東京個別指導学院 臨時株主総会
日時:2025年12月8日(月) 13:00-13:40
場所:新宿野村ビル(西新宿駅徒歩4分)
出席株主数:約30名
お土産:無し
企業概要
東京個別指導学院(4745)
HP:東京個別指導学院|ベネッセグループの個別指導塾・学習塾
①首都圏エリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西エリア(大阪府、兵庫県、京都府)を中心に個別指導塾事業を運営。
②筆頭株主は、ベネッセホールディングスで、3,361万株、62.0%を保有。
株式情報
時価総額:240億円(2025年12月5日時点)
売上高:221億円(2025年2月期実績)⇒240億円(2026年2月期予想)
株価:443円(2025年12月5日時点)
1株純資産:144円(2025年5月末時点)、PBR:3.07倍
1株当期純利益:18.3円(2026年2月期予想)、PER:24.2倍
1株配当:6円(2026年2月期予想)、配当性向:32%
配当利回り:1.3%
フリーキャッシュフロー:16.9億円(2025年2月期実績)
株主数:36,999名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年2月期第2四半期は、教育環境としては、少子化による学齢人口の減少はあるものの、多様化する入試方法を背景に、個別最適化された受験対策のニーズが高まっている。また、私立高校無償化の流れにより、保護者の意向もこれまで以上に教育環境や指導品質を重視されてきており、教育投資意欲も向上していると認識している。当中間連結会計期間においては、前期に引き続き、継続的にお通いいただくことを重視してきている。ベネッセグループのアセットである豊富な情報量を元に、面談の品質向上に徹底的に取り組んだ結果、当社への期待が信頼に変わり、継続率の良化につながっている。
②その結果、当中間連結会計期間の平均生徒数は31,671名(前年比105.3%)と、堅調に伸長している(個別指導事業のうちゼミ個別指導事業を除く)。また、難関大学受験特化の志望校別コースとして開講した『志望校ターゲットコース』や『九州大学ターゲットコース』の受講状況を踏まえ、市場ニーズの確認や指導成果のモニタリングを行い、サービスのブラッシュアップを推進している。当社は、『志望校ターゲットコース』の全国展開により、これまで以上に難関校志望層から選ばれる塾への変革を目指している。利益面としては、優秀な人財を確保するための人件費や、教室業務の効率化を目的としたDX化への先行投資を行う一方、顧客利便性を十分に配慮した上での教室統廃合や、合理的な広告宣伝活動を実施し、収益性の改善を図っている。その結果、当中間連結会計期間の経営成績は、売上高は11,717百万円(前年比111.4%)、営業利益は384百万円(前年比423.2%)、経常利益は431百万円(前年比450.9%)、親会社株主に帰属する中間純利益は243百万円(前年比4,727.4%)となった。
③2025年10月14日開催の取締役会において、2025年12月8日開催予定の臨時株主総会を招集し、本臨時株主総会において、株式併合、単元株式数の定めの廃止および定款の一部変更について付議すること、ならびに本臨時株主総会の招集のための基準日設定について決議した。なお、当該取締役会決議は、上記の一連の手続を経て、当社の普通株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたもの。上記手続の過程において、当社株式は、東京証券取引所スタンダード市場における上場廃止基準に該当することとなる。これにより、当社株式は、2025年12月8日から2026年1月7日までの間、整理銘柄に指定された後、2026年1月8日をもって上場廃止となる予定。当社株式について、3,361,080株を1株に併合。1株未満の端数が生じる場合、ベネッセホールディングスおよび当社が買い取ることを予定しており、その買取りに係る代金を交付する予定。この場合の買取価格は、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、基準株式数に450円を乗じた金額に相当する金銭が交付されるような価格に設定することを予定。
④ベネッセホールディングスとしては、当社の主戦場である学習塾・予備校業界は今後少子化などの影響を受け競争が激化することが見込まれており、より強固な基盤をもって市場に参画することが肝要になることが予想されるため、当社としても、これまで以上にベネッセグループ各社とグループを横断してリソース・アセットを戦略的に組み合わせることが重要であり、より一層踏み込んだ取り組みを実施することが必要となると考えているとのこと。一方、ベネッセホールディングスは、2024年5月にブルーム1による公開買付けを受けて非公開化をし、ベネッセグループとしての中長期的な成長と更なる企業価値向上を目指し各種施策を検討しているものの、当社株式の上場を維持したまま当社との連携の強化に向けた具体的な施策に取り組むことについては一定の限界があると考えているとのこと。具体的には、ベネッセグループにおける個別指導塾事業の主体はベネッセホールディングスではなく当社であることから、ベネッセホールディングスが当社と連携して具体的な施策を実施していく際に、当社の一般株主とベネッセホールディングスとの間で利益相反を生じさせる可能性を否定できないことに加えて、かかる利益相反の可能性を理由にベネッセホールディングスの関与が制限される場合、当社およびベネッセホールディングスにとって施策の効果が限定的なものとなるおそれがあると考えているとのこと。また、上場会社としての当社の独立性を保つ必要性から、当社とベネッセホールディングスのコーポレート機能などの組織機能の効率化および高度化や、両者間で協力してノウハウを蓄積していくための人材配置の最適化など、両者のシナジー効果をより強く発現させるための踏み込んだ施策が制限されるおそれがあると考えているとのこと。ベネッセホールディングスは、こうした認識のもと、当社におけるより一層の事業拡大を目指し、ベネッセグループ全体の企業価値向上を図っていくためには、当社をベネッセホールディングスの完全子会社とすることで資本関係を更に強化し、当社の一般株主とベネッセホールディングスとの間での利益相反の可能性を解消した上で一体化した経営を行うことにより、経営資源・ノウハウの共有、意思決定の迅速化・簡素化、事業成長への経営資源の集中を図る必要があるとの考えに至ったとのこと。
⑤社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は5,803万円。2024年5月に退任した4名を3ヶ月分、同月に就任した1名を9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり2,110万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会会場は、東京個別指導学院本社のある新宿野村ビル内の会議室。
②取締役と監査役にミネラルウォーターが提供されていたが、株主側には提供が無く、経営から株主へ議案を諮る場としては違和感。
⇒会社として、株主ではなく役員の方向を見ている様子が伺えた。特にBtoCの会社として配慮不足を感じる。
③質疑応答で、「今回、公開買付としなかった理由は?」との質問あり。「ベネッセホールディングスから株式併合の提案があった。公開買付だと追加コストがかかるが、追加コストを配当原資とし、配当をできるだけ厚くするため株式併合となった。」との旨の回答。
④質疑応答で、「株式併合の対価交付スケジュールは?」との質問あり。「2026年2月下旬を目途に買い取る予定。4月中旬~下旬に代金を交付する予定。」との説明。
⑤質疑応答で、「端数処理交付見込額の考え方を教えて欲しい。」との質問あり。「基準株式数に450円を乗じた金額となる。他社の事例と比べ、同等レベルの合理的なプレミアムとなっている。」との回答。
⑥質疑応答で、「2000年の上場から25年となるが、上場期間は少子化もあり厳しい環境が続いていたと思う。上場期間における良かった点や悪かった点など、総括をいただきたい。」との意見あり。「良かった点については、個別指導のパイオニアとして、お客様第一に事業を進めてこれた点。悪かった点としては、少子化の時代、競合が多く、新しい手が打てなかった。ベネッセホールディングスと組んで、新しいことをやっていく良い機会になると思う。」との旨の説明。
⑦質疑応答で、「株式併合の対価交付の450円について、手数料はかかるのか?」との質問あり。「直接、金銭の交付なので手数料はかからない。」との回答。
⑧質疑応答で、「上場廃止は想定していなかった。株価が取得価格を下回っている。対価の交付が450円では安すぎる。これからも会社を応援したので670円程度は欲しい。」との旨の意見あり。「経営計画を参考に投資をされていたとのことで、お詫びする。厳しい環境の中、ひとつひとつ手を打って対応するとの考えで経営してきた。交付価格については、第三者的な視点で算定頂いた。30%程度のプレミアムを乗せている。現時点、公正な価格だと考えている。」との旨の説明。
⑨質疑応答で、「対価の交付が450円では安すぎる。説明文を読んでも納得できない。説明不足だと思う。」との旨の意見あり。「今後の運営に活かす。」との回答。
⑩質疑応答で、「450円での株式の買取について、拒否することはできるのか?」との質問あり。「当社に拒否する旨を通知いただき、株主総会でも議案に対して反対することが必要。そのうえで、公正な価格で買取請求を行うことは可能。対応については、ご自身の弁護士と相談して欲しい。」との旨の説明。
⑪質疑応答で、「今回、上場廃止となるが、上場企業の学習塾としてのブランド、上場企業の社員としてのモチベーションに影響が出てしまわないのか?」との質問あり。「学習塾の運営としては、ベネッセグループであることを確認されることが多い。今回、ベネッセグループであることに変わりはないので、影響は無い。新入社員については、今回の件を説明した結果、入社辞退は1件も無かった。大きな影響は無い。」との回答。
⑫質疑応答で、「株主優待があった頃に株式を購入したので、含み損がある。株式の買取を待ったほうが良いのか、それとも市場で売却し、損益通算した方が良いのか?」との質問あり。「株主個々の状況による。」との説明。
⑬議案の採決方法は拍手での採決。出席票の裏面に議案毎の賛否記入欄があり、株主総会終了後に受付で回収。第1号議案に反対する株主は、受付に申し出るようにとの説明があった。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、東京個別指導学院本社も入る新宿野村ビル内の会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、多くの質問が出ていましたが、社長の松尾茂樹さんを中心に丁寧に回答対応をされていました。
上場廃止は寂しいですが、東京個別指導学院についての知見は、学習塾市場へ投資を検討する際の参考とします。
2023年6月24日に出席したベネッセホールディングスの株主総会の内容についてはこちら↓
ベネッセホールディングスの株主総会に出席しました【2023年6月24日】 | ぽこタンの株主総会日記


