富士古河E&C 臨時株主総会
日時:2024年12月26日(木) 10:00-10:35
場所:富士古河E&C本社(京急川崎駅徒歩3分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業情報
富士古河E&C(1775)
HP:富士古河E&C株式会社 – もっと最適に。もっと快適を。
①社会インフラ工事、産業システム工事、発電設備工事、送電工事、内線工事、建築・土木工事、ならびに情報通信工事を手掛ける「電気設備工事業」(売上構成比67%)を中心に、産業プロセス空調設備工事、一般空調・衛生設備工事を手掛ける「空調設備工事業」(売上構成比32%)、物品販売および補修・修理などのサービス事業を行う「その他」(売上構成比1%)を運営。
②筆頭株主は、重電大手の富士電機(6504)で、415万株、46.2%を保有。
電線大手の古河電気工業(5801)が、第2位の株主として、181万株、20.2%を保有。
光通信(9435)の子会社の光通信が、第4位の株主として、17万株、2.0%を保有。
ITサービス国内首位の富士通(6702)が、第5位の株主として、17万株、1.9%を保有。
株式情報
時価総額:693億円(2024年12月25日時点)
売上高:1,036億円(2024年3月期実績)⇒940億円(2025年3月期予想)
株価:7,680円(2024年12月25日時点)
1株純資産:4,648円(2024年9月末時点)、PBR:1.65倍
1株当期純利益:578円(2025年3月期予想)、PER:13.2倍
1株配当:190円(2025年3月期予想)、配当性向:32%
配当利回り:2.4%
株主数:2,612名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①設備工事業界においては、資機材価格の高騰、納期の長期化および労働力不足が続く中、生成AIやクラウドサービスの拡大によるデジタル化に向けたデータセンタ関連、EVや再生可能エネルギーを中心とした脱炭素関連、人手不足および生産性向上に対応するための省力化関連などの設備投資は堅調に推移した。また、当社が事業展開している東南アジアにおいても、内需や輸出が堅調に推移したことなどにより、景気は回復傾向が続いた。このような状況のもと、2024年5月に中期経営計画『Progress E&C 2026』で発表したとおり、当社を取り巻く事業環境の変化に柔軟に対応しながら、データセンタ向け事業の領域拡大を柱とした環境関連事業の拡大に取り組み、人財の確保と育成に向けた人的資本の増強を図ると同時に、建設業界におけるDX推進の高まりから、研究開発とDXの融合ならびに生産性の向上を図るなど経営基盤の強化に努めていく。
②当中間連結会計期間の業績については、前年に注力分野である半導体分野やロボット分野などの大口案件があったことから、受注高474億円(前年比24.3%減)、売上高394億円(前年比11.2%減)となった。利益面では、価格転嫁が進捗したこと、および施工管理の強化による採算の改善に努めたことから、営業利益27億72百万円(前年比57.2%増)、経常利益29億28百万円(前年比52.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は、19億8百万円(前年比65.5%増)と増益となった。
③電気設備工事業は、受注高は343億円(前年比20.3%減)、売上高は269億円(前年比8.6%減)、営業利益は12億61百万円(前年比43.0%増)となった。受注高は前年に工作機械メーカーを始めとする民間設備投資および、送電分野を中心としたプラント設備の大型案件があったことに加え、海外のデータセンタの大型案件があったことなどから前年を下回った。売上高は水処理施設などの社会インフラ案件の減少および海外案件の計画延伸などにより前年同期を下回った。営業損益は施工管理の強化による採算の改善に努めたこと、および価格転嫁が進捗したことなどから前年を上回った。
④空調設備工事業は、受注高は120億円(前年比34.4%減)、売上高は118億円(前年比16.6%減)、営業利益は13億68百万円(前年比98.0%増)となった。受注高は前年に半導体分野の大型案件があったこと、および民間設備投資案件の減少などにより前年を下回った。売上高は前年にあった大型半導体案件の工事進捗の影響などから前年を下回った。営業損益は高採算案件の影響などから前年を上回った。
⑤富士電機および富士古河E&Cは、2024年10月31日に開催された両社の取締役会において、それぞれ、富士電機を株式交換完全親会社、富士古河E&Cを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決議し、同日、両社間で株式交換契約を締結。
⑥富士電機は、1923年8月に古河電気工業とドイツのシーメンスとの資本・技術の提携により富士電機製造として設立され、2023年に創業100周年を迎えた。世界で脱炭素社会の実現に向けた取組みが進む中、富士電機は、パワー半導体、パワーエレクトロニクス、計測・制御、冷熱技術をコア技術に、地熱や水力、風力、太陽光発電などのクリーンエネルギーの主流化、受変電設備や無停電電源装置(UPS)によるエネルギー供給の安定化、インバータやパワー半導体、自動販売機を使った省エネルギー・自動化・電化など、エネルギーの供給サイドから需要サイドまで広くソリューションを提供しており、これらの事業を富士電機および富士電機の関係会社119社において展開。
⑦富士古河E&C合併当時と比較して総合設備企業に期待される付加価値は、施工・設置後のメンテナンスやアフターセールスの提供から、ソリューションの提供へと大きく変化してきている。同時に、太陽光パネルの設置需要など、再生可能エネルギー案件の広がりや2016年からの電力小売全面自由化に伴う電気設備工事需要の拡大など外部環境の変化も著しい状況にあり、労働人口の減少や就業者の高齢化を受けた慢性的な人手不足への対応を踏まえた、労働環境・処遇改善や省人化ニーズの高まりに対処していく必要がある。このように設備工事業界を取り巻く環境が富士古河E&C合併当時から大きく変化している中、富士古河E&Cにおける事業の継続的な成長に対する難易度はますます高まっている。
⑧富士電機は、2023年9月頃から、富士電機中期経営計画における富士電機グループとしての目指すべき姿について社内で議論を重ねてきた。当該議論において、富士古河E&Cにおける課題解決と合わせ、これまでも富士古河E&Cとの事業連携により顧客と社会に提供してきた、「クリーンなエネルギーを創り、エネルギーを安定的に供給し、さらに需要家サイドの省エネ、自動化、電化に貢献する事業と技術」というコアな提供価値を、富士古河E&Cの完全子会社化によって拡大・拡張し最大化させることができると考えるに至り、富士古河E&Cの完全子会社化の検討を進めた。具体的には、富士電機の事業との戦略的な整合性、両社で発現できるシナジー、富士古河E&Cの少数株主および富士電機の株主の利益への影響などの観点を総合的に検討した結果、富士古河E&Cを株式交換により完全子会社化し、両社の既存事業・技術と新たに創出するシナジーを活かした更なる協業体制の強化とそれによる経営資源の有効活用、重複機能の解消による経営資源の最適な配分など、さらに踏み込んだグループ一体化経営を実現することで、富士古河E&Cを含んだ富士電機グループ全体の企業価値向上を目指すことが最善であるとの結論に至り、2024年6月24日に、富士電機から富士古河E&Cに対して本株式交換の提案を行った。
⑨上場廃止日は、2025年1月30日の予定。富士古河E&C株式1株に対して、富士電機株式0.93株を割当交付。
⑩2024年11月27日開催の取締役会において、商号変更および定款の一部変更について2024年12月26日開催予定の臨時株主総会に付議することを決議。商号を「富士古河E&C」から「富士電機E&C」へ変更する。
⑪2024年5月29日に、中期経営計画を公表。2027年3月期に、売上高1,050億円、営業利益85億円、親会社株主に帰属する当期純利益55億円。
⑫社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は10,300万円。単純平均で取締役1人当たり1,716万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、富士古河E&C本社内の会議室での開催。
②質疑応答で、「今回の株式交換について、10月31日に公表されたが、10月28日まで1日の株式売買の出来高が5千株程度であったのに対し、10月29日と10月30日は出来高が20千株程あり、情報が洩れてインサイダー取引があったのではと疑う。株式交換比率算定書を入手したのは10月30日とあるが、何時何分に入手したのか教えて欲しい。」との質問あり。「算定書を入手した時間については、手元に資料が無く回答できない。株式交換については、10月31日の15:30に開示した。」との説明。
③質疑応答で、同一株主から続けて、「株式交換比率算定書を入手した10月30日の時刻について、後日でも良いので調べて教えて欲しい。」との質問あり。「後日でも回答できない。」との回答。
社長の日下高さんの回答内容に矛盾を感じた。
④質疑応答で、「富士電機は配当が少ない。少数株主が不利益を被ることになる。救済措置は無いのか?」との質問あり。「親会社の富士電機と交渉する際に、配当についても考慮したうえで交換比率を決定した。プレミアムを付け対応している。」との説明。
⑤質疑応答で、「上場廃止となるが、上場している間の良かった点や課題点など総括を伺いたい。」との意見あり。「15年間、右肩上がりで成長できた。今後、環境が変わり、単独では持続的な発展が危うくなった。」との旨の回答。
⑥第1号議案について、採決後、反対する株主については株式買取請求の案内があるとのことで、株主総会終了後に受付に申し入れるようにとの案内あり。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、富士古河E&C本社での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答は、スタンドマイクまで移動して質問をするスタイルでしたが、途中、株主席に座ったままの株主と社長の日下高さんの質疑応答が何度か続き、内容がよく聞こえない他の出席株主から、議事進行方法について苦言が呈されていました。
今回の株式交換により、富士古河E&Cは2025年1月30日に上場廃止予定となります。
富士古河E&Cの株主総会としては。恐らく最後の株主総会となりますが、年末のこの時期に、株主総会に足を運び、最後まで応援してくれている株主に対して、社長の日下高さんからは、特段コメントも無く、やや寂しい印象を受けました。
社長の日下高さんは親会社の富士電機出身でもあり、日下高さんの目から見て、親会社以外の少数株主にはあまり興味が無かったのかもしれませんが、最後の株主総会としては物足りなさを感じました。
株主総会ではいくつか違和感を感じましたが、富士古河E&Cについての知見について、富士電機へ投資する際の参考にします。