オーネックスの株主総会に出席しました【2025年9月26日】

株主総会
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オーネックス 第74期定時株主総会

日時:2025年9月26日(金) 10:00-10:40

場所:町田市文化交流センター(町田駅徒歩3分)

出席株主数:約30名

お土産:無し

 

企業概要

オーネックス(5987)

HP:浸炭・窒化・総合熱処理のオーネックス

①金属熱処理加工事業を行う「金属熱処理加工事業」(売上構成比84%)、一般貨物運送業の認可を受けて熱処理製品などの運送を行う「運送事業」(売上構成比16%)を運営。

②第2位の株主は、創業家の大屋翼さんで、13万株、8.2%を保有。
第6位の株主は、山川伯忠さんの共同保有者の山川伯勇さんで、7万株、4.3%を保有。
第7位の株主は、山川伯忠さんで、6万株、3.9%を保有。

 

株式情報

時価総額:28億円(2025年9月25日時点)

売上高:50.5億円(2025年6月期実績)⇒51.3億円(2026年6月期予想)

株価:1,723円(2025年9月25日時点)

1株純資産:3,172円(2025年6月末時点)、PBR:0.54倍

1株当期純利益:39.8円(2026年6月期予想)、PER:43.2倍

1株配当:20円(2026年6月期予想)、配当性向:50%

配当利回り:1.1%

株主数:568名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①当社グループは、山口工場は第二工場を2025年6月末に売却を完了し、第一工場での生産集約を加速させ生産性の向上などに努めた。厚木工場および東松山工場の一体化運営も継続してきた。子会社のオーネックステックセンターは、営業部門と工場部門が一体となった営業活動を行い、新規取引先の獲得へ繋がった。主力取引業界である自動車関連、建設機械関連の受注は減少したものの産業工作機械関連は増加した。経費面では、エネルギー価格、原材料価格は前期並みであったが人件費が増加したため、前期と比較して減益となった。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,053百万円(前期比1.7%増)、営業損失47百万円(前期は営業利益55百万円)、経常損失26百万円(前期は経常利益41百万円)となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益2百万円(前期は当期純損失377百万円)となった。

②金属熱処理加工業(オーネックス、オーネックステックセンター)は、金属熱処理業界については、主力取引業界である自動車関連、建設機械関連の受注は減少したものの産業工作機械関連の受注は増加した。経費面では、エネルギー価格、原材料価格は前期並みであったが人件費が増加したため、前期と比較して減益となった。この結果売上高は、前年と比較して増収となったが、セグメント利益は減益となった。また、オーネックステックセンターの売上高は、前年と比較して減収となり、営業利益、経常利益ともに減益となった。売上高4,450百万円(前期比0.4%増)、セグメント損失102百万円(前期はセグメント利益20百万円)となった。

③運送事業(オーネックスライン)については、2024年問題に対応すべくオーネックステックセンター工場内への休憩所設置や雇用条件の改定など福利厚生に重点を置き、ドライバーを確保できたことなどから、受注も伸び売上高は増収となり、営業利益、経常利益ともに増益となった。売上高602百万円(前期比12.3%増)、セグメント利益33百万円(前期131.4%増)となった。

④当社グループは、先行き不透明な状況だが、コスト高に対して、機械化・自動化を推進し省力化を目指していく。そして、最も懸念される人手不足に対しては、現在取り組んでいる多能工化を一層進めて人材を強化していくこと、また採用においては縁故採用や再雇用を推進していく。さらに仕事の定量化および見える化を図り各自の業務への貢献度を明確にして組織の活性化を図ることで生産性の向上に取り組んでいく。当社グループの次期の見通しは、売上高5,138百万円(前期比1.7%増)、営業利益107百万円(前期は営業損失47百万円)、経常利益97百万円(前期は経常損失26百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益65百万円(前期は当期純利益2百万円)と計画している。

2025年8月12日に、2025年6月期通期連結業績予想を下方修正。金属熱処理業界おいて、産業工作機械関連の受注は増加したが主力取引業界である自動車関連、建設機械関連の受注が予想と比較して減少し、結果として連結売上高は448百万円、予想から減少する見込みとなった。また経費面では、エネルギー価格、原材料価格は前期並みであったが人件費が増加したため、予想と比較して減益となる見込みとなった。

2025年5月9日に、第7位の株主の山川伯忠さんより、臨時株主総会招集の請求を受領。株主総会の目的事項は、定款一部変更、全取締役解任、取締役7名(山川伯忠さん、木田周太郎さん、星川建三さん、村田和希さん、稲嶺和盛さん、亀谷由貴さん、林勉さん)選任。
直近の事業年度において約3.7億円の多額の純損失を計上しており、現役員の大半が70歳を超え、経営の若返りを図り、利益を生み出す体制を構築することが急務。現経営陣にも当社を牽引して欲しいので定款を一部変更し取締役の増員をお願いする。新取締役と現経営陣が共同して企業価値の向上に努めるのが最も良いと考えている。取締役の増員がされた場合には全取締役の解任は撤回する。」との主張。
⇒取締役と監査役9名中、70歳以上の役員は鶴田猛士さん(1950年生まれ、75歳)、武藤孝司さん(1951年生まれ、73歳)、遠藤將敏さん(1954年生まれ、71歳)、村野幸哉さん(1955年生まれ、70歳)、横山剛さん(1952年生まれ、73歳)、吉田雄彦さん(1948年生まれ、77歳)の6名。提案株主の指摘通り、過半数の取締役が70歳を超え、役員の高齢化が気になるところ。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑦2025年6月9日に、臨時株主総会招集の請求をした山川伯忠さんが、2024年10月23日を報告義務発生日として大量保有報告書を提出。共同保有者を山川伯勇さん、山川雪英さんとして、20.4万株、12.2%を保有。株式の平均取得単価は1,927円。

2025年7月14日に、第7位の株主の山川伯忠さんより、2025年9月開催予定の当社第74期定時株主総会における議題として株主提案を受領。本株主提案の内容は、取締役7名(山川伯忠さん、木田周太郎さん、星川建三さん、村田和希さん、稲嶺和盛さん、亀谷由貴さん、林勉さん)選任。
直近の事業年度において約3.7億円の多額の純損失を計上しており、現役員の大半が70歳を超え、経営の若返りを図り、利益を生み出す体制を構築することが急務。現経営陣にも当社を牽引して欲しいので定款を一部変更し取締役の増員をお願いする。新取締役と現経営陣が共同して企業価値の向上に努めるのが最も良いと考えており、現在、オーネックスの現経営陣と協議中。協議が整った場合には、株主提案権の行使を撤回する。」との主張。

⑨2025年7月29日に、臨時株主総会の招集を請求した株主との協議の結果、本臨時株主総会の開催を見送ることとなったことに伴い、同日開催の当社取締役会において、本臨時株主総会は開催せず、上記基準日についても取り消すことを決議。

⑩2025年8月29日に、2025年9月26日開催予定の第74期定時株主総会における株主提案を受領した提案株主より当該提案の全てを撤回する旨の書面を受領し、同日開催の取締役会において、撤回に同意することを決議。

⑪2025年8月29日開催の取締役会において、代表取締役の異動について決議。代表取締役社長は、鶴田猛士さんから木田周太郎さんへ交代。2025年9月26日開催予定の第74期定時株主総会および同株主総会終了後の取締役会の承認決議を経て正式に決定する予定。

⑫2025年9月4日に、2025年定時株主総会招集通知を公表。取締役6名の候補者の内、株主提案を行っていた山川伯忠さんが指名していた7名(山川伯忠さん、木田周太郎さん、星川建三さん、村田和希さん、稲嶺和盛さん、亀谷由貴さん、林勉さん)の内、4名(山川伯忠さん、木田周太郎さん、星川建三さん、稲嶺和盛さん)が候補となる。

株主数、2023年6月末959名⇒2024年6月末677名⇒2025年6月末568名と急減中。

⑭社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は6,742万円。単純平均で取締役1人当たり1,685万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社からの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。

 

株主総会での個人メモ

①株主数568名に対し、株主総会の出席株主数は約30名。出席率が5%を超え、他社の株主総会に比べ、出席率が高かったのが印象的。

②質疑応答で、「インフレにより部材が値上がり、人件費も高騰している。値上げ対応について、現状と今後の予定について教えて欲しい。」との質問あり。「売価について値上げ交渉は続けており、値上げを受け入れてもらっている。今後もエネルギー・部材の価格が上昇したら、値上げ交渉を続けていきたい。」との回答。

③質疑応答で、「大株主(山川伯忠さん)から、臨時株主総会招集の請求を受け、本定時株主総会における株主提案も受領していたがどちらも撤回された。一方で、本株主総会の取締役候補者を見ると、6名中4名が大株主(山川伯忠さん)が指名していた候補者となっている。どのような交渉により今回の取締役候補者としたのか、外部からは分からないので経緯を教えて欲しい。」との旨の質問あり。「今後の成長と発展について協議をした。さらなる飛躍が期待できる取締役候補者と判断した。」との旨の説明。

④質疑応答で、「本株主総会により、取締役の過半数が大株主(山川伯忠さん)が指名していた方々となる。従業員が心配して辞めてしまわないように配慮して経営にあたって欲しい。」との意見あり。「従業員の雇用は維持する。」との回答。

⑤質疑応答で、「新しく社長に就任する木田周太郎さんは外部からの就任ということもあり、抱負を伺いたい。」との意見あり。社長の鶴田猛士さんが回答について事務局と相談し、「この後の取締役会において代表取締役社長に就任する予定なので、この場での意見表明はしない。」との回答。
木田周太郎さんの代表取締役社長就任については、適時開示で公表している内容でもあり、また、株主を前に紹介できるチャンスでもあり、鶴田猛士さんの対応に大きな違和感。他社においては、株主総会終了後に新任取締役の紹介があるケースも多いがその対応も無く、木田周太郎さん、山川伯忠さんのお顔も分からなかった。また、新社長の抱負を求められることは十分に想定される内容と思われ、鶴田猛士さんが対応について事務局と相談していた点についても違和感を感じた。

⑥議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、「社長に就任する木田周太郎さんから抱負を伺いたい。」との要望があったものの、社長の鶴田猛士さんが、対応について事務局と相談した結果、断っていた点が印象的でした。

正式決定前とはいえ、会社として株主に対し新社長をお披露目するチャンスでもあり、鶴田猛士さんの対応に大きな違和感を感じました。また、取締役候補者として木田周太郎さんも会場にいらっしゃったものと思われ、会社を変革する決意表明として、自ら発言を希望されても良かったかもしれません。

2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、オーネックスは、1株当たり純資産3,172円に対し、株価1,723円(2025年9月25日時点)、PBR0.54倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。

現経営陣においては、大株主の山川伯忠さんが指摘している通り、業績が低迷しているのにもかかわらず役員の高齢化(取締役と監査役9名中6名が70歳以上)を放置して次世代へのスムーズな承継がなされず、また、決算説明資料や決算説明会動画の公開も無く、株主数も激減(2023年6月末959名⇒2024年6月末677名⇒2025年6月末568名)し、安定株主の確保もできていなかった模様です。さらには、PBR1倍割れの低株価を長年放置し、ついに、経営権を奪われることとなりました。

本株主総会の結果、大株主の山川伯忠さんが指名していた取締役候補者が過半を占め、会社が変わる過渡期になると思います。一方で、新社長となる木田周太郎さんからは抱負を伺えず、新しい経営陣の本気度が分かりませんが、業績に変化が無いか、継続注視します。

 

株主総会会場近くにあるオーネックス本社の入る大樹生命町田ビル
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