オーエムツーネットワーク 第65期定時株主総会
日時:2024年4月26日(金) 10:00-11:00
場所:芝パークホテル(御成門駅徒歩3分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業概要
オーエムツーネットワーク(7614)
HP:株式会社オーエムツーネットワーク (om2.co.jp)
①一般消費者へ食肉・食肉加工品などを加工・販売する「食肉等の小売業」(売上構成比75%)を中心に、焼肉及びしゃぶしゃぶ店とステーキレストランを展開する「外食業」(売上構成比25%)を運営。
②筆頭株主は、食肉製造販売のエスフーズ(2292)で、358万株、53.3%を保有。
阿波尾鶏や加工食品の製造販売などを手掛ける丸本と同じ所在地に構えるエムが、第3位の株主で、丸本の社長の丸本敦さんの個人での保有分も含めると、37万株、5.5%を保有。
日本ハム(2282)が、第7位の株主として、8万株、1.3%を保有。
食肉の輸入および販売を手掛けるハニューフーズが、第8位の株主として、7万株、1.1%を保有。
伊藤ハム米久ホールディングス(2296)の子会社の伊藤ハムが、第9位の株主として、7万株、1.1%を保有。
福留ハム(2291)が、第10位の株主として、7万株、1.0%を保有。
③株主優待
1月末
100株:当社オリジナルギフト商品30%割引価格販売
7月末
100株:当社オリジナルギフト商品30%割引価格販売
500株:当社オリジナルギフト商品30%割引価格販売、3,000円相当の商品 or アウトバックステーキハウス食事券3,000円
1,000株:当社オリジナルギフト商品30%割引価格販売、5,000円相当の商品 or アウトバックステーキハウス食事券5,000円
株式情報
時価総額:116億円(2024年4月25日時点)
売上高:321億円(2024年1月期実績)⇒323億円(2025年1月期予想)
株価:1,591円(2024年4月25日時点)
1株純資産:2,442円(2024年1月末時点)、PBR:0.65倍
1株当期純利益:139円(2025年1月期予想)、PER:11.4倍
1株配当:30円(2025年1月期予想)、配当性向:21%
配当利回り:1.8%、株主優待含む利回り:2.2%(500株保有時)
株主数:2,300名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①当社グループ中核事業の属する食品小売業界においては、取り扱う商品が国民の毎日の生活にとって欠かせない必需品であるものの、エネルギーおよび原材料価格や人件費の高騰、物流費の増加、深刻な人手不足などが懸念されており、厳しい経営状況が続いている。
②食肉などの小売業においては、新規ディベロッパーとの取組みを含めた出店や改装店の立ち上げの他、新業態店舗モデルの開発および推進を図っている。また既存店の活性化を図るためのイベント型提案販売やレイアウトの再構築などを実施してきた。外食業にあっては、行動制限の緩和により回復基調がみられ、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、原材料費やエネルギー価格の上昇を受けながら、メニュー改定を実施するなどの施策をおこなってきた。また、外食業の更なる発展と強化のため、「和風レストランステーキ千寿」の事業譲受を実施。今後も競争力向上のための施策を実施していく。 これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高321億9百万円(前年比1.8%増)、営業利益18億76百万円(同25.0%増)、経常利益19億29百万円(同28.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億35百万円(同50.7%増)となった。
③食肉等の小売業は、当連結会計年度中の開店は3店、閉店は6店であり、年度末の店舗数は143店になった。内訳は食肉小売店舗132店、惣菜小売店舗11店。売上高は240億34百万円(前年比3.1%減)、営業利益は16億26百万円(同2.5%増)となった。
④外食業は、当連結会計年度中の開店は、2023年12月に実施した飲食事業「和風レストランステーキ千寿」の事業譲受による増加1店、閉店は1店であり、年度末の店舗数は40店になった。新型コロナウイルス問題の影響が回復傾向となり、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、売上高は80億74百万円(前年比19.9%増)、営業利益5億44百万円(同234.9%増)となった。
⑤次期(2025年1月期)の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後、経済活動が正常化に向かいコロナ禍以前の生活に戻りつつある。しかしながら、不安定な国際情勢による資源、エネルギー価格の高止まりやインフレの進行など、先行きは依然不透明な状況である。このような環境の中、当社グループが属する食肉小売業界においては、エネルギーおよび原材料価格や人件費の高騰、継続する労働力不足の影響が懸念されるが、当社グループの扱う商品は、生活に欠かせない基礎的食料品であり、需要が極端に変動するものではない利点を生かし、かつ安定的に供給責任を果たすという使命感のもと、着実に各事業分野における運営を行う方針。具体的には食肉小売事業にあっては、引き続き既存店活性化や、不採算店閉鎖を継続しつつ、新規ディベロッパーへの出店や、新業態店舗への取り組みを進めていく。出店に関しても、立地条件、契約条件、競合、収益性を精査しながら総合的かつ慎重に検討を行い、周辺領域への新規展開も行うことで収益の多様化を図っていく。また外食業においては、需要の高まりも見込まれながら、従来からの着実な採算重視の経営を維持しつつ、ステーキレストラン事業および焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業の競争力を持たせながら着実に運営するとともに新店の開発にも注力する計画。次期の見通しは、売上高323億円(前年比0.6%増)、営業利益15億20百万円(同19.0%減)、経常利益15億70百万円(同18.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9億40百万円(同29.6%減)としている。
⑥オーエムツーミート(食肉等の小売業)の売上高構成比は、牛32%、豚25%、鶏16%、加工品・食品10%、その他17%。
⑦店舗数は、オーエムツーミート(130店舗)、焼肉の牛太(31店舗)、マルチョウ神戸屋(13店舗)、オーエムツーダイニング(9店舗)。
⑧牛・豚・鶏の卸売価格(円/kg、2022年度→2023年度)の推移は、牛(乳用去勢牛B-2)が1,025円→862円。豚(上肉)が598円→609円、鶏(もも肉)が704円→723円。
⑨食肉部門は川上、または製造部門と連携して当社ならではの商品開発をおこなう。業容拡大のため出店機会があれば対応するのはもちろん、他社との連携なども模索していく。オーエムツーミート(精肉店)は和風、高級、幅広い品揃えを特徴とする「肉処 大久保」業態の他、「オオクボ精肉店」といった新たな業態での店舗展開もおこなっていく。マルチョウ神戸屋は惣菜の強みを生かしながら北陸の地盤強固に向けて店舗展開をおこなっていく。オーエムツーミート(惣菜店)および焼肉の牛太は新業態の開発を含め店舗展開を積極化して、成長の促進を図っていく。オーエムツーダイニングは都市への店舗展開を進め、成長を図っていく。
⑩質疑応答で、「親会社のエスフーズに125億円の余剰資金の預け入れを実施した理由は?今後も預け入れを続けるのか?」との質問あり。「一時預け金として、都度、経営判断として実施している。今後も実施する際には監査等委員や取締役で吟味する。」との回答。
⑪質疑応答で、「多額の内部留保がエスフーズへの預け入れとなっている。毎年、内部留保が積みあがることになるが、これ以上内部留保を積み上げる必要が無いように見える。配当性向が15%と低いので、配当性向を50%にしたらどうか?」との質問あり。「エスフーズへの預け入れは一時的な対応。M&Aの検討はしている。赤字の時にも配当をおこなっており、今後も安定的に配当をおこなう方針。」との説明。
⑫質疑応答で、「親会社のエスフーズへの預け入れについて、監査等委員である取締役から必要性について意見を伺いたい。」との質問あり。監査等委員である取締役の富沢進さんから、「懸念は持っている。エスフーズからの恣意的な要求となっていないか、預け入れた資金の回収に問題が無いか確認をおこなった。M&Aには数十億円かかることもあり、手元流動性も必要。」との回答。
⑬質疑応答で、「東証からPBR1倍割れの企業に対し改善要請が出ているが、現状、PBR0.6倍程度。業績も良く、財務も健全であるのに配当性向が約20%程度と低い。仮に株価がPBR1倍程度となった場合、株主優待含めた利回りは1.5%程度。増配したり、株主優待を年2回にしたり、株主還元を強化してPBR改善をおこなったらどうか?第4号議案の内容から見ても、株価向上は会社にとってもメリットのはず。PBR1倍に向けた対応をどう考えているのか?」との質問あり。「M&Aなどを強化し、少しずつPBR1倍へ近づけていきたい。」との説明。
⑭質疑応答で、「東証からPBR1倍割れの企業に対し改善要請が出ているが、資本コストをどう見積もっているのか?」との質問あり。「資本コストは開示していないが、資本コストを上回る利益率となっている。」との回答。
⑮質疑応答で、「店舗数が減少している。今後の成長戦略は?」との質問あり。「ディベロッパーから惣菜店のテナント出店について提案がある。成長戦略として増やしていきたい。」との説明。
⑯質疑応答で、「人員不足への対応」について質問あり。「高校生のアルバイトの採用が難しくなっている。学校を回ったり、中途採用、外国人労働者の採用で対応を進める。」との回答。
⑰質疑応答で、「親子上場について、東証から少数株主保護のため、情報開示を充実するように要請が出ている。どのような対応を考えているのか?親子上場の意義は?」との質問あり。「東証から要請を受け取っており、情報開示を強化する。エスフーズは生産、当社は小売り・外食をおこなっており、事業領域が異なっているので競合とはならない。」との説明。
⑱質疑応答で、「外食では熟成肉が支持を得ているが、食肉小売で熟成肉を扱う予定はあるのか?」との旨の質問あり。「熟成肉はくすんでいるので見た目が悪く、小売りで扱うのは難しい。」との回答。
⑲監査等委員である取締役を含む取締役候補者7名中、70歳以上の候補者は富沢進さん(1947年生まれ、76歳)、森本宏一郎さん(1943年生まれ、80歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑳監査等委員である取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は3,000万円。2023年4月に退任した1名を3ヶ月分とし、無支給者1名(退任した1名以外と仮定)を考慮すると、単純平均で取締役1人当たり1,333万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。なお、無支給者1名は、子会社から報酬を得ているとの説明。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調な一方で、PBRが1倍を割れており、株主優待も魅力的なため、平均1,207円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会の質疑応答は、社長の児玉光二さん、取締役の森田竜太郎さんを中心に回答対応をされていましたが、他社において親会社への預け入れが問題視されていることもあり、「親会社のエスフーズへの125億円の余剰資金の預け入れ」について、複数の株主から質問が出ていたのが印象的でした。
また、エスフーズに125億円の余剰資金を預け入れしている一方で、配当性向や配当利回りが低いので、増配や株主優待の拡充などの株主還元の改善についても、複数の株主から意見や質問が出ていました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、オーエムツーネットワークは、1株当たり純資産2,442円に対し、株価が1,591円(2024年4月25日時点)、PBR0.65倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。オーエムツーネットワークは、エスフーズ(2292)が53.3%の株式を保有しておりエスフーズの連結子会社ですが、東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、厳しい目が向けられつつあるので、今後の動向を注視します。
資産合計201億円、流動資産146億円、純資産164億円の状況で、親会社のエスフーズへ125億円もの余剰資金の預け入れをおこなっている点に違和感を感じましたが、財務良好で、業績も堅調なので、手薄な株主還元の拡充を期待します。M&Aも検討しているとのことで会社の成長と共にPBR1倍クリアも期待して、株主優待も楽しみに継続保有の予定とします。
2023年11月6日に到着したオーエムツーネットワークの株主優待の内容についてはこちら↓
オーエムツーネットワークの株主優待が到着しました【2023年11月6日】 | ぽこタンの株主総会日記 (fp-agm.com)