スミダコーポレーションの株主総会に出席しました【2024年3月26日】

株主総会
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スミダコーポレーション 第69期定時株主総会

日時:2024年3月26日(火) 11:00-11:50

場所:東京會舘(日比谷駅直結)

出席株主数:約20人

お土産:無し

 

企業概要

スミダコーポレーション(6817)

HP:スミダコーポレーション (sumida.com)

①音響・映像・OA・車載用・産業用機器等の電子部品、高周波コイルの研究・開発・設計・製造・販売を、地域別に「アジア・パシフィック事業」(売上構成比61%)と「EU事業」(売上構成比39%)として運営。

取締役の八幡滋行さんが取締役を務めるヤワタビルが、第3位の株主で、同じく取締役を務めるYawata Zaidan Limitedの保有分を含めると、187万株、5.7%を保有。

 

株式情報

時価総額:402億円(2024年3月25日時点)

売上高:1,476億円(2023年12月期実績)⇒1,586億円(2024年12月期予想)

株価:1,225円(2024年3月25日時点)

1株純資産:1,687円(2023年12月末時点)、PBR:0.72倍

1株当期純利益:174円(2024年12月期予想)、PER:7.04倍

1株配当:53円(2024年12月期予想)、配当性向:30%

配当利回り:4.3%

株主数:11,432名

会計基準:IFRS

 

株主総会での個人メモ

①取締役の宮武雅子さんは、体調不良のため欠席。

取締役と代表執行役にミネラルウォーターが提供されていたが、株主側には提供が無く、経営から株主への事業報告の場としては違和感株主総会招集通知にコーポレートガバナンス体制の図を掲載してはいるが、会社として、株主ではなく役員の方向を見ている様子が伺えた。

③2023年度第4四半期は、世界経済の減速による影響を受けた。特にアジア、北米地域では車載および家電関連需要が伸び悩んだ。営業利益も前年同期比で減少。主な減益要因は、売上高減少による工場操業度の低下。

④欧州地域の車載関連ビジネスは堅調。インダストリー関連市場では、急速充電器、太陽光発電関連などの需要拡大が継続。家電関連需要は、全般的に減少。

⑤欧州地域では、車載およびインダストリー関連需要が拡大。その他地域では、全般的に需要が減少し、特に家電関連需要が大幅に減少。全地域において、新規案件の獲得は継続。

⑥2023年度通期業績は、家電市場のノートパソコン、スマートフォン関連需要は縮小したものの、特にxEVおよびグリーンエネルギー関連ビジネスが拡大。為替の影響もあり、年間で過去最高の売上高。

営業利益は2期連続で過去最高を更新。主な増益要因は、生産性向上、材料費の低減、為替の影響。減益要因は、工場操業度の低下、人件費の高騰。

⑧電子部品業界は、PC、スマートフォン、タブレット端末などの家電関連の需要が引き続き低迷しており、主に台湾メーカーの生産回復の遅れとなって現れた。この中で、車載市場では半導体の供給が大幅に改善し、全世界的に完成車生産が回復局面に入った。過去数年間に亘る供給制約が解消に向かう中、米欧、日本といったペントアップ需要が旺盛な地域を中心に自動車販売台数が増加した。米欧の政策金利上昇が自動車ローン金利の上昇に波及していることは、自動車販売にとりマイナス要因となり得るため注視している。xEVについては、最大の市場である中国でやや減速感はあるものの依然として力強い成長を見せていることや、米欧でも着実に成長していることから、世界全体での成長トレンドが継続した。また、xEVの普及に重要な役割を果たす充電ステーションについても、規格を統一する動きが出てきており、充電インフラの整備が進む上での追い風になると見ている。こうした中、当社グループではxEV関連を中心とした受注済み案件の生産立ち上げ、および新規案件の獲得を進めた。特に、製品設計、生産技術および品質管理などの領域における専門性の高い技術者を中心に拠点間の往来を再開しつつあり、設計拠点と生産拠点とが異なる製品の量産を確実に行うための体制づくりを進めている。生産においては、継続的な設備投資の実行、量産製品の生産効率向上および品質水準の向上など、付加価値を高める不断の活動を進めている。

⑨売上収益は家電関連のパソコン、スマートフォン向けが伸び悩んだものの、車載関連でxEV向けの受注が好調に推移し、またインダストリー関連における太陽光発電設備向けも堅調に推移した。また、前連結会計年度と比較して、円に対して米ドル高、ユーロ高、人民元高で推移したことも円建てでの売上収益増に寄与した。売上収益は前年比6.5%増の147,672百万円、営業利益は同4.6%増の8,564百万円、税引前当期利益は同10.4%減の5,856百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.7%減の5,064百万円となった。

⑩DSO(売上債権回転日数)は、68日。DIO(在庫回転日数)は、84日。DPO(仕入債務回転日数)は、61日。Cash Conversion Cycleは、91日。

⑪中国における生産能力の最適化、北米における研究開発能力の更なる増強、インドにおける新規案件の獲得およびベトナムでの生産能力の拡大を進める。加えて、複数拠点での生産体制を確立し、地政学リスクに対応する。中国一辺倒のリスク回避とコスト削減を目指し、ASEAN地域でのサプライヤーを増やす。

中国は当社グループの主たる生産拠点。当連結会計年度のはじめに現地のゼロコロナ政策が終了する中で、当社グループの生産拠点も徐々に平時の操業状態に戻った。中国外での生産を要求する顧客が出てくる一方で、中国国内でのxEV関連の伸長ならびに欧州顧客の中国拠点に対し当社グループの中国工場から製品を直接納入する要求も増えている。製造現場における生産性向上というテーマは終わりのない課題だが、当社グループでは工程間の材料・製品移送および検査工程においてロボットやAIを活用することで、省人化ならびに品質向上を両立する取り組みをおこなっている。中国が世界の工場と言われて久しく、当社グループの使用する部品の調達においても中国偏重リスクがあり、中国国外におけるサプライヤーの開拓も推進している。中国で生産した製品による売上収益は、前連結会計年度比7.2%減の78,875百万円となった。

⑬外貨建て借入金の割合が借入金全体の約86%を占めており、借入金の平均金利は4.2%。

⑭2024年12月期は、景気循環により短期的な需要の増減は想定されるものの、中長期的には、米欧や中国を含め世界で脱炭素の流れが加速すると見ている。このメガトレンドは当社グループの事業にとり、車載関連市場におけるxEV関連需要の拡大、およびインダストリー関連市場におけるグリーンエネルギー関連需要の拡大に寄与すると期待している。また、利益面では急激な為替変動や原材料価格の変動の影響が考えられる。売上収益は158,600百万円を見込んでいる。利益については、営業利益は9,500百万円、税引前利益は7,300百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,700百万円、1株当たり当期利益は174.69円となる見通し。業績見通しの前提となる為替レートは、米ドルは144.0円、ユーロは158.0円、人民元は20.24円を想定している。また、銅価格は1トン当たり8,400米ドルと想定している。

⑮2024年2月8日に、新中期経営計画(2024-2026)を公表。2026年12月期に、売上高1,900億円、営業利益135億円、EPS 272円。PBRの向上に向け、株主還元の強化(配当性向30%以上)、IR活動の強化、開示の充実、地産地消の更なる推進(為替影響を軽減、安定FCF創出により財務体質を改善)に取り組む。

⑯質疑応答で、「EVに注力しているが、欧州ではEV計画に見直しがあるようで、環境が変わりつつある。EVについてどう考えているのか?」との質問あり。「中長期的にはEVへの方向性は変わらないと見ているが、ハイブリッドにも部品は使用されており、心配していない。」との回答。

⑰質疑応答で、「中国での生産が多いが、地政学リスクが心配。中国への投資戦略はどう考えているのか?」との質問あり。「中国国内で販売する製品は中国で生産。米国へ販売する製品はベトナム、タイ、メキシコなどで生産する。地産地消の方針で全体を考えた対応とする。」との説明。

⑱質疑応答で、「第三者割当増資により、株価が大きく下落した。なぜ増資をおこなったのか?」との質問あり。「自己資本が少なくてもよい家電メーカーとしてスタートした会社だが、その段階が終わり、車載メーカーとして資本力が必要となった。」との回答。

⑲質疑応答で、取締役の早川亮さんに対し、「株価が割安。評価されていない理由をどう考えているのか?」との質問あり。「株価は市場が決める。」との説明。この回答に対し、厳しい質問が続き、「経営努力をしたうえで、株価は市場が決める。」との旨、再説明をされていた。
2023年3月31日に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施。スミダコーポレーションは、1株当たり純資産1,687円に対し、株価1,225円(2024年3月25日時点)、PBR0.72倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められるが、新中期経営計画で、PBRの向上に向けた取組みを公表しているので、会社として、その内容を補足説明されたほうが親切だったと思う。

⑳取締役候補者7名中、70歳以上の候補者は八幡滋行さん(1951年生まれ、72歳)、范仁鶴さん(1949年生まれ、74歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

㉑社外取締役を除く取締役名と執行役4名の報酬等の総額は21,000万円。2023年3月に1名退任したことを考慮すると、単純平均で取締役1人当たり6,461万円。

㉒議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。以前のように投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

業績が堅調な一方で、PBRが1倍を割れており、PERも10倍以下で割安に見えたため、平均1,191円で投資しました。

今回、実際に取締役や執行役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

株主総会では、取締役の八幡滋行さんが議長を務められていましたが、手元の資料の読み間違いや読み飛ばす場面、咳き込む場面もあり、やや体調面が心配になりました。質疑応答では、八幡滋行さん、代表執行役CEOの堀寛二さんを中心に回答対応をされていました。

取締役の八幡滋行さんが説明されていた通り、中国(香港を含む)に軸足がある会社ですが、八幡滋行さんは40年以上香港に在住されているとのことで、「八幡滋行さんの中国(香港を含む)に対する想い」と、「有価証券報告書などで会社として認識している地政学上のリスク」に温度差があるように感じました。

また、PBR1倍を割れている株価についての質問では、取締役の早川亮さんの認識と、新中期経営計画で公表している内容(PBRの向上に向けた取組み)に差異があるようにも思え、気になりました。

なお、スミダコーポレーションはIFRSを採用していますが、のれんおよび無形資産の一部などには償却が発生しないので、日本会計基準を採用している企業と比べる際には、利益や純資産への影響を考慮する必要があり、また、万が一、業績が悪化したときのまとまった減損損失も心配です。のれんおよび無形資産の状況には継続注視が必要です。

株主総会では違和感を多々感じましたが、違和感の原因は、取締役会(取締役7名中、社内取締役は2名のみ)と執行側との距離にあるのかもしれません。

また、八幡滋行さん(1951年生まれ、72歳)からの世代交代時期も気になります。

とはいえ、業績は堅調な会社なので、PBR1倍への株価再上昇を期待して、継続保有の予定とします。

 

株主総会会場の東京會舘

 

2023年3月27日に出席したスミダコーポレーションの株主総会の内容についてはこちら↓

スミダコーポレーションの株主総会に出席しました【2023年3月27日】 | ぽこタンの株主総会日記 (fp-agm.com)

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