データセクション 臨時株主総会
日時:2024年12月19日(木) 9:00-9:40
場所:東京建物日本橋ビル(日本橋駅直結)
出席株主数:約10名
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業情報
データセクション(3905)
HP:データセクション株式会社 | 未来のビジネスをAIとデータで創造する
①AI・システム開発事業、ソーシャルメディア分析事業、リテールマーケティング事業、新規事業を行う「国内事業」(売上構成比62%)、グローバル20か国以上への「FollowUP」展開を行う「海外事業」(売上構成比38%)を運営。
②総合通信大手のKDDI(9433)が、第2位の株主として、210万株、12.2%を保有。
元社長の林健人さんが、第4位の株主として、103万株、6.0%を保有。
株式情報
時価総額:117億円(2024年12月18日時点)
売上高:22.2億円(2024年3月期実績)⇒33.1億円(2025年3月期予想)
株価:662円(2024年12月18日時点)
1株純資産:152円(2024年9月末時点)、PBR:4.35倍
1株当期純利益:12.2円(2025年3月期予想)、PER:54.2倍
1株配当:無配(2025年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:6,085名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①AIビジネスの国内市場においては、2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられている。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想され、それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されている。
②南米のスマートリテールデバイス市場は、2019年の18億3,220万米ドルから2027年までに26億6,920万米ドルに成長すると予想されている。2020年から2027年までに5.3%のCAGRで成長すると推定されている。南米のスマートリテールデバイス市場は、ブラジル、アルゼンチン、およびその他の南米の地域に分類される。この地域には複雑なマクロ経済的および政治的環境を抱える国がいくつかあり、さまざまな成長シナリオが存在する。ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの発展途上国は、インフラストラクチャーや小売部門の開発に多額の投資を行っている。さらに、これらの地域の多くの小売業者は、競争力を高め、変化のメリットを適応させるためにデジタル変革を開始している。コロンビアとブラジルはデジタルイノベーションに急速に進化しており、チリはデジタル化とイノベーションにおいて最も優れた国にランクされ、「傑出した」国とみなされている。このデジタル変革は、地域全体のスマート小売デバイス市場に新たな機会を提供する。都市化の進行により、さまざまなショッピング複合施設やレクリエーションセンターが成長しており、この地域のスマート小売デバイスの需要が高まると予想されている。
③テールテック(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されている。
④デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界については、実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでおり、今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待されること。ショッピング体験の拡充に向けて、小売事業者やSI、広告事業者がAR/VR技術を活用した展開を進められていること。デジタルオペレーションでは、自動発注システムが食品や総合スーパーを中心に採用が広がっており、卸事業者のSCM向けの導入も期待され、また、需要予測システムは廃棄ロス削減やSDGs対応ニーズにより、全国展開する大手リテーラーで導入が進んでいることから、2030年度予測は2021年度比3.6倍の1,852億円と予測されている。
⑤2025年3月期第2四半期は、中間連結会計期間において、MSSを取得したことに伴い、新たに連結子会社としている。売上高は1,359百万円(前年比38.9%増)となった。これは、データサイエンス事業を中心に各事業が伸長したこと、および2024年7月1日付で買収したMSSを当中間連結会計期間より連結子会社化したことを主要因とするもの。売上原価は774百万円(前年比16.0%増)となった。売上原価の主な内訳は、人件費388百万円、業務委託費235百万円、減価償却費80百万円、サーバー使用料25百万円。販売費及び一般管理費は751百万円(前年比59.2%増)となった。販売費及び一般管理費の主な内訳は、人件費449百万円、業務委託費61百万円、支払報酬料40百万円、のれんおよび顧客関連資産償却費39百万円、地代家賃29百万円、支払手数料21百万円、租税公課20百万円、監査報酬16百万円、旅費交通費13百万円。営業外収益は、受取利息として1百万円、その他営業外収益として4百万円を計上した。営業外費用は、為替差損として40百万円、支払利息として17百万円、持分法による投資損失として3百万円、その他営業外費用として2百万円を計上した。特別損益は、特別利益において、債務勘定整理益として6百万円、投資有価証券売却益として5百万円、特別損失において、固定資産除却損として4百万円を計上した。法人税等合計は、法人税、住民税および事業税として21百万円、現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、法人税等調整額を5百万円計上したことなどにより、法人税等合計については、27百万円を計上した。上記より、売上高1,359百万円(前年比38.9%増)、当社単体において、既存事業の再構築と新規事業の立ち上げを併進している中で、依然一定のコスト負担があることから、営業損失167百万円(前年は162百万円の営業損失)、調整後EBITDAは△16百万円(前年は△53百万円)となった。また、営業外費用に為替差損40百万円などを計上した結果、経常損失225百万円(前年は123百万円の経常損失)となり、債務勘定整理益として6百万円、法人税等合計27百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純損失246百万円(前年は99百万円の純損失)となった。
※調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用
⑥国内事業は、データサイエンス事業は、2023年9月に事業譲受を受けた事業で構成しており、当連結会計期間からフル寄与するため、売上高は大幅に増加した。システムインテグレーション事業は、当社において大型の開発案件を受注したこと、および連結子会社であるディーエスエスにおける受注が堅調に推移したことで、売上高は前年と比べ増加した。マーケティングソリューション事業は、2024年7月1日付で買収したMSSを当中間連結会計期間より連結子会社化したことから、売上高は前年と比べ増加した。これらの結果、データサイエンス事業を中心に各事業が伸長したこと、および2024年7月1日付で買収したMSSを当中間連結会計期間より連結子会社化したことを主要因とし、国内事業における当中間連結会計期間の外部顧客への売上高は818百万円(前年比50.6%増)となり、体制強化のための人件費および外注費(業務委託費)の増加によりセグメント損失は47百万円(前年は69百万円のセグメント損失)となった。
⑦海外事業は、主要な拠点であるチリ・コロンビアにおける受注の堅調な推移に加えて、前連結累計期間における連結子会社(パナマ・スペイン)増加による効果もあり、売上高は前年と比べ増加した。 これらの結果、海外事業における当中間連結会計期間の外部顧客への売上高は540百万円(前年比22.4%増)となり、セグメント利益は83百万円(前年比2.6%減)となった。
⑧純資産27.5億円に対し、のれん13.8億円を含めた無形固定資産が19.1億円と多く、注意が必要。
⑨2024年12月9日に、「Super Micro Computer Inc.、シャープ(6753)およびKDDIとの間で、シャープ堺工場跡地でのAIデータセンター構築に向けた協議を行うことで基本合意し、当事者間協議を進めてきたが、本合意において当初想定されていた枠組みを改めて見直すこととなり、2024年12月9日付で当該協議を終了した」と公表。
⑩2024年11月18日に、副社長の岩田真一さんが代表取締役を辞任。AIデータセンターの運営、AIクラウドサービスなどのAI分野での新戦略について、競争優位性の確立に向けて、新経営体制への移行をより迅速に進めることが不可欠との理由。2024年12月19日開催の臨時株主総会の終結をもって、任期満了により取締役も退任。
⑪2024年11月15日に、エレクトロニクス製造サービス(EMS)を提供している台湾有数の企業で、サーバー、ブレードサーバー、ネットワークスイッチ、ストレージ、サーバーマネジメントなどの設計・製造・サービスを手掛けるInventecとの業務提携に向けた協議に入る旨を同日付で決定し、Inventecとの間で基本合意書を締結。両社の技術、製品、リソースおよびネットワークを活用し、今後も需要拡大が見込まれるAIサーバー分野における最先端のNVIDIA社製GPUを搭載したサーバーの確保、およびAIデータセンターの設営などにおける協業が目的。
⑫2024年10月7日に、データセンター設計・建設の実績・ノウハウを持つ信越科学産業と、AIデータセンターの設計、調達、建設および運営に関するEPC(Engineering, Procurement, and Construction)の業務提携に関する基本合意を締結することを決定。AIデータセンターの設計・建設・運営におけるリーディングカンパニーとして、革新的なソリューション提供を目指し、次世代のAIデータセンターのスタンダードを確立し、より持続可能で効率的なサービスの提供を実現する。
⑬2024年8月19日に、Solaria Energia y Medio Ambiente SAとの間で、AIデータセンター構築に向けたCollaboration and Joint Working Agreementを締結することを決議。両社は、Solariaの工場跡地に AIデータセンターを構築し、早期に稼働を開始することを目指す。Solaria Energia y Medio Ambiente SAは、2002年に設立され2007年にマドリード証券取引所に上場している。欧州における最大手のグリーンエネルギー発電会社の一つであり、スペイン、ポルトガル、ドイツ、イタリア、ギリシャおよびウルグアイの6カ国において、合計で3ギガワットを超える太陽光発電所を運営(稼働中または建設中含む)している。また、風力発電とバッテリーも活用することで電力供給の最適化を行い、現在18ギガワットを超えるプロジェクトを推進中。そのうち5.6ギガワットのリニューアブルエナジープロジェクトに対し、2023年に European Investment Bankより18億ドルの融資を確保している。また、Solaria Energia y Medio Ambiente SAは、864㎞の高圧および中電圧線、合計55カ所の太陽光発電所、および97カ所の変電所を有しているが、それらの電力インフラ設備を活用し、データセンター部門を新設のうえ、スペイン・カスティーリャ・ラ・マンチャ州シウダー・レアル県プエルトリャノにある同社の太陽電池セルとモジュール工場をAIデータセンターに転換するプロジェクトを進めているが、本合意に基づき、プエルトリャノにある同社の自社設備を段階的に100,000m²を目途として、本プロジェクトの用地として使用する予定であるほか、200メガワット以上の電力を本プロジェクト用に提供する予定。当社は、NVIDIAの先端GPUを含むAIサーバーを当社の提携先であるSupermicroから本プロジェクト向けに調達するほか、AIデータセンターの運営体制の整備、AIクラウドサービスの構築・運用を担当する。
⑭2024年8月19日に、ナウナウジャパンとの間で、当社が展開する予定のAI データセンター、AIクラウドサービスなどの新規事業に関連し、新たなAIクラウドサービスシステムを共同開発し、構築することを目的として、Joint Development Agreementを締結することを決議。新戦略の中核となるAIデータセンターの運営および当社が展望するAIクラウドサービスの推進においては、優秀なエンジニアリソースの確保と、新たなAIクラウドサービスシステムの開発が必要不可欠かつ、ビジネスを加速する上での重要なポイントとなることから、これらの早期実現のため、今般、AIクラウドおよびAIモデルの開発において、世界中で豊富な実績があるエンジニアを数多く有するナウナウジャパンとの間で、新たなAIクラウドサービスシステムとして、AIクラウドサービス向けプラットフォーム(GPUのAI機能を最大限効率化するためのアルゴリズム)を共同開発し、構築することが目的。
⑮2024年8月14日に、2025年3月期通期連結業績予想を上方修正。DS AI Infrastructure Global Investment Fundについて、設立準備が進捗したことで、2025年3月期中の事業開始と、当社としてGP報酬の収受が見込まれることになったことから、新たに当期の売上高として362百万円を計上する見込みとなった。また、MSSの連結子会社化による業績影響を精査したところ、当初の売上高の見込みに対し、300百万円上回る見込みとなった。以上の結果、連結売上高は前回発表予想を662百万円上回る3,312百万円となる見込みとなり、売上高の増加見込みを要因として、連結営業利益、調整後EBITDA、連結経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益もすべて、2024年5月15日に公表した2025年3月期の通期連結業績予想を上回る見込みとなった。
⑯2024年7月1日に、MSSを完全子会社化。なお、2024年6月27日開催の当社およびMSSそれぞれの定時株主総会において本株式交換契約の承認を受けており、また、2024年6月28日開催のMSSの親会社であるバルクホールディングス(2467)の定時株主総会において本株式取得に係る取引も承認。
⑰2024年2月14日に、社長の林健人さんが、2024年3月期通期業績予想の大幅な下方修正と赤字転落などの経営責任の明確化を目的に辞任。副社長の岩田真一さんが社長へ就任。
2024年6月27日にバルクホールディングスの社長の石原紀彦さんが社長に就任し、岩田真一さんが副社長に就任。
立て続けに社長が変更となり、経営体制が安定していない印象。
⑱社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は7,000万円。2023年10月に辞任した1名を7ヶ月分、2024年2月に辞任した1名を11ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり2,000万円。
株主総会での個人メモ
①取締役の坂田幸樹さんは、オンラインでの出席。
②質疑応答で、「本臨時株主総会は11月22日開催予定であったが、議案の確定までに時間を要しているとのことで約1ヶ月遅れて本日の開催となった。一方で、新経営体制への移行をより迅速に進めるためとのことで2024年11月18日に副社長の岩田真一さんが代表取締役を辞任している。新経営陣を決める本臨時株主総会が当初計画より1ヶ月遅れた理由は?」との質問あり。「新事業を進めるにあたり、メンバー承認プロセスの手続きに時間がかかった。新しい体制を早く進めたかった。」との説明。
③質疑応答で、「本臨時株主総会で取締役を退任される副社長の岩田真一さんは、取締役退任後も社内に残るのか?」との質問あり。「本日の取締役退任をもって退社する。」との回答。
④議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、新たに選任された取締役と監査等委員である取締役からしっかりとした挨拶がありました。特に、監査等委員である取締役(常勤監査役)に選任された土田誠行さんからの挨拶において、「会社が大きく変わる中」と何度も強調されていた点が印象的でした。
純資産27.5億円に対し、のれん13.8億円を含めた無形固定資産が19.1億円と多く、どうしても気になります。一方で、前期の大赤字の状況から会社が大きく変わる過渡期にも思え、過度な期待はしませんが、継続して業績の推移を注視します。