ELEMENTS 臨時株主総会
日時:2025年11月20日(木) 13:00-13:20
場所:日本橋ライフサイエンスビルディング(三越前駅徒歩3分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業概要
ELEMENTS(5246)
HP:ELEMENTS ホーム – 株式会社ELEMENTS(エレメンツ)
①生体情報を用いた認証サービスを提供する個人認証ソリューション、個人のデータを取得し、特徴を解析し、モノ・サービスを個人に最適化するためのサービスを提供する個人最適化ソリューションを行うIoP Cloud事業を運営。
②筆頭株主は、創業者で会長の久田康弘さんで、660万株、26.7%を保有。
第3位の株主は、情報通信サービスの営業代行業務を手掛けるBOCで、123万株、5.0%を保有。
第10位の株主は、東急不動産ホールディングス(3289)の子会社の東急不動産で、23万株、0.9%を保有。
株式情報
時価総額:159億円(2025年11月19日時点)
売上高:25.4億円(2024年11月期実績)⇒38.1~40.0億円(2025年11月期予想)
株価:589円(2025年11月19日時点)
1株純資産:69.1円(2025年5月末時点)、PBR:8.52倍
1株当期純利益:△33.5~△29.5円(2025年11月期予想)、PER:赤字
1株配当:無配(2025年11月期予想)、配当性向:赤字
配当利回り:無配
株主数:12,079名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年11月期第3四半期は、当社グループの提供するAIクラウド基盤(IoP Cloud)は、「個人認証ソリューション」と、主にヒトの生活三大要素である「衣食住」の分野において、モノやサービスの「個人最適化ソリューション」を提供している。新型コロナウイルス感染症の蔓延を契機に、社会全体のデジタル化が進む中、当社グループが提供する「個人認証ソリューション」と「個人最適化ソリューション」を用いたDX化の需要は拡大傾向にある。「個人認証ソリューション」が提供するオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」は、犯罪収益移転防止法の改正およびコロナ禍の影響を受け、市場が拡大している。矢野経済研究所「eKYC/当人認証ソリューション市場に関する調査(2025年)」によれば、eKYCおよび当人認証ソリューション市場の規模は2027年度には248億円に達すると見込まれており、業界を横断して更なる広がりが予想されている。また、中長期的には各業界におけるDXは加速し、活発な投資が行われることが見込まれる。このような環境の中で当社グループは、当第3四半期連結累計期間も引き続き、国内における主力サービスの拡大期と位置付け、事業を展開してきた。当第3四半期連結累計期間における売上高は2,721,221千円(前年比46.5%増)、EBITDAは219,260千円(前年比26.4%減)、営業損失は136,470千円(前年は営業利益110,406千円)、経常損失は179,131千円(前年は経常利益45,037千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は622,691千円(前年は期純損失38,529千円)となった。
②ポラリファイの連結開始により、四半期売上は過去最高となる1,030百万円で着地(前年比+59%)。
③総務省「デジタルインフラ整備基金助成事業(今回予算:120億円)」の公募において、当社グループのELEMENTS CLOUD四国が実施事業者の8社のうち1社として採択。本助成金を活用しながら、香川県高松市に自社AIデータセンターを構築する。
④近年話題となっている大手証券会社を中心に発生している口座乗っ取り対策として、パスキー(FIDO2)を用いた「多要素認証ソリューション」の提供を強化。同技術は、LiquidとPolarifyが連携して開発・提供。2025年9月までに、大手オンライン証券会社への導入が決定。その他、複数社への商談が進行中。
⑤当社売上および利益については、第3四半期対比で第4四半期の方が強い傾向が存在しており、2025年7月に開示した通期修正予想に対しては計画通りに進捗。
⑥中期財務目標は、2027年11月期の財務目標として、売上60億~65億円、営業利益率15% EBITDAマージン25%を設定。売上については、上場後5年の年平均成長率で30%以上となる水準を目標とする。
⑦営業利益と当期純利益の差分については、2025年11月期第2四半期においてアドメディカに係る減損損失として659百万円を計上したことが主な理由。
⑧2025年9月30日付の取締役会において、海外募集による新株式発行を決議。募集株式数は240万株。発行価格は1株につき755円。発行価格(募集価格)の総額は18.12億円。払込期日は2025年10月20日。本件資金は、「「LIQUIDシリーズ」を中心とした個人認証事業における高付加価値ソリューションの開発・拡充に必要な人件費、ソフトウェア関連費用などの運転資金」、「「ELEMENTS CLOUD」の事業拡大に必要な人件費などの運転資金およびデータセンターなどの設備資金」として充当する方針。
⑨2025年11月7日に、「連結子会社であるポラリファイは、CAICA DIGITAL(2315)の子会社のカイカフィナンシャルホールディングスを利用料などの売上債権の支払遅延を理由に訴訟の提起をしていた。今般、当社の主張が認められた結果、和解が成立したため、和解金8百万円を営業外収益として計上することになった。」と公表。
⑩2025年11月13日に、「子会社のLiquidと、ポラリファイが提供するオンライン本人確認サービスの累計本人確認件数が1億5,000万件を突破した。」と公表。提供開始以来、利用件数の拡大を続けており、2025年10月末現在においては640社を超える事業者への導入と月間数百万件規模の本人確認件数を達成するなど継続的に成長しており、オンライン本人確認が社会インフラとして定着段階にある。eKYC市場シェア6年連続No.1である「LIQUID eKYC」は、ネット上での契約やアカウント登録、口座開設時などに必要な身元確認をオンライン完結で行うサービス。運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の撮影、もしくはICチップの読み取りを行い、自撮りの顔写真との照合を行う方式や、公的個人認証(JPKI・スマホJPKI)を活用した方式を提供している。学割などの年齢確認にも対応可能。独自のAI技術、生体認証技術、OCR技術などにより、撮影開始から完了までの離脱率の低さを実現している。
⑪2025年11月期第3四半期時点、資産のうち、のれんが10.5億円。一方で、純資産は20.2億円。
⇒のれんが多く気になるところ。
⑫社外取締役と監査等委員である取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は5,102万円。単純平均で取締役1人当たり1,700万円。
株主総会での個人メモ
①質疑応答で、「今回の減資は黒字化への自信の表れと考えてよいのか?」との質問あり。「IRで開示している目標に対して、順調に目指している。黒字化を目指していきたい。」との回答。
②質疑応答で、「自治体案件について、競合他社を教えて欲しい。競合他社に投資を検討したい。」との質問あり。「議案に関係の無い質問なので回答は差し控える。」との説明。
③質疑応答で、「今回の減資で、具体的にどのようなメリットがあるのか?」との質問あり。「税制上のメリットは主目的ではない。資本政策の機動性や柔軟性を確保することが目的。副次的なメリットとして税制効果があり、外形標準課税においてメリットが出てくる。」との回答。
④質疑応答で、「10月20日に海外募集による新株式発行を行い、資本金が8,568万円増加していると思うが、議案には資本金の額が3,672万円との記載がある。10月20日に実施した増資が資本金に反映されていないのでは?」との旨の質問あり。「10月20日の海外募集による新株式発行によって増えた資本金の額は、正しくは8億5,686万円。ストックオプションなど、増資と減資を調整した結果、資本金の額は3,672万円で合っている。」との旨の説明。
⇒2025年11月期第3四半期決算短信において、2025年8月末の資本金の額について3,672万円との記載があり、質問に対する回答となっていないように思え、違和感を感じた。シンプルに、2025年10月20日の海外募集による新株式発行によって増えた資本金8億5,686万円が、議案上、どのような扱いになっているのか説明があればよかったと思う。
⑤議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
今回の議案であった「資本金の額の減少」については、他社の株主総会でよく見かける資本金1億円への減資とは異なり、資本金3,672万円から1,000万円への減資が議案となっており、一見、節税効果にもならないように見え、違和感を感じました。
また、質疑応答でも指摘がありましたが、資本金の額について3,672万円と説明されていたものの、今回の議案において、2025年10月20日に実施した海外募集による新株式発行によって増加した資本金(8億5,686万円)についてどのような扱いになっているのか、社長の長谷川敬起さんからは具体的な説明が無く、気になりました。
業績については、上場以降、最終赤字が続いているものの、売上高のトップラインが順調に伸びており、また、体感として「個人認証ソリューション」が急速に拡大しているように感じます。
株主総会では説明姿勢にやや違和感を感じましたが、成長企業として再投資も検討します。



