シンクロ・フード 臨時株主総会
日時:2025年12月26日(金) 10:00-10:50
場所:渋谷東口ビル(渋谷駅徒歩2分)
出席株主数:約20名
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
シンクロ・フード(3963)
HP:株式会社シンクロ・フード
①上場企業をはじめとする大企業、REITやSPC、医療機関など組織的な対応、高い専門的知識などが必要とされる組織体に対して経理に関わるコンサルティングサービスを提供する「メディアプラットフォーム事業」(売上構成比92%)を主に、大企業の経理実務を継続して受注しているなかから派生して追加受注する、専門性を必要とする業務、独立した立場で専門家としてのスキルや経験が要求される業務など、様々な単発的なコンサルティング業務を行う「M&A仲介事業」(売上構成比8%)を運営。
②筆頭株主は、AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCで、463万株、16.5%を保有。
第2位の株主は、社長の藤代真一さんの資産管理会社のエイトクラウズで、藤代真一さん個人での保有分も含めると、457万株、16.3%を保有。
第3位の株主は、LIM Japan Event Master Fund(常任代理人みずほ銀行)で、LIM Japan Event Master Fund(常任代理人立花証券)での保有分も含めると、386万株、13.7%を保有。
株式情報
時価総額:209億円(2025年12月25日時点)
売上高:39.5億円(2025年3月期実績)⇒56.0億円(2026年3月期予想)
株価:718円(2025年12月25日時点)
1株純資産:167円(2025年9月末時点)、PBR:4.29倍
1株当期純利益:14.3円(2026年3月期予想)、PER:50.2倍
1株配当:未定(2026年3月期予想)、配当性向:未定
配当利回り:未定
フリーキャッシュフロー:4.29億円(2025年3月期実績)
株主数:7,297名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年3月期第2四半期は、売上高は1,852,657千円(前年比5.8%減)、営業利益は362,045千円(同38.2%減)、経常利益は319,352千円(同45.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は209,501千円(同46.9%減)となった。サービス別の売上高の内訳は、運営サービス1,471,410千円(同3.7%減)、出退店サービス250,361千円(同17.0%減)、その他サービス130,886千円(同4.9%減)。
②当中間連結会計期間において、ホライズン14およびイデアルを連結子会社したことに伴い、新たなセグメントとして「プロパティマネジメント事業」を追加した。上記変更により、当社グループの報告セグメントを、「メディアプラットフォーム事業」、「M&A仲介事業」、「プロパティマネジメント事業」の3区分へ変更している。なお、2025年9月30日を取得日としているため、当中間連結会計期間においては貸借対照表のみを連結しており、中間連結損益計算書に含まれる被取得企業の業績の期間は無い。
③メディアプラットフォーム事業は、「飲食店ドットコム」をはじめとした飲食店向けのサービス、および「飲食店ドットコム」に対してサービス提供する不動産事業者や食材仕入事業者などの関連事業者向けのサービスによって構成されている。「飲食店ドットコム」においては、出店開業、改装、業態変更などの動きが堅調に推移し、2025年9月末時点における登録ユーザー数が328,591件(前年比7.4%増)と順調に増加している。また、「飲食店ドットコム」に対してサービス提供する不動産事業者や内装事業者などの関連事業者については、5,257社(同4.0%増)と順調に増加している。なお、2025年9月30日時点において、不動産事業者、内装事業者、食材仕入事業者として登録している事業者数を記載している。2025年5月から店舗デザイン.COMと内装建築.comの統合運用を開始したことにより、内装事業者数は増加。一方で、当社の主要サービスである求人広告サービスは、第1四半期から継続する市況影響を大きく受け、減収減益の大きな要因となっている。この市場環境の変化に対応するため、営業プロセスの抜本的見直しを図り、高付加価値な提案力の実装と生産性向上を確立するための取組みを推進している。営業組織全体で成果も見え始めており、このような市場環境下においても高い収益基盤の構築を目指していく。以上の結果、メディアプラットフォーム事業の売上高は1,742,948千円(同2.6%減)、セグメント利益は362,017千円(同31.0%減)となった。
④M&A仲介事業は、飲食店の事業譲渡や株式譲渡などのM&A仲介、および飲食店が設備などを残置したまま退去する居抜き譲渡のサポートサービスによって構成されている。M&A仲介・居抜き譲渡ともに、売却相談件数は高水準を維持、案件化率も向上している。第1四半期は成約までのリードタイムが複数案件で長期化したが、第2四半期については、第1四半期から後ろ倒しとなった案件も含めて案件成約が進捗したことにより、売上高は回復傾向にある。以上の結果、M&A仲介事業の売上高は109,969千円(同38.3%減)、セグメント利益は6,795千円(同87.3%減)となった。
⑤資産合計116億円のうち、のれんが53億円。のれんの占める割合が46%。純資産は47億円。
⇒資産のうち、のれんの占める割合が多く、気になるところ。
⑥2025年9月10日開催の取締役会において、「ホライズン14の株式取得により子会社化することを決議し、同日株式譲渡契約を締結した。本株式取得に伴い、ホライズン14の完全子会社であるイデアルは、当社の孫会社となる。」と公表。ホライズン14の子会社であるイデアルは、商業用不動産に特化して、サブリースやレンタルサービス、賃貸管理、ビルメンテナンスから仲介まで、幅広くプロパティマネジメントサービスを提供し、着実に業績を伸ばしてきた。1都3県・駅徒歩5分以内を中心とした好立地物件のオーナーと、飲食業を中心とした店舗事業者を顧客基盤とし、専任担当による伴走型のサポートで支持を集めている。当社と顧客基盤ならびに事業領域が近接しているイデアルを当社グループに迎え入れることで、当社連結子会社のウィットとのシナジー創出が可能となり、さらに中長期的には当社が運営する店舗事業者向け経営支援プラットフォーム「飲食店ドットコム」の拡張・進化にも繋がると考え、同日、ホライズン14の株式取得に関する契約を締結するとともに、本株式取得を決定した。ホライズン14の2025年6月期の売上高は60百万円、当期純利益は16百万円。イデアルの2025年6月期の売上高は3,452百万円、当期純利益は318百万円。取得価額は4,815百万円。株式譲渡実行日は2025年9月30日の予定。
⑦2025年9月19日に、「飲食業界に特化したショート動画アルバイト求人サービス「グルメバイトちゃん」のスマートフォンアプリを2025年9月18日にリリースした。」と公表。これまでブラウザ版で提供してきた、ショート動画で職場の雰囲気や募集条件をチェックできる求人サービスが、アプリ化により動画視聴から応募までをよりスムーズに利用できる。
⑧2025年9月30日に、「LIM Japan Event Master Fundより、臨時株主総会招集請求を2025年9月29日に受領した。」と公表。請求の内容は、「取締役の森田勝樹さんの解任」「取締役の中川二博さんの解任」「定款一部変更(戦略検討委員会の設置)」「自己株式の取得」。資本政策に失敗し、割高な企業買収を推進した実質的な最高財務責任者(CFO)として、取締役兼執行役員管理部長の森田勝樹さんの取締役・経営責任を問う。中川二博さんは、東京証券取引所のプライム市場に上場するプレミアグループ(7199)の社外取締役も務めており、当社の事業に注力できているとはいえない。よって、中川二博さんにおいては、当社の取締役を退任し、広告チャネルのアドバイザーとして当社の執行部門を補佐する方が、株主共同利益に資する。
⑨2025年10月1日に、「2025年10月1日より、日本初となる食品・農業業界を志望する新卒学生向け採用支援メディア「食品・農業就活ナビ」を正式にリリースした。」と公表。7月のプレオープンを経て、登録学生は、農業系学部・学科の方が最も多く、業界志向の高い層が集まり、本格的な新卒採用支援の場として始動する。
⑩2025年10月7日に、「AVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCより、臨時株主総会招集請求を2025年10月2日に受領した。」と公表。請求の内容は、「取締役の森田勝樹さんの解任」「社外取締役1名(坂井一成さん)の選任」。森田勝樹さんは、2003年4月に当社社外取締役に就任し、当社上場前の2015年4月より取締役執行役員管理部長に就任しており、これまで10年もの長きにわたり当社の財務・経理を統括する立場にあった。当社の資本政策・キャッシュアロケーションを所掌する責任者でありながら、株主共同の利益に資する資本政策を実施することができず当社の中長期的な企業価値低迷を招いた森田勝樹さんの責任は重く、財務・経理担当取締役としての適格性に疑義がある。森田勝樹さんを取締役に留任させることの是非は、本来、監督機能を果たすべき取締役会において審議されるべき問題。しかし、現状の取締役会ではその機能が期待できないため、本議案により株主の意思を直接問うた上で、取締役会の構成を刷新し、改めて最適な財務担当取締役を選任することが必要。
⑪2025年11月13日に、2026年3月期通期連結業績予想を修正(増収減益)。ホライズン14および同社の子会社であるイデアルを子会社化(孫会社化)した。そのため、2025年10月より、ホライズン14の業績を連結決算に取込むことから、売上高は通期で大きく増加するとともに、ホライズン14およびイデアルの買収効果については、買収によるのれん償却費を吸収した上での利益貢献を見込んでいる。一方で、当社の主力事業である求人広告サービスが市況影響を大きく受け、売上高が当初計画を下回ること、ホライズン14の株式取得関連費用、のれんの償却費、本株式取得を目的とした借入による融資手数料、加えて株主から請求のある臨時株主総会招集費用などを加味し、売上高5,600百万円、営業利益685百万円、経常利益647百万円、親会社株主に帰属する当期純利益418百万円を見込んでいる。
⑫2025年11月13日に、「中期経営計画」における業績目標を、ホライズン14およびイデアルの子会社化に伴い修正。2028年3月期に、連結売上高95億円、連結営業利益17億円。
⑬2025年11月26日に、「運営するキッチンカー(移動販売車)のプラットフォーム「モビマル」の登録事業者数が全国で1万を突破した。」と公表。登録事業者は東名阪を中心に増加しつつ、近年は地域の登録も順調に拡大。現在では全国47都道府県すべてでマッチングが成立しており、都市圏サービスに留まらない“全国規模のキッチンカープラットフォーム”へと成長している。また、登録車両については5,500台を超えている。
⑭2025年12月1日に、「小規模事業者向けの開業支援に特化したキッチンカー車両製作・販売スキームを構築した。」と公表。見学会・開業セミナーの実施、軽ワイド架装車両の提供、オートローン対応、さらに「モビマル」と連動した出店サポートまでをワンストップで提供し、キッチンカー事業を始めたい個人・小規模事業者のスムーズな開業を支援する。
⑮2025年12月2日に、「2025年11月26日付で、LIM Japan Event Master Fundより、同社による株主総会招集請求に含まれる株主提案の一部(第5号議案:自己株式の取得の件)を撤回する旨の書面を受領した。当社は、本撤回通知を踏まえて、慎重に検討した結果、本日付の取締役会において、当社は、当該議案の撤回に同意する旨の決議をした。」と公表。
⑯社長の藤代真一さんは、東京理科大学理工学部工業化学科から東京工業大学大学院へ進み、化学専攻ながらアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経てシンクロ・フードを創業された異色の経営者。
⑰社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は10,000万円。単純平均で取締役1人当たり3,190万円。
株主総会での個人メモ
①株主提案を受けての臨時株主総会であったためか、狭い通路にある受付において、通路をふさぐようにスタッフが集まっていたのが印象的。
②採決時の賛否の議決権数を正確に集計するためとのことで、受付で座席番号カードを受けとり、指定された席に着席する指定席制であった。
③株主総会冒頭に、社長の藤代真一さんから、本臨時株主総会において東京地方裁判所により選任された総会検査役が出席し、ビデオ撮影をしている旨、説明があった。
④第2号議案~第4号議案はLIM Japan Event Master Fundからの株主提案であり、第6号議案はAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCからの株主提案であるものの、社長の藤代真一さんから提案株主に議案について補足説明を求めることも無く、株主総会終了まで、LIM Japan Event Master FundとAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCからは一切発言が無かった。
⑤質疑応答で、「2号議案で取締役の森田勝樹さんの解任が請求されており、3号議案で取締役の中川二博さんの解任が請求されている。提案株主から疑いを掛けられているが、どう考えているのか?」との旨の質問あり。「大変遺憾。」との回答。
⇒会社として株主提案に反対している割には、淡泊な回答であり、説明不足に感じた。事前の議決権行使で賛否がほぼ決定していたのかもしれないが、株主総会招集通知において、しっかりとした反論を記載していたこともあり、繰り返しとなっても本内容をもう少し丁寧に説明された方が、出席株主から見た心象が良くなったと思う。
⑥議案の採決方法は、賛成の場合、座席番号カードを挙げ、会場スタッフと総会検査役が確認するスタイル。採決中は議場は閉鎖された。集計のため、10:25から30分間休憩とのアナウンスがあった。
⑦社長の藤代真一さんから、「定款において取締役の員数は7名。議案の採決結果により員数を超えてしまう可能性があるが、員数を超えた場合、賛成数が多い取締役が選任される。」との旨の説明あり。
⑧集計が早めに終わったようで、10:45から再開。集計結果は、会社提案の第1号議案は否決、株主提案の第2号議案は可決、第3号議案は可決、第4号議案は否決、第6号議案は可決された。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
LIM Japan Event Master FundとAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCからの株主提案により開催された臨時株主総会でしたが、LIM Japan Event Master FundとAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCからは一切発言が無く、違和感を感じました。
また、事前の議決権行使で賛否がほぼ決定していたのかもしれませんが、会社側からも株主提案に対する反論の説明も無く、違和感を感じました。
本株主総会の結果、株主提案がほぼ可決されたことにより、会社が大きく変わる過渡期になるかもしれません。役員体制や経営方針の変化と共に、今後の参考までに、LIM Japan Event Master FundとAVI JAPAN OPPORTUNITY TRUST PLCがどのような出口戦略を探るのか注視します。



