ファインシンターの株主総会に出席しました【2023年6月22日】

株主総会
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ファインシンター 第74期定時株主総会

日時:2023年6月22日(木) 10:00-10:35

場所:ファインシンター本社(高蔵寺駅よりタクシーで約25分)

出席株主数:約20人

お土産:無し

 

企業概要

ファインシンター(5994)

HP:粉末冶金製品、油圧機器製品のことなら株式会社ファインシンター (fine-sinter.com)

①エンジン部品や駆動系部品などの「自動車焼結事業」(売上構成比91%)、新幹線⽤ブレーキライニングやパンタグラフに取り付けられる集電⽤すり板などの「鉄道焼結事業」(売上構成比4%)、デンタルチェアやCTスキャナーに使用される焼結部品をポンプ心臓部に応用した小型油圧機器の「油圧機器製品事業」(売上構成比5%)、コオロギ食品などの「売電及び食品事業」(売上構成比0%)にて、粉末冶⾦技術を⽤いて製品の設計・製造・販売をおこなう。

筆頭株主はトヨタ自動車(7203)で、92万株、20.9%を保有。
油圧機器大手のカヤバ(7242)が、第3位の株主として、22万株、5.0%を保有。
自動車部品大手のデンソー(6902)が、第4位の株主として、20万株、4.5%を保有。
自動車部品大手のアイシン(7259)が、第5位の株主として、13万株、3.0%を保有。

主要顧客は、トヨタ自動車(7203)で、売上比21%。トヨタグループ向けで、売上比55%。

 

株主総会での個人メモ

①株主総会は、ファインシンター本社での開催で、会社の雰囲気が分かり好感が持てる。一方で、アクセスが不便な場所なので、コーポレート・ガバナンスに掲げている「株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組み」の一環として、多数の株主が出席しやすいように送迎バスがあったほうが良いと思う。

②受付横に、ファインシンターで扱う製品のディスプレイと、社員による説明があったのは良い対応。焙煎コオロギ飴の試食もあった。

③事業報告は、社員によるナレーションを用いたスライド。手作り感があり好感が持てる。

④社長の井上洋一さんが退任し、山口登士也さんが社長就任予定。トヨタ自動車(7203)出身。社長就任は、正式には株主総会後の取締役会を経て決定すると思うが、会社として、山口登士也さんの社長就任予定をIR発表しているので、山口登士也さんから挨拶があっても良かったと思う。

取締役候補7名中、4名がトヨタ自動車(7203)出身。

中期経営計画は、2026年3月期に、売上高400億円、営業利益率8%。2031年3月期に、売上高450億円。

⑦自動車産業においては、世界的な半導体不足及び原材料やエネルギー価格高騰の影響があり、厳しい経営環境。

新型ハイブリッド車用のインバーター部品の増産を23年年初に開始しており、24年年央には国内子会社に生産ラインを増設予定。デジタル技術と匠の技の融合によるモノづくり革新「未来Factory」の実証を継続し、23年度から工場へ展開予定。また、グローバル最適生産の一環で、タイ子会社第二拠点の立上げ準備を計画通り推進。

自動車焼結事業では、国内・米国を中心とした半導体不足や、中国国内におけるロックダウンに伴う得意先での生産調整の影響等により販売量減少。当社グループとしては、休業日設定等による稼働調整、省人推進及び生産課題の解消に加え、原材料やエネルギー価格高騰の販売価格への転嫁等に取り組み、通期では大幅な減益となったものの、第4四半期では利益確保に至った

⑩鉄道焼結事業では、新幹線用ブレーキライニング及び新幹線用すり板の搭載車両増加が売上増に寄与した一方、新型コロナウイルス感染拡大に伴う減便による発注数減少の影響が残り、足元では改善傾向であるものの、通期では前年度比減収。これに対して、売上減に応じた原価低減策等により、原材料やエネルギー価格高騰の影響はあるものの、増益となった。また、鉄道で培った技術を活かし、新たに産業用集電部品の生産・販売も開始。

⑪油圧機器製品事業では、北米向けデンタルチェア用製品を中心に、売上高は堅調に推移した一方、購入部品の価格高騰等の影響で減益。

⑫2024年3月期の連結業績予想は、最終黒字となる見込み。当社グループ製品の主要市場である自動車産業においては、半導体不足等の課題も解消に向かい、販売量も回復の兆しがあるものの、原材料及びエネルギー価格等は、当面高水準が継続すると想定。鉄道焼結事業においては、新型コロナウイルス感染拡大からの回復を見込む一方で、油圧機器製品事業では、2022年度の得意先での先行調達の反動で、2023年度の売上高は減少すると想定。赤字継続のリスクあり。

⑬社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は11,337万円。2022年6月に辞任した1名分を3ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,159万円と推測。

⑭議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したり、事前の議決権行使の具体的な数字を示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、ファインシンターの本社内での開催でしたので、良い機会となりました。

2023年3月31日に、東京証券取引所から「PBR1倍割れは、資本コストを上回る資本収益性を達成できていない、あるいは、成長性が投資者から十分に評価されていないことが示唆される1つの目安」と指摘されており、ファインシンターは、1株当たり純資産3,526円に対し、株価が1,330円(2023年6月21日時点)、PBR0.38倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められると思います。

短期的には、半導体などの部品不足解消による業績回復が見込まれそうですが、中長期的には、EV化の流れにどこまで対応できるのか、ガソリン・ディーゼル車関連設備の減損リスクなど、業績悪化が心配です。

中期経営計画が示す通り、当面、売上高が伸びず、厳しい経営環境が続きそうですが、新社長の山口登士也さんの手腕に期待しています。

 

株主総会会場のファインシンター本社
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