アマナの株主総会に出席しました【2023年12月25日】

株主総会
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アマナ 臨時株主総会

日時:2023年12月25日(月) 13:00-14:10

場所:品川グランドセントラルタワー(品川駅徒歩5分)

出席株主数:約30名

お土産:無し

 

企業概要

アマナ(2402)

HP:株式会社アマナ | amana inc.

①写真・CG・映像・イラストレーションなど視覚から訴求するものをビジュアルと総称し、これらビジュアルを活用したコミュニケーション・プランの企画立案、コミュニケーション・コンテンツの企画制作など、受託する案件の特性に応じて、多様なクリエイティブサービスを単独または組み合わせて価値提供するビジュアルコミュニケーション事業を運営。その事業領域を狭義の企業の広告マーケットのみに限定せず、より広義の企業のコミュニケーションマーケットと設定するなかで、コミュニケーション領域における戦略・企画立案、ブランドの構築、インナーコミュニケーション、マーケティング活動など多岐にわたる。

筆頭株主は、社長の進藤博信さんで、99万株、18.9%を保有。
プラットフォーム事業などを手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブが、第2位の株主として、56万株、10.6%を保有。
写真サービス事業などを手掛ける堀内カラーが、第4位の株主として、8万株、1.5%を保有。
倉庫業などを手掛ける寺田倉庫が、第6位の株主として、7万株、1.3%を保有。
事務用品最大手のコクヨ(7984)が、第9位の株主として、3万株、0.6%を保有。

③2018年に、海外連結子会社の従業員の人件費および外注費の支払いに際して用いるべき勘定科目の処理やそれに伴う公租公課の処理などに関して不適切な会計処理問題が発生。
2020年に、連結子会社のアマナデザインの役職者による売上高の架空計上、売上高および外注原価の期間帰属の誤りの問題が発生。
2022年に、当社従業員による売上の水増しや架空計上の不適切な取引問題が発生。
ガバナンス上の問題が継続して発生。

2023年9月20日に、事業再生ADR手続(産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続)の正式申込をおこない受理される。2024年1月下旬に上場廃止予定。

事業再生ADR
経営破綻した、あるいは経営破綻の危機に瀕した企業を救済する「債務整理」手続きのひとつ。民事再生や破産などの法的手続きとは異なり、裁判所を介さずに金銭債権者などと債務者との合意に基づき債務を猶予・減免するなどの手続きを行うため、取引先に極力迷惑をかけずに債務整理を実現できる可能性がある。

 

株式情報

時価総額:3.2億円(2023年12月22日時点)

売上高:141億円(2022年12月期実績)⇒未定(2023年12月期予想)

株価:59円(2023年12月22日時点)

1株純資産:▲961円(2023年9月末時点)、PBR:債務超過

1株当期純利益:未定(2023年12月期予想)、PER:未定

1株配当:無配(2023年12月期予想)、配当性向:無配

配当利回り:無配

株主数:22,382名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会での個人メモ

①株主総会冒頭に、社長の進藤博信さんから、このような事態(事業再生ADR)となってしまったことについて、お詫びがあった。

②同社では、従業員が売上の水増しや架空計上を行うとともに、架空発注によって資金を不正に流出させていたことに加え、特定顧客に出向していた同社従業員によって同様の不正行為が行われていたことが判明。また、2022年8月22日付で過年度決算内容の訂正を開示しているが、前回訂正前に設置された特別調査委員会による調査が、結果として不適切な会計処理の全容を解明しないまま終了し、前回訂正が不正確かつ不十分なものであったことも判明。2023年7月4日に、東京証券取引所より特設注意市場銘柄に指定されるとともに、上場契約違約金の徴求を受ける。
こうした開示が行われた背景は、以下の内部管理体制上の不備。過去の不適切な会計処理発覚後もなお、顧客ごとに案件担当者を固定する仕組みのもと、案件担当者以外の者が取引の内容を把握できなくとも仕方ないとの考えが定着しており、個々の取引の適正性を確認・監督する仕組みが機能していない。過去の不適切な会計処理発覚時に策定した再発防止策を財務報告の信頼性回復に向けた改革と位置付けたものの、代表取締役社長を筆頭に責任の所在を明らかにしないまま、業績回復に向けた施策を優先するなど、経営陣として再発防止に徹底して取り組めていなかった。経営陣は、業務フローの整備と、これに紐づく基幹システムを整備することにより、従業員が意識せずとも自然にルールを守ることができるようになるという考えの下、現場担当者レベルに至るまでの従業員の意識向上に向けた対策が不十分であった。一部の従業員は基礎的な会計規律への意識が不足していることから、会計処理などに係る不審な兆候に気付いても経理財務部門や上長に対する適切な報告や連絡が行われなかった。

2023年8月31日に、コクヨとの間で締結していた資本業務提携を解消することについて決議。当社の経営環境の変化に伴い、当初想定されていた協業によるシナジー創出に十分につながっていないとの説明。

前期にわたり営業および制作進行を担う人材の減少が継続したことや、売上高の維持および再成長にむけた施策の成果が顕在化するまでには時間を要することなどから、前期からの減収を想定している。また、固定費の適正化について、可能な限り適時に実施していくが、その削減効果の一部については期中からの発現が見込まれることなどから、通期においては営業損失の計上を想定している。さらに、不適切会計事案に係る特別調査委員会による調査関連費用等の大きな特別損失が660百万円程度見込まれることから、最終的な親会社株主に帰属する当期純損失の計上を想定している。そのため、2022年12月期の財政状態及び2023年12月期の連結業績予想(経営成績)を前提とすると、さらに債務超過額が大幅に拡大する見込みとなることから、財務体質(財政状態)を抜本的に改善するための資本増強施策等の検討と実行が必須であると考えている。このような厳しい経営状況を踏まえ、当社は、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)を利用して関係当事者であるお取引金融機関様の同意のもとで、今後の再成長に向けた強固な収益構造の確立と財務体質の抜本的な改善を目指すこととした。
2023年9月20日開催の取締役会において、事業再生ADR手続の申込を決議し、事業再生実務家協会に対し、事業再生ADR手続についての正式な申請を行い、同日付で受理され、事業再生実務家協会と連名にて、全てのお取引金融機関様に対して、金融債務弁済の一時停止の通知書を送付した。かかる事業再生ADR手続の申込は、お取引金融機関様と協議のもとで行っている。なお、事業再生ADR手続は、金融機関を対象に進められる手続なので、現在当社グループとお取引をいただいている一般のお取引先の皆様に影響を及ぼすものではない。当社は、2023年9月29日開催予定のお取引金融機関様を対象とした第1回債権者会議において、事業再生計画案の概要説明と、上記一時停止の通知に係る同意等のお願いを行い、その賛否を諮らせていただく予定。また、その後、事業再生ADR手続の中で、全てのお取引金融機関様と協議を進めながら、公平中立な立場から事業再生実務家協会より調査・指導・助言をいただき、事業再生計画案を策定する。また、経営改善施策、お取引金融機関様協調によるご支援の継続、計画実施スケジュールその他同計画案の内容等については、今後、事業再生ADR手続の中でお取引金融機関様と協議する予定。経営改善施策としては、当社グループの自助努力による改善策に加え、財務体質(財政状態)を抜本的に改善するための資本増強施策等を実現すべく具体的な検討を行っている。なお、事業再生計画の詳細につきましては、同計画案が成立次第お知らせする。

Infinity brand capitalに対し、1株18円で1,500万株の新株発行。2.7億円を調達。払込期間は、2023年12月19日から2024年4月30日。さらに、1株18円で1,800万株の新株発行。3.2億円を調達。払込期間は、2023年12月19日から2024年4月30日。

当社の普通株主を割当予定先のみとするために、当社普通株式330万株を1株に併合することを実施する。本第三者割当及び本株式併合を内容とする割当予定先によるスポンサー支援が当社の企業価値の向上のためには最善の選択肢であり、かつ、当社の現状に鑑みると、当社の少数株主にとっても最善の選択肢であるとの判断に至ったとのこと。株式併合交付見込金額は、少数株主の皆様が所有する当社普通株式の数に、本第三者割当における本新株式の払込金額(18円)に対して22.22%のプレミアムを付した金額である22円を乗じた金額に設定することを予定。2024年1月下旬に上場廃止予定。
2023年12月18日開催の取締役会で、465万株を1株に併合することへ変更決議。

⑦社長の進藤博信さんは、本第三者割当の実行をもって辞任予定。取締役の吉田大介さん、伊賀智洋さん、深尾義和さん、山口俊光さん、佐伯泰寛さん、青木裕美さん、太田睦子さん、飛松純一さん、彦工伸治さんは、本新株式の払込みの完了をもって辞任予定。取締役の平田静子さんは、上場廃止をもって辞任予定。取締役11人全員が辞任予定。

⑧本第三者割当に係る本新株式の払込日に、社長の進藤博信さんが保有する99万株を無償で取得し、本株式併合前に全て消却する予定。

⑨2023年12月20日~2024年1月11日を募集期間として、希望退職者を100名程度募集。事業規模に見合った人員の適正化を図る必要があるとのことで、固定費(人件費・設備費)の圧縮が目的。

⑩質疑応答で、「赤字となった原因」について複数の質問あり。「コロナ禍で、コミュニケーション分野において、メディアのデジタル化が急激に進み、後手になってしまった。」との主旨の説明。

⑪質疑応答で、「事業再生ADRの原因にも挙げられている不適切会計について、加害者対して刑事告訴や損害賠償請求の予定はあるのか?」との質問あり。「対応検討中」との回答。

⑫質疑応答で、「取締役全員が辞任予定だが、辞任後は社員として社内に残る予定なのか?」との質問あり。「進藤博信さん以外は、社員として残る予定。」との回答。

⑬社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は6,900万円。単純平均で取締役1人当たり1,150万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。

⑭議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

事業再生ADRとなったこともあり、多くの質問がありましたが、社長の進藤博信さんのハキハキとした口調が印象的で、このような事態となった責任は全て私にあると言われていました。その様子からは、立て続けに不祥事を繰り返していた会社の社長には見えず、やや違和感を感じました。

質疑応答で出席株主からも指摘がありましたが、取締役の頭数は多く揃ってはいるものの、創業者で社長の進藤博信さんに権力が集中し、取締役会があまり機能していなかったのかもしれません。また、事業再生ADRとなってしまった要因の一つに、管理部門系が手薄過ぎた点があったようにも思います。

事業再生ADR申込受理前後からの株価の推移は下記の通り。

2023年9月19日:303円
2023年9月20日:301円(事業再生ADR申込受理公表)
2023年9月21日:284円
2023年10月26日:307円(第三者割当増資1株18円、株式併合による交付見込金額1株22円、臨時株主総会開催を公表)
2023年10月27日:227円
2023年10月30日:147円
2023年11月1日:99円
2023年11月8日:140円(臨時株主総会基準日の権利落ち日)
2023年11月20日:101円(臨時株主総会の議案内容公表)
2023年11月21日:101円
2023年12月18日:88円(「465万株を1株に併合」へ変更することを公表)
2023年12月19日:79円
2023年12月25日:55円(臨時株主総会開催)

今回、株式併合交付見込金額は、1株22円の予定ですが、足元では22円を大きく上回る株価で推移している点が気になります。

2023年10月26日のIR資料では、普通株主を割当予定先のみとするために、330万株を1株に併合するとしていましたが、2023年12月18日開催の取締役会で、465万株を1株に併合することへ変更決議しました。恐らく、330万株以上を保有している、もしくは、330万株以上を保有しそうな株主の存在を確認し、急遽その対応をおこなったように見えます。

発行済株式数が557万株、その内、社長の進藤博信さんが99万株を保有しているので、変更決議の結果、465万株を買い占めるのは難しくなり、2023年12月18日以降の株価下落につながっている模様です。今後の参考にするため、上場廃止まで継続注視します。

 

※追記

株式併合交付見込金額は1株22円ですが、株式買取請求も見据えての取引だったのか2024年1月26日に、終値44円で上場廃止となりました。

 

株主総会会場の品川グランドセントラルタワー
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