ナガホリ 臨時株主総会
日時:2023年3月16日(木) 10:00-11:25
場所:東天紅上野店(湯島駅徒歩3分)
出席株主数:約30人
お土産:無し
企業概要
ナガホリ(8139)
HP:ナガホリ(宝石、宝飾品、真珠の輸出入、製造加工、販売) (nagahori.co.jp)
①ジュエリーの製造販売をおこない、「Maison de NADIA」や「NICOLO POLO」や「WISP」を直営する「宝飾事業」(売上構成比99%)を中心に、「貸ビル事業」(売上構成比0%)、「太陽光発電事業」(売上構成比0%)を運営。
②筆頭株主は、リ・ジェネレーションで、144万株、9.3%を保有。
創業者の長堀守弘さんが代表を務めるエムエフ長堀が第2位の株主で、長堀守弘さんの個人での保有分を含めると、175万株、11.4%を保有。
NC MAX WORLDの代表でメトロス開発の元取締役の布山高士さんが第3位の株主で、115万株、7.5%を保有。
社長の長堀慶太さんが代表を務める長堀クリエイトが第4位の株主で、長堀慶太さんの個人での保有分を含めると、132万株、8.6%を保有。
株主総会での個人メモ
①注目されている株主総会だったようで、株主総会会場入口で報道陣が取材を実施。
②リ・ジェネレーションからの総会検査役の選任申立てにより、東京地方裁判所より川村英二弁護士が選任され、株主総会の様子をビデオ撮影をしていた。
③取締役と監査役全員にミネラルウォーターが提供されていたが、株主側には提供が無く、議案を諮る場としては違和感。会社として、株主ではなく役員の方向を見ている様子が伺えた。株主もナガホリの顧客であり、BtoCの会社として配慮不足を感じる。
④議長は社長の長堀慶太さんが務め、ナガホリ側の議案の内容は、取締役の吾郷雅文さんが説明。リ・ジェネレーション側の議案の内容は、リ・ジェネレーションの代表取締役の尾端友成さんが説明。
⑤本臨時株主総会の開催を要求したリ・ジェネレーションが提案した議案は下記。
・取締役の長堀慶太さん、吾郷雅文さん、白川文彦さん、川村忠男さん、富樫直紀さん、長沢伸也さんの解任。解任理由は、業績低迷、中期経営計画の未公表、女性役員の未登用、大規模買付防止行為対応導入の保身、仲庭時計店の不正に関しコーポレート・ガバナンス体制の機能不全。
・取締役として、尾端友成さん、佐藤彩奈さん、菅原勝治さん、吉澤孝明さんの選任。
⑥ナガホリ側が本臨時総会に提案した議案は下記。
・取締役として、洲桃麻由子さんの選任。
⑦ナガホリ側のリ・ジェネレーションの提案に対する主張は下記。
・尾端友成さんが、マルチビジネスを営むイーサイド、e-WORLD Capital Partners Japan(EWCP)、Sanctuaryで取締役や監査役を歴任していた点を問題視。
・尾端友成さんは、マルチビジネスを営んでいたARKの法務部長であったとも指摘。菅原勝治さん、吉澤孝明さんもARKの特別顧問や顧問税理士であった。
・尾端友成さんは、臨時株主総会を経てアサヒ衛陶(5341)の社長に就任するも、わずか2ヶ月で自己都合により辞任したことを問題視。
・リ・ジェネレーションは、ナガホリの株式の大量買集めに際し、大量保有報告書・変更報告書の提出を2週間以上遅延し、大量保有報告書の提出によって株価が高騰する前に大量に買い集めている点を問題視。
・菅原勝治さんが、シンワアート(2437)の危機管理室長や顧問を務めていた間に、シンワアートが仮装隠蔽を伴う悪質な所得隠しを国税当局から指摘され修正申告をしていた点を問題視。
・提示された参考図と社長の長堀慶太さんのインタビュー記事によると、ナガホリの株式を買集めているリ・ジェネレーション、布山高士さん、鶴田亮司さん、村田武彦さん、光大證券投資服務(香港)、アジアインベストメントファンド、普済堂、金山エネルギーは、アジアゲートホールディングス(1783)を中心に繋がり(ウルフパック戦術)があると見ている模様。
・村田武彦さんは、自身のTwitterでナガホリ株式の買いを繰り返し煽っていたウルフ村田こと村田美夏さんの実父と指摘。
・ハピネス・アンド・ディ(3174)や、主要取引先のヴァンドームヤマダなどが、リ・ジェネレーションの提案に反対声明。
⑧2022年8月27日のダイヤモンドオンラインの記事に下記記載あり。
・メトロス開発が保有する土地に挟まれるナガホリの保有する土地を、メトロス開発が購入希望したが、ナガホリが断る。
・布山高士さんは、メトロス開発の元取締役。
・布山高士さんは、保有するNC MAX WORLDの株式を61億円でアジアゲートホールディングス(1783)へ売却。
⑨2022年12月20日のダイヤモンドオンラインに、ナガホリ側への取材として下記記載あり。
・リ・ジェネレーションの尾端友成さんは、マルチ商法のEWCPの取締役を務めていた。
・メトロス開発とリ・ジェネレーションは、アジアゲートホールディングスを核につながっているだろうということが、西村あさひの太田洋弁護士のチームによる調査で分かってきた。
・株主の理解を得ようと2022年9月に中期経営計画を開示。
・子会社の仲庭時計店で2017年から2019年にかけて4回、従業員が商品を持ち出し転売するなどの不正が発生したが、開示基準に抵触していなかったとの理由で非開示としていた。
⑩2023年1月18日のダイヤモンドオンラインに、リ・ジェネレーション側への取材として下記記載あり。
・リ・ジェネレーションの尾端友成さんは、アサヒ衛陶の元社長。マルチをやっていたことは認め、今後はもうやらないとの説明。
・ナガホリは、フライデーが子会社の仲庭時計店の事件を記事化することを知り、あわてて詳細を開示。
・ナガホリは、メインバンクのりそな銀行から定期的に退職者を受け入れ、数十億円の無担保融資を受けている。
・ナガホリは、従業員の家族や親戚を動員し、ノルマが達成できなかったら自己買いさせるファミリーセールを実施している。
⑪株主総会招集通知に記載のある、「当社の株価は、2021年12月末に至るまで14年間以上、100円台から300円台の間を推移するだけであったのにも拘らず、今回、提案株主が当社の株式を買い上がるのと時を同じくして急騰し、~中略~、当社の過去15年間における平均株価の約2倍前後もの価格で当社の株式を大量に取得することは著しく経済合理性を欠くと言わざるを得ません。」とのナガホリ側の主張には違和感。
PBR 1倍(2022年9月末の1株純資産は779円)を大幅に下回る株価を長年放置し、企業価値向上に対する経営陣の努力不足を棚に上げた反論に感じる。
⑫主要な取引先別売上高は、ドン・キホーテ13%、そごう・西部7%、ヴァンドームヤマダ6%、髙島屋4%。
⑬リ・ジェネレーションその他の複数の株主らが、ほぼ同時期に当社株式を急速かつ大量に買い集めている状況を踏まえた緊急対応及び関連する株主対応等に係るアドバイザリー費用として、2億59百万円を特別損失に計上。
⑭中期経営計画は、2025年3月期売上高19,500百万円、営業利益750百万円、経常利益700百万円、当期純利益500百万円。中期経営計画上、数値計画には織り込んでいないが、不動産事業を強化するとともに、M&Aの活用による業容の拡大も検討。
⑮質疑応答で、「リ・ジェネレーションは、今回の株主総会でリ・ジェネレーション側の議案が否決された場合、次回の定時株主総会でも現経営陣と戦う意思があるのか。」との質問あり。リ・ジェネレーションの尾端友成さんから、「まだ定時株主総会まで日にちがあるので今後の対応はこれから検討する。」との回答。
⑯質疑応答で、「尾端友成さんがアサヒ衛陶の社長を2ヶ月で辞任した理由。」について質問あり。リ・ジェネレーションの尾端友成さんから、「辞任の理由は、別事業によるもので回答は差し控える。ナガホリの社長となった際には骨を埋める覚悟で対応する。」との回答。
⑰取締役5名の報酬等の総額は5,100万円。単純平均で取締役1人当たり1,020万円。
⑱議案の採決方法はマークシート方式の投票用紙での投票による採決。出席している株主については、事前の議決権行使内容は無効となり、投票の内容が優先されるとの説明。投票後、10:45から11:20まで集計のため休憩時間となり、その後再開。
採決の結果は、ナガホリ側の提案は可決、リ・ジェネレーション側の提案は全て否決。せっかくの投票方式での採決であったので、過半数か否かの説明の他に、賛否の実数も提示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感があるように思う。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
ナガホリ側については、各種の対応がリ・ジェネレーション側から問題点を指摘されての付け焼刃的な対応に見え、経営力の弱さを感じるとともに、PBR 1倍(2022年9月末の1株純資産は779円)を大幅に下回る株価を長年放置していたのにも関わらず、企業価値向上に対する経営陣の努力不足を棚に上げ、株式の買い集めへ反論している点に違和感を感じました。また、中期経営計画で不動産事業を強化するとの説明がありましたが、本業に集中した方が良いように思います。
一方で、リ・ジェネレーション側も、マルチビジネスとの関係、アサヒ衛陶での尾端友成さんの短期間での社長辞任、アジアゲートホールディングスを核にしたウルフパック戦略を指摘されるなど、心配な点が多々ありました。
本株主総会では、ナガホリ側、リ・ジェネレーション側の双方に違和感を感じる部分がありましたが、今回の株主総会で勝利したナガホリの現経営陣には、決算説明会の実施やその動画の公開など透明性のあるIRと誠実な経営を期待しています。