやパソコンの使⽤時間の増加等の要因で近視は⼤⼈でも進⾏する。競合品と違い、唯一、大人でも効果があると発表している。販売価格は、70万円(税抜)

⑩クボタメガネは、海外製造・カスタマイズ性が⾼い製品であるため注⽂から提供までに時間がかかる。対策としては、「需要に沿った⼤量⽣産の体制を整え、供給スピードを向上させる。」、「サプライチェーンの無駄を削減し、提供までの時間を短縮する。」との説明。製造は、アウトソーシングを利用している。

⑪クボタメガネの現在の購入者は、「勉強を頑張っているお⼦様向け」と「オフィスワークがメインの働き盛り世代向け」との説明。

⑫在宅·遠隔眼科医療⽤網膜モニタリング機器「PBOS」は、パートナー企業との共同開発、商業化の可能性を模索。

エミクススタト塩酸塩は、スターガルト病に対し、「トップライン解析の結果 主要評価項⽬および副次的評価項⽬の⼆群間の優位差が統計的に⽰されず、また、その差は臨床的に意味のあるものではなかった。一方で、ベースライン時の萎縮病巣領域が⼩さい被験者グループに対して⾏った解析では、エミクススタト投与群の24カ⽉⽬の⻩斑萎縮の進⾏率が、プラセボ投与群に⽐べ40.8%抑制された。」との説明。

2022年12月期の売上高8百万円は、クボタメガネの売上によるものとの説明、10台程度売れた模様。2023年12月期の連結業績予想は、「Kubota Glassの⾼い新規性により、現時点で客観的な需要を判断することが困難。合理的な業績予想の算定ができない」との理由で非開示。赤字継続の可能性あり

⑮経営合理化の一環として、業務効率化と事務所賃料の削減を目的に、本店の所在地を東京都千代田区から東京都港区へ変更する。

⑯質疑応答では、売上が上がらず、赤字続きの現状に苦言がいくつか出ていた。社長の窪田良さんから、「創業から21年間、苦しい状況が続いている。製品化の確率の高いデバイスに注力して、21年目で初めて製品化が実現できた。苦しい状況が続くが、諦めずにやり続ける。研究開発費を抑え、経営体制も変えていく。」との説明あり。

⑰質疑応答で、「クボタメガネの販売価格70万円は高すぎる。値段を下げてシェアを取りにいったほうが良いのでは?」との質問あり。「検討する。」との回答。

⑱執行役3名の報酬等の総額は5,064万円。期中に1名が増減無く交代したことを考慮すると、単純平均で執行役1人当たり2,532万円。
社長の久保田良さんは、連結子会社のクボタビジョン・インクからの報酬もあり、合計で11,517万円。連結報酬等の総額が1億円以上である者として有価証券報告書に記載。赤字が継続し、事務所賃料の削減に取り組んだり、新株予約権(行使価額修正条項付)を発行している状況を考えると、高額報酬に違和感

⑲議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したり、事前の議決権行使の具体的な数字を示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

12月決算企業なのに株主総会の基準日を2月末に設定して、株主総会を4月に開催する面白い会社です。一方で、2016年の再上場以来、7年連続赤字継続で、事務所賃料の削減に取り組んだり、資金繰りのために新株予約権(行使価額修正条項付)を発行している苦しい状況であるのにもかかわらず、社長の久保田良さんへの1億円を超える役員報酬に大きな違和感を感じました。

また、連結従業員数7名のみで、「医療機器」、「在宅・遠隔医療モニタリング機器」、「低分子化合物(エミクススタト塩酸塩)」の3つの事業に対応できるのか、工数不足懸念も感じます。

株主総会では、違和感を多々感じましたが、クボタメガネについては、子供だけではなく大人の近視に対しても、安全な治療の手段として幅広く普及することを期待しています。

 

株主総会会場近くにある靖国神社
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