旅工房 臨時株主総会
日時:2023年10月26日(木) 10:00-11:20
場所:サンシャインシティ (東池袋駅徒歩5分)
出席株主数:約10名
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
旅工房(6548)
①個人のお客様に対し海外向けを中心とするパッケージ旅行を企画・販売するとともに単品での航空券販売・宿泊手配・オプショナルツアー・海外旅行保険などの手配をおこなう「個人旅行事業」(売上構成比29%)、企業・官公庁・学校法人などのお客様に対し国内および海外への業務渡航手配や法人のお客様向けに研修旅行・報奨旅行・専門性の要求される国際会議・展示会・学会やコンサートなどの各種イベント向け旅行を取り扱う「法人旅行事業」(売上構成比68%)、海外から日本を訪れる訪日外国人を対象としたインバウンド旅行の手配をおこなう「インバウンド旅行事業」(売上構成比3%)を運営。
②筆頭株主は、前社長の高山泰仁さんで、158万株、19.8%を保有。
格安航空券予約サイトなどを運営するアドベンチャー(6030)が、第3位の株主として、47万株、5.9%を保有。
③Go To トラベル事業給付について、約1万1千泊分が宿泊実態のない不正受給であったことが発覚。2023年2月28日に前社長の高山泰仁さんが辞任。
株式情報
時価総額:27億円(2023年10月25日時点)
売上高:12億円(2023年3月期実績)⇒未定(2024年3月期予想)
株価:280円(2023年10月25日時点)
1株純資産:▲83円(2023年6月末時点)、PBR:債務超過
1株当期純利益:未定(2024年3月期予想)、PER:未定
1株配当:無配(2024年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:6,933名
会計基準:日本会計基準
株主総会での個人メモ
①個人旅行事業における当社の特徴は以下。
インターネットでの顧客獲得
パッケージ旅行などの旅行関連商品の販売チャネルを自社ホームページや他社が運営する旅行系のポータルサイトといったインターネット上での販売に絞り込むとともに、お客様とのやり取りについてはメール及び電話を主な手段としている。これによって、店舗開設・運営にかかる固定費を削減し、コストの低減を図っている。
「トラベル・コンシェルジュ」による旅行カスタマイズ
インターネット上で顧客獲得を行っているが、旅行商品の販売手段としては、個人のお客様の旅行予約に際し「トラベル・コンシェルジュ」がサポートする仕組みと、自動化された販売システムを使用してお客様ご自身の操作によりウェブサイト上で予約手続きが完結するオンライン販売システムの2種類がある。独自に実施したインターネットユーザーの行動調査により、オンライン予約の過程で多数のユーザーが「商品ページに記載されているよりも詳細な情報を知りたい」「初めての旅行先は相談して最終決定したい」「複雑な旅程や条件で予約したい」など、システムによるオンライン予約だけでは対応できない潜在ニーズがあることを把握している。これらの潜在ニーズに応えるため、システムによるオンライン予約と、システムで対応しきれないお客様に対して、方面別に旅行先の情報に精通したプロフェッショナルによる電話やメールでの対応を組み合わせた「ハイブリッド戦略」を推し進めている。具体的には、旅行先の方面別に「トラベル・コンシェルジュ」と呼ぶ担当者を配置し、お客様からインターネットでいただいたお問い合わせをもとに、担当する地域に精通した「トラベル・コンシェルジュ」が電話及びメールでご要望のヒアリングを行い、ヒアリング内容をもとに必要に応じて旅行内容のカスタマイズや旅程の組み直しを行って、一人ひとりのお客様に最適な旅行を提供するための体制を整えている。これにより、自宅に居ながらにして旅行予約ができるオンラインの利便性を確保しつつ、こだわりのあるお客様のニーズにも応えられる付加価値の高い商品提案を行っている。
方面別組織による付加価値の高い旅行商品の提供
方面別に組織を分けており、それぞれの部署が旅行の企画から予約、手配までを一貫して行う体制としている。目的地の地域ごとにお客様のニーズが異なることから、地域特性に応じた商品の企画及び販売を可能とすることで、価格競争力のみならずお客様のニーズに即した付加価値の高い旅行商品を提供している。
②2024年3月期第1四半期の業績は、売上高は519,638千円(前年同期比168.8%増)、営業損失は127,286千円(前年同期の営業損失は333,042千円)、経常損失は126,202千円(前年同期の経常損失は306,909千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は99,858千円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は312,661千円)。
③海外旅行市場は回復傾向にあるが、情勢は日ごとに変化しており、現時点での合理的な業績予想の算定ができないため、2024年3月期の業績予想は未定。
④旅行業界においては、2023年4月から6月における日本人出国者数が前年同期比346.1%増の193万人となった。2019年同期比では58.1%減と本格回復には至らないものの、各国の入国規制緩和などを受けて緩やかに回復に向かっている。
⑤当社グループは、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた旅行需要の大幅な減退により、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上。当第1四半期連結累計期間においても、127,286千円の営業損失、126,202千円の経常損失、99,858千円の親会社株主に帰属する四半期純損失を計上しており、その結果、当第1四半期連結会計期間末の純資産は731,950千円の債務超過となっている。これらにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在。
⑥2023年10月31日を払込期日、割当先をアドベンチャーとした30億円(1株300円で1,000万株)の資本調達を決議。本新株発行で、124.5%の希薄化をもたらすこととなる。アドベンチャーの議決権が58.2%となり、アドベンチャーが親会社となる。
⑦アドベンチャーより従業員6名が当社に出向中。アドベンチャーとの間で締結した2023年8月10日付株式引受契約において、アドベンチャーが指名する取締役1名の選任が定められており、アドベンチャーの社長室に所属の轟木有里珠さん(2000年生まれ、23歳)が本臨時総会の取締役候補者。今回の第三者割当増資の中心的な役割を果たしたとの説明。
⑧社長の岩田静絵さんは、45歳(1978年生まれ)と若い社長。
⑨質疑応答で、「2,000円を超えていた株価が、200円台となっている。今回の第三者割当増資で、100%以上の株式の希薄化にもなってしまう。役員全員の意気込みが聞きたい。」との要望あり。各取締役と常勤監査役がそれぞれ意見を述べていた。株主との押し問答で、取締役の中尾隆一郎さんが冷静さを失っているように見える場面があり、やや気になった。
⑩質疑応答で、「取締役候補者の轟木有里珠さんについて、アドベンチャーでの職歴が約半年のみ。取締役として適任なのか?」との質問あり。「今回の第三者割当増資について、アドベンチャー側の窓口を一人で対応しており、人物としても能力があり適任。」との回答。
⑪質疑応答時に、何度か社長の岩田静絵さんが事務局と相談する場面があったが、事務局メンバーが、社長の岩田静絵さんに対して、部下を呼びつけるような態度をとっていた点が気になった。この対応を見ていた株主からも苦言が出ていた。
⑫社外取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は2,110万円。2022年6月に退任した1名分を3ヶ月分、2022年9月に退任した1名分を6ヶ月分、2023年2月に退任した1名分を11ヶ月分とし、使用人兼務取締役の使用人分給与1,366万円を考慮すると、単純平均で取締役1人当たり948万円。
⑬議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代にいつまでも会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
⑭株主総会終了後に、新任取締役の轟木有里珠さんからしっかりとした就任挨拶があった。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に、全取締役と常勤監査役から意見を伺うことができ、参考になりました。
アドベンチャーとの間で締結した2023年8月10日付株式引受契約において、アドベンチャーが指名する取締役1名の選任が定められており、今回の第三者割当増資の中心的な役割を果たしたとのことで、アドベンチャーの社長室所属の轟木有里珠さん(2000年生まれ、23歳)が取締役に選任されました。
轟木有里珠さんは、2023年4月にアドベンチャーに新卒入社したとのことで、上場企業の取締役としては経験の面で違和感を感じましたが、しっかりとした丁寧な挨拶を聞く限り、とても優秀な人物に見え、また、今後が楽しみな人財にも見えました。若さゆえに、妬み僻みなどを受けることもありそうですが、気にせず頑張って欲しいと思います。
アドベンチャーは、社長の中村俊一さんが議決権の59.8%を保有しているオーナー企業。このような大胆な判断を実行に移すことができるアドベンチャーの社風や意思決定プロセスにも興味を持ちました。
株主総会では、全取締役と常勤監査役から意気込みを伺うこともできましたが、親会社となるアドベンチャーの視点から見ると、アドベンチャーが先々のTOBを見据えている場合を除き、アドベンチャーが出資した株価300円を超える企業価値をどこまで創出できるかが、ポイントになるかと思います。
一方で、質疑応答時に、事務局メンバーが、社長の岩田静絵さんに対して、部下を呼びつけるような態度をとっていた点がとても気になりました。旅工房の組織運営に問題が潜んでいるようにも感じます。(事務局メンバーが、アドベンチャーからの出向者なのか、上下関係が逆転している可能性もあり。)
2024年3月期の業績予想を未定としているので、今期の赤字継続が心配ですが、まずは、コンプライアンスの遵守、Go To トラベル事業給付の不正受給からの信頼回復に取り組んで欲しいと思います。