ガンホー・オンライン・エンターテイメントの株主総会に出席しました【2025年9月24日】

株主総会
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ガンホー・オンライン・エンターテイメント 臨時株主総会

日時:2025年9月24日(水) 10:00-11:50

場所:グランドプリンスホテル新高輪(高輪台駅徒歩6分)

出席株主数:約50名

お土産:ミネラルウォーターの配布あり

 

企業概要

ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)

HP:ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

①「パズル&ドラゴンズ」「ラグナロク」などの主にインターネットを介したオンラインゲームを中心にサービスを展開。

②筆頭株主は、創業者の孫泰蔵さんが代表を務めるSON Financial合同会社で、同じく代表を務めるエフエーエイチの保有分も含めると、1,172万株、21.5%を保有。
第3位の株主は、INTERTRUST TRUSTEES(CAYMAN)LIMITED(ストラテジックキャピタル)で、367万株、6.7%を保有。
第10位の株主は、社長の森下一喜さんで、115万株、2.1%を保有。

※2025年8月7日に、7月31日を報告義務発生日として、ストラテジックキャピタルが大量保有報告書(588万株、8.5%を保有)を提出。

 

株式情報

時価総額:1,968億円(2025年9月16日時点)

売上高:1,036億円(2024年12月期実績)⇒非開示(2025年12月期予想)

株価:2,846円(2025年9月22日時点)

1株純資産:2,234円(2025年6月末時点)、PBR:1.27倍

1株当期純利益:非開示(2025年12月期予想)、PER:非開示

1株配当:未定(2025年12月期予想)、配当性向:未定

配当利回り:未定

株主数:47,702名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①2025年12月期第2四半期は、ゲーム市場においては、国内のモバイルゲーム市場が依然として一定規模を維持しているものの、スマートフォンユーザーの余暇の使い方は、動画コンテンツの視聴をはじめとする多様化が進んでいる。

②このような状況の中、引き続きグローバル配信を見据えたゲーム開発に注力するとともに、既存タイトルの価値最大化を図るため各ゲームのMAU(Monthly Active User:月に1回以上ゲームにログインしている利用者)の維持・拡大やゲームブランドの強化に取り組んできた。「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)に関しては、引き続きより多くの皆さまに「パズドラ」を長期的にお楽しみいただくため、季節ごとのオリジナルイベントや他社有名キャラクターとのコラボレーションなど、多様なイベント展開を継続してきた。その結果、「パズドラ」は2025年4月30日には国内累計6,300万ダウンロードを突破した。また、「パズドラ」シリーズ最新作として、「パズル&ドラゴンズゼロ」を2025年5月29日にリリースした。「パズドラ」の原点を追求した本作は、シンプルな操作性から初めて本シリーズに触れるユーザーの皆さまにも親しみやすいタイトルとなっており、iOSおよびAndroidにて世界150カ国以上でグローバルにサービスを展開している。2024年11月に日本国内配信を開始したスマートフォン向けMMORPG「ラグナロクX」は継続的なアップデートおよびイベントの開催により、堅調なアクティビティを維持している。また、子会社GravityCo.,Ltd.およびその連結子会社が運営しているRagnarok関連タイトルについても、引き続き連結業績に大きく貢献した。2025年5月28日に「Ragnarok Online America Latina」の中南米地域における配信を開始するなど、東アジア・東南アジア地域に加えて、ブラジルをはじめとする中南米地域へのアプローチにも注力している。この結果、当中間連結会計期間における売上高は50,588百万円(前年比5.7%減)、営業利益5,020百万円(前年比58.9%減)、経常利益5,351百万円(前年比60.4%減)、親会社株主に帰属する中間純利益2,464百万円(前年比68.5%減)となった。 
減収減益の要因について記載が無く、違和感。

③当社グループは、コンテンツ関連の新規性の高い事業を展開しており、短期的な事業環境の変化が激しいことなどから、業績の見通しにつきましては適正かつ合理的な数値の算出が困難であるため、四半期ごとに実施する決算業績および事業の概況のタイムリーな開示に努め、通期の連結業績予想については開示しない方針。
業績の見通しについて非開示を続ける姿勢は、経営陣の保身にも見え、個人投資家に対して不誠実対応に見える。

④2025年7月23日に、2025年3月28日開催の定時株主総会での株主提案に続き、ストラテジックキャピタルから臨時株主総会招集請求を受領。株主総会の目的事項は、定款一部変更(取締役解任決議要件を加重する条項の削除)、取締役の森下一喜さんの解任。

2号議案 取締役森下一喜さん解任の件について、ストラテジックキャピタルの主張は下記の通り。

1.森下一喜さんは当社の株主価値向上に失敗した責任がある
森下一喜さんは上場企業の代表取締役社長として当社の株主価値向上に最大の責任を負う。しかし、当社はこの10年間で時価総額は4,567億円(2015年6月末)から1,496億円(2025年6月末)へと約67%下落し、営業利益は724億円(2015年12月期)から174億円(2024年12月期)へと約75%の減益となった。世界のゲーム市場は10年間で4倍以上に成長し、ゲーム業界にとっては飛躍の機会であった。実際に、同期間の国内の大手ゲーム企業の株価パフォーマンスは、当社を除き以下のとおり、良好であった。つまり、森下一喜さんは、業界全体が安定して高い成長を続けた極めて恵まれた環境において、当社の株主価値を毀損してきたのである。したがって、森下一喜さんは当社の代表取締役社長として、当社の株主価値向上に失敗し、当社を衰退させた責任を自覚し、本来は取締役の職を自ら辞すことによって、代表取締役の座を降りるべきである。

2.森下一喜は経営者としての役割を果たせず当社を「一発屋」たらしめた責任がある
当社が株主価値向上を実現できない最大の理由は、当社がパズル&ドラゴンズ(パズドラ)を2012年にリリースしてから13年にわたり、次のヒット作を生み出せていない、いわゆる「一発屋」であることに帰結する。そして、当社が「一発屋」へと凋落した原因は、代表取締役社長である森下一喜さんが、「一発屋」のゲームクリエイター、つまり森下一喜さん自らに、ゲーム開発の全権を与えたことにある。実際に、当社は有価証券報告書において、「新規ゲーム開発にあたって、森下一喜さんが企画・開発・監修まで全ての行程に携わる最高責任者であることから、森下一喜さんへの依存度は高い」と開示している。もっとも、森下一喜さんがゲームクリエイターとして「一発屋」であることそれ自体よりもさらに大きな問題は、森下一喜さんが代表取締役社長として、自分自身という「一発屋」のゲームクリエイターにゲーム開発の権限を集中して与えた結果、当社をも「一発屋」と評価される状態に陥らせたことである。森下一喜さんは経営者である以上、適切と信じた人物に当社の事業の根幹であるゲームの企画・開発・監修を任せて失敗した場合に責任を負う立場にある。そして、当社においては、森下一喜さんは経営者として、自らがゲームの企画・開発・監修の任に当たり、その結果13年にわたり失敗を続けているのであるから、経営者としての責任を免れることはできない。以上のとおり、森下一喜さんが当社を「一発屋」たらしめた責任者である以上、森下一喜さんは当社の取締役として不適格であり、森下一喜さんを取締役から解任し、取締役としての地位を前提とする代表取締役社長の立場からも退かせるべきである。

3.当社および森下一喜さんは市場の信頼を失っている
当社は、有価証券報告書において「森下一喜さんが当社グループでの事業推進が困難となった場合、当社グループの経営成績、財政状態および今後の事業展開に影響を与える可能性がある」として、森下一喜さんが当社の株主価値向上に大きな貢献をしているかのように記載している。しかし、当社に対する市場の評価は、森下一喜さんが株主価値向上へ何ら貢献していないことを示している。当社の時価総額、すなわち株主価値は、2025年6月末時点で1,496億円であるのに対して、同年3月末時点で当社が保有する現預金は1,366億円と時価総額の約9割に相当する金額に達しており、当社の株主価値のほとんどは、現在保有する現預金の価値である。これは、市場において、当社に対して次なるヒット作は全く期待されていないことを意味するのであって、森下一喜さんが当社の株主価値向上に大きな貢献をしているかのような有価証券報告書の記載は誤りである。市場参加者が、ゲームクリエイターとしての森下一喜さんを、次なるヒット作を生み出せない「一発屋」であると評価し、またこのような「一発屋」にゲーム開発の権限を集中させている経営者としての森下一喜さんの能力も信頼していない以上、森下一喜さんの取締役退任によって当社の株主価値が毀損されるおそれはない。むしろ「一発屋」である森下一喜さんの影響力を低減させることは、当社への信頼を取り戻す可能性を高めるものである。

4.森下一喜さんは取締役として不適格であり代表取締役社長としても自覚に欠ける
森下一喜さんがこの10年間で当社を衰退させたことは上述のとおりであるが、以下の事実は森下一喜さんが取締役として不適格であり、かつ、代表取締役社長としてもその責任を全く自覚していないことを示唆する。

この10年間で、森下一喜さんの報酬は2億1,100万円から3億2,900万円に増額されていること(なお、任天堂の代表取締役社長の報酬は2億6,300万円である。)
・業績貢献に乏しく株主価値向上に寄与していない。「サモンズボード」や「ニンジャラ」といったタイトルについて、採算やユーザー獲得の観点からヒット作であると主張していること
・コーポレートガバナンス・コード原則5‐1(株主との建設的な対話に関する方針)をコンプライしている一方で、森下一喜さんは開発に専念するため、との理由で第2位の大株主である提案株主との面談を拒否し続けていること
・「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、具体的な対応方針を開示していないこと

5.森下一喜さんは当社取締役10名中、真に独立性のある社外取締役が3分の1末満となる2名に留まる取締役会構成に対して責任がある
2025年6月末現在、当社取締役会は10名で構成され、うち社外取締役は4名であり、全員が東京証券取引所および当社の定める独立性に関する基準(独立性基準)を満たす独立役員として届出されている。しかし、うち2名については、以下に記載するとおり、真に独立性があるということはできない。

a.社外取締役(田中晋さん)の独立性に疑義がある
田中晋さんは、任天堂において取締役、上席執行役員および業務本部長といった要職を歴任した。一方で当社と任天堂は、ゲーム業界におけるユーザーとプラットフォーマーの関係であり、コンシューマゲームの開発・販売許諾に関する契約を締結している。そして、当社は任天堂のプラットフォームであるNintendo Switchにおいて、3タイトルをリリースしており、任天堂は当社にとって重要な取引先である。なお、独立性基準においては、任天堂との取引金額が少ないことを根拠に任天堂を重要な取引先ではないと判断しているが、これは前述の3タイトルともに収益貢献が乏しいという当社の悲惨な結果を示しているに過ぎない。したがって、任天堂の要職にあった田中晋さんについては、真に独立性があるということはできない。

b.社外取締役(原悦子さん)の独立性に疑義がある
原悦子さんは、アンダーソン・毛利・友常法律事務所(AMT)のパートナー弁護士としてAMTと深い関係を有する。一方で当社は、AMTと法律顧問契約を締結している。また、AMTは、以下の事例に代表されるとおり、当社における重要な意思決定に関与してきた実績を有する。

・2013年のソフトバンクモバイルによる当社株式に対する公開買付けにおける当社の法務アドバイザー
・2014年に当社がGGF B.V.の全株式をソフトバンクに譲渡した際の当社に対する法的助言
・2015年の当社による自己株式の公開買付けにおける当社のリーガル・アドバイザー

したがってAMTのパートナーである原悦子さんについては、真に独立性があるということはできない。森下一喜さんは代表取締役に加えて、2025年2月14日まで、指名・報酬委員会委員長も兼任していた以上、このような真に独立性があるということはできない候補者を社外取締役として指名したことおよび真に独立した社外取締役が不足する取締役会の構成としたことについて責任を負っている。

6.森下一喜さんは社外取締役の独立性に関する重要な情報を株主に提供しなかった責任がある
当社の「第28期定時株主総会招集ご通知」において、田中晋さんと任天堂の関係および原悦子さんとAMTの関係については開示がなされているものの、当社と任天堂、当社とAMTの関係については、個別具体的な取引が記載されていないだけでなく、有価証券報告書や独立役員届出書には記載している重要な契約の存在さえも記載されていない。「第28期定時株主総会招集ご通知」では、両氏の独立性について「特別の利害関係はありません」と記載されたのみである。森下一喜さんは、当社の指名・報酬委員会委員長(当時)兼代表取締役社長として、社外取締役の独立性に関する重要な情報を株主に提供しなかったことに対して、責任を負っている

 

第2号議案 取締役森下一喜さん解任の件について、ストラテジックキャピタルの主張に対するガンホー・オンライン・エンターテイメントの反論は下記の通り。

2025年3月開催の当社の定時株主総会において、森下一喜社長は取締役に再任。このことは、森下一喜社長の長年にわたる当社への貢献について株主の幅広い支持があることの証左。

ストラテジックキャピタルの提案は、森下一喜社長解任後の経営体制や解任によって生じる悪影響への対応方法が全く示されておらず、無責任。

ストラテジックキャピタルが主張する6つの理由は、いずれも森下一喜社長を解任すべき根拠にはならない。

1.森下一喜社長は当社の業績に大きく貢献しており、当社の企業価値向上の観点から森下一喜社長が引き続き取締役を務めることが必要である
・森下一喜社長は当社の業績に大きく貢献している
・万一、森下一喜社長が解任された場合、当社の企業価値が大きく毀損されるおそれがある

森下一喜社長のこれまでの最高経営責任者および代表取締役社長としての当社の継続的かつ安定的な収益の創出に対する多大な貢献ならびに森下一喜社長を解任した場合に当社が被る企業価値の大きな毀損のおそれを勘案すると、森下一喜社長が今後も当社の取締役として当社の経営の中心を担うことが当社にとって最善の選択であると確信している。

2.提案株主の本議案の提案理由はいずれも森下一喜社長を解任すべき根拠にならない
a.森下一喜社長は、当社の株主価値向上に貢献している
b.当社は継続的かつ安定的な収益を上げており、当該収益に対する森下一喜社長の貢献は多大である
c.当社および森下一喜社長は、当社の株主から幅広い支持を得ている
d.提案株主が主張する森下一喜社長の取締役としての不適格性は認められない
・森下一喜社長の報酬金額は十分に合理性がある
・ゲームタイトルの価値を、短期的な業績への貢献のみによって判断することは適当でない
・提案株主に対する面談への対応は当社の役割分担に従ったものである
・「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」において具体的な対応方針の開示を行わないのは、当社の業界特性によるものであること

e.真に独立性のある社外取締役が2名のみであるという提案株主の主張は独自の見解であって、提案株主の主張する責任自体が森下一喜社長に存在しない
・田中晋さんに、東証独立性基準および当社独立性基準が定める独立性が認められる
・原悦子さんに、東証独立性基準及び当社独立性基準が定める独立性が認められる

f.当社は法令上の規定に基づき、社外取締役の独立性に関する情報を適切に開示している

 

⑦2025年8月8日に、2025年7月31日付けのストラテジックキャピタルの所有する議決権の数(所有株式数)および総株主の議決権の数に対する割合について、588万株、11.0%と公表。「総株主の議決権の数に対する割合」は、2025年6月30日現在の発行済株式総数69,161,416株から、同日現在の議決権を有さない株式を控除した総株主の議決権の数534,310個を基準に計算。

⑧2025年8月14日に、「元従業員(幹部級職員、既に懲戒解雇済み)が、過去数年にわたり、架空の業務発注を介し、会社資金を流用するなどの不正行為に及んでいたことが判明。」と公表。当該元従業員が、他社が運営する仕事依頼サービスサイトを介して、当社を発注者とし、当該元従業員自身を受注者とした架空の業務発注により、当社から業務委託費として支払われた金員の大部分を着服していたことなど(被害総額約2億4,600万円)を確認した。また、ある取引先に対し、業務の実態がないにもかかわらず業務委託費を不正に支払うことで当社の資金を流出させていた事実(被害総額約1億円)を確認した。本件の経営責任を明確にするため、代表取締役社長は、2025年8月より月額基本報酬の30%を3か月間減額、業務執行取締役は2025年8月より月額基本報酬の10%を3か月間減額。

⑨2025年9月8日に、元従業員による不正行為のうち、当該元従業員がある取引先に対して業務委託費を不正に支払うことで当社の資金を流出させていた件に関連して、今般、当社と本件取引先との間で、当社が本件取引先に返還を求めていた金額の全額の返還を内容とする和解をしたと公表。本件和解の概要は、「本件取引先は、当社に対し、速やかに7,000万円を一括で支払うとともに、本件不正行為によって当社が本件取引先に支払った金額(約1億円)から7,000万円を控除した残額を、2025年10月末日から2026年6月末日まで毎月分割で支払う。」との内容。
⇒「当該元従業員自身を受注者とした架空の業務発注により、当社から業務委託費として支払われた金員の大部分を着服(被害総額約2億4,600万円)」については記載が無く、今後の対応が気になるところ。

⑩社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は44,800万円。単純平均で取締役1人当たり7,466万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与17,800万円は含まず。有価証券報告書に、連結報酬等の総額が1億円以上である者として、社長の森下一喜さんが32,900万円との記載あり。

 

株主総会での個人メモ

①駅から会場までの間に、会場案内の看板を掲げたスタッフが要所に配置されていたが、会場案内の看板を裏返して掲げているスタッフがおり、前方からはベニヤ板の裏側しか見えなかったため印象的だった。

②株主総会冒頭に、社長の森下一喜さんから、元従業員による会社資金の流用などの不正行為が発生した件について、お詫びと、刑事告訴受領に向けて協力中であり、被害額の回収に適切に対応していくとの説明や、役員報酬減額などの説明があった。

③株主総会冒頭に、社長の森下一喜さんから、本臨時株主総会には、株主総会検査役が選任されているとの説明あり。
⇒株主総会検査役が選任されている状況から、株主提案の第2号議案の賛否について、微妙な状況と推察した。

④第2号議案について、取締役の坂井一也さんからは会社見解の説明、提案株主のストラテジックキャピタルからは補足説明がそれぞれ10分程度あった。
⇒ストラテジックキャピタルからの説明において、「代表取締役社長から解任したいが、ゲーム開発者として継続してもらっても構わない」「任天堂(7974)の社長より役員報酬が高い」「本音ではクリエイターとして専念したいのでは」「取締役の業務がクリエイティブな業務への支障となっている」「社長を降りて取締役や執行役員でも良いのでは」などのコメントが印象的。

③質疑応答で、「ゲームは差別化が大切。モーションキャピタルスタジオやアプリ外決済など、差別化に対する投資についてどう考えているのか?」との旨の質問あり。「モーションキャピタルスタジオは、自社で保有する必要は無いと考えている。AIの活用で低コストで対応できる。他は必要に応じて積極的に対応している。アプリ外決済については、慎重に考えなければならないが、やろうと思えば直ぐにでもできる。」との旨の回答。

④質疑応答で、「第2号議案について反論しているが、株価は低迷している。森下一喜さん自身は貢献していると思っているのか?」との旨の質問あり。「第2号議案についての会社説明資料は自分が作ったものではない。株価を伸ばしていけていない。業績を上げて株価を伸ばしていきたい。貢献していきたいし、従業員全員でそういう気持ちで対応していきたい。」との旨の説明。

⑤質疑応答で、「第2号議案について、賛成と反対の比率を開示して欲しい。」との意見あり。「開示する。」との回答。

⑥質疑応答で、提案株主のストラテジックキャピタルから、「社長の後継者育成計画について、取締役で指名・報酬委員会の委員長である宮川圭治さんに伺いたい。社長の森下一喜さんにクリエイターに専念してもらうためにも、のんびりした対応ではなく、社内外で探したほうが良いのでは?」との旨の質問あり。宮川圭治さんから、「これから議論していく。検討しているところ。」との旨の説明。

⑦質疑応答で、「株価が低迷している。業績などから見て、5,000~6,000円くらいの株価でも良いはず。株価としてもっと評価してもらえるように対応して欲しい。自社株買いや増配など、ネットキャッシュの恩恵を株主が受けられない点が不満。」との旨の意見あり。「業績を向上し、株価を上げるのが本質。」との旨の回答。

⑧質疑応答で、「森下一喜さんが取締役から解任されると企業価値が毀損すると説明されているが、8年前の決算短信を振り返って見たが、現状成長していない。株主提案があってからは、今期、売上も落ちている。営業利益も6割減益となっている。」との旨の意見あり。「業績の落ち込みと株主提案の関係は無い。課金が強すぎるとユーザー離れが起きる。意図的にイベントをコントロールしている。成長できていないとの意見については真摯に受け止める。」との旨の説明。

⑨質疑応答で、提案株主のストラテジックキャピタルに対し、「第2号議案についてのストラテジックキャピタルからの補足説明では、森下一喜さんは代表取締役社長でなければ取締役でも良いとの説明があった。取締役の解任議案と説明に矛盾がある。代表取締役社長であることが問題なのであれば、代表取締役社長として選任している取締役会が問題なので、森下一喜さんの取締役解任ではなく、森下一喜さん以外の取締役を解任し、ストラテジックキャピタルの意向に沿う取締役を選任した方が良いのでは?」との旨の質問あり。森下一喜さんから、「株主同士の議論の場ではない。提案株主に説明義務は課されていない。」との回答。ストラテジックキャピタルからは、「回答します。」との声が数度上がっていたが、森下一喜さんから無視されていた。
株主提案の議案に対する質問について、提案株主が回答する意思を示しているのにも関わらず、回答させない姿勢に大きな違和感あり。後にトラテジックキャピタルが回答する機会を与えていたが、議長には回答者を指名する権利もあるので、提案株主のストラテジックキャピタルを回答者として指名し、補足説明の機会を与えていればスマートな対応に見えたと思う。

⑩質疑応答で、「多額の現預金を抱えているが、どのくらいの保有が適切だと考えているのか?」との旨の質問あり。「自社株買いや配当について、取締役会で議論していきたい。」との説明。

⑪質疑応答で、「新作を定期的に出せれば株価が上がるのでは?新作の開発の見通しを教えて欲しい。」との質問あり。「プレスリリースを確認して欲しい。」との回答。

⑫質疑応答で、「開発のやり方、社長の森下一喜さんが一人でやることや、お金のつぎ込み方など、妥当だったのか?」との旨の質問あり。「私一人で作品を作るわけではない。成長していくためには世界での成功が重要。日本と世界で同時リリースをポリシーとしている。新しい技術ややり方を導入して改善していきたい。」との旨の説明。

⑬質疑応答で、提案株主のストラテジックキャピタルから、「先ほどの株主からの質問に対し回答したい。」との意見あり。会場から拍手が湧き、議長の森下一喜さんが発言を認めた。ストラテジックキャピタルから、「補足説明と第2号議案の内容は矛盾していない。森下一喜さんには取締役から降りてもらう。執行役員など、経営に関与しない形で関わってもらう。」との回答あり。

⑭質疑応答で、提案株主のストラテジックキャピタルから、「社長の森下一喜さんは、ゲーム開発に専念したほうが良い。何故、取締役でなければならないのか?経営と執行の分離が基本だと思う。取締役で指名・報酬委員会の委員長である宮川圭治さんに伺いたい。」との質問あり。宮川圭治さんから、「会社の実態を見ていない社外の意見だと思う。提示している説明資料以外、特にコメントは無い。」との説明。森下一喜さんから、「年齢もあり数年前から考えてはいるが、今はその時ではない。」との追加説明あり。

⑮質疑応答で、「社長の森下一喜さんにとって、株価を上げるインセンティブが無いのでは?森下一喜さんの貢献が数値で示されていない。株価を上げるよりも高額な役員報酬を継続して何年も受け取る方が森下一喜さんにとっては儲かる。役員報酬を自社株で受け取るようにすれば良いのでは?企業価値が向上していないのに役員報酬が高すぎる。」との旨の質問あり。「指名・報酬委員会で議論中。株価に連動する役員報酬も考えている。指名・報酬委員会に一任する。」との回答。

⑯質疑応答で、提案株主のストラテジックキャピタルに対し、「社長の森下一喜さんは、前回の定時株主総会で取締役に選任されている。その後、特に不祥事などがあったわけではない。臨時株主総会を招集した大義はあるのか?このような臨時株主総会の開催請求を続けるつもりなのか?」との質問あり。森下一喜さんから、「株主同士の議論の場ではない。提案株主に説明義務は課されていない。」との回答があったものの、最後の質問とのことで、森下一喜さんがストラテジックキャピタルからの発言を認めていた。ストラテジックキャピタルから、「3月の定時株主総会では、森下一喜さんの取締役選任について反対を投じている。次回の定時株主総会まで待てない理由は、まず、森下一喜さんに会ってもらえないこと。また、当第1四半期の業績が悪化しており、早く森下一喜さんの取締役解任をやったほうが良いと考えた。今時点、追加の臨時株主総会の開催請求は考えていない。」との旨の説明あり。

⑰議案の採決方法は拍手での採決。株主総会検査役の確認が終わるまで拍手を続けるようにとの森下一喜さんの議長指示あり。拍手自体は同程度のように見えたが、結果、第2号議案は否決された。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、社長の森下一喜さんが柔らかい口調で多くの質問に対し回答対応されていました。一方で、森下一喜さん、宮川圭治さんからの回答内容については、数値を示した定量的な説明はほぼ無く、ふわっとした回答が多かった印象でした。

第2号議案に対するガンホー・オンライン・エンターテイメントとストラテジックキャピタルからの説明を聞く限り、社長の森下一喜さんは、プロ野球に例えて言うなら、「支配オーナーを持たない球団において、1軍で活躍する主力選手が、監督も兼任し、球団社長も兼任している。」ような状況にあるように感じました。

森下一喜さんの年齢(52歳)や会社の規模を考慮すると、経営もしくはクリエイターのどちらかに専念されたほうが良いようにも思います。

一方で、ストラテジックキャピタルについては、昨年のダイドーリミテッド(3205)への一件において、社会的な評判を損ねている面もあり、今回どのような対応を行うのか興味があります。なお、大量保有報告書を見るかぎり、株式の平均取得価格は2,987円程度のようです。

2021年12月期より業績が下降線を辿っており、今期の業績予想も非開示なので不信感が募りますが、ストラテジックキャピタルの今後の対応によっては、会社が変わる過渡期にもなるとも思います。株主総会ではいくつか違和感を感じましたが、継続、ガンホー・オンライン・エンターテイメントとストラテジックキャピタルの動向を注視します。

 

株主総会会場のグランドプリンスホテル新高輪
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