アーキテクツ・スタジオ・ジャパン 臨時株主総会
日時:2025年11月5日(水) 13:00-13:35
場所:コルマ京橋ビル(京橋駅徒歩3分)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業概要
アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(6085)
HP:ASJ ポータル – アーキテクツ・スタジオ・ジャパン
①既存の建築家ネットワークを活用したビジネスにおいて建築家やスタジオへの住宅などに関する各種企画などをサービスとして提供する「住まい関連事業」(売上構成比63%)を中心に、既存の建築家ネットワークを活用したビジネスをベースに「衣+食+遊+健康」をテーマとして販売およびサービスを提供する「暮らし関連事業」(売上構成比3%)、既存の建築家ネットワークを活用したビジネスにて提供する「衣+食+住+遊+健康」における資金面でのサポートを提供する「投資関連事業」(売上構成比34%)を運営。
②筆頭株主は、賃貸斡旋などを手掛けるAPAMANの子会社のApaman Networkで、71万株、22.0%を保有。
第2位の株主は、会長の丸山雄平さんで、37万株、11.5%を保有。
第4位の株主は、経営コンサルティングなどを手掛けるT.MAKEで、26万株、8.1%を保有。
第5位の株主は、中谷宅雄さんで、14万株、4.5%を保有。
第7位の株主は、不動産関連事業を手掛けるケイアイホールディングスで、9万株、2.9%を保有。
第8位の株主は、不動産賃貸などを手掛ける中日実業で、9万株、2.8%を保有。
株式情報
時価総額:32億円(2025年11月4日時点)
売上高:8.97億円(2025年3月期実績)⇒25.3億円(2026年2月期予想、11ヶ月決算)
株価:280円(2025年11月4日時点)
1株純資産:9.84円(2025年3月末時点)、PBR:28.4倍
1株当期純利益:11.3円(2026年2月期予想、11ヶ月決算)、PER:24.7倍
1株配当:無配(2026年2月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:1,059名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年3月期第1四半期は、当社の主たる事業である住まい関連市場への事業環境は海外からの投資の流入などもあり、若干上向き傾向となっている。当社の収益に直結する新設住宅着工戸数が国土交通省の建築物着工統計調査報告(2025年4月30日発表)の2024年度の「建築着工統計調査報告」では新設住宅の着工戸数は81万6,018戸(前年比2.0%増)、床面積は6,283万平方メートル(同1.0%増)で、いずれも3年ぶりにプラスに転じている。ただし、一方では全建築物の着工床面積は1億445万平方メートル(同3.6%減)と3年連続の減少となっている。2024年通年では前年比3.4%減の79万2,098戸と2年連続でマイナスとなっていたにも関わらず、新設住宅着工戸数が3年ぶりに一転増加となった要因としては、2025年4月からの脱炭素大改正(改正建築物省エネ法と改正建築基準法の全面施行)を控えた駆け込み着工戸数の増加の影響、大都市圏を中心とした賃貸需要の高まりや分譲マンションの着工数増加などが要因として考えられている。しかし、こうしたプラス傾向もある中で全建物では減少傾向は継続しており、業界自体が上向いているとは言い難い状況。
②このような社会経済情勢において、当社の主たる事業である住まい関連市場への事業環境は一部数値的には改善されているが、建築資材、人件費の高騰は継続しており、建築費自体の高騰は止まらない状況であるために昨年来続いている厳しい状況は変わっていない。その中で当社は将来に向けた企業価値向上を図るために、3つのセグメントによる事業展開により、事業再構築を目指した取り組みを行ってきた。そんな中で当社の当第1四半期連結累計期間の売上高218,107千円(前年比112.5%増)となった。これは従来よりも連結子会社の増加が主な要因。損益面においては、営業損失は200,393千円となり、主に連結子会社が保有する有利子負債に伴う支払利息8,438千円の計上により、経常損失は208,622千円となった。そして、親会社株主に帰属する四半期純損失は130,596千円となった。住まい関連事業は業種としての特性で例年、第1四半期の売上高は毎年同様に他の四半期と比較しても低い傾向であり、当第1四半期にもおいても改善出来ていない。この傾向を補完するために新たなセグメントとして事業展開として計画した暮らし関連事業の立ち上げが様々な要因により遅れたことにより、業績改善に至らず、上記の収益となった要因であると考えている。
③住まい関連事業は、売上高は当社による工事請負契約および建築設計・監理業務委託契約分売上、契約ロイヤリティ売上、マーケティング売上に子会社の売上高を合わせて84,424千円となり、セグメント損益は15,390千円の損失となった。
売上高の内容としては、まずスタジオネットワークビジネスにおいては、新たなメニュー構成による加盟店開発および既存スタジオの収益改善をメイン業務としたスタジオサポート事業を中心に収益構造改革および組織の再構築に取り組んでおり、特に波形鋼板による低コスト・短工期で建築可能な無柱大空間建築を実現するコルゲートアーキテクチャー・システムはその工法特性から予想を超える問い合わせがあり、順調な出足となっている。FCスタジオ主催住宅イベントは開催数そのものはほぼ横ばいで推移しており、会員数の大幅な増加とはならなかったが、「新築住宅」だけではなく「リフォーム&リノベーション」まで幅を拡げた結果、一定数の新規会員数の確保は達成している。
次に首都圏の富裕層を中心に営業展開を図っているプロデュースビジネスにおいては、対象を住宅以外に別荘やリゾート案件、収益物件などまで拡げた受注を目指して、当四半期も顧客紹介・業務委託数、工事請負契約数などを若干ながら増加させている。営業拠点については、二子玉川の商業施設に新たなコンセプトとして、新規顧客層の開拓を目指している。今後、こうした地元密着型の小型展示場に合致するマーケティングを展開していく。
また、PROTO BANKビジネスは、事業としての収益面では厳しく、期待できないが、建築家のプロモーションツールとしての機能は非常に高く、よって今後もより多くの建築家の方々に参加いただき、競合するハウスメーカーとの差別化に貢献する当社のネットワークバリュー向上に寄与させていく。
当第1四半期連結累計期間において、住まい関連事業については工事請負契約および建築設計・監理業務委託契約の件数が微増となり、結果として工事請負ロイヤリティ売上および建築家フィー売上は、底堅く推移しており、またマーケティング売上についてはイベント開催が回復してきたことから、概ね前年並の推移となったが、新規加盟契約獲得は、市場環境の影響から依然として低迷が続いている。この従来からのスタジオネットワークでは、現在の市場環境を鑑みた場合に、その拡充には限界があるとの判断から、新たなビジネスネットワークとして共同購買や付帯サービスを充実させた加盟開発のためのシステムの構築に着手しており、ビジネスサポート事業と連動して、当社グループの営業資産となるビジネスネットワークを当期中に構築していく計画。
また、需要が高まっているリフォーム関連についてはプロディース事業本部が子会社であるチャミ・コーポレーションとの連携により、新たな受注を着実に獲得しており、新たな収益の柱に成長していくものと判断される。尚、チャミ・コーポレーションは今期中に特定建設業の許可取得を計画しており、当社グループにて大型案件の受注も可能となる予定。ネットワーク事業本部ではリフォームを対象としたパッケージ商品を構築し、リフォーム事業を新たに開始するような企業を対象に加盟を促進させていく計画。
住まい関連事業の今後の展開は中期経営計画に基づき、住まい関連事業における当社の提供サービスの枠を拡充し、新規スタジオ、協力工務店・建設会社への加入メリットを充実させることで住まい関連事業の新たな事業ネットワークを構築・拡大することを目指す。すでに開始したビジネスサポート事業の一環である「共同購買システム」による建材・住宅設備などの販売は季節商品の特販や別注商品の確保など、当社独自の販売戦略での展開を開始している。それに加えて、加盟スタジオおよび新たな事業ネットワークに参加する協力工務店・建設会社の建築住宅引き渡し後のハウスメンテナンス業務や施主からの要望の一切を一括サポートする「(仮称)ASJハウスサポート・プロ」は一般顧客からのニーズも高く、また建築会社・工務店からも引き渡し後のメンテナンス業務が軽減されるために非常に好評であったために事業化すべく、準備していたが、そのサービスインフラとなる企業との提携が予期せぬ事態により、進まない状況となったために、事業開始が大幅に遅れる、もしくは凍結となる見込み。また、独自開発の定額リフォームパッケージの販売、投資事業およびトルネードジャパンと連携したリフォーム住宅の販売といったリフォーム関連事業と住宅開発に係る業務の展開についても同様の予期せぬ事態により、大幅に遅れる見込み、もしくは凍結となる見込み。
しかしながら、その中で当社関連会社チャミ・コーポレーションとの協業により、リフォーム事業については着実に進んでいる。こうしたリフォーム事業の展開により、新規取引先開拓として加盟契約数増加もネットワーク事業本部では目論んでいる。
また、住まい関連事業の収益を圧迫していた建築家ネットワーク事業の基幹システム「APOS」を3つの機能に切り分けることで月額200万円以上の「APOS」の維持管理コストを軽減させ、大幅なコストカットを行うので、事業セグメントとしても年間で2,400万円以上の収支改善となる。
子会社についてはトルネードジャパンの不動産デベロッパーとの協業による不動産開発プロジェクトへの参画(不動産仲介・開発関連設計・エンジニアリング業務)も新たな収益として期待できるものと判断している。また、ESJにおいては、今後の本格的な事業展開のための準備を整えており、またボーリング調査および事前協議・作業を行った案件につき、5メガクラスの蓄電池設備の工事受注が2026年2月期中に見込まれている。
海外での住まい関連事業の展開としてはシンガポール法人で当社子会社のSupaspace Pte Ltd.のシンガポール市場での公団住宅のリフォーム事業はショールームおよびデジタルマーケティングによる営業政策の徹底により、本格的な営業活動が行っていたが、予期せぬ事態によって営業体制の再構築を行うこととなったために計画よりも遅れている。当期下半期から当社収益に寄与することになると判断している。また日本製の建材、特に機能性塗料のアジア市場への販売もサンプル配布によるテストマーケティングは実施しており、これは当期下半期からの事業開始となる計画。
④暮らし関連事業は、売上高は子会社による売上を中心に132,812千円となり、またセグメント利益は4,713千円であった。
売上内容としては当第1四半期連結累計期間においては、当社として前期より準備してきた家具などの物品販売による売上が輸入家具の輸送の遅れ、通関などにおいて予定よりも大幅に遅れたために家具・アートのセレクト店舗として計画した「エースリーセレクト」が当該期の開業に至らず、当第2四半期連結累計期間での計上となったこともあり、子会社の売上を中心とした内容となった。
暮らし関連事業は「ASJだから提供できる上質な製品とサービスの提供」とし「衣+食+住+遊+健康」をテーマとして、取扱いジャンルを家具(輸入・国内)、絵画・アート類、インテリア雑貨・食器類、アパレル、グルメ、ヘルスケア関連製品まで設定した「ASJセレクト」事業をECサイト&リアルセールスの小売販売を開始すべく、準備を行っており、まずは家具・インテリア雑貨・アートのセレクト店舗として「エースリーセレクト」を東京都中央区日本橋小伝馬町に開業させることとなった。輸入関連に予期せぬ時間を要したために開業時期がずれ込むこととなり、当第1四半期連結累計期間での開業は行えなかったが、予約中心の運営形態として、開業前にも関わらず、登録建築家、取引先から予約の申し込み、商談の申し込みも入ってきている。これはヨーロピアン高級家具の品揃え型の店舗が日本では非常に少ないこと、当社にて輸入した家具の現品販売のためにデリバリータイムが圧倒的に短いこと、為替特にユーロ高による家具価格の高騰での当社価格の優位性、日本初のブランド、作家の作品導入、提携モダンアートのアーティストとのコラボレーションによるアート作品の販売などが訴求しているものと判断している。当該店舗の開業に合わせて、富裕層を顧客に持つ当社提携先からの協力を得て、新たな顧客層の獲得に努め、住まい関連事業への波及効果も目指していく。
暮らし関連事業の中核を為す、当社グループ会社のチャミ・コーポレーションは当期中において特定建設業の許可申請を行う計画であり、事業地域、請負規模の拡充を予定しており、またグループ会社化のMEDも単体の事業収支のみならず、業界のDX化を含む当社のデジタル関連業務の内製化への貢献による波及効果は大きく、当社で展開するASJセレクト事業と共に暮らし関連事業の収益向上に作用していく。
今後については、チャミ・コーポレーションの家具輸入販売の各種ノウハウを活用し「エースリーセレクト」店舗運営においては家具業界での長年の経験を持つ人材とアート分野での知見とネットワークを有する企業との提携を行い、事業効率重視の事業展開を目指していく。アート分野では海外に日本のモダンアーティストを紹介斡旋していくアートディレクションも主たる事業として展開する計画であり、すでに香港、台湾、韓国とのギャラリー、オークション会社との連携を始めている。
ASJセレクト事業の店舗「エースリーセレクト」は納品までに非常に時間を要するヨーロッパ高級輸入家具の現物販売やキッチン・バス・トイレといったリフォーム関連製品の展示販売、アート・インテリアグッズの販売など当社のコンシューマ対象のショールームとして機能する「場=ベース」とする。加えて「住まい」関連事業のサテライトとしての利用も可能とする計画。ASJセレクト事業の一環として、特に家具についてはチャミ・コーポレーションと当社の共同企画として「リーズナブルな価格と上質&ベターデザイン」をコンセプトとした家具の新規ブランドを立ち上げを準備しており、これらにより、まずは当社の77,000名を超えるアカデミー会員を対象としたBtoC(=小売販売)から開始し、今後はMEDによる新たなメンバーシップ「ASJセレクト」会員として、50万人規模の会員登録を目指して、暮らし関連事業の主たる事業としていく。
また、住まい関連事業の取引先(当社加盟のスタジオ、協力企業である工務店等建築関連企業)と約3,000名の登録建築家を対象としたBtoB(=事業用卸売販売)も並行して開始、今回の「エースリーセレクト」に合わせて、この「エースリーセレクト」の概要と利用促進を初めて登録建築家全員に案内することを行う。従来、登録建築家の方々全員へのアプローチを行っておらず、今回は当社の営業インフラである建築家ネットワークに対して新たなアプローチを試みる。こうした住まい関連事業との連携連動を含めて、暮らし関連事業の増収増益を目指す。
その他、アートディレクションビジネスも暮らし関連事業の主たる事業として育成していく計画であり、建築家やアートディレクターとの協業による絵画・彫刻・オブジェといったアート関連グッズの取り扱いと日本人アーティスト発掘と国内外でのアート作品の紹介と斡旋を行っていく。
また、グルメ関連商品では1923年創業の珈琲豆専門商社ダイヤモンド商会との提携により、オリジナルブレンドや上記提携アーティストデザインのパッケージ商品の販売を行う。また、ASJセレクト会員に対して産地直送で提供するために、果物・米穀・和牛・黒豚・野菜の産地との折衝を開始しており、「ASJだから提供できるモノ」の提供可能な体制構築を行っておいる。2026年2月期内で取扱いを開始する。
これに関連して投資関連事業で協業しているJR九州グループと連携して世界的に有名なパティシエとのコラボ企画「地のモノを美味しい新しいお土産にするプロジェクト」で九州の素材で製造するクッキーの商品企画および卸売業務も担当すると案内していたが、予期せぬ事態により、当該プロジェクトからは撤退する予定。また、暮らしサポートビジネスとして「ASJハウスサポート・プロ」加盟企業向けのマグネット関連製品につき、日本国内での販売総代理店として製品販売を開始したが、予期せぬ事態により、独占販売権は返上することになった。計画していたこうした付帯サービスは予期せぬ事態により、今後の展開については現時点では計画の見直しとなる。
⑤投資関連事業は、売上高は事業シナジーのあるプロジェクトとしてJR別府駅前プロジェクトの売上869千円を計上、セグメント利益は119千円となった。
売上の内容としてはJR別府駅前プロジェクトについては店舗設備の貸与収入を2026年2月期より3年間継続的に計上している。前期は第2四半期において亜臨界水処理技術を応用したALINプロジェクトの売上を計上していたが、収益として計画していた主要設備機器販売手数料収入およびプロジェクト紹介斡旋手数料収入に関して、現時点においても関係先との契約締結に至っていないため、計画からは除外している。
トルネードジャパンを介してリフォーム住宅の販売といった短期的な資金運用可能な投資案件や宅地建物取引業免許を活用した住まい関連事業と協業する不動産関連案件プロジェクトへの参画による収益確保も2026年2月期に具体化する計画。
その他、引き続き当社事業と親和性の高い企業への出資やM&Aも行っていく計画。
⑥当社グループは、前連結会計年度、そして当第1四半期において、営業損失、経常損失および親会社株主に帰属する四半期純損失を計上した。このような状況により、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しているものと認識している。
⑦2025年7月9日に、中谷宅雄さんから2025年7月7日に臨時株主総会招集請求書を受領したと公表。臨時株主総会の目的事項は、取締役の庵下伸一郎さん、チンユウヤオさん、石崎謙二さんの解任。監査等委員である取締役の吉原慎二さん、四倉佐千夫さんの解任。取締役3名(川井博司さん、ベーア・ディミトリー・フィリップさん、小津晨鳴さん)選任。監査等委員である取締役2名(大石英樹さん、清水秀幸さん)選任。提案理由の要旨は、赤字経営が継続しており、人事の刷新を図ることで業績回復を図るため。
⑧2025年7月25日取締役会において、当社元代表取締役で現取締役である者(以下、元代表取締役とする)による金融商品取引法に係る不正行為への関与の疑義、および当社資金の私的流用事案などが明らかになったことから、社内に調査委員会を設置し、事実の調査確認などを行うとともに、元代表取締役についての取締役解任事由の有無および解任決議案上程の是非ならびに責任追及の方法について意見を求めることを、本来決議に参加しない利害関係者である元代表取締役も含め取締役全員の賛成により決議。
⇒「当社元代表取締役で現取締役」に該当する取締役は、経歴から見て、取締役の丸山雄平さんのみ。
⑨2025年7月25日開催の取締役会において、2025年10月に開催予定の臨時株主総会招集のための基準日を2025年8月15日に設定すると決議。
⑩2025年8月12日に、臨時株主総会招集請求をした中谷宅雄さんから、当社代理人からの質問状に対する回答書に十分な情報の提供がなかったとの理由で、臨時株主総会招集のための基準日を取り消ししたと公表。
⑪2025年9月10日に、「中谷宅雄さんより出されていた臨時株主総会招集請求について、中谷宅雄さんより「株主総会招集許可申立事件」として東京地方裁判所に申立てがなされ、令和7年9月10日に審問が行われた。その審問結果、東京地方裁判所より臨時株主総会を招集することを許可する旨の決定がなされた。」と公表。
⑫2025年9月10日開催の取締役会において、2025年11月に開催予定の臨時株主総会招集のための基準日を2025年9月30日に設定すると決議。
⑬2025年10月1日に、臨時株主総会に関する当社の見解を公表。主な内容は以下の通り。
1.解任理由には合理性がなく、新任候補者の経営方針や適格性が不透明であり、さらに、重大な不祥事が指摘される人物を経営に残そうとするもので、株主共同の利益を害することは明らかである。
2.昨年度の特別損失の原因であった訴訟損失引当金61,590千円については、高裁での逆転勝訴により全額組み戻しとなっている。基幹システムAPOSのソフトウェア仮勘定22,800千円の全額減損処理についても、インコントロール(代表取締役は川井博司さん)との取引を見直すことで改善を図る見通しであった。本件議題では、旧代表取締役の解任を求めず、逆に改善に取り組んできた現経営陣の大半を解任対象としている。これは論理的に矛盾している。取締役の四倉佐千夫さんにいたっては、就任したばかり。
3.新任の取締役については、中谷宅雄さんを通じて面談を求め、経営方針の開示を求めたが拒否をされており、新経営陣の経営方針も全く明らかにされなかった。特に、インコントロールについては、高額な発注が継続され、監査法人の指摘によりソフトウェア仮勘定を毎年全額減損処理していたことから、当社が同社に対する発注を絞った経緯がある。そのインコントロールの川井博司さんを取締役として選任することは、重大な利益相反リスクが伴うものであるが、この点の質問に対しても一切の合理的な回答は無い。
4.さらに重大なのは、本件議題により実際に経営を担うことになると見込まれる人物について、当社調査委員会が、中間報告書において、同人物の経費の流用について、特別背任に該当する行為や善管注意義務違反を認定している点。さらに、赤字が続いている当社の売上規模・収益状況に比して明らかに過大な取引に関する内示書を取締役会の承認や稟議手続すら経ないで提示したことについて、重大なコンプライアンス違反があり、同人には取締役解任事由があると結論づけている点。さらに、今回の調査対象以外にも約350件、総額400万円を超える虚偽申告による資金の詐取が判明し、継続的な調査を行うこととなっている。このような人物を経営陣に残すことは、会社の信頼と株主価値を著しく毀損するものであり、全く受け入れがたいもの。また、今回の株主提案において丸山雄平さんと並んで解任請求されなかった監査等委員である取締役の石塚亮平さんは事前にも、事後にも中谷宅雄さん側から一切のコンタクトはなく、自分だけが解任請求されていないことにつき、非常に困惑していることを当社取締役会に書面を提出している。また、自らが調査委員会のメンバーとして「当社元代表取締役、現取締役による不法行為に関する調査」を行った者として、同人と並んで取締役として業務を行うことは出来ないことと、また、新任取締役候補とのコンタクトもなく、今後の経営につき全く不明の状態では監査等委員取締役としての業務を継続することは当然出来ないとの理由から、株主提案は受け入れられないとの意思も表明されている。
⑭2025年10月3日に、調査委員会から中間報告書を受領。「当社元代表取締役で現取締役である者による不正行為(虚偽申告による経費の私的流用)については、本人が認めている額もあることから、その額(約50万円)を一応確定している。ただし、報告書でも指摘されているように、今回の調査対象以外に約400万円を超える虚偽申告の疑いが調査の過程で判明しており、継続して調査を行っており、全容の解明を行う。「当社元代表取締役で現取締役である者の独断による内示書交付」については、一定の調査は進捗し、当社が発注していないこと、内示書は同人が社内で行うべき、手続きを経ずに独断で交付したものであり、違法な業務執行であったことは確認されている。これは報告書に記載の通り、当社は過去において内示書を交付したことはなく、かつ内示書とはいえ、当社の事業規模から判断して多額な製品に関する書面の交付であることから、当然、稟議、取締役会での決議、経営会議における議論も行っていないことはデジタルフォレンジックの結果を待つまでもなく、確認できたために独断で交付したものとの報告となっている。」との説明。
⑮2025年10月8日に、「主要株主および主要株主である筆頭株主に異動があった。2025年9月30日時点、筆頭株主は、SIX SIX LTD.で、243万株、21.1%を保有。ベーア・ディミトリー・フィリップさんが、第2位の株主として、242万株、21.1%を保有。SAXO BANK A/S(CLIENT ASSETS)が、第3位の株主として、155万株、13.5%を保有。なお、新たに主要株主である筆頭株主となった株主と当社とは一切接触していない。」と公表。
⑯2025年10月15日に、「調査委員会にかかる費用として、概算額1,000万円程度を2026年2月期第3四半期連結会計期間において、特別損失に計上する見通しとなった。」と公表。
⑰2025年10月21日付で、臨時株主総会招集請求を行っていた中谷宅雄さんより、臨時株主総会招集通知が発行される。臨時株主総会招集通知には、中谷宅雄さんが招集を請求し開催するものとの説明があり、A4用紙1枚の議決権行使書、切手の無い返信用封筒が同封されていた。
⑱2025年10月21日に、「連結子会社であるチャミ・コーポレーションが、同日開催の臨時株主総会にて第三者割当増資を行なった。」と公表。チャミ・コーポレーションは、2025年2月26日に当社の子会社となって以降、当社との協業によるリフォーム事業、当社の暮らし関連事業の中核を為す「ASJセレクト事業」での高級家具・アートの販売などを担当し、「ASJセレクト事業」の店舗「エースリーセレクト」の展開についても業務を担当し、暮らし関連事業の業容拡大に進めてきた。この度、チャミ・コーポレーションはリフォーム関連事業などでの業容拡大を目指して、特定建設業許可(建設・電気)を取得するため、財務基盤を強化することとし、そのために第三者割当増資を行うこととした。割当先は当社、チャミ・コーポレーション代表者である瀧尾享治さん、チャミ・コーポレーション新任取締役である石崎謙二さんの3名。特定建設業許可取得のための財産的基礎は、資本金2,000万円以上、自己資本が4,000万円以上、欠損額が資本金の20%以下、流動比率が75%以上となっている。尚、チャミ・コーポレーションの新任取締役に本日開催の臨時株主総会にて当社取締役である石崎謙二さんが選任された。割当後の所有株式数は、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン98株(42.8%)、瀧尾享治さん95株(41.5%)、石﨑謙二さん36株(15.7%)。
⑲2025年10月28日に、「1.臨時株主総会に検査役の立会を検討し、東京地方裁判所とも協議を行ったが、その費用負担において当社の資金繰りの問題があり、招集株主側にも費用の負担もしくは立替えを打診したが、負担も立替も行わない旨の回答であったので、やむを得ず、今回は検査役の選任は見送りとなった。」「2.臨時株主総会への当社顧問弁護士の事務局としての参加を招集株主より拒絶されたために、当社顧問弁護士が参加できない。」「3.当社取締役の内、代表取締役である庵下伸一郎さんを含め、4名が株主の方々からの質問に対応するために出席することとした。1名の取締役と2名の監査等委員取締役は都合により、欠席となる。尚、出席取締役は招集株主からは関係者席への着席を求められている。」「4.当社従業員の内、社員株主は株主として参加するが、事務局としては参加しない。」と公表。
⑳社外取締役と監査等委員である取締役を除く取締役5名の報酬等の総額は6,700万円。2024年6月に退任した1名を3ヶ月分として、同月に就任した1名を9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり1,675万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
⇒使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①通常の株主総会とは異なり、本株主総会は、中谷宅雄さんが株主として招集のため、株主総会の事務局も株主側が対応していた。なお、受付での出席票の交付は無かった。
②通常の株主総会とは異なり、株主が招集した株主総会とはいえ、取締役と監査等委員である取締役の席に名札が無かったのが気になった。
③取締役のチンユウヤオさん、監査等委員である取締役の吉原慎二さん、四倉佐千夫さんは欠席されていた。
④株主総会冒頭で、本株主総会を招集した中谷宅雄さんから、「臨時株主総会の開催を請求したものの、基準日を取り消しされてしまい、会社側が臨時株主総会の開催に応じなかったため、株主総会をこのような形で招集した。」との旨の挨拶があった。その後、中谷宅雄さんから、議長について、中谷宅雄さんの代理人弁護士の奥苑直飛さんを選出したいとの提案があった。拍手での採決の結果、奥苑直飛さんが議長に選任された。
⑤議案の説明時に、大株主(242万株、21.1%保有)で取締役候補のベーア・ディミトリー・フィリップさんからの挨拶文について、奥苑直飛さんが代読されていた。
⑥質疑応答は、出席票が無いため、他社の株主総会では見かけない、「株主番号」もしくは「氏名」を名乗り質問をする運営がなされていた。
⑦質疑応答で、「2025年10月21日に実施されたチャミ・コーポレーションに対する第三者割当増資について、取締役の石﨑謙二さんが割当先になっている。この対応により、アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの持ち株比率が過半数を割ってしまった。石﨑謙二さんは、何故、この割当を引き受けたのか?資金をどう手当てしたのか?アーキテクツ・スタジオ・ジャパンからの貸付なのか?」との質問あり。取締役の石﨑謙二さんから、「5.8億円の蓄電池関連の受注案件があったが、建設の特定建設業許可は持っているものの、特定建設業許可(建設・電気)がなかなか得られなかった。チャミ・コーポレーションが、電気の特定建設業許可を持っていたので、今回、石﨑謙二さんがチャミ・コーポレーションの取締役となることにより、主任技術者となることができた。受注のためには、チャミ・コーポレーションの自己資本について、早急に4,000万円以上とする必要があった。資金については、自己資金で対応した。」との旨の説明。
⑧質疑応答で、「2025年10月21日に実施されたチャミ・コーポレーションに対する第三者割当増資について、緊急性はあったのか?ベーア・ディミトリー・フィリップさんが、アーキテクツ・スタジオ・ジャパンの大量の株式を保有しており、ベーア・ディミトリー・フィリップさんが、チャミ・コーポレーションの増資についても引き受けられたはず。取締役の石﨑謙二さんが増資を引き受けたのは利益相反ではないか?経営をかく乱しようとしているのでは?」との旨の質問あり。取締役の石﨑謙二さんから、「5.8億円の蓄電池関連の受注案件について、9月に対応を予定していた。一方で、特定建設業許可(建設・電気)が取れていなかった。財務状況を見て、緊急と判断した。取締役会で承認を得ている。増資を得て、特定建設業許可(建設・電気)を取りたい。目の前に90億ある事業もぶら下っていた。」との旨の回答。
⑨質疑応答で、「当社元代表取締役で現取締役の方の不正について調査委員会で調査中の状況。通常であれば、不正を行った取締役が解任されるものと思うが、今回、不正を行った取締役の方を残し、それ以外の取締役を解任する議案とした理由は?」との旨の質問あり。議長の奥苑直飛さんから、「本議案は、取締役の丸山雄平さんの不正の問題が出てくる前に株主提案した内容。提案時には問題とはなっていなかった。丸山雄平さんの不正を隠蔽しようとしたわけではない。丸山雄平さんは、当社の事業発展に貢献しており、丸山雄平さんのネットワークが企業価値向上に必要。なお、社内調査委員会については、中立性に問題があると思っているが、社内監査で対応できると思う。」との旨の回答。
⑩議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
また、株主側が株主総会を招集し、株主側が事務局まで対応する株主総会はあまり見かけることが無く、今後の参考になりました。
株主総会では、社長の庵下伸一郎さんを含め会社側からは、事前に公表していた臨時株主総会の議案に対する見解についての説明や反論が一切無く、株主提案の議案が全てスムーズに可決されていたのが意外であり、違和感を感じました。
取締役の丸山雄平さんの不正や、本臨時株主総会の背景について、社外からは状況がよく分からないものの、株主総会の様子から、丸山雄平さんとそれ以外の取締役の間での経営権争いのようにも見えました。
良し悪しは別にして、経営陣が大きく変わり、会社が変わる過渡期になるかもしれません。2020年3月期から赤字が6期連続で続いていますが、まずは、業績予想の通り、今期、黒字回復できるのか継続注視します。


