リベレステ 臨時株主総会
日時:2024年4月17日(水) 10:00-10:20
場所:リベレステ本社(新田駅徒歩3分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業概要
リベレステ(8887)
HP:リベレステ株式会社 (riberesute.co.jp)
①「ベルドゥムール」シリーズなどのマンション開発など自社施工により外注に流れる利益部分を削減し経験に基づく施工方法を駆使することにより工期を短縮し実需に基づく商品供給を進めるとともに販売価格を抑制しやすい地価の高い都心物件を中心にした開発物件の販売をおこなう「開発事業」(売上構成比59%)を中心に、請負工事および注文住宅の企画・設計・施工や中高層住宅建設などにおける型枠工事の施工をおこなう「建築事業」(売上構成比6%)、経済環境・市場のニーズなど最近の動向を的確に捉えて一般不動産の販売をおこなう「不動産販売事業」(売上構成比28%)、自社収益物件の管理や賃貸住宅の仲介・管理および不動産の売買仲介事業などをおこなう「その他事業」(売上構成比7%)を運営。
②筆頭株主は、創業者で前社長の河合純二さんが代表を務めるジュンプランニングで、河合純二さん個人での保有分を含めると、189万株、17.8%を保有。
VCのジャフコグループ(8595)が、第4位の株主として、24万株、2.2%を保有。
※シーラテクノロジーズが、2024年1月12日付けでジュンプランニングなどから当社普通株式2,158,800株(20.41%)を取得。
③従業員数は、34名のみと少人数体制。
④2024年6月1日に、「リベレステ」から「クミカ」へ称号を変更予定。
株式情報
時価総額:84億円(2024年4月16日時点)
売上高:74億円(2023年5月期実績)⇒47億円(2024年5月期予想)
株価:781円(2024年4月16日時点)
1株純資産:1,035円(2023年11月末時点)、PBR:0.75倍
1株当期純利益:13.4円(2024年5月期予想)、PER:58.2倍
1株配当:40円(2024年5月期予想)、配当性向:298%
配当利回り:5.1%
株主数:12,459名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①株主総会は、リベレステ本社内の会議室での開催。
②株主総会冒頭に、社長の坂本真一さんから、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反」、および、「2024年3月19日に、東京地方裁判所から罰金1,200万円(求刑1,500万円)に処するとの判決を受けたこと」についてお詫びがあった。
③2023年5月24日に、社長の河合純二さんらが、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反の疑いで逮捕された。さらに、2023年7月5日、リベレステは出資法違反により起訴され、河合純二さんは、出資法及び組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反により起訴された。
④起訴状による本件刑事事案の概要は、リベレステが業として顧客に対し、金銭の貸付を行うにあたり、当社、または他社を名目上の貸主として金銭消費貸借契約を締結した上、当社が所有する不動産を購入させ、出資法所定の利息を超える利息相当額を受領していたといったもの。
⑤2023年3月16日に、取引先への貸付に関する出資法違反の疑いにより、警視庁の捜査中と公表。2023年5月29日に、社長の河合純二さんの逮捕に伴い、河合純二さんが相談役へ異動。2023年5月30日に、相談役も辞任。
⑥2023年11月15日に、筆頭株主のジュンプランニングが売主となり、シーラテクノロジーズが買主となる当社普通株式の市場外での相対取引による譲渡が合意。シーラテクノロジーズより、シーラテクノロジーズは本譲渡の受渡日において、ジュンプランニング以外の当社株主から合計で490,400株の当社株式を取得する予定。本取引の完了によって、シーラテクノロジーズが215万株、20.4%の保有となり、筆頭株主となる予定。
⑦シーラテクノロジーズは「世界中の不動産投資を民主化する。人生100年時代をテクノロジーと資産運用で豊かに。」をミッションに掲げ、資産運用プラットフォーム「利回りくん」を中心としたプロップテック事業、利回りくんAIの開発をおこなっている。同社は2023年3月に米国NASDAQ市場への上場を果たし、それを機に更なる事業の成長、拡大を目論んでいた。その過程で同社はM&Aや資本業務提携を模索しており、2023年5月から証券会社を経由して当社の大株主である創業家と株式譲渡の交渉を開始した。2023年9月上旬に創業家との条件交渉がまとまりつつある中、9月8日に同社は当社に対して「資本業務提携に関する意向表明書」を提出した。当社は「意向表明書」をもとに、社内での協議、同社との協議を複数回重ねてきた。今回の業務提携の協議は両社の異なる強み・ノウハウを活かして、お互いのビジネスモデルを補完し合い、今後大きな事業シナジーを創出できると考えており、本日「本合意書」の締結に至った。
⑧シーラテクノロジーズとの業務提携の内容は、プロダクトの補完関係の構築(当社はファミリータイプマンションの企画・開発・販売に強み。シーラグループは首都圏の投資用マンションの企画・開発・販売に強み)。エリアの補完関係の構築(当社はシーラグループの首都圏でのネットワークを活用することにより、ファミリータイプ用マンションの開発・分譲、開発案件を首都圏で事業強化することができる。シーラグループは当社の埼玉県エリアでのネットワークを活用することにより、投資用マンションの開発・分譲、開発案件を埼玉県エリアで事業強化することができる。)。不動産クラウドファンディング事業の拡大。
⑨シーラテクノロジーズは、2024年1月12日付けで当社普通株式2,158,800株(20.41%)を取得。2024年1月23日に、シーラテクノロジーズとの間で資本業務提携を締結。取締役1名(シーラテクノロジーズ取締役グループ執行役員CSOの渡邊鷹秀さん)を受けいれる予定。
⑩2024年3月19日に、「建設業許可(建設一式工事業及び大工工事業の建設許可)の経営業務の管理責任者の要件に該当する者がいないことが判明したため、建設業許可を一旦自主的に廃業し、改めて体制を整備した上で、速やかに建設業許可の再申請準備をおこなうこととした」と公表。
建設業許可のために選任していた建設業法に規定する経営業務の管理責任者が2023年12月15日に辞任した。それにより新たな経営業務の管理責任者の選任につき、許可行政庁と調整を重ねてきたが、現時点において当社内には経営業務の管理責任者の要件に該当する者が認められないとの結論に至り、建設業法に掲げる基準を満たさない結果となった。その後、当社内での検討の結果、建設業許可を一旦自主的に廃業することとし、許可行政庁に建設業許可の廃業届を本日提出し、受理された。当社は、建設業許可の廃業に伴い、建設工事に該当する案件の営業活動が許可を再取得するまでの間、おこなえなくなる。既に契約済の案件については建設業許可の効力を失ってから2週間以内にお客様に対し、通知し、通知日から30日以内に解約通知がない案件を対象に建設工事を行うことが可能。
2024年4月11日に、髙橋哲也さんが執行役員に就任し、経営業務の管理責任者として、建設業許可の再申請を行う予定と公表。
⑪当社は、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律違反等の公訴事実により、東京地方裁判所に起訴されていた。2024年3月19日に、当社は、東京地方裁判所より、上記法律違反により、罰金1,200万円(求刑1,500万円)に処するとの判決を受けた。当社は、今回の判決内容を非常に重く受け止め、判決の主文並びに理由として述べられた事実を慎重に検討した結果、今回の判決に対する控訴を行わないことを決定。
⑫シーラテクノロジーズとの資本業務提携契約を2024年1月23日に締結し、あらためて当社の目指すべき姿を明確にするため、コーポレート・アイデンティティの見直しを実施し、併せて、商号を変更することとした。新商号は、クミカ。変更の日程は、2024年6月1日。
⑬2024年5月期第3四半期は、当社が主に事業を展開している開発事業および不動産販売事業においては、民間建設投資が持ち直しの動きがみられているが、労働力不足や労務費の上昇、原材料価格の高騰、為替変動など引き続き注視が必要な状況が続いている。この結果、売上高は2,456百万円(前年比64.4%減)、営業利益は39百万円(前年比96.8%減)、経常利益は54百万円(前年比95.6%減)となり、四半期純損失は73百万円(前年は四半期純利益855百万円)となった。
2024年5月期通期業績予想について、第4四半期会計期間に販売を予定している開発用不動産(1件)について、見込んでいた販売価格に差が生じており、加えて想定を超える原材料および人件費の高騰により利益率の低下が見込まれるとのことで、2024年4月12日に、前回予想から増収減益へ修正。
⑭開発事業については、前期から販売している「ベルドゥムール秋田千秋公園」の戸別販売を継続し、売上高が103百万円(前年比97.4%減)、セグメント損失87百万円(前年はセグメント利益788百万円)となった。建築事業については、請負工事を主体とした売上高が509百万円(前年比37.2%増)、セグメント損失が74百万円(前年はセグメント損失29百万円)となった。不動産販売事業については、物流倉庫、事業用ビル1棟をはじめ都内近郊の物件を複数売却したことによる売上高が1,509百万円(前年比27.9%減)、セグメント利益が296百万円(前年比44.1%減)となった。その他事業については、賃貸住宅の仲介・管理及び不動産の売買仲介などを中心に売上高が334百万円(前年比18.8%減)、セグメント利益が76百万円(前年比49.2%減)となった。
⑮新商号の「クミカ」は、知恵と知性を組(ク)み合わせる。未(ミ)来。輝(カ)く。の頭文字から名付けたとの説明。
⑯質疑応答で、筆頭株主となったシーラテクノロジーズから、「オーナーから託すと言われて引き受けた。長期ビジョンは?」との質問あり。「不動産価格は上昇している。金利の上昇については、住宅ローン金利への影響は直ぐには無いと思うが、新築ファミリーマンションにこだわらず成長を目指したい。」との旨の説明。
別の株主からの質疑応答で、「中長期的に見て、日本の不動産は有望」との説明もあり。
⑰質疑応答で、「今回、東京地方裁判所より、罰金1,200万円の判決を受けたが、前社長に会社を好きなように使われ、会社が被害者のようにも見える。前社長に損害を請求する考えはあるのか?」との質問あり。「前社長の裁判は今後も続くので、その内容を確認して対応を検討する。」との回答。
⑱質疑応答で、「配当方針に変更はあるのか?」との質問あり。「決定事項は無い。変更があれば開示する。」との説明。
⑲社外取締役と監査等委員である取締役を除く取締役名3名の報酬等の総額は12,900万円。2023年5月に辞任した1名を12ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり4,300万円。
⑳議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、リベレステ本社内の会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、社長の坂本真一さんが硬い表情で対応されていましたが、多くの質問を募る姿勢には好感を持ちました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、リベレステは、1株当たり純資産1,035円に対し、株価が781円(2024年4月16日時点)、PBR0.75倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
なお、2024年6月1日に、商号が、「リベレステ」から「クミカ」へ変更となりますが、不祥事があったとはいえ、慣れ親しんだ「リベレステ」の社名が無くなるのは寂しく感じます。
今回の不祥事により、筆頭株主がシーラテクノロジーズとなり、会社が変わる過渡期になりそうです。配当性向が高く気になるものの、財務良好で、配当利回りも5%を超えており、魅力を感じるので、信頼回復と今後の成長に期待して、再投資も検討します。