恵和の株主総会に出席しました【2025年10月28日】

株主総会
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恵和 臨時株主総会

日時:2025年10月28日(火) 10:00-11:40

場所:東京証券会館(茅場町駅直結)

出席株主数:約10名

お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり

 

企業概要

恵和(4251)

HP:恵和株式会社 | 高機能フィルムメーカー

①光拡散フィルム、高機能光学フィルムの開発、製造、販売を行う「光学製品事業」(売上構成比81%)を中心に、包装資材、工程紙・建材、クリーンエネルギー資材、農業資材などの開発、製造、販売を行う「機能製品事業」(売上構成比19%)を運営。

筆頭株主は、社長の長村惠弌さんで、702万株、37.9%を保有。

 

株式情報

時価総額:235億円(2025年10月27日時点)

売上高:211億円(2024年12月期実績)⇒209億円(2025年12月期予想)

株価:1,219円(2025年10月27日時点)

1株純資産:1,181円(2025年6月末時点)、PBR:1.03倍

1株当期純利益:137円(2025年12月期予想)、PER:8.89倍

1株配当:35円(2025年12月期予想)、配当性向:25%

配当利回り:2.8%

株主数:8,323名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①2025年12月期第2四半期は、当社グループを取り巻く環境においては、PC市場の回復が継続するとともに、自動車市場の需要増加が継続しているものの、その足取りは不安定であり、予断を許さない状況が続いている。このような状況において、当社グループは、上位機種のノートPC・タブレット向け、車載向けを中心とする光学製品やクリーンエネルギー車向けの特殊フィルム製品などの高付加価値製品の販売促進活動や発泡ウレタン工程紙市場における海外顧客の新規獲得に努めた。また、生産性の向上とコスト競争力の強化に取り組むとともに、将来の成長に向けた研究開発活動を推進した。その結果、当社グループの当中間連結会計期間の売上高は9,913百万円(前年比2.8%増)、営業利益は2,247百万円(前年比8.9%増)、経常利益は1,960百万円(前年比23.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は693百万円(前年比56.0%減)となった。

②前連結会計年度より、セグメント名称を、従来の「光学シート事業」を「光学製品事業」、「生活・環境イノベーション事業」を「機能製品事業」に変更。当該変更は名称変更のみであり、その内容に与える影響は無い。また、「地球の絆創膏事業」については、前第4四半期連結会計期間において研究開発フェーズに引き戻したことにより、第2四半期連結会計期間よりセグメントとしては一旦廃止している。

③光学製品事業は、「ノートPC・タブレット」向けは、一部米国通商政策の影響による上期実績に前倒し需要が含まれたことに加え、ノートPC向けにおいて高性能な直下型ミニLED液晶ディスプレイ向け複合拡散板「オパスキ」が引き続き堅調に推移するとともに、従来型の液晶ディスプレイ向けの光拡散フィルム「オパルス」については、ノートPC・タブレット向けにおいて、市場の回復による需要増に加えて既存取引先におけるシェアアップや前第4四半期連結会計期間から量産出荷を開始した案件により、売上が増加した。「スマートフォン」向けは、光拡散フィルム「オパルス」の売上が引き続き減少したが、「モニター・他、高機能フィルム」は、モニター・車載向け「オパスキ」や特殊な機能を有する新製品の売上が増加した。その結果、売上高は8,074百万円(前年比6.3%増)、セグメント利益は3,634百万円(前年比0.4%減)となった。

④機能製品事業は、「クリーンエネルギー資材」分野では、クリーンエネルギー車向けの当社特殊フィルム製品において、搭載される車両の生産回復に遅れが見られたことに加え、太陽電池資材の一部製品の取扱い終了などにより、売上が減少した。また、「工程紙・建材」分野においては、顧客の一時的な生産トラブルなどに起因する受注減少により、売上が減少した。このような状況のなか、今後の需要拡大を見据え、発泡ウレタン工程紙「A!prog-UF」については、東南アジアや北米を中心に積極的な新規顧客への提案活動を展開している。一方、「農業資材・他」分野の医療衛生向けフィルムは、需要の増加に加えて当社のシェアが向上したことにより、売上が大幅に増加した。なお、医療衛生向けフィルムについては、生産能力の増強を目的とした全自動工程の製造設備が本格稼働を開始しており、さらなる受注の獲得を目指していく。その結果、売上高は1,839百万円(前年比4.2%減)、セグメント利益は111百万円(前年比22.4%減)となった。

2025年8月14日開催の取締役会において、地球の絆創膏事業からの撤退および同事業の開発拠点である淡路ベースの廃止を決議。2024年11月14日に工業製品として販売するフェーズから研究開発フェーズに引き戻すことを決定し、製品品質の検証・製品改良及び研究開発に努めてきた。しかし、屋根用保護シート「KYŌZIN Re-Roof」の製品品質の検証・製品改良の結果および進捗、また、並行して進めていた施工済み案件の点検作業の状況を総合的に判断した結果、「KYŌZIN Re-Roof」は、当社が想定していた耐久年数を担保できないと判断するに至った。これに加えて、当社の主力事業と異なるマーケットへの進出の是非を再考した結果、現在開発中の土木用途の製品も含めて、当該事業から撤退すること、および地球の絆創膏事業の開発拠点である淡路ベースを廃止することを決定した。廃止時期は、2025年9月(予定)。その結果、既に販売を行った製品に対する将来の保証債務について、政策的判断に基づく合理的な見積りを行った結果、当第2四半期連結会計期間において、製品保証引当金繰入額として792,041千円を計上した。また、事業の撤退により他への転用が困難となった「KYŌZIN Re-Roof」の研究設備について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、帳簿価格との差額を減損損失として5,527千円計上し、淡路ベースの廃止を受けて、当該拠点設立時に兵庫県より受領した助成金の返金額として、34,604千円を計上した。以上により、当第2四半期連結会計期間において、事業撤退損失832,173千円を計上。

⑥2025年8月14日開催の取締役会において、2025年2月に公表した中期経営計画について、地球の絆創膏事業の撤退などの事業環境の変化を踏まえ、目標値などを見直し。2028年12月期に、連結売上高270億円、連結営業利益59億円。

⑦2025年9月17日開催の取締役会において、本年10月28日開催予定の当社臨時株主総会の承認を条件として、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行することを決定。当社を取り巻く環境が大きく変化する中、機動的な意思決定とより高度なガバナンスを両立することがこれまで以上に重要であり、そのためには、執行と監督の分離の一層の深化を図ることが必要となるため、監査等委員会設置会社へ移行するもの。

⑧監査等委員である取締役(補欠を含む)を含む取締役候補者15名中、70歳以上の候補者は長村惠弌さん(1947年生まれ、77歳)、梅村俊和さん(1947年生まれ、78歳)の2名。
役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑨社外取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は14,661万円。単純平均で取締役1人当たり2,932万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社からの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。

 

株主総会での個人メモ

①質疑応答で、「監査等委員会設置会社への移行はガバナンス的に良い対応だと思う。前回の定時株主総会時でもなく、次回の定時株主総会時でもなく、今回、臨時株主総会を開いてまで対応しようと考えたきっかけは?」との質問あり。「地球の絆創膏事業において減損を計上した。地球の絆創膏事業は、取締役会で決議して進めた内容であったが、監査役会は別であったため、一緒にやっていたらマーケットインのタイミングが早すぎたのではないかなど、多くの情報で審議ができなかった。収益性など第三者的な議論が十分ではなかったと反省している。深く反省し、ガバナンスとコンプライアンスの強化のため、一刻も早く監査等委員会設置会社へ移行したかった。」との旨の回答。

②質疑応答で、「第5号議案において、次期社長に言及されているが、社長の後継者について育成状況やバトンタッチのタイミングについてどのように考えているのか教えて欲しい。」との質問あり。「創業者のせがれとして経営に携わってきたが、あっという間に半世紀近くとなった。後継者については十数年前から考えている。補佐として優秀な人材を社長に抜擢したが、結果的に人選を間違え、再登板している。現取締役はその時のことを熟知している。恵和以外の経験を積んだ人材、欧州、米国、南アジアについてカバーできる人材が必要。監査等委員会設置会社にも変える。その中から後継者として5代目の社長が出てくる。交代時期については、目の黒いうちとは言わずに、速やかに進めたい。」との旨の説明。

③質疑応答で、「第1号議案において、定款の字句についても変更されているが、現定款では、「及び・および」「並びに・ならびに」と漢字と平仮名が混在していた。今回、「および」「並びに」に変更されるが、定款としては、同じ接続詞であれば、漢字や平仮名に統一した方が良いのでは?」「今まで定款の内容をチェックしていなかったのか?」など、定款変更について複数の意見や質問あり。「東証2部上場から現定款であり、これで良いと思っていたが、今回、合わせて字句の見直しもした。技術の恵和だが、このあたりは格好が悪く、こういうところも改善していきたい。」との旨の回答。

④質疑応答で、「KYŌZINの件で、株価が低迷している。KYŌZINはどういう状況なのか?」との旨の質問あり。「状況については、個別に別途回答する。このような問題を起こさないように監査等委員会設置会社への移行を議案としている。」との説明。

⑤質疑応答で、「iPhone17発売による業績への影響は?」との質問あり。「iPhone17については、秘密保持契約があり回答できない。」との回答。

⑥質疑応答で、「第5号議案において、優秀な人材を確保するためとはいえ、取締役の報酬等の額の上限について3億万円から7億円への急激な増額に違和感がある。」との旨の意見あり。

⑦質疑応答で、「今回、受付で配布したCSV報告書について、IRで開示して欲しい。」「IRが弱い印象。」「例えば、「「JPX日経中小型株指数」構成銘柄への継続選定に関するお知らせ」「「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定」など、HPのお知らせだけでは勿体ない。難しく考えずに、HPで開示している内容をそのまま積極的に適時開示して欲しい。」など、IRについて複数の意見あり。「恵和の資料は昭和の資料だと言われたりする。他社の実例を確認し、デザイニングセンスを補強したい。プロフェッショナルな人材を獲得済みであり、来期中には抜本的にIRを補強したい。」との説明。

⑧質疑応答で、「第2号議案において、現取締役からメンバーがほとんど変わっていない。同じメンバーでガバナンスやコンプライアンスの強化となるのか?同じメンバーだと問題について指摘もできないのではないか?」との質問あり。「社外取締役については、昨年、任期を終えて交代や、また辞任もあった。社外取締役の太田俊介さんは、欧米について知見がある。関伸彦さんは経営者として適格人材。社外取締役の構成を大きく変え、リフレッシュされているつもり。」との回答。

⑨質疑応答で、「業務において、AIを活用し、最適解を見つけるような取り組みをしたらどうか?」との意見あり。「ロボットを使用しており、適用を拡大している。AIに学習もさせている。ただ、アートや感性の反映が抜けている。このプロセスに時間がかかっている。」との旨の説明。

⑩議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、多くの質問が出ていましたが、社長の長村惠弌さんが丁寧に回答されていました。長村惠弌さんの考えや人柄が伺え、その対応に好感を持ちました。

社長の長村惠弌さんは、議決権の37.9%を保有されていますが、ご高齢でもあり(77歳)、後継者の育成状況などが気になります。本臨時株主総会の議案であった、「監査等委員会設置会社への移行」「取締役の報酬額決定」については、長村惠弌さんの後継者を見据えた対応の一環であったように思えました。

なお、質疑応答の中で、社名の変更を検討しているとの言及がありましたが、もし商号を変更するのであれば、慣れ親しんだ「恵和」の響きを残し、大きく変えずに「KEIWA」でも良いかもしれません。

社長の長村惠弌さんの説明には謙遜されている様子が多く見られましたが、波はあるものの業績は良く、財務内容も良好な会社です。オーナー企業として後継対応の難しさ(後継者の株式保有の観点の違いなど)があると思いますが、会社の仕組みを整え、末永く残る会社を目指して欲しいです。再投資も検討します。

 

株主総会会場近くにある恵和本社が入る住友生命茅場町ビル
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