令和アカウンティング・ホールディングスの株主総会に出席しました【2025年12月18日】

株主総会
スポンサーリンク

令和アカウンティング・ホールディングス 臨時株主総会

日時:2025年12月18日(木) 15:00-15:40

場所:東京建物日本橋ビル(日本橋駅直結)

出席株主数:約20名

お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり

 

企業概要

令和アカウンティング・ホールディングス(296A)

HP:令和アカウンティング・ホールディングス株式会社

①上場企業をはじめとする大企業、REITやSPC、医療機関など組織的な対応、高い専門的知識などが必要とされる組織体に対して経理に関わるコンサルティングサービスを提供する「コンサルティング業務(Long)」、大企業の経理実務を継続して受注しているなかから派生して追加受注する、専門性を必要とする業務、独立した立場で専門家としてのスキルや経験が要求される業務など、様々な単発的なコンサルティング業務を行う「コンサルティング業務(Short)」など、コンサルティング事業を運営。

②筆頭株主は、創業者の須貝信さんで、925万株、24.7%を保有。
第2位の株主は、須貝舞さんから共同保有が出ている須貝信さんが代表を務めるmy skyで、須貝舞さん個人での保有分も含めると、400万株、10.7%を保有。
第4位の株主は、健康機器メーカーのヤーマン(6630)で、187万株、5.0%を保有。
第5位の株主は、社長の繁野径子さんで、160万株、4.2%を保有。
第7位の株主は、監査等委員である取締役の佐々木明日美さんで、120万株、3.2%を保有。
第8位の株主は、スコットで、93万株、2.5%を保有。
第9位の株主は、須貝舞さんから共同保有が出ている須貝信さんが代表を務めるmy skyと同じ住所登録のアルタイルで、80万株、2.1%を保有。
同第9位の株主は、須貝舞さんから共同保有が出ている須貝信さんが代表を務めるmy skyと同じ住所登録のレグルスで、80万株、2.1%を保有。

 

株式情報

時価総額:279億円(2025年12月17日時点)

売上高:49.7億円(2025年3月期実績)⇒56.1億円(2026年3月期予想)

株価:735円(2025年12月17日時点)

1株純資産:63.4円(2025年6月末時点)、PBR:11.5倍

1株当期純利益:29.3円(2026年3月期予想)、PER:25.0倍

1株配当:26円(2026年3月期予想)、配当性向:88%

配当利回り:3.5%

フリーキャッシュフロー:10.0億円(2025年3月期実績)

株主数:4,225名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①2026年3月期第2四半期は、会計業界では、企業の人材不足と会計業務の複雑化に起因する会計のコンサルティングニーズや、企業価値向上を目指すために必要な組織再編等に対する専門性の高い会計支援のニーズが引き続き高まっている。こうした環境のもと、引き続きコンサルティング事業の体制強化に加え、経理実務に関わる教育事業および人材派遣紹介事業を徐々に拡大し、クライアントの多様なニーズに応えられるよう事業を展開している。また、コンサルティング事業の生産性を継続的に向上させるべく、新たに子会社を設立してソフトウェア開発事業を展開することとしている。以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高4,979,471千円(前年比12.6%増)、営業利益1,494,675千円(同81.7%増)、経常利益1,478,427千円(同79.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,014,824千円(同76.5%増)となった。当社は4Qの利益構成比が高い傾向にあるが、年間業績予想比で利益進捗が上振れているため、経常利益は既に約50%の進捗となっている。

②2025年3月期は、コンサルティングLongがグループ売上の83.9%、コンサルティングShortは15.5%。

2025年4月に、ミラクル経理を設立し、システム開発事業を本格稼働開始。当社グループの生産性向上に資するシステム・ソフトウェアを開発。ミラクル経理は、豊富なシステム利用経験をもつ当社グループのフィードバックを得ながら、クライアントの生産性向上に資するシステム・ソフトウェアを販売していく。

④REITや私募ファンドを運営する法人自体が実質的な運営業務を行うことは法律で禁止。経理情報を外部委託により作成し、会計監査も入る透明性の高い組織体であり大企業がスポンサーとなる。REIT会計で実績の高い当社は大企業グループの信頼を得やすく、REITに関連しない大企業(事業会社)も含め、大企業グループの経理業務への展開が可能。大企業グループと付き合うことで、グループ内でも広がっていく。

不動産投資法人(REIT)の法人数(120法人)のうち半数近くに関与しており、REITの会計に強みを持っている当社は投資法人を運営する上場企業や大企業が抱える課題を解決することが可能。当社のルーツである税理士法人時代に、J-REIT第一号から関与。

⑥売上高のクライアント別売上は大企業グループが99.6%と殆どを占める。REITなど不動産ファンドに限らず、事業会社の業務もバランスよく受託。

コンサルティング(Long)における月次チャーンレートは0.166%と非常に低い。

⑧当社子会社である令和ヒューマン・ファーストは、当社クライアントが会計業務とあわせて給与計算なども委託する需要に応えることを目的に、これまで給与計算まわりの業務を行ってきた。2025年4月1日に令和ヒューマン・ファーストの役員構成を変更し、教育研修事業、派遣紹介事業を基本的には令和ヒューマン・ファーストにてあわせて行っていくこととした。当社とのシナジー、令和ヒューマン・ファースト内での人に関わる事業間のシナジーをさらに高めることを目的としている。具体的な成果として、営業機能を強化し、給与計算に留まらず、人に関わるコンサルティングを提供していく企業として業務を拡大することを目標としている。

労働人口の減少と会計業務の複雑化、第三者専門家が関与することによる会計情報の信頼性担保の要請が高まっていることなどから、引き続き当社サービスに対する需要の継続・拡大が予想される。

⑩当社の継続的拡大にあたっては、品質を高め信頼性を維持することが最重要であり、着実な売上成長(10%~15%)を目指す。

⑪2024年度は生産性向上により利益率が拡大したが、従業員やシステム投資を考慮して2025年度は単体で経常利益率30%以上を維持する水準で計画している。

⑫M&AやIPOの支援などShort業務へも積極的に関与し、そこから事業会社のLong業務へ繋げていけるよう営業を強化していく。

⑬配当方針は、基本的な配当性向は当社単体純利益の80%程度とし、基本的な配当性向に、さらに、株主優待に代わるものとして財政状態などを勘案し、毎期1%から10%の範囲で上乗せする。

⑭当社は2024年12月23日に上場したが、それに先立ち2020年には当社業務に長年にわたり貢献してくれた役員および従業員ほか40名弱(当初株主)に対して当時64%(最も少ない人で10万株)を第三者割当増資により保有いただいている。また、2021年にはやはり第三者割当増資により当社クライアント9社(当初株主)に当社株式(当時計750万株)を保有いただいた。その結果、その時点で当社創業者であり前代表取締役の須貝信さんは持株比率を28.8%まで減少させている。

⑮従業員全員が株主というポリシーのもと、創業者の須貝信さんが、当社株式をまだ保有していない従業員270名に対して、2025年6月30日に当社株式を一人当たり1,400株ずつ(計378,000株)無償贈与した。これにより現時点で従業員全員が株主という目標はほぼ達成した。

⑯当初株主の皆様には、180日間のロックアップに応じていただいていたが、2025年6月20日にロックアップ期間が満了するにあたり、市場において同時に株式売却が行われ、他の株主の皆様に不測のご迷惑をお掛けしてしまうことが懸念された。そのような懸念を払拭するために、売却を検討している当初株主の方々が居るならば、当社が自社株買いを実施することにより、市場に悪影響を与えることを避けることとした。ただし2025年6月2日開催の取締役会決議に基づき実施した自社株買いでは、一時は売却を検討していた当初株主の多くが結果として売却しないこととなったため、想定された自社株買いの株式数を下回る結果(計597,000株、うち当初株主分569,500株)となった。また、来年度以降、新入社員に提供するための原資としてそのうち97,000株を保有し500,000株は消却する予定としている。なお、創業者の須貝信さんは当初より売却は考えておらず更なる当社の成長を期待し株主共同の利益を追求する方針。2025年7月の自社株買いに応じているが、来年度以降新入社員に提供するための原資とすることと端数調整程度を目的とした売却にすぎない。一般財団法人令和実務研究所が公益財団法人へ移行した後は、ご自身の相続を想定しつつ安定株主施策のひとつとして保有する株式の寄付を予定している。

⑰社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は9,570万円。単純平均で取締役1人当たり3,190万円。

 

株主総会での個人メモ

①株主総会冒頭で、取締役全員の紹介、経済環境、2026年3月期上期の状況、システム開発事業の今後の展開、配当方針などについて説明があった。

②質疑応答で、「資本金1億円への減額について、他社では外形標準課税の節税対策で行われることが多いが、2025年4月に外形標準課税の対象について見直しがあった。令和アカウンティング・ホールディングスは資本金が1億円でも外形標準課税の対象になると思うが、今回の資本金の変更で節税効果はあるのか?」との旨の質問あり。「今回の資本金および資本準備金の額の減少については、節税が主目的ではない。多少の節税効果はあるが、最適な構成比率を考えての対応。」との旨の回答。

③質疑応答で、「資本金および資本準備金の額の減少について、節税目的の資本金額の減少であれば、IPO企業においては定時株主総会を待たずに、上場後、直ぐに臨時株主総会を開催して対応することが多い。今回、上場直後でもなく、定時株主総会でもなく、このタイミングで臨時株主総会を開催してまで対応する理由は?」との質問あり。「前回の定時株主総会時にはまだ議案として固まっていなかった。適時、流れの中で判断した。」との旨の説明。

④質疑応答で、「2026年3月期第2四半期決算補足説明資料において、第4四半期に利益が偏る旨の説明があった。業績も良く配当も良い会社なので、単純に進捗率だけを見られて、投資家から進捗率が低いとの誤った判断を下されないように、毎回同じように説明を添えて欲しい。」との旨の意見あり。「いろいろな場面でビジネスモデルを説明していく。」との旨の回答。

⑤質疑応答で、「株主総会招集通知に岸本斉史さんのイラストが掲載されている。どのような経緯で載せているのか?」との質問あり。「スコットは、岸本斉史さんの会社で当社の大株主。仕事上の付き合いがあり、今の関係になっている。」との旨の説明。

⑥質疑応答で、「資本金および資本準備金の額の減少により、配当原資が増える。配当増を期待しても良いのか?」との旨の質問あり。「配当方針は決まっているので、配当方針を実現させていく。」との回答。

⑦質疑応答で、「補欠の監査等委員である取締役候補の中林美恵子さんは兼務(グローバルビジネス学会理事、米国モーリーン&マイク・マンスフィールド財団名誉フェロー、TOPPANホールディングス(7911)社外取締役、グローバルビジネス学会会長、早稲田大学留学センター教授、インプレシオ代表取締役、東京財団理事長、アイドマ・ホールディングス(7373)社外取締役)されている仕事が多いが問題無いのか?」との質問あり。「検討にあたり中林美恵子さんとお話ししたうえで決定した。」との説明。

⑧質疑応答で、「配当性向80%程度としているが、資本金および資本準備金の額の減少し、その他資本剰余金へ振り替えることにより、配当原資にできる。配当性向80%程度とは関係なく、利益以外のその他資本剰余金も配当原資とするつもりなのか?」との旨の質問あり。「配当方針は配当性向80%程度。その他資本剰余金から配当に持っていく期待は無い。」との回答。

⑨質疑応答で、「資本金および資本準備金の額の減少について、配当原資でも無いのであれば、具体的な目的は何なのか?」との質問あり。「現時点、具体的な使途として検討していることは無い。将来において、直ぐに実行できるように備えておく。資本準備金だと使途が限られてしまう。」との説明。

⑩質疑応答で、「第1号議案について、バーチャルオンリー株主総会を実際に開催したことがあるのは全上場企業の2%程度。定款にバーチャルオンリー株主総会の開催規定を定めていない企業がほとんどだが、今回、追加した理由は?」との質問あり。「予期しない感染症や大規模自然災害発生時などのリスク低減のため。」との回答。

⑪質疑応答で、「今後の株主総会は、リアル会場での開催ではなく、バーチャルオンリー株主総会となるのか?」との質問あり。「基本として、対面での株主総会を続けていきたい。ハイブリッドでの開催はあるかもしれない。」との説明。

⑫議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、社長の繁野径子さんから丁寧な説明対応がありました。

2026年3月期上期の状況説明の中で、社長の繁野径子さんから説明のあった「景気の良し悪しの影響を受けないビジネスモデル」「今期の業績は順調に推移している」「下期に売上が増える傾向」「利益は上振れで推移している」などの言葉が印象に残りました。

資本金および資本準備金の額の減少について、目的は節税でもなく配当でも無いとの説明でしたが、6月の定時株主総会時点では想定していなく、また、次回の定時株主総会まで待つことなく、今回、臨時株主総会で対応することとなった背景が気になります。

高すぎる配当性向80%の方針に違和感を感じますが、売上高のトップライン、最終利益共に順調に伸びており、成長企業として継続注視します。再投資も検討します。

 

株主総会会場近くにある令和アカウンティング・ホールディングスの本社の入る日本橋一丁目ビルディング
PAGE TOP