ナイガイ 第127回定時株主総会
日時:2024年4月25日(木) 10:00-11:05
場所:ナイガイ本社(赤坂駅徒歩6分)
出席株主数:約20人
お土産:無し
企業概要
ナイガイ(8013)
HP:株式会社ナイガイ NAIGAI|靴下・ソックス・メンズアンダーウェア
①当社ブランドおよびライセンスブランドの靴下やエプロン・パジャマなどを国内外の協力メーカーに生産を委託し仕入れた商品とディストリビューション契約などにより仕入れた商品を国内の百貨店や量販店・専門店などに卸売りなどをおこなう「卸売り事業」(売上構成比84%)を中心に、靴下を品揃えの中心とした直営店の運営と靴下など繊維製品のインターネット通販およびカタログ通販による直販事業や革製品などのインターネット通販をおこなう「小売り事業」(売上構成比16%)を運営。
②筆頭株主は、靴下やタイツなどの専門店「靴下屋」を運営するタビオ(2668)で、81万株、9.9%を保有。
三井物産(8031)の子会社でファッション・繊維製品を手掛けるMNインターファッションが、第2位の株主として、81万株、9.9%を保有。
エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが運営するECM MFが、第3位の株主として、34万株、4.2%を保有。
綿紡績大手のクラボウ(3106)が、第9位の株主として、10万株、1.2%を保有。
ハンドバッグなどの輸入および卸売業を手掛けるCiel Bleuが、第10位の株主として、9万株、1.1%を保有。
③株主優待(1月末)
100株:自社オンラインショップ 1,100ポイント
200株:自社オンラインショップ 2,200ポイント
500株:自社オンラインショップ 5,500ポイント
1,000株:自社オンラインショップ 11,000ポイント
株式情報
時価総額:21億円(2024年4月24日時点)
売上高:130億円(2024年1月期実績)⇒133億円(2025年1月期予想)
株価:257円(2024年4月24日時点)
1株純資産:708円(2024年1月末時点)、PBR:0.36倍
1株当期純利益:12.2円(2025年1月期予想)、PER:21.0倍
1株配当:無配(2025年1月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配、株主優待利回り:4.2%(100株保有時、1ポイント1円として計算)
株主数:10,754名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①株主総会会場は、ナイガイ本社内にあるショールームでの開催。
②衣料品業界においては、物価高騰の影響による生活防衛意識の高まりから衣料品の買い控え傾向が懸念されるものの、他方で外出用途や旅行向け衣料品需要の増加やインバウンド消費の伸長などの効果もあり、総じて回復基調が続いた。
③ベースカーゴ事業では、百貨店販路は売場占有率の拡大による販売拡大に注力するとともに、適正在庫誘導による返品率改善に努めた。量販店販路は、新たな採算基準での取り組みを強化するとともに、新規販路開拓および協業パートナーによるディストリビューション販売を拡大した。また、主力商品群については、全販路で、上代の適正値上げとともに原材料高騰および円安に耐えうる生産体制の見直しによる商品原価率の改善に取り組んだ。成長投資・自社育成事業については、EC事業で、販路特性ニーズに合わせた独自の商品ラインナップの強化に加え、出荷稼働日の増加による利便性向上を図ると同時に、SNSやメディア宣伝を活用した誘客に取り組み、大きく売上拡大をしている。販売費及び一般管理費については、前期に実施した経営合理化策の効果に加え、ディストリビューション改革などにより、物流費を大幅に削減し、販管費比率を引き下げた。
④次期以降のサプライチェーンおよびディマンドチェーンの強化による成長戦略を目的に、2023年7月27日に助野と業務提携契約を、2023年10月31日にタビオと資本業務提携契約を締結した。
⑤これらの結果、売上高は、13,021百万円(前期比306百万円の増収)、営業利益22百万円(前期比1,206百万円の改善)、経常利益は170百万円(前期比1,355百万円の改善)となり、さらに、特別利益に事業譲渡益を計上し、特別損失に固定資産の減損損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は112百万円(前期比1,665百万円の改善)となった。
⑥卸売り事業については、百貨店販路では、レッグ・アンダーウェアの店頭販売が、当社主導の売場拡大などの施策により売場占有率が向上し、紳士・婦人向けともに前年実績を上回り順調に推移した。また、生産インフラや商品納入率の改善に加え、一部商品の価格改定、適時適量の商品供給による返品の大幅減少などの結果、売上総利益率が改善した。また、当期は、直接消費者にアプローチするための施策として、ユニバーサルデザインソックス「みんなのくつした」を九州地区でテレビCM放映するなど、マスメディアを通じた販促活動も積極的に展開した。ホームウェアは、イエナカ需要の減少によりリビングフロア全体の入店客数が減少したことに併せて、顧客の価格抵抗感が強まった結果、ギフト需要が振るわず、前年割れの売り上げとなった。量販店販路については、原材料価格の高騰と円安による仕入れ原価の上昇に対応した採算基準ベースの取引を徹底したことに加え、協業パートナーとのディストリビューション効率の改善により大幅な増益となった。これらの結果、売上高は10,883百万円(前期は10,644百万円)、営業利益は22百万円(前期は1,116百万円の営業損失)となった。
⑦小売り事業については、EC事業(インターネット通販)では、足に履かずに靴に装着する新しいスタイルの靴下「はかないくつしたSUASiC(スアシック)」や「みんなのくつした」のメディア露出による販促効果もありヒット商品となったほか、EC顧客向けの独自商品開発に注力し、登山ソックスや価格競争力のあるブランド商品を投入したことが寄与して大幅な増収となった。センティーレワンが展開するバッグのEC販売については、テレワークからオフィスへの出社に切り替える企業の増加により、ビジネスバッグの販売が順調に推移した。直営店事業については、HappySocksで、ギフト需要に対応した多様なパッケージ商品の販売が好評。また、インバウンド需要の回復で入店客数が増加し、日本限定の和柄商品やスターウォーズとのコラボレーションソックスの販売が好調に推移するなど、売上は回復基調となった。これらの結果、売上高は2,137百万円(前期は2,070百万円)と増収になったが、EC事業拡大に向けた販促費の増加の影響もあり、営業損失は0百万円(前期は67百万円の営業損失)となった。
⑧次期業績計画については、引き続き、百貨店販路の店頭販売力強化策の実行、量販店販路の既存取引深耕および新規販路開拓による売上拡大、成長余力があり高収益販路であるEC事業のさらなる販売拡大などの営業強化策と併せて、タビオとの取り組み開始、および、円安耐性のある生産インフラへの見直しによる原価削減策を確実に推し進めることで、売上高13,300百万円、営業利益125百万円、経常利益130百万円、親会社株主に帰属する当期純利益100百万円を見込んでいる。
⑨2023年2月1日に、量販店向け外衣卸売事業および「Weathercock」ブランドの一部のライセンスビジネス事業をアクロスインターナショナルおよびその子会社であるリスティードに事業譲渡。
⑩2023年10月31日開催の取締役会において、タビオとの間で、資本業務提携契約を締結することについて決議。タビオは、靴下の企画・卸・小売にて事業展開をおこっており、世界最高峰と言われる日本の靴下製造技術を駆使して、本物の靴下の素晴らしさや楽しさを日本国内だけでなく、世界中の人々にも届けている。靴下専門店を多店舗展開するタビオは、その分野で世界でも稀有な存在であり、展開店舗数は世界トップクラスを誇っている。 高品質な靴下に価値を見出す両社は、シナジー効果が期待される事業領域でそれぞれの販売力、企画力、生産力、技術力などを提供し合い、両社、ひいては国内靴下産業全体の発展にも資すると判断し、相互に株式の保有を行う資本業務提携を決定した。
当社は、2023年11月1日に、タビオの普通株式 100,000株(1.47%)を取得。タビオは、12月下旬までに、当社の普通株式 815,000株(9.96%)を取得し、当社の筆頭株主となった。
業務提携の内容は、靴下ブランド協業型OMO事業の開発、ブランドのクロスセルによる販売強化、中国製ジャパンクオリティ靴下による中国事業の拡大、最高級ゴム糸「NDX」の利用・浸透拡大、原材料統合によるコストダウン、オフィスの共同利用による効率化。
⑪質疑応答で、「タビオとの資本業務提携を結んでから半年となるが、何か成果は出ているのか?」との質問あり。「春夏からタビオ内での販売をスタートした。また、秋以降に中国にあるタビオの30店舗へ商品供給できるように準備を進めている。」との説明。
⑫質疑応答で、「現状、PBRが0.3から0.4倍程度。東証からPBR1倍割れ企業に対し改善要請が出ていると思うが、対応をどう考えているのか?」との質問あり。「東証からの改善要請は承知しており、大きな問題だと認識している。中期計画の実行により復配を目指したい。」との回答。
⑬質疑応答で、「円安の影響について」質問あり。「円安により仕入れコストが上がり営利が下がる。ドル円について社内では145円を想定レートとして為替予約をしている。付加価値の高い商品を開発し値上げをしたい。」との説明。
⑭質疑応答で、「会計監査人がアークからシンシアへ変更する理由は?」との質問あり。「昨今、監査の厳格化が求められているが、監査工数が増加し対応できないとの申し出がアークからあった。当社での不祥事などによる変更では無い。」との回答。
⑮質疑応答で、「国内生産の方針について」質問あり。「現状、国内生産は約35%。高付加価値商品と小ロットの商品を生産している。今後も国内生産を継続する。」との回答。
⑯質疑応答で、「良い技術を持っているので、他分野で活かす考えは無いのか?」との質問あり。「誰でも使用できるユニバーサルデザインのみんなのくつしたやはかないくつしたなどの商品開発の他、インナーや腹巻などのフェムテック商品の開発をおこなっている。子会社のRONDEXでは、天然ゴムと合成ゴムを混合するNDXゴム糸を生産しており、この技術を応用してスタッドレスタイヤ製品やパンク修理液などを大手タイヤメーカー向けに生産販売している。」との説明。
⑰質疑応答で、「競合他社を教えて欲しい。」との質問あり。「アツギ、グンゼ、福助、岡本、助野」との回答。
競合他社として助野を挙げる一方で、タビオは挙げておらず、会社としてタビオのステージが異なることを認識できた。
⑱監査等委員である取締役(補欠含む)と取締役候補者9名中、70歳以上の候補者は荻原正俊さん(1949年生まれ、74歳)、野口光夫さん(1950年生まれ、73歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑲監査等委員である取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は5,800万円。単純平均で取締役1人当たり1,450万円。
⑳議案の採決方法は、社長の今泉賢治さんが議案ごとに「意義ありませんでしょうか?」と株主に伺う方法での採決。個々の株主が同時に「意義ありません」と発言したり拍手をしたりしていたが、議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の「意義ありません」の発言や拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が不安定ではあるものの、財務内容は健全で、株主優待も魅力的なので、平均281円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、ナイガイ本社内のショールームでの開催でしたので、良い機会となりました。
ショールームには、ナイガイで生産販売しているポロラルフローレンの靴下、ドラえもん靴下などの多くの商品が、ブランドごとにブースを分けて展示されており、また、靴下の歴史を紹介するブースもありました。
質疑応答では、社長の今泉賢治さんを中心に、多くの担当役員が回答されていました。今泉賢治さんの丁寧な質疑応答対応が特に印象に残りました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、ナイガイは、1株当たり純資産708円に対し、株価が257円(2024年4月24日時点)、PBR0.36倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
4期ぶりに営業黒字化しましたが、タビオとの資本業務提携もあり、会社が変わる過渡期かもしれません。業績向上とPBR1倍達成を期待して、または、低株価が放置されたままの場合、タビオによるTOBの可能性も考え、継続保有の予定とします。追加投資も検討します。
2023年5月1日に到着したナイガイの株主優待の内容についてはこちら↓
ナイガイの株主優待が到着しました【2023年5月1日】 | ぽこタンの株主総会日記 (fp-agm.com)