和心 臨時株主総会
日時:2024年12月18日(水) 11:00-11:15
場所:和心本社(北参道駅徒歩4分)
出席株主数:数名
お土産:無し
企業情報
和心(9271)
①企画・デザインから製造、販売までを自社で徹底して管理する製造小売業(SPAの事業形態)として、「かんざし屋wargo」「北斎グラフィック」「箸や万作」「猫まっしぐら」「1円着物wargo」「かすう工房」「おびどめ屋wargo」「ゆかた屋hiyori」およびこれら複数ブランドの商品を取り扱う複合店舗「TheIchi」を京都をはじめ国内の主要都市・観光地に展開し、ECサイトにおける販売および催事場による販売も手掛ける「モノ事業」(売上構成比95%)を中心に、静岡県伊東市などの伊豆半島を中心に空き家をリノベーションして宿泊施設として貸し出す事業と不動産賃貸業を行う「その他事業」(売上構成比5%)を運営。
②筆頭株主は、社長の森智宏さんで、森智宏さんの資産管理会社のフォレストの保有分も含めると、265万株、41.7%を保有。
ECサイトの運営などを手掛けるローカルが、第9位の株主として、9万株、1.5%を保有。
③使用人数は34名(連結も34名)と少人数体制。
株式情報
時価総額:30億円(2024年12月17日時点)
売上高:13.3億円(2023年12月期実績)⇒20.0億円(2024年12月期予想)
株価:469円(2024年12月17日時点)
1株純資産:47.5円(2024年6月末時点)、PBR:9.87倍
1株当期純利益:61.7円(2024年12月期予想)、PER:7.60倍
1株配当:無配(2024年12月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:1,625名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2024年12月期第3四半期は、小売・サービス業界は、アフターコロナにおいて消費者の購買行動が順調に回復する中でも、食材価格や労働力不足による人件費上昇など、収益性の改善については厳しい状況は依然として続いている。また、2024年1月~9月の訪日外客数は約2,688万人となり、前年の年間訪日外客数を上回り、インバウンド需要は順調に推移している。個人消費や国内観光の回復や訪日外客数が増加していることから来店客数も増加(前年比51.7%増)している。当第3四半期連結会計期間においては、来店客数が前年比45.1%と増加したため増収となった。出来店については、当第3四半期連結会計期間においては、出店は3店舗あり、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は合計25店舗(前年度末比3店舗増)となった。一方で、店舗関連費用の削減に取り組み、販売費及び一般管理費は754,978千円(前年比20.4%増)となった。その結果、売上高1,587,491千円(前年比61.3%増)、営業利益は317,731千円(前年比524.3%増)、経常利益は302,026千円(前年比1,504.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は317,033千円(前年は1,671千円の損失)となった。
②前々連結会計年度においてコト事業を事業譲渡したことに伴いコト事業を廃止しており、前第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更。
③モノ事業においては、観光客の増加や催事を21回行うことにより増収となった。出店については「北斎グラフィック」を5店舗と「MUSUMUSU」を1店舗を出店した。当第3四半期連結会計期間末における店舗数は、「かんざし屋wargo」8店舗(前年度末比±0)、「TheIchi」3店舗(同±0)、「北斎グラフィック」10店舗(同5店舗増)、「箸や万作」2店舗(同±0)、「猫まっしぐら」0店舗(同2店舗減)、「1円着物wargo」1店舗(同1店舗減)、「MUSUMUSU」1店舗(同1店舗増)、合計25店舗(同3店舗増)となった。その他、ネット通販、OEMサービスなども行っている。その結果、売上高は1,497,745千円(前年比59.6%増)、セグメント利益は479,050千円(前年比16.7%増)となった。
④2024年11月13日に、2024年12月期の通期連結業績予想を上方修正。コロナ渦の影響を乗り越え、インバウンドの増加、来店客数の増加などにより増収増益を達成し、第1四半期、第2四半期に続き第3四半期も黒字となった。売上の増加、コスト削減により営業利益率が大幅改善となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前回予想を上回る見込みとなったことから、通期連結業績予想を修正。
⑤2024年10月16日開催の取締役会において、WALAの株式を取得し子会社化することについて決議。WALAは、神奈川県川崎市において障碍者を応援するB型就労支援施設を運営。既存事業とのシナジー効果を生み出し、当社グループ全体の企業価値向上を目指す。
⑥2024年5月15日に、2024年1月31日の取締役会において、社長の森智宏さんへ資金の貸付を行うことを決議したと公表。森智宏さんの個人的事情により急遽資金が必要な状況にあり、金融機関からの借入手続きには時間がかかり、社長としての職務に専念いただく必要があるため、適切な金利の設定および担保による保全を前提とした上で、資金貸付を行うこと決定。貸付額金は11,330万円。返済期限は2025年1月末日。利息年利3%。貸付担保は和心普通株式512,105株。
2023年12月末時点で、和心の現金及び預金は284,139千円。自己資本比率も9.6%の状況であり、財務が不安定な中、資金貸付決定に違和感。
⑦監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は2,614万円。単純平均で取締役1人当たり871万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会会場は、和心本社での開催。
②取締役の最上夢人さん、小田桐新五さんはオンラインでの出席。
③質疑応答で、「2019年は売上高が約30億円に対し赤字であったが、今期は売上高が20億円で黒字予想となっている。当時と比べ収益が改善した大きな要因は?」との質問あり。「2019年当時は将来のインバウンド需要の先行投資として面取りを優先していた。インバウンド需要が予想通りに増えてきたこと、当時に比べ経費が約50%減ったことが要因。」との説明。
④質疑応答で、「現状の売上高のうち、インバウンド向けはどの程度なのか?」との質問あり。「現状、売上の約6割が外国人向け。店舗の立地により、大きくバランスが異なっている。」との旨の回答。
⑤質疑応答で、「B型就労支援施設のWALAを買収したが、将来的に販売している商品を生産することが目的なのか?」との質問あり。「上場会社には障碍者雇用義務があり、上場会社としての社会的責任。パンの生産や畑仕事を行っている会社だが、当社の宿泊施設である貸別荘の清掃を行ってもらっている。将来的には箸などの生産も考えている。」との説明。
⑥質疑応答で、「社長の森智宏さんが和心の普通株式を担保に和心から資金貸付を受けたが、保有する和心の普通株式の売却ではなく、貸付を受ける対応とした理由は?」との質問あり。「株式の保有はモチベーションのアップに繋がる。」との旨の回答。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、和心本社での開催でしたので、良い機会となりました。
和雑貨の会社のイメージとは異なり、株主総会では、粗削りながらも遊び心と推進力がありそうなユニークな社風を感じました。
和心の財務状況などから、2024年1月31日の社長の森智宏さんへ資金の貸付について違和感がありましたが、森智宏さんから見て、保有する株式の売却よりも貸付を受ける方がメリットがあると判断したのかもしれません。貸付日の2024年1月31日の和心の株価は389円であり、森智宏さんから見て、和心の成長性に自信があり、和心の株式の将来的な価値は株価389円以上と見ているように思えました。
インバウンド需要の恩恵も受けて業績が急回復しており、今期は最終黒字も見込まれる状況です。継続注視し、再投資も検討します。