ペッパーフードサービス 臨時株主総会
日時:2023年12月19日(火) 10:00-10:40
場所:国際ファッションセンタービル(両国駅徒歩7分)
出席株主数:約70名
お土産:無し
企業概要
ペッパーフードサービス(3053)
HP:株式会社ペッパーフードサービス (pepper-fs.co.jp)
①ビジネス街でポピュラーな立ち飲み食いでステーキとワインを楽しむスタイルをコンセプトにレストラン業態としてスタートした後に独立した業態とした「いきなり!ステーキ」を直営・フランチャイズ・委託事業として運営する「いきなり!ステーキ事業」(売上構成比92%)を中心に、「炭焼ステーキくに」「こだわりとんかつかつき亭」「牛たん仙台なとり」「Prime42 BY NEBRASKA FARMS」を直営・フランチャイズ・委託事業として運営する「レストラン事業」(売上構成比6%)、冷凍ハンバーグなどのネットショップ販売やとんかつソースなどの業務用卸販売や「いきなり!ステーキ監修」のソースなどの販売に伴うロイヤリティ収入得る「商品販売事業」(売上構成比1%)、店舗FC開発や店舗サポートおよび購買に関する間接収益部門の事業をおこなう「その他」(売上構成比1%)を運営。
②創業者で前社長の一瀬邦夫さんが、第2位の株主として、340万株、6.9%を保有。
食肉の輸入や小売りなどを手掛けるエスフーズ(2292)が、第3位の株主で、246万株、5.0%を保有。
社長の一瀬健作さんが、第6位の株主として、54万株、1.1%を保有。
株式情報
時価総額:49億円(2023年12月18日時点)
売上高:147億円(2022年12月期実績)⇒149億円(2023年12月期予想)
株価:92円(2023年12月18日時点)
1株純資産:46.0円(2023年9月末時点)、PBR:2.00倍
1株当期純利益:▲12.6円(2023年12月期予想)、PER:赤字
1株配当:無配(2023年12月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:47,539名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①株主総会では、受付と会場スタッフの他に、事務局メンバーが14名も配置されており、その多さに違和感を感じた。
②2023年12月期第3四半期時点、外食産業においては、原材料価格の高騰および円安進行によるコスト増、業界全体の人手不足などにより、厳しい状況が続いている。売上高は10,955百万円(前年比0.4%減)、営業損失は541百万円(前年は1,294百万円の営業損失)、経常損失は556百万円(前年は132百万円の経常損失)、四半期純損失は660百万円(前年は1,438百万円の四半期純損失)となった。
③いきなり!ステーキ事業は、7月17日よりお笑いコンビ「マヂカルラブリー」の野田クリスタルさんに「いきなりアンバサダー」として就任いただき、就任記念クーポンの発行やSNS広告などを活用した様々な販促活動を実施。また、商品キャンペーンとして、「イチボステーキ」(6月9日~7月24日)、「ミスジステーキ」(7月28日~8月31日)および「ブレードミートステーキ」(9月8日~10月31日)を全店で販売。 海外においては、8月19日にフィリピン2号店目となる「Ikinari Steak Robinsons magnolia店」をオープンし、2か国、3店舗となった。 この結果、売上高は10,334百万円(前年比2.3%増)、セグメント利益は580百万円(前年比430.3%増)となった。
④レストラン事業は、既存店の売上並びに利益の向上に努めるべく、季節商品メニューの投入や周年祭などを実施。また、事業集中の観点から、7月1日より「Prime42 BY NEBRASKA FARMS」を事業譲渡し、9月14日に「ステーキくに両国店」を閉店。 この結果、売上高は573百万円(前年比17.9%減)、セグメント損失は44百万円(前年は89百万円のセグメント損失)となった。
⑤商品販売事業は、「とんかつソース」、「冷凍ガーリックライス」、「冷凍ハンバーグ」、家庭でも味わえる「いきなり!ステーキセット」を各大手オンラインショップにて販売。また、年初より販売価格の見直しを行い、収益性改善に努めている。 この結果、売上高は47百万円(前年比63.9%減)、セグメント損失は9百万円(前年は20百万円のセグメント損失)となった。
⑥その他事業は、店舗FC開発や店舗サポートおよび購買に関する間接収益部門の事業。新規加盟店の出店が発生していないため、売上高が減少している状況が続いている。 この結果、売上高は1百万円(前年比98.5%減)、セグメント損失は78百万円(前年は82百万円のセグメント損失)となった。
⑦日本国政府は2020年2月以降、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関連した感染症対策の基本方針等を公表したが、それ以降消費者は外出などを控え外食需要に重要な影響が生じている。当社においては、政府および自治体からの各種要請などを受けて一部店舗の臨時休業や営業時間短縮を実施したことなどから、2020年3月以降、当社の来店客数は顕著に減少して売上高も著しく減少。2022年3月21日には、店舗の営業に対する制限が概ね解除され、来店客数などは次第に回復しているが、いまだ回復の途上にあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の水準を下回る状況が続いている。これらの結果、当第3四半期累計期間においては、継続した営業損失を計上するとともに、重要な四半期純損失を計上。 この結果、借入金の返済などの資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在。
⑧いきなり!ステーキ立地別計画対比は、店舗立地毎の売上高では、フードコート、ロードサイドの店舗が計画を上回る一方で、店舗数の多い路面店において計画を僅かに下回り、いきなり!ステーキ事業全体でも計画を下回る結果となっている。
⑨フィリピン3店舗目となる「いきなり!ステーキワンアヤラモール店」を12月上旬に出店予定。いきなり!ステーキのアジア圏における店舗数は、フィリピン1・2号店、台湾1号店を含め、合計4店舗となる。
⑩中期目標は、2025年12月期に、売上高181億円。
⑪質疑応答で、「円安の恩恵を受けて、他社ではインバウンド向けに高額な和牛が売れている。和牛の提供をおこなう予定は?」との質問あり。「年末年始に、国産牛の提供をおこなうイベントを予定している。インバウンドのお客様の多い店舗では、既に国産牛の提供をしている。」との回答。
⑫質疑応答で、「株価対策のため、株主優待を復活したらどうか?」との意見あり。「今のところ株主優待の再開予定は無く、業績が向上したら復配から対応する。」との説明。
⑬質疑応答で、「閉店したステーキくに両国店に、元社長(一瀬邦夫さん)が新店舗をオープンするとの貼り紙があった。元社長の写真を使用した看板なども含め、元社長との関係はどうなっているのか?」との質問あり。「ステーキくに両国店は、元社長に適正な価格で譲渡した。大株主として意見はいただくが、経営に関与はしておらず、出社も無い。親子としての会話も極力避けている。貼り紙や看板の内容は問題無いとの認識だが、どのように見られているのかを考えて、今後の対応を考える。」との回答。
⑭質疑応答で、「今後の海外展開について」質問あり。「フィリピン3店舗目以降の計画については回答を差し控えるが、多くの問い合わせをいただいている。」との説明。
⑮質疑応答で、「固定費削減のため、本社を移転したらどうか?」との質問あり。「固定費削減のため、前回の臨時株主総会をおこなった本社会議室など、借りていたフロアの一部を削減した。本社の移転となると引っ越し費用も必要となり、他に優先して費用が必要な案件もある。固定費削減は必要な対応。」との回答。
⑯質疑応答で、「営業利益ベースで赤字が続いている。いつ営業黒字となるのか?」との質問あり。「人件費や原材料費高騰が進んでいる中、ワイルドステーキも仕入価格が高騰しており、赤身肩ロースステーキの販売などで原価の安定化をはかっている。一日も早いタイミングで黒字化を達成したい。」との説明。
⑰社外取締役を除く取締役8名の報酬等の総額は9,900万円。2022年8月に辞任した1名を8ヶ月分、2022年9月に辞任した2名をそれぞれ9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,381万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
⑱議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、多くの質問が出ていましたが、社長の一瀬健作さんが、丁寧に回答対応をされていたのが印象的でした。株主総会終了後に、全取締役と監査役の紹介もありました。
今回、資本金減少関連の議案のみの臨時総会であったのにもかかわらず、約70名もの株主が出席しており、ペッパーフードサービスの知名度と注目度の高さを再認識しました。
いきなり!ステーキは、肉質に対して良心的な価格設定をしている一方で、お客様のオーダーカット注文に対して、オーバーカット分をお店の都合でお客様に負担させるシステムが、特に印象が良くないと感じます。高級店として展開しているブランドではないので、お客様が不満を感じず安心して利用できるお店への改善も、黒字化への一歩だと思います。
一旦ブームは去りましたが、美味しいステーキを手軽にいただける良いお店を展開していると思います。肉マイレージシステムの度重なる変更などで失ったお客様の信頼を取り戻し、また、社長の一瀬健作さんには「炭焼きレストランさわやか」での経験(ブランド作り、店舗戦略、こだわり)を活かして、まずは早期の黒字回復を期待しています。