ビジョナル 第7回定時株主総会
日時:2026年10月22日(木) 10:00-11:10
場所:渋谷東口ビル(渋谷駅徒歩5分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業概要
ビジョナル(4194)
①プロフェッショナル人材(管理職・専門職等)に特化した会員制転職プラットフォーム「BizReach」を提供するBizReach事業、採用から入社後の活躍までの情報を一元化・可視化することで、データに基づいた人材活用を可能にする人財活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」を提供するHRMOS事業およびOB・OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」や、求人検索エンジン「スタンバイ」などを提供するHR Tech事業を行う「HR Tech」(売上構成比94%)を中心に、法人限定M&Aプラットフォーム「M&Aサクシード」、物流DXプラットフォーム「トラボックス」、脆弱性管理クラウド「yamory(ヤモリー)」、クラウドサービスのセキュリティ信用評価および取引先企業のセキュリティ信用評価「Assured(アシュアード)」、ITコンサルティングサービス「TSUIDE」などを提供する「Incubation」(売上構成比4%)を運営。
②筆頭株主は、社長の南壮一郎さんで、1,367万株、33.7%を保有。
株式情報
時価総額:3,927億円(2026年10月21日時点)
売上高:993億円(2026年7月期実績)⇒1,198億円(2027年7月期予想)
株価9,701円(2026年10月21日時点)
1株純資産:2,125円(2026年7月末時点)、PBR:4.56倍
1株当期純利益:458円(2027年7月期予想)、PER:21.1倍
1株配当:無配(2027年7月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
フリーキャッシュフロー:102億円(2026年7月期実績)
株主数:3,998名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年7月期は、当社グループにおいては企業の求人意欲の継続を背景に、当連結会計年度においてもBizReach事業がグループ全体の業績をけん引する結果となった。この結果、売上高は99,300百万円(前年比23.9%増)、営業利益は24,563百万円(同14.6%増)、経常利益は26,700百万円(同17.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は18,566百万円(同16.4%増)となった。BizReach事業の安定した利益を基盤に、各段階利益で前年同期比増となった。なお、当期純利益の前年比増には賃上げ促進税制による効果を含んでいる。
②HR Techセグメントは、BizReach事業においては、引き続きプロフェッショナル人材領域の採用需要が堅調であり、積極的な広告宣伝活動の結果、当連結会計年度末時点で、累計導入企業数は45,800社以上(前年度末38,100社以上)、利用ヘッドハンター数は9,500人以上(同9,000人以上)、スカウト可能会員数は353万人以上(同307万人以上)となった。全ての指標で、前年度末比で成長し、BizReach事業の売上高は80,126百万円(前年比16.8%増)、管理部門経費配賦前の営業利益は33,093百万円(同16.5%増)となった。HRMOS事業においては、プロダクト投資を継続しつつ、利用顧客の拡大のための営業活動や広告宣伝活動を行っている。2026年4月より開始した「HRMOS労務」のテレビCMをはじめとした各種キャンペーンを継続し、利用拡大に努めている。『HRMOS』のKPIについては、ARRは前年末比177.0%増の10,337百万円、利用中企業数は同341.9%増の10,699社、ARPUは同37.3%減の80,520円となり、12ヵ月平均であるChurn rateは0.48%となった。この結果、HRMOS事業の売上高は9,289百万円(前年比78.2%増)、管理部門経費配賦前の営業損失は485百万円(前年は769百万円の営業損失)となった。これらの結果、HR Techセグメントの当連結会計年度のセグメント売上高は93,807百万円(前年比21.9%増)、セグメント利益は28,673百万円(同15.9%増)となった。
③Incubationセグメントの各事業については、HRTechセグメントより生み出される利益の範囲内で人材投資、新規プロダクト開発、広告宣伝活動などを行っており、当連結会計年度のセグメント売上高は5,488百万円(前年比74.9%増)、セグメント損失は2,434百万円(前年は1,691百万円の損失)となった。
④2027年7月期においては、通期の連結売上高は119,850百万円(前期比20.7%増)、営業利益は26,600百万円(前期比8.3%増)を見込んでいる。BizReach事業は、プロフェッショナル人材への採用ニーズが引き続き堅調であることを踏まえ、売上高は92,940百万円(前期比16.0%増)を見込んでいる。HRMOS事業は、各サービスの拡大、プロダクト投資の継続および積極的な営業活動や広告宣伝活動の実施を織り込み、売上高は12,600百万円(前期末比35.6%増)を見込んでいる。また、経常利益は27,945百万円(前期比4.7%増)を見込んでいる。特別利益および特別損失は見込んでおらず、法人税などを利益計画に基づき算出し、親会社株主に帰属する当期純利益は18,569百万円(前期比0.0%増)を見込んでいる。
⑤BizReachの営業利益率(管理部門経費配賦前)は、安定的な事業成長や各種施策の効果に伴い、FY2027/7については41%を見通している。
⑥HR Techの通期営業損失(管理部門経費配賦前)については、売上高の進捗や事業環境に鑑み、成長投資を加速し、15.0億円程度を見通している。
⑦Incubationは、中長期的な企業価値向上を実現するための事業創出を継続しており、成長投資とコストコントロールのバランスを重視している。新規事業の成長により、FY2027/7 の通期セグメント売上高は90.0億円(+64.0% YoY成長、+35.1億円YoY)を見通している。新規事業創造に伴い、四半期売上高は凸凹する可能性がある。また、新規事業創出のための人材投資などの拡大により、通期セグメント損失は27.0億円程度を見通している。
⑧営業外収益に計上されている違約金収入は、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイトBizReachの利用に際して、支払い漏れをはじめとした利用規約への違反行為があった場合、当該違反行為に対して課される利用約款に定められた違約金。違約金収入として営業外収益に計上される。FY2026/7においては、違約金収入が18.0億円計上されている(1Qは9.9億円、2Qは1.5億円、3Qは4.0億円、4Qは2.5億円計上)。1Q は実態に即した会計処理の変更による一時的な影響を含んでいる。
⑨2025年10月1日付で、大企業の新卒領域を中心に採用管理クラウド市場をけん引してきたThinkingsの全株式を取得した。Thinkingsを迎えることにより、当社グループは中小・中堅企業から大企業の新卒および中途採用領域の採用管理クラウドサービスのマーケットリーダーとしての地位を強固なものとすることを目指している。
⑩管理部門経費配賦前営業利益とは、製品やサービスに直接紐づく費用は原則計上された上で、経理、法務、人事機能などの経営管理に携わる人件費や付随する外注費などの費用および、情報システム部門やデザイン部門のうち直接製品に費用を賦課することの出来ない人件費や付随する外注費などの費用を事業に負担させる前の事業の営業利益または営業損失、
⑪貸借対照表における「持分法適用に伴う負債」は、持分法適用関連会社であるスタンバイについて、LINEヤフー(旧:Zホールディングス)と合弁事業を開始した際に発生した勘定科目。合弁事業開始にあたり、ビズリーチで計上された事業分離における移転利益を、当社連結処理上、当社持ち分相当を連結企業集団間の未実現損益として消去した際に発生している。
⑫AI技術の進化によって、当社グループが保有するデータの活用価値が上がり、競争力の源泉となると考えている。BizReachはプロフェッショナル領域における約17年間のデータを蓄積し、AI技術の積極的な活用による事業価値向上の好機と捉えている。また、技術への投資を競争力の源泉と位置づけ、知的財産に関する特許の取得を積極的に行っている。当社の競争優位に繋がる独自技術を特許により保護すると共に、人的支援や顧客との接点で得られるインテントと、テクノロジーを融合させ、サービスの競争力を一層強化していく。
⑬HRMOSはFY2026/72Qに会計期間、累計期間でも黒字化を達成した。この背景としてはHRMOS各プロダクトのサービス競争力の向上や、良好な市場環境が寄与している。このため、市場環境などの動向などを見極め、FY2026/7下期において将来の事業価値拡大を見据えた追加投資の判断をし、2026年4月からテレビCMやオンラインマーケティングを含む各種施策を実施した。この結果、HRMOS各サービスにおいて商談数が増加、FY2026/74Qの各種KPI成長に効果が出始めている。このようなキャンペーン投資の結果や市場環境を踏まえ、FY2027/7を含む3年間は積極的な投資を継続することを計画している。具体的には、BizReachAIの活用を含む当社ならではの強みを活かしたプロダクト開発の継続、利用顧客拡大のための人材採用を伴う営業活動の強化、各種マーケティング活動の拡大などを想定している。現在の市況感が続くことを前提とし、売上高増加に伴う営業損失縮小の可能性もあるが、少なくとも今後2年間は営業損失の継続を見通している。
⑭監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は19,500万円。単純平均で取締役1人当たり4,875万円。
株主総会での個人メモ
①社長の南壮一郎さん、取締役の播磨奈央子さんの2名が会場での出席。取締役の村田聡さん、酒井哲也さん、末藤梨紗子さん、石本忠次さん、千原真衣子さんの5名がオンラインでの出席。
⇒株主総会冒頭に、社長の南壮一郎さんから一部の取締役についてはオンラインでの出席との説明があったが、株主総会会場の直ぐ近くに本社があるのにもかかわらず、取締役7名中、大部分の5名がオンラインでの出席。また、オンラインで出席の5名については、モニターで様子を伺うこともできず違和感あり。会社を代表する取締役の方々の様子を伺うためにも、特段の事情が無い限り、取締役7名全員が会場での出席の方が良いと思う。
②報告事項はほぼ割愛され、決議事項に関する質疑応答にほぼ時間を割いて対応されていた。
③質疑応答で、「「BizReach」と「HRMOS(ハーモス)」が2本柱だが、HRの川上から川下までサービスを拡大して欲しい。」との旨の意見あり。「企業の人事バリューチェーン全体を捉えていく。企業の人材の職務経歴書を自動で作成できる。企業で人材を探す際には、まず、どういう人材が必要なのかを定め、次に、社内で人材を探す。外部の人材の採用は最後の手段。」との旨の回答。
⇒AIの急速な進化により、外部人材採用の減少を見据え、企業内人材活用(社内版BizReach by HRMOS)に活路を見出している印象を受けた。
④質疑応答で、「管理職業務は、今後、AIに代行されていくと思う。人間とAIの分業についてどう考えているのか?」との質問あり。「生成AIは間違いなく進化していく。生成AI関連の投資は進めており、特許件数もソフトバンクに次ぐ2位。現場の正社員はリストラクチャリングされ始めている。米国では新卒の採用控えが始まっている。資料作成業務であれば、今までの1割くらいの時間でできるようになった。今までは、1人のマネージャーが5名の新人を束ねて仕事をしていたとしたら、今後は、1人のマネージャーに1名のアシスタントとAIエージェントでまかなえてしまう。生産性が高まると思う。」との旨の説明。
⑤質疑応答で、「第1号議案で、定款に追加される9つの新事業について、既に準備に走っているものがあれば教えて欲しい。」との旨の質問あり。「セキュリティ関連は6年間投資を続けてきた。物流も7年前から。M&Aを考慮して追加している。」との旨の回答。
⑥質疑応答で、「サイバーセキュリティー問題が社会問題となっている。タイムズカーにおいては免許証の情報が流出し、訴訟問題に発展しそうな状況となっている。「BizReach」では、履歴書や職務経歴書といった重要な個人情報を取り扱っており、万が一流出してしまった場合、事業の継続に大きな影響が出てきてしまわないか心配。絶対に流出しないように対策して欲しい。」との旨の意見あり。「サイバーセキュリティー問題は、最重要項目。攻撃はあるが、今のところは防げており、技術的な進化を心掛けている。最大の投資を行いながら、セキュリティーインシデントを起こさないように経営を行う。万が一、情報流出が起きてしまった場合の対応についても事前に決めておく。最大のリスクはサービスの再開ができないこと。」との旨の説明。
⑦質疑応答で、「Thinkingsの買収から1年経過したが、投資が成功したかのKPIは?当初想定していたシナジーは得られたのか?得られそうなのか?」との質問あり。「140億円で買収した。HRMOS採用は中途に強く1番手だが、Thinkingsは大企業の新卒に強い2番手。指示命令系統をHRMOSに合わせ、営業はBizReachと統合した。KPIは、ARRとChurn rate。クロスセルを活性化していきたい。」との旨の回答。
⑧質疑応答で、「サイバーセキュリティー問題について、M&Aで取得した子会社が危ないと思っている。セキュリティー対策で何か変更したことはあるのか?特に、子会社でセキュリティー会社も保有しているので、万が一、情報流出が発生してしまった場合、セキュリティー事業として、信用にかかわると思う。」との旨の質問あり。「セキュリティー事業は順調に推移している。サーバー攻撃から、100%守り切ることはできない。経営者は、起こるかもしれないことに投資をするのは、コストとみなすので苦手。完全なるコストとなるので、決定する人間が優先順位を上げられるかどうか。お客様のためにも積極的に投資を進めている。」との旨の説明。
⑨質疑応答で、「ヘッドハンター向けの料金を値上げしたが、ヘッドハンターの離脱はあったのか?」との質問あり。「2月にヘッドハンター向けの料金を改定した。売上の3割はヘッドハンター向けの売上。そこまでの離脱は無い。競争が激化しており、インターネット広告への投資を続けなければならないが、単価が上がってきている。今後も投資を続けなければならないので、価格を改定した。今期の業績予想には織り込んでいる。影響度としては、生成AIによる影響の方が大きい。」との旨の回答。
⑩議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や一部の取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。一方で、取締役7名中、大部分の5名がモニター出演も無いオンラインの出席であり、様子を伺うことができず残念でした。
質疑応答では、社長の南壮一郎さんが時間をかけて丁寧に回答対応をされていました。
なお、社会問題となっているサイバーセキュリティー対応について複数の質問が出ていましたが、履歴書などの重要な個人情報を扱っているので、サイバー攻撃を心配する会員の減少、サイバー攻撃を受け情報が流出した際の訴訟や事業継続のリスクなどが心配です。情報流出によりお客様の信用を損なうようなことが発生しないように、十分な注意と対策をして経営を進めて欲しいです。
また、社長の南壮一郎さんから説明があった通り、急速な生成AIの進化により、企業のリストラが進み、さらに新卒採用の抑制が想定されます。余剰感の出てくるホワイトカラー職から、人手不足のブルーカラー職への転職(雇用の流動)が増えていくようにも感じました。
先々懸念されるプロフェッショナル人材(管理職・専門職等)の転職需要(BizReach)の減少を、企業内人材活用(社内版BizReach by HRMOS)でカバーしていく戦略に見え、成長余力も感じます。成長企業として再投資も検討します。


