サマンサタバサジャパンリミテッド 第30回定時株主総会
日時:2024年5月29日(水) 10:00-11:10
場所:住友不動産御成門タワー(御成門駅徒歩1分)
出席株主数:約50名
お土産:無し
企業概要
サマンサタバサジャパンリミテッド(7829)
HP:サマンサタバサ公式オンラインショップ | Samantha Thavasa
①「SamanthaThavasa(サマンサタバサ)」を中心に「SamanthaThavasa」シリーズおよびその他のブランドを展開しバッグの企画・製造・販売をおこなう「バッグ部門」(売上構成比60%)、「SamanthaTiara(サマンサティアラ)」および「SAMANTHASILVA(サマンサシルヴァ)」にてジュエリーの企画・製造・販売をおこなう「ジュエリー部門」(売上構成比7%)、「WILLSELECTION(ウィルセレクション)」「Swingle(スウィングル)」「REDYAZEL(レディアゼル)」「And Couture(アンド クチュール)」のアパレルブランドを展開する「アパレル部門」(売上構成比23%)、アウトレット店舗「サマンサタバサNEXT PAGE」での販売や「U25 SamanthaThavasa(アンダートゥエンティファイブサマンサタバサ)」「No.7SamanthaThavasa(ナンバーセブン サマンサタバサ)」にてゴルフアイテムやウェアを販売する「その他の部門」(売上構成比10%)を運営。
②筆頭株主は紳士服のコナカ(7494)で、3,891万株、59.0%を保有。
創業者の寺田和正さんは、第2位の株主として1,104万株、16.7%を保有。
③株主優待(2月末、8月末)
100株:15%OFF割引券2枚、FIT HOUSE 10%・5%OFF割引券1枚、優待販売会招待券
1,000株:15%OFF割引券4枚、FIT HOUSE 10%・5%OFF割引券2枚、優待販売会招待券
2,000株:15%OFF割引券6枚、FIT HOUSE 10%・5%OFF割引券3枚、優待販売会招待券
株式情報
時価総額:29億円(2024年5月28日時点)
売上高:227億円(2024年2月期実績)⇒200億円(2025年2月期予想)
株価:48円(2024年5月28日時点)
1株純資産:▲23.3円(2024年2月末時点)、PBR:債務超過ではないが優先株などが影響し1株純資産はマイナスとなっている模様
1株当期純利益:▲11.0円(2025年2月期予想)、PER:赤字
1株配当:無配(2025年2月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:18,915名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①ファッション・アパレル業界においては、社会経済活動の正常化が進んだことによる外出機会の増加が個人消費を拡大させる後押しとなった。また円安によるインバウンド需要の回帰も見られるなどコロナ禍以前の消費水準にはまだ届かないものの消費の伸びが見られた。一方で、コロナ禍によって変容した人々のライフスタイルにより消費行動や消費構成が変化しており、販売チャネルの多様性が求められるなど、より一層の対応と工夫が求められる市場になりつつある。
②「心を一つに!一手間かけた思いやり」を行動規範として、全方位的な構造改革(Reborn計画)を推進している。サマンサタバサ事業においては、新業態店舗であるReborn計画店舗の拡大を進めるとともに、ブランド&デザインの一元化を行うことで、販売面での世代別マーケティングを強化した。加えて、高級素材を用いた本革製品の構成比を従来の15%前後から30%超に押上げ客単価の向上に奏功し、さらに戦略的ブランドパートナー企業との協業を加速し実店舗ならびにECでの販売を拡大するなど、新たなる市場領域を通じて売上高向上に向けた諸施策を推進している。また、製造原価低減への取り組みとともに品質向上のために、点在していた中国の製造拠点をブランド別に2拠点に集約し、専用化ラインの契約と生産開始をおこなうとともに、ASEAN地域での生産拠点化にも取り組む一方、本革製品の構成比が急速に向上されたことに対応して子会社工場を中心に国内での生産力の向上に努めている。さらには高コスト化が大きな課題であった従来の配送管理と店着物流において、ロジスティクス総合化計画に取り組んでおり、従来の関東エリアの5拠点に点在していた物流倉庫を、新物流センター(サマンサタバサグループロジテックセンター)に移転統合を行い、IT化で支援した保管と配送の効率化により大きく改善するとともに、「店着物流」の合理化と効率化を行い、2024年度問題も視野に入れて物流構成比の削減に取り組んでいる。
③フィットハウス事業においては、これまでの郊外ロードサイド単店舗型の事業構造から、ショッピングモール内での新たなReborn計画店舗業態を開発し、今下期よりテスト店舗でのゾーニング化とMDプランの実証実験をおこないながら、業態開発店舗の出店を開始している。
④店舗展開については、店舗数は、出店19、退店64、当連結会計年度年度末225店舗体制。内訳は、国内バッグ事業で103店舗(内Reborn計画店舗13店舗)、海外バック事業で28店舗、ジュエリー事業で19店舗、アパレル事業で45店舗、その他事業で30店舗となった。期首270店舗から45店舗純減(内Reborn計画店舗への移行に伴う閉店は22店舗)。
⑤これらの結果、当連結会計年度の売上高は227億24百万円(前年比10.0%減)、営業損失は10億27百万円(前年は17億17百万円の損失)となった。売上高については、不採算店舗からの撤退ならびに全体的なお客様来店数の減少傾向の中、インバウンド需要の取り込み、季節対応型商品企画の本格投入などの巻き返しを図った。一方、「Reborn計画」に基づく全方位的な構造改革の結果、売上原価は対前年度実績比11.9%減、販売費及び一般管理費合計は対前年度実績比11.8%減など固定費の低減に成功し、営業損失の縮小に努めた。経常損失は12億16百万円(前年は15億48百万円の損失)となった。営業外収益に不動産賃貸料94百万円、為替差益68百万円、受取保険金39百万円、受取利息23百万円などを、営業外費用に支払利息133百万円、2023年5月31日付A種種類株式の発行諸費用である株式交付費214百万円、浸水被害に伴う災害による損失33百万円などを計上したことによるもの。これらの結果、税金等調整前当期純損失は15億84百万円(前年度は21億17百万円の損失)となった。Reborn計画に基づき、資産効率の向上策として固定資産の売却、収益構造の改善策として店舗業態の転換や不採算店舗からの撤退などをおこなった結果、特別利益に固定資産売却益4億92百万円、関係会社清算益41百万円、特別損失に固定資産除却損13百万円、店舗閉鎖損失35百万円、そして既存店舗や全社資産において減損の兆候が見られることから固定資産減損損失8億54百万円を計上したことによるもの。親会社株主に帰属する当期純損失は16億円(前年度は19億96百万円の損失)となった。法人税、住民税および事業税26百万円、法人税等調整額△82百万円ならびに非支配株主に帰属する当期純利益71百万円を計上したことによるもの。
⑥2024年4月10日に、「コナカとサマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する最終合意」を公表。本定時株主総会での承認可決およびその他必要要件が充足されることを条件に、2024年7月1日よりコナカの完全子会社に、またそれに先立ち、当社普通株式は2024年6月27日付で上場廃止になる見込み。本件株式交換に係る割当比率は、サマンサタバサジャパンリミテッド1株に対して、コナカ0.155株を割当交付。
⑦当社の当連結会計年度(2024年2月期)においては、2024年4月4日付当社公表「減損損失の計上、2024年2月期通期連結業績予想の修正に関 するお知らせ」のとおり、販売費及び一般管理費節減に一定の成果は得らたが、不採算店舗の撤退に伴う店舗数の減少に加え、全体的にお客様の来店数が前年を大きく下回る状況であり、通期の売上高は2023年12月12日付当社公表「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」における予想より3.9%減少の22,724百万円に留まる見込み。第4四半期においては、インバウンド需要の更なる取り込み、季節対応型商品企画の本格投入などの巻き返し施策をおこなっていが、足元の状況に鑑みても、5期連続で営業損失、経常損失、8期連続で通期の親会社株主に帰属する当期純損失を計上する見込み。当社は合併等の実質的存続性喪失に係る猶予期間に入っており、猶予期間内(2024年2月29日まで)に新規上場審査に準じた基準に適合しなければ、上場廃止のおそれがあるため、前述の施策などに全力で取り組んできたが、猶予期間終了日である2024年2月29日までに適合審査の申請を行うことは現実的に困難であるとの判断に至った。このような状況を踏まえ、コナカよりこれまでに受けてきた財務的支援(運転資金の借入及びA種種類株式の引受)からさらに踏み込んだ内容の連携を目指すことが最善であるとの考えに至り、コナカに対し2024年1月中旬以降、完全子会社化を含む支援検討を要請していた。その結果、コナカは、当社からの申し入れを受け、当社が現在の株主構成のまま上場廃止となった場合に、当社を含むコナカグループを取り巻くステークホルダーの皆様に対して及ぼしかねない多大な影響を回避するとともに、グループ全体の企業価値を向上させることを目的として、2024年2月20日付プレスリリース「株式会社コナカと株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドの株式交換による経営統合に関する基本合意書の締結に関するお知らせ」のとおり、本件基本合意書に基づき、本件経営統合をおこなうことにより、当社がコナカの完全子会社となり、柔軟かつ迅速な意思決定体制を構築した上で当社の持続的成長を推進していくことにつき、具体的な協議・検討を進めてきたが、2024年4月10日、正式に最終的な合意に至った。
⑧本件経営統合後、両社はこれまで以上に、情報や人的資源の共有を進め、経営資源を相互に有効活用していく。また、当社は、上場企業として必要となる管理部門の維持のための費用その他のコストなど、上場維持に伴うその他の経営負担の削減を図ることができるとともに、支配株主であるコナカと他の少数株主の皆様との間における潜在的な利益相反関係が解消され、効率的な経営体制の下で、事業戦略へ経営資源を集中することが可能となると見込んでいる。結果として、中長期的な観点から、当社を含むコナカグループ全体の企業価値向上に資するものと考えている。
⑨コナカと当社は、経営統合を通じて、柔軟かつ迅速な意思決定をはじめとした効率的な経営体制を構築し、グループとしての総合力を一段と発揮し、顧客の求める付加価値をスピーディーに提供することによって、グループ全体の企業価値の向上を目指していく。経営統合することにより、これまでにも増して迅速かつ効率的な意思決定の下、コナカのリソースを活用することによる当社本部系の業務効率化の促進と、全方位的かつ抜本的な構造改革施策を速やかに実行し、最速で収益力の改善を達成する。当社グループが展開する主要販路である百貨店、都市型商業施設、モール型商業施設よびEC販路に対しこれまで培ってきた事業ノウハウを、コナカグループ内で有効活用することで、グループにおける事業ポートフォリオの最適化に寄与する。コナカの事業領域において、コナカの事業ノウハウを活かした新商品を開発し、新規顧客の獲得と当社事業の販路を拡大する。当社グループの保有するレディースファッション領域の事業ノウハウを活かして、コナカは今後より幅広く市場を捉え、コナカグループ全体としての更なる事業成長を促進する。当社グループ単独の来期業績見通しについては、コナカとの経営統合を前提とし、見込まれる相乗効果からなる収支改善見通しを精査中だが、管理部門や上場維持コストの削減を図るとともに、事業戦略へ経営資源を集中させることにより、売上高200億60百万円(前年比11.7%減)、営業損失6億10百万円、経常損失8億10百万円、親会社株主に帰属する当期純損失7億30百万円を見込んでいる。
⑩当社グループは、前連結会計年度において、当社グループの流動比率(=流動資産/流動負債)が61%となったことに加え、営業損失17億17百万円、経常損失15億48百万円、親会社株主に帰属する当期純損失19億96百万円を計上した。また、当連結会計年度においては、流動比率が76%まで改善したものの、営業損失10億27百万円、経常損失12億16百万円、親会社株主に帰属する当期純損失16億円を計上し、5期連続で営業損失、経常損失、8期連続で通期の親会社株主に帰属する当期純損失を計上する状況となっている。これらのように当社グループには、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在している。
⑪社長の米田幸正さんが、2024年4月15日をもって辞任。取締役の湖中謙介さんが、代表取締役社長に就任。
2024年2月期を指揮していた社長は米田幸正さんであり、株主総会直前での辞任は印象が悪い。株主総会で自ら「コナカとの経営統合の決断」や「赤字から脱却できなかった要因」などについて説明する責任があったと思う。
⑫質疑応答は、「1.入場票の番号、2.ご質問の順にご発言ください」との説明があった一方で、入場票には「ご発言の際は、上記番号とお名前をお知らせください。」との記載があり、一貫性の無い対応が気になった。
株主総会の配信の有無に関わらず、個人情報保護の観点から名前を発言させない株主総会が増えているので、名前を発言させない対応に統一した方が先進的だと思う。
⑬質疑応答で、「コナカとの経営統合後、店舗の営業戦略を教えて欲しい。」「サマンサタバサのブランドは残るのか?」などの質問あり。「今後も店舗営業は変わらない。サマンサタバサのブランドもそのまま変わらない。」との回答。
⑭質疑応答で、「社内取締役3名のうち、1名は無報酬だが、残り2名の役員報酬の総額が4,000万円となっている。昨年は6名で4,400万円となっていたので、前年より役員1人あたりの役員報酬が増えているように見える。また、8期連続で最終赤字、従業員の冬季賞与を不支給としている中で、取締役2名の役員報酬の総額4,000万円は高すぎるのでは?」との質問あり。「役員報酬は総額で表示しているが、役員個別で見ると前年から増えている役員はいない。取締役会にて報酬の総額を決議し、配分は社長が決めた。」との説明。
⑮質疑応答で、「コナカに助けてもらったのはありがたいが、コナカが駄目になってしまうのでは?紳士服のコナカと言われるように男性向けの企業イメージがある。なぜ、サマンサタバサジャパンリミテッドを引き受けようと思ったのか?」との質問あり。「コナカが回答すべき質問内容だが、せっかくの機会なので」との前置きの上で、「コナカの売上は、オーダースーツが30%を超えている。若者向けのSUIT SELECTが主力になっている。男性向けの売上が95%。一方で、市場規模で見ると、女性向けは男性向けの4.7倍ある。コナカはファッション総合企業となっていきたい。」との回答。
⑯質疑応答で、「コナカとの経営統合後、従業員の削減予定はあるのか?」との質問あり。「大きな変化は無い。」との説明。
⑰社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は4,000万円。無報酬の1名を考慮すると、単純平均で取締役1人当たり2,000万円。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、社長の湖中謙介さんの丁寧な回答対応が印象的でした。一方で、2024年2月期を指揮していた社長の米田幸正さんは、株主総会直前に辞任されており、逃げの姿勢に見え、違和感を感じました。「コナカとの経営統合の決断」や「赤字から脱却できなかった要因」などについて、株主総会にて株主との対話として、米田幸正さんの口から経営の振り返りを伺いたかったです。
株主総会終了後に、新社長に就任予定の古屋幸二さんから挨拶がありました。「数年での経営トップの交代が続いてしまい、守り重視の姿勢になってしまっていた。」との旨の言葉が印象的でした。
質疑応答で指摘がありましたが、8期連続で最終赤字、従業員には冬季賞与を不支給としている中で、取締役2名の役員報酬として、総額4,000万円もの高額支給が気になりました。従業員のモチベーションの低下が起きていないか心配です。
コナカとの経営統合により、コナカがどこまでサマンサタバサジャパンリミテッドを立て直してシナジーを生み出せるのか、また、コナカの業績がどう改善されるのか、今後のコナカの動向を注視します。コナカへ投資する際の参考とします。
2022年5月26日に出席したサマンサタバサジャパンリミテッドの株主総会の内容についてはこちら↓
サマンサタバサジャパンリミテッドの株主総会に出席しました【2022年5月26日】 | ぽこタンの株主総会日記 (fp-agm.com)