アストマックス 臨時株主総会
日時:2024年11月6日(水) 14:00-14:20
場所:東京日本橋タワー(日本橋駅直結)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業情報
アストマックス(7162)
HP:アストマックスグループ
①主として再生可能エネルギーなどを利用した発電および電気の供給に関する事業をおこなう「再生可能エネルギー関連事業」(売上構成比6%)、電力の卸売り販売、代行サービス(顧客管理、需給予測、需給管理、計画値提出、リスク管理、報告など)の提供をおこなう「電力取引関連事業」(売上構成比54%)、小売電気事業およびガス小売事業をおこなう「小売事業」(売上構成比37%)、ベンチャー企業などに投資するベンチャーキャピタルファンド、学校法人などの基金の資産運用を担うファンド、 再生可能エネルギーを中心とするエネルギー事業に関連する投資を行うファンドなどの運用業務をおこなう「アセット・マネジメント事業」(売上構成比1%)、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数などの金融先物を取引対象とした自己勘定取引をおこなう「ディーリング事業」(売上構成比2%)を運営。
②会長の牛嶋英揚さんが、第3位の株主として、68万株、5.5%を保有。
社長の本多弘明さんが、第9位の株主として、18万株、1.5%を保有。
③従業員数は、54名(連結で56名)のみと少人数体制。
株式情報
時価総額:33億円(2024年11月5日時点)
売上高:148億円(2024年3月期実績)⇒非公表(2025年3月期予想)
株価:251円(2024年11月5日時点)
1株純資産:455円(2024年6月末時点)、PBR:0.55倍
1株当期純利益:非公表(2025年3月期予想)、PER:非公表
1株配当:未定(2025年3月期予想)、配当性向:未定
配当利回り:未定
株主数:4,038名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年3月期第2四半期は、5事業全てがセグメント利益となり、全体として営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期間比増加した。なお、2020年4月に買収した企業は1件の被告事案を抱えており、2021年3月期より本事案に関する引当金を計上していたが、2024年6月に当社グループの勝訴が確定し、21百万円の訴訟損失引当金戻入額を特別利益に計上した。営業収益は、10,152百万円(前年比39.3%増)、営業利益495百万円(前年比27.4%増)、経常利益412百万円(前年比49.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益355百万円(前年比50.7%増)となった。
②再生可能エネルギー関連事業は、太陽光発電事業、系統用蓄電池事業、地熱発電事業を行う。当社およびアストマックスえびの地熱が推進しており、当事業を通じて、更なる再生可能エネルギーの導入および拡大に寄与していくとの方針の下、2030年までに最大年間66,000トン(太陽光発電100MW相当)のCO2削減を目指している。当社グループ所有の太陽光発電所が4月に完工し売電を開始したことや、経済的出力制御(オンライン代理制御)による電力販売のマイナス調整負担が前年比減少したことなどで、売電収入は前年比増加した。しかしながら前年度は系統用蓄電池事業開始に伴うアレンジメントフィーとして営業収益289百万円および営業外費用60百万円を計上していたため、当事業全体では営業収益、セグメント利益共に前年比減少した。以上の結果、営業収益は396百万円(前年比179百万円31.2%の減少)、17百万円のセグメント利益(前年比162百万円90.2%の減少)となった。
③電力取引関連事業は、小売電気事業者向け電力取引および電力小売顧客向け固定価格取引などの提供、需給管理業務を中心とした業務代行サービスの提供などを行っている。電力卸売価格が上昇する中、小売電気事業者のヘッジニーズの高まりなどを受け、取引量が前年比増加したことなどにより営業収益、セグメント利益は共に前年比増加した。営業収益は5,968百万円(前年比2,085百万円53.7%の増加)となり、240百万円のセグメント利益(前年比100百万円71.7%の増加)となった。
④小売事業は、当社およびアストマックス・エネルギーが推進し、当社は特別高圧・高圧市場の顧客へ電力販売を行い、アストマックス・エネルギーは個人を中心とする低圧市場の顧客へ電力とガスの販売を行っている。上期を通じて顧客への電力供給が安定的に行われたことから、営業収益は3,502百万円(前年比791百万円29.2%の増加)となり、77百万円のセグメント利益(前年比45百万円139.2%の増加)となった。
⑤アセット・マネジメント事業は、当社とアストマックス・ファンド・マネジメントが推進し、東京理科大学が主に出資する大学発ベンチャーキャピタルファンドの営業者としてファンド運営業務などを担うほか、2020年3月に運用開始した基金の安定運用のファンド、2022年10月に運用開始した東京理科大学が支援する再生可能エネルギーファンドの運用業務を行っている。また、当中間連結会計期間に開始した新たな大学発ベンチャーキャピタルファンドについても、アストマックス・ファンド・マネジメントが支援を行うこととなり、当事業のセグメント利益増加に寄与することとなった。アストマックス・ファンド・マネジメントが営業者として運用しているファンドの運用資産は前年比増加しており、営業収益に計上する運用報酬額も前年比増加している。2024年1月以降安定した利益を確保できる体制となっており、当中間連結会計期間もセグメント黒字を継続している。以上の結果、営業収益は95百万円(前年比4百万円4.9%の増加)となり、セグメント利益は16百万円(前年は6百万円のセグメント損失)となった。
⑥ディーリング事業は、OSE、TOCOM、TFX、CME、ICE、INEなど、国内外の主要取引所において商品先物を中心に、株価指数などの金融先物を取引対象とした自己勘定による裁定取引を主に行っている。当中間連結会計期間の原油市場は、原油需要伸び悩みへの警戒感、中東情勢などの地政学リスクなどを受け、60~80ドル台で推移した。金市場の価格は、毎月史上最高値を更新するなど、引き続き高い水準で推移した。当中間連結会計期間においては、金やプラチナを中心に国内外取引所の値差が変動しプラスに貢献、収益を確保した。以上の結果、営業収益は324百万円(前年比163百万円102.4%の増加)、セグメント利益は138百万円(前年は11百万円のセグメント損失)となった。
⑦当社グループの事業は、業績が経済情勢や市場環境によって大きな影響を受けるため、業績予想が困難であり、2025年3月期の連結業績予想は非開示としている。
⑧2024年7月12日に、熊谷組(1861)とコーポレートPPA事業の協業を開始すると公表。PPA(Power Purchase Agreement)とは、需要家と発電事業者間の長期間の電力購入契約のことであり、自然エネルギー電力を使いたい需要家が、発電事業者や小売電気事業者と長期契約を結び、自然エネルギー由来の電力を購入すること。本事業の事業主体は、熊谷組とアストマックスが匿名組合出資する特別目的会社(SPC)であるACE。
ACEが発電事業者となり、PPAを締結する事業を展開する。PPAを締結した需要家は、初期投資が不要で再生可能エネルギー発電設備を導入し、生み出した電力を使用することにより、脱炭素化が図れる。またPPA期間中は供給単価が固定されるため、電力料金の安定化ならびに低減が期待できると考えている。さらに、太陽光エネルギーなどから生まれたCO2排出ゼロの電力を使用することが環境経営のアピールポイントとなり、需要家の企業価値向上に寄与することが見込まれる。
本事業の第1弾として、日本プラスト(7291)と2024年7月1日付でPPAを締結した。導入する太陽光発電設備の概要は、設備容量は192.10kW(PCS出力:150kW)、供給開始は2025年2月予定、契約期間は20年間。
⑨2024年9月30日に、WEBマーケティングとセールスに強みを持つポート(7047)と業務提携契約を締結したと公表。本業務提携により、当社グループは、低圧電力の需要家向けマーケティングにおいて、国内最大規模の電力成約支援事業であるポートからの成約が期待できることになる。当社グループがポート専用の新電気料金プランをリリースし、2社共同で販売強化施策を実施していく予定。ポートは送客先の拡大につながり、両社の事業に寄与するものと考えている。
⑩2024年6月26日開催の第12期定時株主総会で、第1号議案の「定款一部変更の件」が否決され、それに伴い関連する第3号議案から第6号議案までを取り下げた。その結果、第12期定時株主総会の終結時点で、当社取締役会は会社法に規定されている取締役会設置会社における取締役3名以上とする員数を欠くこととなった。第12期定時株主総会の終結の時をもって任期満了により退任した役員は、会社法の規定に基づき、新たに選任された役員が就任するまで権利義務役員として継続してその任にあたっている。この現行の仮の体制に関し、速やかに新たな役員を選任することを目的に、本臨時株主総会第1号議案および第2号議案にて、改めて取締役および監査役の選任の手続きを行うこととした。
⑪監査役と取締役候補者3名中、70歳以上の候補者は溝渕寛明さん(1954年生まれ、70歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑫社外取締役を除く取締役2名の報酬等の総額は7,700万円。単純平均で取締役1人当たり3,850万円。
⑬議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会での個人メモ
①株主総会開始後、社長の本多弘明さんから、本臨時総会に至った背景について説明あり。2024年6月開催の定時株主総会で否決された監査等委員会設置会社への移行については、本臨時株主総会の議案とはせず、新たな取締役会で今後、再検討するとの説明があった。
②質疑応答で、「定時株主総会で監査等委員会設置会社への移行が否決されたのは不思議。過去の株主総会の各議案について、可決はされたものの賛成数が3分の2に届かないような議案はあったのか?」との質問あり。「過去の特別決議事項においては、否決されたことは無かった。2023年の定時株主総会の議案については賛成率が90%以上であった。」との回答。
③質疑応答で、「監査等委員会設置会社への移行は、監査役の権限強化につながるので良い対応だと思うが、見た目として監査等委員ではない取締役の人数が4名から2名になるので、心配になった株主がいたのでは?丁寧な説明が必要だったと思う。」との旨の意見あり。
④質疑応答で、「アセット・マネジメント事業で、東京理科大学と大学発ベンチャーキャピタルファンドを対応をしているが、背景は?」との質問あり。「東京理科大学はファンドに積極的な大学。ビジネスに活かせないかとの話があり、1号ファンドから対応している。」との旨の回答。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、社長の本多弘明さんの丁寧な回答対応が印象的でした。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、アストマックスは、1株当たり純資産455円に対し、株価が251円(2024年11月5日時点)、PBR0.55倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
2025年3月期の連結業績予想を非開示としており、投資家にとって投資判断の難しい会社ですが、黒字が定着するのか継続注視します。再投資も検討します。