visumo 臨時株主総会
日時:2025年12月19日(金) 10:00-10:45
場所:渋谷東口ビル(渋谷駅徒歩5分)
出席株主数:約10名
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
visumo(303A)
HP:visumo ビジュモ| Instagram(インスタグラム)の写真をハッシュタグで収集し自社サイトに活用
①写真や動画などのデジタルアセットを一元管理し有効活用できる仕組みを提供するとともに、専門知識を持たない人でもオウンドメディアのコンテンツ作成に携わることを可能とすることで、ビジュアルを活用したマーケティングを推進するビジュアルマーケティングプラットフォームの開発・運営を行うビジュアルマーケティングプラットフォーム事業を運営。
②筆頭株主は、EC構築ソフトなどを提供するソフトクリエイトホールディングス(3371)で、86万株、53.0%を保有。
株式情報
時価総額:15億円(2025年12月18日時点)
売上高:8.29億円(2025年3月期実績)⇒9.67億円(2026年3月期予想)
株価:955円(2025年12月18日時点)
1株純資産:340円(2025年9月末時点)、PBR:2.80倍
1株当期純利益:38.7円(2026年3月期予想)、PER:24.6倍
1株配当:無配(2026年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
フリーキャッシュフロー:0.18億円(2025年3月期実績)
株主数:1,768名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年3月期第2四半期は、SNSの普及やコロナ禍を契機に、消費者の情報収集はテキストから、商品の詳細なイメージを得ることのできるビジュアルに変化し、より簡潔に、多角的なコンテンツを様々な接点で受け取りたいというニーズが高まってきた。そのニーズを受け、事業者は一方的な情報発信ではなくユーザー・店舗スタッフ・アンバサダーなどによる多角的なデジタルコンテンツを拡充することで消費者への訴求・ニーズの把握を行っている。一方で、多くの事業者が、写真や動画などのデジタルアセットを一元管理できておらず有効活用できていない、デジタル人材の不足により十分なリソースを確保できないといった課題を抱えていた。当社の提供するvisumoサービスでは、InstagramやYouTube、X(旧Twitter)に投稿されたUGCや自社で作成した動画などをオウンドメディア(ブランドサイト、ECサイト、コーポレートサイトなど)に転載することや、店舗スタッフが写真・動画・コメントを自社サイトに投稿することができるため、ユーザーやスタッフなど様々な視点からの情報提供が可能となる。また、政府によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進などを背景として、当社が展開するビジュアルマーケティングプラットフォームサービスの利用が拡大し、企業のIT投資は順調に推移した。これらの結果、当中間会計期間の売上高は443百万円(前年比12.2%増)、営業利益は54百万円(同37.9%増)、経常利益は55百万円(同38.8%増)、中間純利益は37百万円(同40.9%増)となった。
②アクティブ社数は684社(前年比+35社)。グロスレベニューチャーンレート(解約率)は1.23%。ARPU(Average Revenue Per User:ユーザー一社当たりの平均売上)は104,867円。
③2025年6月25日に、「EC事業者向けに商品詳細ページ(PDP:Product Detail Page)最適化を支援する新たな取り組みを開始した。その一環として、商品写真や動画に加え、カタログ素材、コーディネート投稿、SNS投稿など、さまざまなクリエイティブ素材を効率的にファーストビューへ活用できる新機能「visumo show」の提供を開始する。」と公表。バロックジャパンリミテッド(3548)で先行導入。これまで、EC運用の現場では商品画像の入れ替えやクリエイティブの配置に、多くの時間と手間がかかることが課題となっていた。今回のアップデートでは、管理画面上でのドラッグ&ドロップにより商品画像の差し替えが直感的に行えるほか、SNS投稿や商品動画などをファーストビューに効果的に配置できるようになった。さらに画像や動画の売上貢献度も一目で分かるようになるため、お客様により最適なコンテンツをお届けできるようになる。
④既存顧客の多くはECサイトの売上アップを目的としてvisumoサービスを活用いただいている。関連市場として「ECサイト構築支援サービス市場」に属すると捉えており、マーケットサイズは引き続き伸⻑することが見込まれている。更にターゲットとする顧客層および単価による潜在市場規模は約170億円と想定している。
⑤2025年7月24日に、「スマホ時代の購買行動に最適化した「スワイプ型LPテンプレート」の提供を開始した。SNSのストーリーズのような没入体験を、ノーコード&直感操作で誰でも簡単に実装可能。オイシックス・ラ・大地(3182)が展開する食品宅配サービス「Oisix」にて先行導入が決定。今後、より多様なブランド体験への活用が期待できる。さらに、AIによるクリエイティブ最適化、外部マーケティングツール連携など、最新トレンドでも求められる機能も順次アップデート予定。」と公表。
⑥2025年10月16日に、当社とReviCoとは、同日開催の両社の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、ReviCoを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うための吸収合併契約を締結することを決議。ReviCoは、親会社のソフトクリエイトホールディングスの100%子会社。ECサイトにおけるレビューを戦略的に活用するマーケティングサービスを提供。「ReviCo」は普遍的なUGCであるレビューを活用する仕組みであり、特許技術によるレビュー収集機能で多くの実績を生み出している。信頼性の高い顧客の声を可視化し、購買意欲の喚起から注文率向上、集客支援、SEO、商品改善など、UGCデータから幅広い事業課題の解決に貢献している。導入企業数320社。visumoの「感情的な惹きつけ」に、ReviCoの「信頼担保」が組み合わさることで、顧客がブランドを知り、体験し、その声を共有・拡散させ、企業がその声に応えてサービスを向上させるという持続的な成長サイクルが生まれ、これは、顧客を単なる購入者ではなく、ブランドを共に創るパートナーとして捉える、次世代のマーケティングサービスとしてのニーズに応えるものとなる。そのような背景を基にして両社が提供するサービスのシナジーについて2025年4月より議論を重ねた結果、新たな成長機会の創出が可能であるとの結論に至り、両社が合併する事で早期の実現と両社企業価値の向上に資すると判断したため、本合併契約の締結に至った。当社においては2025年12月19日開催予定の臨時株主総会において、ReviCoにおいては2025年12月19日の臨時株主総会において、それぞれ承認を得たうえで、2026年1月1日を効力発生日として行われる予定。ReviCoの普通株式1株に対して、当社の普通株式27.58株を割当交付。
⑦2025年10月23日に、「2025年9月末時点で「visumo」の累計導入実績が1,000社を突破した。」と公表。
⑧2025年11月17日に、「ジーニー(6562)が提供するサイト内検索エンジン「GENIEE SEARCH」と連携し、ダルトンが運営する「ダルトン公式オンラインショップ」に実装された。」と公表。本連携により、「GENIEE SEARCH」を導入しているサイトの検索結果ページに、visumoの管理画面から収集・許諾したInstagramのUGCなどの写真や動画を表示できる。消費者はユーザーによるリアルな使用シーンを閲覧しながら商品を探せるため、より直感的に商品の魅力を理解し、自身の利用シーンを想起しやすくなる。これまで検索結果には商品単体の画像のみを表示していたため、「どのくらいの大きさなのか」「実際に使うとどんな雰囲気になるのか」が想像しづらいという課題があった。今回、検索結果にUGCを掲載できるようになったことで、お客様が実際の使用シーンをイメージしながら商品を探せるようになり、よりスムーズな購買体験を提供できると感じている。実際にUGC検索を利用されたお客様は、コンバージョン率が高いという結果も出ている。
⑨2025年12月9日に、「熊本市(経済観光局産業部雇用対策課)が運営する熊本市公式移住情報サイト「熊本はどう?」に、当社のSNS連携活用機能「visumo social」が導入された。」と公表。市⺠がSNSに投稿した写真や動画(UGC)をサイトに活用し、行政だけでは伝えきれない「リアルな暮らし」の魅力を発信。移住検討者の不安を解消し、持続可能な情報発信を実現する。
⑩社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は4,487万円。無報酬の1名を考慮して試算すると、単純平均で取締役1人当たり1,495万円。
株主総会での個人メモ
①商号の「visumo」の読み方は「びすも」ではなく「びじゅも」。
②質疑応答で、「上場時から株価がだいぶ下がっている。株価低迷の原因や、株価向上のための長期戦略についての考えを教えて欲しい。」との質問あり。「株価は市場で評価される。企業価値を上げ、株価を上げるために今回のReviCoとの統合も重要。今後、データー活用やAI活用に推移していく。」との旨の回答。
③質疑応答で、「市場では、少数株主の保護、利益相反の観点から親子上場の解消が進んでいるが、第3号議案が可決された場合、取締役8名の内、6名が親会社のソフトクリエイト出身者となる。今回はソフトクリエイトホールディングスの子会社のReviCoとの統合なのでやむを得ない面もあるが、ガバナンス上の懸念がある。今後の取締役の構成については、どのように考えているのか?」との質問あり。「ソフトクリエイトからスピンオフし、グループで立ち上げて推進してきた会社なので、現状、このような体制となっている。今後は、必要に応じて社外取締役の増員も検討していく。」との旨の説明。
④質疑応答で、「取締役8名の内、6名が親会社のソフトクリエイト出身者となる。利益相反などの問題が発生した場合、他社においては、社外取締役や監査役の責任が問われたこともある。社外取締役(甲斐真樹さん、石川憲和さん)や監査役(團桂一さん、三木正志さん、矢澤憲一さん)においては、しっかりと責務を果たして欲しい。」との旨の意見あり。
⑤質疑応答で、「東京証券取引所の方針として、親子上場を解消していく方向だと思う。今後もソフトクリエイトホールディングスの子会社として事業を続けていくのか?それともソフトクリエイトホールディングスから独立してやっていくつもりなのか?市場から株価が評価されないのは、親子上場だからだと思う。経営ビジョンを示して欲しい。」との旨の質問あり。「ビジョンは持っている。今回の統合で、株式の希薄化が進むのも理解している。企業価値を上げ、株価を上げることがミッションだと思っている。」との旨の回答。
⑥質疑応答で、「経営統合するReviCoの来年度の成長率や売上高の見通しは?」との質問あり。「公開できる情報は無い。今後、適時開示で対応する。」との回答。
⑦質疑応答で、「グロース市場は、上場から5年後に時価総額100億円以上が上場維持基準となるとの話が出ている。時価総額100億円を目指すのか?それともスタンダード市場へ移行するのか?」との質問あり。「ReviCoとの統合により企業価値を上げていく。ただ、今回の統合だけでは時価総額100億円には届かない。今後もM&Aを進めていく方針。グロース市場に入ったばかりなので、グロース市場でチャレンジしていくが、スタンダード市場への移行も選択肢の一つ。」との説明。
⑧質疑応答で、「海外のマーケットはターゲットに入っているのか?ターゲットに入っている場合、地域も教えて欲しい。」との質問あり。「長期的なビジョンとして海外展開もある。東南アジア、その先の国々に展開していく事を考えている。中国は難しい。欧米に進出できれば良いが、よりコミュニケーションが難しい。」との旨の回答。
⑨質疑応答で、「ReviCoの社長で取締役候補者の高橋直樹さんが代表取締役会長となる。社長の井上純さんと会長の高橋直樹さんの役割の違いを教えて欲しい。」との質問あり。「2名とも業務執行を含めて引き続き対応する。半年から1年程度は、それぞれの事業に責任を持って対応していく。人材の融合などについては、私(井上純さん)が対応する。高橋直樹さんはエンジニアなので、エンジニアの知見を活かし、企業価値を高めていきたい。」との説明。
⑩議案の採決方法は拍手での採決。第1号議案に反対する株主は、株式買取請求ができるとのことで、受付に申し出るようにとの説明があった。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
ReviCoとの経営統合について、社長の井上純さんから分かりやすい説明があり、また、質疑応答でも、社長の井上純さんから丁寧な回答対応がありました。なお、一部資料において誤読や読み飛ばしがあり、やや気になりました。事前に株主総会のリハーサルなどを行ったほうが良いかもしれません。
株主総会終了後に、ReviCoの社長で代表取締役会長に就任予定の高橋直樹さんから挨拶があり、「データを活かし、技術を活かしていく」との言葉が印象に残りました。
東証改革により、親子上場に厳しい目が向けられていますが、2025年2月の東京証券取引所の開示資料において、少数株主保護の観点から必要な上場制度の整備(上場子会社における独立社外取締役の独立性確保(独立性基準の見直しなど)や、独立社外取締役の選任義務化など)を検討するとの説明がありました。
親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。
質疑応答でもいくつか指摘がありましたが、visumoは、ソフトクリエイトホールディングス(3371)が53.0%の株式を保有しており、ソフトクリエイトホールディングスの連結子会社です。厳しい目が向けられつつある中での親子上場に違和感を感じると共に、今後の対応が気になります。
小規模ながらも売上高のトップライン、最終利益共に順調に伸びており、シナジーのありそうなReviCoとの経営統合効果も期待できそうです。成長企業として継続注視し、再投資も検討します。


