ファーストブラザーズ 第19回定時株主総会
日時:2023年2月22日(水) 10:00-11:00
場所:KITTE(東京駅直結)
出席株主数:約10人
お土産:無し
企業概要
ファーストブラザーズ(3454)
HP:ファーストブラザーズ株式会社 (firstbrothers.com)
①機関投資家の資産運用をおこなう「投資運用事業」(売上構成比7%)、賃貸不動産への投資やプライベートエクイティ投資などをおこなう「投資銀行事業」(売上構成比84%)、宿泊施設等のオペレーションをおこなう「施設運営事業」(売上構成比6%)を運営。
②筆頭株主は、創業者で社長の吉原知紀さんで、731万株、52.1%を保有。
ゴーディアン・キャピタルが第2位の株主として、158万株、11.2%を保有。
取締役の堀田佳延さんが第5位の株主として、37万株、2.6%を保有。
同じく取締役の辻野和孝さんも第7位の株主として、13万株、0.9%を保有。
③社長の吉原知紀さんが、過半数の議決権を保有しており、吉原知紀さんの意思一つで物事を決められるオーナー企業。
④株主優待(11月末)
3,000株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部5,000ポイント
3,100株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部6,000ポイント
3,200株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部7,000ポイント
~以降、5,000株まで100株保有増加毎に1,000ポイントを追加進呈
5,000株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部25,000ポイント
長期保有株主優待(1年以上保有すると下記基準を適用)
500株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部5,000ポイント
600株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部6,000ポイント
700株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部7,000ポイント
~以降、5,000株まで100株保有増加毎に1,000ポイントを追加進呈
5,000株:ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部50,000ポイント
株主総会での個人メモ
①監査役の齋藤剛さん、臼井丈さんはリモートでの出席。
②賃貸不動産は、ポートフォリオの入れ替え時に機動的に売却できるよう流動資産に計上。利回りが高い物件は長期間にわたり賃貸収益を獲得する意図から固定資産に計上。
③取得した賃貸不動産については、バリューアップを実施しながら運用するとともに、賃貸不動産ポートフォリオ入れ替えの観点から、マーケットで適宜売却を行いキャピタルゲインを享受。
④借入残高は増加する傾向。借入は原則として長期で行うとともに、金利スワップを活用して金利の一部固定化を実施。金利固定化割合23.2%。
⑤特徴として、物件の売却額が売上高として多額に計上されるため、売上高よりも売上総利益を重視する会社の方針。販売費及び一般管理費の大半が固定費であるのに対し、売上・利益については賃貸不動産の売却時に多額に計上される傾向があるため、四半期及び通期業績は、売却の如何によって大きく変動する。物件毎に売却時の利益率が異なるため、売上に対する各段階利益率も比較的変動する。不動産取引は個々の事情に左右されるものの、目立った季節性(例:上期に売上偏重等)は無い。
⑥株主資本配当率(DOE)2.0%が目安。連結株主資本(期初・期末平均)×2.0%÷期末発行済株式数(自己株式を除く)。自社株買いについては、機動的な株主還元の手法の一つとして認識しているとの説明。
⑦株主優待制度として、ファーストブラザーズ・プレミアム優待倶楽部を実施。ただし、配当が基本で、株主優待については見直しを継続しているとの説明。プレミアム優待倶楽部の株主優待は、廃止する企業も多く、今後の継続性が気になるところ。
⑧質疑応答は、議長の吉原知紀さんが指名した担当取締役が回答し、吉原知紀さんが補足説明をするスタイル。吉原知紀さんの真面目でしっかりした人柄が伺えた。取締役6名中、社長の吉原知紀さん、取締役の辻野和孝さん、堀田佳延さんの3名が三井信託銀行出身。安定感あり。
⑨質疑応答で、「今後のゴーディアン・キャピタルの保有株式売却による需給悪化への対応」について質問あり。時価総額の観点で、まずは個人投資家が吸収し、その後、時価総額が大きくなった段階で、機関投資家が保有することを想定しているとの回答。
⑩質疑応答で、「金利上昇の経営への影響」について質問あり。足元、金利上昇の影響を受けているのは固定金利で、変動金利は影響が無く、ファーストブラザーズは変動金利が主なので影響が出ていないとの説明。金利が上昇すると不動産市況は悪化するが、まだその兆候は見られない。仮に金利が1~2%上昇したとしても、賃貸不動産の利回りが7%程度あり、金利上昇の影響を吸収できるとの説明。
⑪プライム市場の上場維持基準に対し、2022年11月30日時点で、流通株式時価総額と流通株式比率が不適合。流通株式時価総額は、100億円の基準に対し33.3億円との説明。流通株式比率は、35%の目標に対し26.7%との説明。
仮に流通株式比率35%をクリアしたとして試算すると、流通株式時価総額をクリアするためには、100億円÷(1,444.5万株×35%)=1,977円が必要。社長の吉原知紀さんは、「自身が保有する株式の売却の可能性」についての質問に対し、自身が安定株主として存在することが会社にとってメリットがあると言葉を選んで説明。
⑫70歳以上の取締役と監査役の候補は7名中、渡辺達郎さん(1948年生まれ、74歳)の1名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑬1株当たり純資産1,536円に対し、2023年2月21日時点の株価は884円であり、PBR 0.57倍。解散価値であるPBR 1倍を大きく下回る状況。東証フォローアップ会議で、継続的にPBRが1倍を割る企業に対し、PBR改善を強く要請する方針との報道もあり、株価対策に期待。
⑭社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は12,720万円。単純平均で取締役1人当たり3,180万円。
⑮株主総会終了後、選任された新任監査役の金田好広さんの紹介があったのは良い対応。
株主総会を終えて感じたこと
簡素なHPに驚いたものの、配当と株主優待を含めた高い株主還元率に魅力を感じ、平均809円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、HPからは感じ取れない社長の吉原知紀の真面目でしっかりした人柄と、取締役会も機能しているような様子が伺えました。
金利の上昇が不動産市況に影響を与え、業績への下振れ要因になりそうですが、東証が今後取り組む予定のPBR改善要請とプライム市場への上場維持対策による株価上昇を期待して、継続保有の予定とします。