ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの株主総会に出席しました【2025年5月23日】

株主総会
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ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス 第10回定時株主総会

日時:2025年5月23日(金) 10:00-11:15

場所:浅草ビューホテル(つくばエクスプレス浅草駅徒歩1分)

出席株主数:約200名

お土産:無し、会場外で紙コップでの水の提供あり

 

企業情報

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222)

HP:ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社 (usmh.co.jp)

①「マルエツ」「カスミ」「マックスバリュ」「いなげや」などの業態で、総合小売業を運営。

筆頭株主は、総合スーパー大手のイオン(8267)の子会社のイオンマーケットインベストメントで、イオンの保有分も含めると、6,878万株、53.5%を保有。
公益財団法人神林留学生奨学会が、第4位の株主として、230万株、1.7%を保有。
食品および関連消費財の卸売業などを手掛ける日本アクセスが、第6位の株主として、152万株、1.1%を保有。
酒類・食品・関連消費財の卸売業などを手掛ける国分グループ本社が、第7位の株主として、109万株、0.8%を保有。
食品卸大手の三菱食品(7451)が、第8位の株主として、109万株、0.8%を保有。
総合商社の興和が、第9位の株主として、101万株、0.7%を保有。

株主優待(2月末、8月末)
100株:株主優待券3,000円 or 100~999株保有の株主向け優待品
500株:株主優待券6,000円 or 100~999株保有の株主向け優待品
1,000株:株主優待券10,000円 or 1,000株以上保有の株主向け優待品
2,000株:株主優待券20,000円 or 1,000株以上保有の株主向け優待品
3,000株:株主優待券30,000円 or 1,000株以上保有の株主向け優待品

長期保有(3年以上)
2月末

1,000株:株主優待券1,000円追加 or 3年以上1,000株以上保有の株主向け優待品へグレードアップ

 

株式情報

時価総額:1,773億円(2025年5月22日時点)

売上高:8,112億円(2025年2月期実績)⇒9,798億円(2026年2月期予想)

株価:891円(2025年5月22日時点)

1株純資産:1,038円(2025年2月末時点)、PBR:0.85倍

1株当期純利益:6.14円(2026年2月期予想)、PER:145倍

1株配当:16円(2025年2月期予想)、配当性向:260%

配当利回り:1.7%、株主優待含む利回り:4.0%(100株保有時、株主優待品を2,000円/年として計算)

株主数:153,828名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①当連結会計年度の経済環境は、食料品やサービスなどの物価上昇が継続して家計を圧迫し、消費者の生活防衛意識は一層顕著となった。また、原材料費・エネルギー費・物流費などのコスト上昇は沈静化せず、企業の倒産件数は増加が続き、有効求人倍率は前年を下回るといった景気全体に暗い影を落とす一年となった。さまざまな機能が集中し人口の減少も比較的緩やかと言われる首都圏においても、高齢化が進む地方と都市部との経済格差は拡大しており、ここに多くの店舗を展開する当社にとっても低価格・高品質のバランスがより一層求められ、地域ごとに異なる市場環境を認識しながら、それぞれの地域にあった店づくりや品揃えを迅速に実現することが求められている。こうした環境の中、当社は2024年11月末のなげやとの統合を契機に、これまでの事業会社間の関係を抜本的に見直し、共通する価値観と思想を基に全体の連携を強化するとともに、首都圏最大規模のスーパーマーケットとして強固な経営基盤を構築する体制へと移行する取り組みを開始した。具体的には、1.規模を活かした加工食品、日配食品を始めとした一括仕入調達体制の構築、2.コスト適正化のため人事・総務・ITなどバックオフィス部門の集約による共通業務の効率化、3.業務品質の向上に向けIT・ロジスティクス・店舗開発などの業務統合による、情報共有の迅速化とマーケティング機能の充実、などを主要な目標において取り組みを進めている。また、当連結会計年度に「マルエツ草加デリカセンター」を本格稼働させ、伸長が続く調理食品の品揃えの充実を図ると共に、店舗作業の軽減を実現するべく、当社グループの約500店舗への商品供給を開始した。

②当連結会計年度の営業収益は、マルエツの既存店客数の伸長やカスミの客数の復調、新たに統合したいなげやの2024年10月~2025年2月の数値の算入などにより、前期比114.8%となり、売上総利益高も前期比115.9%となった。売上総利益率は、物価の上昇や競争環境の激化への対応として加工食品を中心に価格を据え置き訴求したことなどから、想定した水準を下回る結果となった。また、販管費は労務費や水道光熱費・物流費の上昇、デリカセンターへの投資などの影響から、前期に対し16.2%の増加となった。この結果、営業利益は前期に対し減益となり、加えて子会社において税制改正に伴う外形標準課税の税率変更や、税効果会計の分類変更を織り込んだため、当期純利益は減少した。グループ子会社のマルエツは来店客数および客単価が前期を上回り、営業収益は増収となり、また売上総利益も改善し最終利益も増益となった。一方、カスミは、客数が回復し客単価も前期を上回ったことで営業収益は増収が図れたものの、外形標準課税の税率変更や税効果会計の変更などの影響を21億円受けたことにより、当期純利益は前期に対し30億円の減益となった。また、マックスバリュ関東は、前期末の1店舗閉鎖の影響により、営業収益が前期比99.1%となり、売上総利益率も前期に対して0.7%悪化したことで営業利益は前期を下回り、最終利益は前期に対し2億円の減益となった。いなげやは、2024年10月から2025年2月までの期間において増収増益となった。これらの結果、連結業績は、営業収益が8,112億73百万円(前期比14.8%増)、営業利益が59億78百万円(前期比13.4%減)、経常利益が61億42百万円(前期比11.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が8億10百万円(前期比19.6%減)となった。

③当連結会計年度において、マルエツが4店舗、カスミが4店舗を新設した。一方、経営資源の効率化を図るため、マルエツが2店舗、カスミが3店舗を閉鎖し、また2024年11月末に経営統合したいなげやの128店舗を加えた当社グループの当期末の店舗数は660店舗となった。

④マルエツは、マルエツプチ稲荷町駅前店を含む4店舗を新規出店し、さらに既存店29店舗の活性化を実施した。商品面では、「マルエツ草加デリカセンター」で開発・製造したオリジナルブランド「まいごころ」(おにぎりや巻き寿司などの米飯商品)、「うまごころ」(おかずなどのお惣菜商品)のオリジナル商品開発を推進した。また、電子棚札やセルフレジの導入を推進し、生産性向上に積極的に取り組んだ。さらにお客さまの利便性向上を目的として、来店宅配サービスの「らくらくクマさん宅配便」を221店舗での展開に拡大し、「移動スーパー」も新たに3車両を追加し、5車両52カ所での販売体制とした。

⑤カスミは、お客さまの来店頻度の向上を目的に、消費頻度の高い商品の店頭価格の引き下げを継続するとともに、価格高騰が続いた青果物を、市だてなどの企画で訴求し販売を強化した。また生産性向上のため、売場の規模の見直しを行いながら、計画的に人時を投入し人時売上高の向上に努めた。また、移動スーパーの運用を75車両とし、さらに無人販売を245拠点へとそれぞれ拡大しお客さまの利便性向上に努めた。

⑥マックスバリュ関東は、青果・鮮魚部門における「産地直送商品」の拡大、こだわり商品である「MeetsValu(ミーツバリュ)」の展開拡大、新鮮な素材を店内で加工し、惣菜として提供する「生鮮惣菜」などを強化し、地域のお客さまのライフスタイルにあわせた商品・サービスの強化を行った。また千葉市と協業し、マックスバリュ関東3車両目となる「移動スーパー」を千葉市若葉区にて運行開始した。

⑦いなげやは、立川栄町店(東京都立川市)、志木柏町店(埼玉県志木市)など12店舗の活性化に取り組んだ。また、お客さまの来店頻度を高めることをテーマに、商品の開発、お値打ち価格での商品提供を推進し、惣菜コーナーでの新商品開発、新鮮なネタにこだわった「鮮魚鮨」の展開店舗拡大などの取り組みを強化した。

⑧コストプッシュインフレの継続や、首都圏における競争環境は業態を超えて激化していくことなどが見通され、更には少子高齢化の問題も経営に大きな影響を与えると考えられる。こうした環境の中、当社はいなげやとの統合を契機に、これまでの事業会社間の関係を抜本的に見直し、共通する価値観と思想を基に全体の連携を強化するとともに、首都圏最大規模のスーパーマーケットとして強固な経営基盤を構築する体制へと移行していく。共通の思想として顧客起点を絶対の価値観とすることを念頭に置きUSMHの本部機能は、1.規模を活かす、2.コストを適正化し効率化を図る、3.業務品質の向上を図り情報共有の迅速化と機能の充実を図る、ことなどを目標において変革していく。一方事業会社は、本部と同様に顧客起点を絶対の価値観として、現状を分析し、店頭の業務を見直して強化し、リソースの配分をシフトして競争の中で優位なポジションに立ち、支持を拡大していける取組を推進する。2026年2月期の連結業績見通しは、営業収益9,798億円(前期比20.8%増)、営業利益110億円(前期比84.0%増)、経常利益109億円(前期比77.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(前期比48.1%増)を予想している。

⑨本株主総会の承認、その後の取締役会の決議を経て、代表取締役社長が藤田元宏さんから、イオン執行役SM担当で当社顧問の井出武美さんへ変更予定。

⑩第4次中期経営計画(2025‐2027)は、2028年2月期に、売上高1,080,000百万円、営業利益21,500百万円。

2024年9月3日開催の取締役会において、株主優待制度変更(拡充)について決議。保有株式数に応じて配布する優待券の配布枚数の一部を変更するとともに、長期に渡って保有していただいている株主に対して長期保有株主優待制度を導入。2025年2月末基準日より開始。この変更を機に、株主に長期にわたってより多くのご愛顧を賜れるよう一層の努力をしていく。

⑫株主総会の質問について事前に受け付けていたが、「株主さま専用ウェブサイト(株主番号およびメールアドレス)に、ログイン後、ご利用をお願いいたします。登録いただきました株主さまへ、返信メールをお送りいたします」との記載があるものの、実際にはログインページが無く、株主番号やメールアドレスを登録する項目も無く、質問を登録する項目のみであり、返信メールも無かった。
イオングループであり、企業規模から考えても、このような不具合が見逃される企業風土に違和感を感じた。本来、株主総会招集通知を発送する前に記載内容が正しいのか確認が必要だと思うが、問題が発覚した際には、何かしらの対応(システム修繕やアナウンスなど)をすべきだと思う。

⑬取締役候補者7名中、70歳以上の候補者は岡田元也さん(1951年生まれ、73歳)、鳥飼重和さん(1947年生まれ、78歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑭社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は5,500万円。2024年5月に退任した3名をそれぞれ3ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり1,466万円。

 

株主総会での個人メモ

①質疑応答で、「「マルエツ」「カスミ」「マックスバリュ」「いなげや」の社長を取締役候補にしたらどうか?」との意見あり。「執行役員制度を取っており、各子会社の社長が執行役員を務めている。必要に応じて取締役会にも出席してもらっている。」との説明。

②質疑応答で、「本株主総会後の取締役会の決議を経て、代表取締役社長に就任予定の井出武美さんから抱負を伺いたい。」との意見あり。「現時点、代表取締役社長に未就任であり、今後、HPや株主懇談会で抱負を述べてもらう。」との回答。
株主総会後の新任取締役の紹介時に、井出武美さんから一言でも挨拶があったほうが印象が良かったと思う。また、2024年は株主懇談会は行われておらず、説明に違和感を感じた。

③質疑応答で、「経常利益61億円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益8億円のみ。当期純利益が極端に少ない理由は?」との質問あり。「繰延税金資産の取り崩しの影響。当期特有の事情。」との説明。
当期特有の事情との説明であったが、2026年2月期の連結業績見通しも、経常利益109億円に対し、親会社株主に帰属する当期純利益12億円のみとなっており、回答に矛盾を感じた。決算説明資料でも特に言及が無いが、丁寧に説明されたほうが良いと思う。

④質疑応答で、「株価が低迷しているが、株価に対する方針はあるのか?」との質問あり。「株価が低位で推移しており申し訳ない。市場が求めるPBR水準を確保するためにも、業績を上げ企業価値向上をはかる。」との旨の回答。

⑤質疑応答で、「株主優待券を電子化して欲しい。」との意見あり。「検討中。システムインフラが整い次第、対応したい。」との説明。

⑥質疑応答で、「「マルエツ」「カスミ」「マックスバリュ」「いなげや」などのポイントシステムを統合したらどうか?」との意見あり。「イオンとの一体化を検討している。」との回答。

⑦質疑応答で、「執行役員に「いなげや」の社長の名前が無い理由は?」との質問あり。「執行役員の任期は取締役の任期と同じ任期としている。昨年11月に統合となったので、今回の執行役員人事から「いなげや」の社長も執行役員となる予定。」との説明。
執行役員の選任については、株主総会の承認は不要なので、期中でも臨機応変に対応した方がスピード感ある経営につながると思う。

⑧質疑応答で、「株主優待の中でお米が抽選制となったが、内容が発表されたのが2025年5月1日。2025年2月28日の権利日を過ぎてからの発表は問題では?権利日の前に公表すべき。議案の賛否の判断としたいので、株主優待の担当役員を教えて欲しい。」との旨の質問あり。「お米を抽選制とした理由は、「いなげや」との統合で株主数が増え、需要が読めなかった。」との旨の回答。
意図的なのかもしれないが、質問内容と社長の藤田元宏さんの回答が合っていないように思えた。一方で、昨今の米不足の中、公表が遅れたものの今回は止むを得ない対応であるように思え、また、株主数が15万人を超える中、株主優待制度を維持&拡充(2024年9月3日公表)し、良く頑張っていると思う。

⑨質疑応答で、「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの各スーパーマーケットにおいて、同じ商品でも価格が違う。価格を統一したらどうか?」との意見あり。「トップバリュー商品については、どの店舗でも同じ価格としている。その他の商品については、その時々の相場や調達方法により価格が異なる。」との説明。

⑩質疑応答で、「キャッシュレス決済について、手数料が高いと聞いている。手数料の見直しをかけたり、キャッシュレス決済を止める検討をしたらどうか?」との意見あり。「キャッシュレス決済は時代の流れなので、現金オンリーには戻らない。」との回答。

⑪質疑応答で、「東証からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請に対して、開示した企業が公開されているが、開示企業一覧にユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの名前が無い。開示しない理由は?」との質問あり。「痛い指摘。今、資料を公開しても業績から評価されないとの判断。企業体質の改善に取り組む。」との旨の説明。
イオングループでもあり、大企業でもあるので、信頼感を得るためにも早急に開示すべきだと思う。

⑫質疑応答で、「店舗で高額な牛肉などが売れずに値引き対応となっているのをよく見かける。在庫管理を強化したらどうか?」との意見あり。

⑬質疑応答で、「業績予想を公表しているが、毎期、下方修正となっている。業績予想の数字は努力目標としているのか?それとも根拠のある数字なのか?」との質問あり。「根拠のある数値を公表している。」との回答。

 

株主総会を終えて感じたこと

業績は低迷していますが、PBRが1倍を割れており、株主優待も魅力的なため、平均802円で投資しました。

今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

株主総会では、社長の藤田元宏さんの回答内容に違和感を感じる場面が多く、特に、社長に就任予定の井出武美さんから抱負や意見を伺えなかったのはとても残念でした。

また、質疑応答では、多くの質問希望者がおり、途中で質問を締め切っていたのも気になりました。議長を務めた藤田元宏さんがランダムに質問者を指名していましたが、株主数が15万人を超える企業なので、質問希望者が殺到した場合、議決権数に応じて質問者を選定するような仕組みがあると公平なのかもしれません。

2023年3月31日に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは、1株当たり純資産1,038円に対し、株価891円(2025年5月22日時点)、PBR0.85倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます

また、親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスは、イオン(8267)がグループで53.5%の株式を保有しておりイオンの連結子会社ですが、東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、厳しい目が向けられつつあるので、今後の動向を注視します。

特にイオンは、上場子会社のイオンモール(8905)、イオンディライト(9787)の完全子会社化を予定しており、イオングループで親子上場解消の動きがあり注意が必要です。

同業他社の業績が堅調に推移している中で、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの業績(当期純利益)は低迷しており心配していますが、株主総会でも、社長の藤田元宏さんの回答内容に多くの違和感を感じました。今回の社長交代を機に、新社長の井出武美さんの手腕に期待し、利益率の改善やPBR1倍達成も期待して、拡充された株主優待も楽しみに継続保有の予定とします。追加投資も検討します。

 

2025年5月9日に到着したユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの株主優待の内容についてはこちら↓

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスの株主優待が到着しました【2025年5月9日】 | ぽこタンの株主総会日記

 

株主総会会場の浅草ビューホテル
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