東京一番フーズ 第26回定時株主総会
日時:2024年12月24日(火) 10:00-11:05
場所:小田急ホテルセンチュリーサザンタワー(新宿駅徒歩1分)
出席株主数:約20人
お土産:無し
企業情報
東京一番フーズ(3067)
HP:株式会社 東京一番フーズ|コーポレートサイト (tokyo-ichiban-foods.co.jp)
①「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」「おいしい寿司と活魚料理魚の飯」「うまい寿司と魚料理魚王KUNI」「寿し常」などのブランドを直営およびフランチャイズにて展開する「飲食事業」(売上構成比90%)を中心に、自社養殖魚などの活魚・鮮魚を法人・個人向けに販売を行う「外販事業」(売上構成比10%)を運営。
②筆頭株主は、社長の坂本大地さんの資産管理会社のなにわで、坂本大地さんの個人の保有分を含め、364万株、40.9%を保有。
取締役の良川忠必さんが、第4位の株主として、9万株、1.0%を保有。
③株主優待(3月末、9月末)
500株:株主様ご優待券1枚
1,500株:株主様ご優待券2枚
2,500株:株主様ご優待券3枚
3,500株:株主様ご優待券4枚
4,500株:株主様ご優待券5枚
※株主様ご優待券は、下記商品からの選択
1枚:泳ぎとらふぐコース一人前、焼きふぐ特別プラン(玄海)一人前、魚沼産コシヒカリ2kg
2枚:全国お取り寄せ「くつろぎ」セット(3〜4人前)
株式情報
時価総額:44億円(2024年12月23日時点)
売上高:74.5億円(2024年9月期実績)⇒80.8億円(2025年9月期予想)
株価:492円(2024年12月23日時点)
1株純資産:171円(2024年9月末時点)、PBR:2.87倍
1株当期純利益:32.5円(2025年9月期予想)、PER:15.1倍
1株配当:無配(2024年9月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配、株主優待利回り:6.2%(500株保有時、優待品を7,700円として計算)
株主数:5,536名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①当社グループは、飲食事業を起点に、卸売事業、加工事業、養殖事業を垂直に展開する6次産業化を推進している。その目指すところは、SCM(サプライチェーンマネジメント)力のある垂直統合型の総合水産企業の展開。目的は、グループ飲食店舗のお客様、外販先(飲食業者、小売業者、卸売業者など)とダイレクトに情報共有することで、すべての事業においてお客様視点からの生産・物流等の業務の改善、イノベーションの推進による新たな価値の創造にある。
②飲食事業においては、水産物SCMによるトレースが確認できる安心・安全な食材の調達と職人の技を駆使した満足度の高い料理・サービスの提供をモットーとしている。また、ポテンシャルの高い海外市場に向けた水産物の事業展開を図るため米国ニューヨークに出店しているシーフードレストランにおいては、水産物6次産業化体制を基盤とするサスティナビリティが評価されることで業績は順調に推移している。当第4四半期においては、国内の消費行動が活発化する中、人々の外食機会がさらに増加している。また、我が国への海外からの旅行者の増加傾向も活発化してきているので、それへの対応策を強化している。しかし、同時に、労働力不足が深刻化する中、当社グループの目指すサービス水準を維持することに努めている。以上の結果、売上高は74億52百万円(前年比2.7%増)、営業利益2億17百万円(前年比56.7%増)、経常利益2億46百万円(前年比36.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益39百万円(前年比63.9%減)となった。
③飲食事業は、「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」においては、当第4四半期の売上高も前年を上回った。これは、海外からの旅行客需要増を店舗で獲得できたことと、家庭内の需要を獲得するためのSNS配信などに力を入れたことで当期デリバリー売上高も拡大できたことによる。また、子会社の長崎ファームの陸上養殖が順調に推移していて、とらふぐ亭への6月以降の安定的な供給が功を奏し、原価安定に寄与している。「寿し常」においては、6月30日の成増店閉店で不採算店舗の整理を一段落し、8月1日に、寿し常本店を本店ビルのリノベーションと店舗のリニューアルで新店舗「寿し常総本店」としてオープンした。こうしたスクラップ&ビルド戦略により、寿し常の当第4四半期の営業利益は前年比171.8%増となった。ニューヨークにおいては、賃金と諸物価高騰によりレストランが淘汰されている中においても健闘しており、WOKUNI2号店の開店準備を推進している。以上の結果、飲食事業は、売上高67億18百万円(前年比1.5%増)、セグメント利益2億15百万円(前年比214.7%増)となった。
④外販事業は、養殖部門においては、「平戸本まぐろ極海一番」の養殖生産は順調に推移しているが、新型コロナウイルス発生時期のまぐろ稚魚池入れ尾数が少なかったことが原因で、当第4四半期の本まぐろの売上高、利益額ともに前年を下回った。平戸養殖場では、SDGs14の「海の豊かさを守る」の当社ゴールを目指す活動を継続している。この活動の一環として前期に続き当第4四半期も「近大の人工種苗マグロ」を導入した。卸売部門においては、北米への輸出事業開始に向けて、当社と同じサスティナビリティ志向の生産者との取り組みを開始している。こうした水産物をニューヨークの自社店舗「WOKUNI」にて「おすすめメニュー」として販売し高評価をいただいているので、さらに製品化・マーケティング活動を推進していく。以上の結果、外販事業は、売上高7億33百万円(前年比15.3%増)、セグメント利益2百万円(前年比96.2%減)となった。
⑤今後の見通しについては、飲食事業においては、魅力のあるメニュー提供とサービス・利便性を強化し店舗とともに自宅需要も獲得することで、さらに収益の拡大に努めていく。また、その基盤となる水産物を調達する事業においては、自社養殖のとらふぐや本まぐろを基軸とするSCMの推進による差別化に努め、また、そのスキームを海外へも展開していく。以上により、2025年9月期の業績見通しは、売上高80億82百万円、営業利益3億31百万円、経常利益3億41百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2億93百万円を予想。
⑥「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」大森店および浦和店は業績改善の見通しが立たないことから、減損損失を51,059千円計上。また 、子会社である寿し常では、同社が運営する「海鮮処 寿し常」松戸駅前店は業績改善の見通しが立たないことから、減損損失を652千円計上。
⑦店舗数は66店舗(FC2店舗を含む)。
⑧取締役と監査役候補7名中、70歳以上の候補者は岩成和子さん(1949年生まれ、75歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑨社外取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は5,227万円。2023年12月に退任した2名分を3ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,493万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①事業報告は、ほぼ割愛され、社長の坂本大地さんがトピックを中心に説明されていた。
②「マグロの市況は安値で推移しているが、仕入れ値に対しまだ良い値段で取引できている。」との説明。
③「とらふぐ全体の流通量のうち、他社への販売分も含めて関東でのシェアは約3分の2。全国で見ても恐らく日本一。」との説明。
④「とらふぐは、アジア系のインバウンドに人気がある。」との説明。
⑤「米国で、WOKUNI 2号店のBroadway店を2025年8月オープン予定。ただ、ガスの開通にも3ヶ月以上かかったりもするお国柄なので、オープン日は現時点の予定。」との説明。
⑥寿し常総本店のあるビルへ、本社事務所と本店を移動する模様。
⑦質疑応答で、「IRに電話問合せしても、担当者不在と言われることが多い。IRの専属担当を用意して欲しい。」との意見あり。「専務の岩成和子さんが1人でIRを担当しているが、もう1名の担当者を付ける予定。」との回答。
⑧質疑応答で、「とらふぐ亭大森店と浦和店は業績改善の見通しが立たないとのことで、減損損失を5,000万円計上しているが、閉店予定なのか?」との質問あり。「営業利益段階では両店ともに黒字を確保してる。本社経費を含めると赤字の状況。売上も上ってきているので撤退予定は無い。」との説明。
⑨質疑応答で、複数の株主から「株価が低迷している。対策は?」「IR発表が少なすぎる。株価対策にもなるのでIRを積極的に出して欲しい。」との株価に関する質問や意見あり。「株価の期待に応えられず申し訳ない。コロナでは生き残れた自負があるが、海外事業の取り組みなどがなかなか理解されず、人気が無い状況。数字として表れるように頑張りたい。成長していることをご理解いただき、株主にできる限り還元したい。」との旨の回答。
⑩質疑応答で、「2024年9月期の無配は理解するが、今後の株主還元について、どのような対応を考えているのか?」との質問あり。「コロナで財務に大きなストレッチがかかった。寿し常は、株主優待を提供するとらふぐ亭レベルのクオリティーにまだ達していない。成長を考えているので、投資と株主還元の配分を考えている。もう少し待って欲しい。」との説明。
⑪質疑応答で、「大分県の陸上とらふぐ養殖場からの出荷について3割を目指すとのことだが、3割までとするのか?それとも100%を目指すのか?」との意見あり。「海水温の上昇で長崎県平戸ではとらふぐが育たなくなってきた。大分県の陸上とらふぐ養殖場は3割として、外部の7割についてはリスクヘッジ。閉鎖循環ができると将来的に関東近郊でもとらふぐの養殖ができ、輸送コストを抑えることができる。」との旨の回答。
⑫質疑応答で、「会社四季報を見ると、株主数、株主情報の詳細(外国、浮動株、投信、特定株)の記載が無い。情報をしっかりと出して欲しい。」との意見あり。
⑬質疑応答で、「「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」と「寿し常」について、セグメントでまとまっているので状況が分からない。セグメントを分けて欲しい。」との意見あり。「対応する。」との回答。
⑭質疑応答で、「連結ではほぼ打ち消されている、単体の貸借対照表で計上されている貸倒引当金4億円の詳細を教えて欲しい。」との質問あり。「詳細は差し控えるが、ニューヨークのコロナ関係と、長崎ファームに関するもの。不良債権では無く、繰り戻しできると考えているが、監査法人の指導により会計処理上、計上した。」との回答。
恐らく子会社からの借入と推測。
⑮質疑応答で、「米国事業の状況をもう少し詳しく説明して欲しい。」との質問あり。「為替の影響もあり、日本の店舗よりも1.3倍~1.5倍の売上がある。ニューヨークのWOKUNI 1号店が好調なので、2号店のBroadway店の開店予定となった。ドルで稼いで日本に還元したい。」との説明。
株主総会を終えて感じたこと
捌きたてのふぐ身がピクピクと動く「とらふぐ亭」の泳ぎてっちりや、「寿し常」の美味しいお寿司が好きなので、株主優待も楽しみに、平均504円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、質疑応答に重点を置いて時間を割いており、多くの質問に対して社長の坂本大地さんを中心に丁寧に回答対応されていました。特に、低迷している株価に関する質問や意見が多く出ていました。今回、興奮のあまり退場宣告寸前の警告を繰り返し受けていた株主もいましたが、坂本大地さんが毅然とした態度で議事進行されていました。
旺盛なインバウンド需要の恩恵による業績の向上に期待し、また、過度な期待はしませんが、創業30周年の記念優待や記念配当の可能性にも期待して、継続保有の予定とします。
コロナ禍で外食産業が厳しい中、増資もせずに頑張っていた姿勢も好きなので、追加投資も検討します。
2024年6月3日に到着した東京一番フーズの株主優待の内容についてはこちら↓
東京一番フーズの株主優待が到着しました【2024年6月3日】 | ぽこタンの株主総会日記