ザッパラス 第24回定時株主総会
日時:2023年7月27日(木) 10:00-10:35
場所:東京ミッドタウン(六本木駅直結)
出席株主数:約10人
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
ザッパラス(3770)
①携帯キャリア公式コンテンツやPCコンテンツとアプリや電話で提供する占いサービスをおこなう「モバイルサービス事業」(売上構成比82%)を中心に、米国に拠点を置くZappallas,Inc.(U.S.)が各種占いサイトにおいて広告販売などをおこなう「海外事業」(売上構成比10%)、オンライン占いスクールの運営や占い師専門プロダクション事業などをおこなう「その他の事業」(売上構成比8%)を運営。
②筆頭株主は、社長の川嶋(玉置)真理さんで、294万株、24.2%を保有。
光通信(9435)の子会社のUH Partners2が、第2位の株主で、光通信、光通信の子会社のエスアイエルとUH Partners3の保有分を含めると、516万株、42.5%を保有。
③光通信が、過半数近くの議決権を保有しており、光通信のその他の関係会社。
④主要な顧客は、NTTドコモ向けが売上比21%、SBペイメントサービス向けが売上比13%、KDDI向けが売上比13%。
株主総会での個人メモ
①株主総会直前に、下記、経営陣に大きな動きあり。ザッパラスと光通信との間で、どのような交渉があったのか気になるところ。
2023年7月13日
「第24回定時株主総会においては、特に、株主の皆様より当社提案にご賛同いただくことが必要となります。」とのハガキが届く。詳細は別途送付する株主総会招集通知と同封書類を参照して賛同いただきたいとの記載あり。
2023年7月14日
株主総会招集通知到着。議決権行使書のほかに、「委任状」と「委任状による議決権行使のお願い」が同封されていた。委任状送付の理由は、「例年とは異なる議決権行使をご依頼することとなり恐縮ではありますが、株主総会の議事運営を、適切かつ適正に行うため、当日ご出席にならない株主の皆様には委任状および議決権行使書のご返送をお願いしております。委任状の代理人は記載せず空欄で返送して欲しい。」との記載あり。
委任状には、「代理人は貴社(ザッパラス)においてご指定ください。原案に対して修正案または動議が提出された場合は、いずれも白紙委任いたします。」との記載もあり。
「委任状とは、株主様が株主総会における議決権の行使を他の者に代理させる際に当社にご提出いただくもので、代理権を証明する書面です。」との説明も記載。
2023年7月25日
「代表取締役の異動及び取締役候補者の変更等に関するお知らせ」のIR発表。7月23日に、社長の川嶋真理さんより取締役候補者を辞退したい旨の申出があり、取締役候補から川嶋真理さんを外した。さらに、光通信との連携強化が必要と考え、監査等委員である取締役候補の井上昌治さん、谷間真さんを外し、光通信に対し監査等委員である取締役2名の推薦を7月24日に要請。光通信から、柴田亮さん、竹中由重さんの推薦あり。7月25日の取締役会で、7月27日の株主総会に本修正議案を諮ることを決定。
2023年7月27日
定時株主総会開催。
②議決権の42.5%を保有する光通信と現経営陣の間で何かしらの対立があり、株主総会招集通知を受領した時点では、ザッパラスの現経営陣が光通信と戦う姿勢を感じた。また、光通信から、ザッパラスが上程する議案に対する修正案や動議が出されることを恐れている様子も伺えた。
その後、議決権の事前行使結果が判明するにつれ、現経営陣に対する過半数の賛同が得られないものと判断し、社長の川嶋真理さんの取締役候補者の辞退などにつながったように思われる。
③事業報告はほぼ割愛され、議案の説明と質疑応答に時間を費やしていたが、立て続けにIR発表もしており、トピックや中期経営計画なども含め、事業報告はしっかりと対応したほうが良かったと思う。
④出席株主から、7月25日にIR発表された内容通りの修正動議あり。会社側も賛同とのことで、特に混乱も無く、議案の採決時に修正動議が可決された。
⑤広い株主総会会場であったが、会場スタッフから来場株主に対して、役員席に向かって右側の席に座るように誘導していた。管理の都合上か、光通信関係者?を左側の席に座らせていた模様。
⑥IR発表は無かったが、東京地方裁判所から総会検査役が選任され、株主総会の様子をビデオ撮影していた。総会検査役の要請者や、要請した理由については、説明が無く経緯は不明。
⑦来場株主と取締役に「南アルプス天然水」のミネラルウォーターを配布していたが、何故か、社長の川嶋真理さんの席と、議長席にのみ「い・ろ・は・す」のミネラルウォーターを配布しており、違和感を感じた。単純に、どちらかの銘柄に統一すればよいと思うが、そうできない何かしらの問題が潜んでいるようにも見え、やや気になった。
⑧取締役の井上昌治さんは、体調不良のため欠席。井上昌治さんの席にもミネラルウォーターが配布されていた。
⑨占いアカデミー、占いフェス、WORDSなど複数のサービスを譲渡または終了。占いプロダクション子会社のLuck Outの当社持分を、合弁先へ譲渡。ベビー用品ECサイト「cuna select(クーナセレクト)」を事業譲渡。
⑩2023年3月14日に、株主還元及び資本効率の向上を目的として、自己株式を取得(1株386円で668,200株、257,925,200円)。
⑪2023年3月31日に、希望退職者の募集を開示。その結果、不採算のサービスに従事する従業員を中心に40名の応募があり、2023年4月30日付で退職。連結の使用人数は、105名となる。
⑫2023年4月21日に、配当方針の変更を開示。今後は継続的かつ安定的な配当を実施予定。具体的には、「DOE(連結株主資本配当率)2.0%を下限とし、連結配当性向 50%以上を目途に配当を実施する」とした配当方針に変更。
⑬2023年6月28日に、中期経営計画を開示。2027年4月期に、連結売上高70億円、EBITDA(償却前営業利益)7億円。
⑭「運がいい日がわかるカレンダー」アプリが好調。2023年1月には100万ダウンロードを記念キャンペーンも実施。
⑮ヒーリングやスピリチュアルやオーラなどの「カウンセリング」分野は近年拡大を見せており、成長機会を求め、参入をしていく。主な提供手法は「対面占い」または「電話占い」。カウンセリング分野における「電話占い」の市場規模はすでに300億円以上の規模を超えているものと推測。
⑯占い師が直接、来店客と対面し鑑定を行う店舗「占い館」の運営に参入。女性を中心とした占いファンにはポピュラーなスポット。光通信のリアル店舗のノウハウを取り入れたいとの説明あり。
⑰海外展開として、欧州の諸言語での展開を検討中。アジア圏も成長市場として認識。中国は占いサービスが当局の規制の影響を受ける可能性があるため慎重に判断。主に現地のコンテンツプロバイダーとの事業提携、M&Aを念頭においた展開を検討。
⑱質疑応答で、「社長退任後の川嶋真理さんのポスト」について質問あり。川嶋真理さんから、「新体制が判断することとなる。必要であればどのような役割でも行う。」との回答。
⑲質疑応答で、「川嶋真理さんは退任後、保有する株式を売却するのか?」との質問あり。川嶋真理さんから、「個人的なことなので回答できない。」との説明。
⑳「2023年7月27日に溝上雅俊さんが新社長に就任する予定」とのIR発表があったが、株主総会では溝上雅俊さんから挨拶無し。正式には株主総会後の取締役会で決定するものと思われるが、IR発表もしているので、溝上雅俊さんから抱負を述べる場があっても良かったと思う。
㉑社外取締役と監査等委員を除く取締役3名の報酬等の総額は7,174万円。単純平均で取締役1人当たり2,391万円。
㉒議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。特に今回は、東京地方裁判所から総会検査役が選任されている株主総会なので、投票方式を採用したほうが良かったと思う。
株主総会を終えて感じたこと
光通信が市場内で株式の買い集めをしている一方で、自己株式の取得、希望退職の募集、配当方針の変更を立て続けに実施しており、光通信とザッパラスの関係に変化を感じ、会社が大きく変わる過渡期と思い、平均376円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
2023年3月14日に自己株式の取得を実施していますが、会社が保有する自己株式は議決権を有しないので、光通信との関係が悪ければこのタイミングで自己株式の取得をするはずも無く、少なくともこの時期以降に光通信と現経営陣の関係が悪化したものと思います。
株主総会直前までは、送付されてくる資料から、ザッパラスの現経営陣と光通信が対立している様子がひしひしと伝わってきましたが、光通信は、2023年4月30日時点で42.5%もの株式を保有しており、光通信の主張がほぼ通る状況であったので、株主総会直前のザッパラス側の抵抗には、違和感を感じました。
株主総会では、7月25日に発表したIRの通り観念したのか、社長の川嶋真理さんの淡々とした議事進行と退任の挨拶が印象的で、「占いを通じてお客様を元気にしたい」との言葉が心に残りました。
光通信が本気でザッパラスの改革に乗り出す過渡期に見え、継続保有の予定とし、今後の動向を注視します。