佐鳥電機の株主総会に出席しました【2025年12月11日】

株主総会
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佐鳥電機 臨時株主総会

日時:2025年12月11日(木) 10:00-10:55

場所:バーチャルオンリー株主総会

 

企業概要

佐鳥電機(7420)

HP:佐鳥電機株式会社

①産業、社会インフラ向けシステムソリューションの開発・販売、通信用部品、電子機器の販売を行う「産業インフラ事業」(売上構成比18%)、国内向け半導体、電子部品の販売、調達マネジメントサービス、ソリューションの提供を行う「エンタープライズ事業」(売上構成比28%)、車載向け半導体、電子機器の販売、ソリューションの提供、半導体回路の設計を行う「モビリティ事業」(売上構成比24%)、海外向け半導体、電子部品の販売、ソリューションの提供を行う「グローバル事業」(売上構成比30%)を運営。

②第3位の株主は、社長の佐鳥浩之さんが代表を務めるSTRマネージメントで、71万株、4.8%を保有。
第6位の株主は、創業家の佐鳥仁之さんが代表を務めるオフィス佐鳥で、佐鳥仁之さんの個人での保有分も含めると、82万株、5.5%を保有。
第7位の株主は、半導体製造装置・FA向け制御機器大手のCKD(6407)で、44万株、3.0%を保有。

 

株式情報

時価総額:276億円(2025年12月10日時点)

売上高:1,562億円(2025年5月期実績)⇒1,600億円(2026年5月期予想)

株価:1,853円(2025年12月10日時点)

1株純資産:2,252円(2025年5月末時点)、PBR:0.82倍

1株当期純利益:181円(2026年5月期予想)、PER:10.2倍

1株配当:90円(2026年5月期予想)、配当性向:49%

配当利回り:4.8%

フリーキャッシュフロー:18.9億円(2025年5月期実績)

株主数:13,192名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①2026年5月期第1四半期は、売上高は半導体製造装置向け制御部品の需要回復やインド市場向けビジネスが引き続き好調だったものの、事務機器向けユニット製品の売上減少に加え、為替の影響などもあり、380億79百万円(前年比0.4%減)となった。利益面については、営業利益は売上総利益の減少などにより、9億65百万円(前年比10.9%減)となった。経常利益は営業利益の減少はあったものの、為替差益の増加により、10億42百万円(前年比34.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億16百万円(前年比79.4%増)となった。

②当第1四半期連結会計期間において経営管理区分を見直し、「モビリティ事業」に区分されていたMAGnetIC Holding B.V.を「グローバル事業」に変更している。また、「グローバル事業」に区分されていたSMET SINGAPORE PTE.LTD.の一部の事業を「モビリティ事業」に変更している。

③産業インフラ事業は、半導体製造装置向け制御部品の需要回復などにより、売上高は67億83百万円(前年比10.4%増)、セグメント利益は2億18百万円(前年比47.8%増)となった。

④エンタープライズ事業は、調達マネジメント事業本部の売上が回復基調にあるものの、事務機器向けユニット製品の売上減少などにより、売上高は101億21百万円(前年比8.6%減)、セグメント利益はスイッチ事業の譲渡による販売費及び一般管理費の減少により、2億98百万円(前年比14.1%増)となった。

⑤モビリティ事業は、SM Electronic Technologies Pvt.Ltd.の好調により、売上高は112億32百万円(前年比5.1%増)、セグメント利益は5億65百万円(前年比1.3%増)となった。

⑥グローバル事業は、事務機器向けユニット製品の売上減少などにより、売上高は117億32百万円(前年比5.5%減)、セグメント利益は1億81百万円(前年比17.1%減)となった。

2025年7月28日に、佐鳥電機と萩原電気ホールディングス(7467)は、共同株式移転の方法により共同持株会社を設立し、両社が対等の精神に基づき経営統合を行うことについて基本的な合意に達し、同日開催の各社取締役会において経営統合に関する基本合意書を締結することを決議し、締結。萩原電気は、1948年に戦後復興途中の名古屋の地で「萩原電気工業社」として創業された。日本電気との販売特約店契約を締結し、常に新しい変化に対し挑戦を続け、事業を拡大してきた。2018年よりホールディングス体制となり、現在ではエンジニア300名を擁する「技術系商社」として、主に自動車・工作機械関係の製造業を中心に、車載用半導体を中心とした電子部品やITソリューションの提案販売を通じ、モノづくりの発展に寄与している。シンガポールの海外現地法人設立に始まり、積極的な海外進出を行うと共に、近年ではエンジニアリングソリューションパートナーとなるべく、エンジニアリング事業やデータプラットフォーム事業のM&Aを通じ、お客様に対しより付加価値の高い提案を行い、事業を推進している。両社は、半導体、電子部品、電子機器を扱うエレクトロニクス総合商社として、豊富な品揃えと高度な技術を活かし、お客様の多様なニーズに応える最適なソリュ-ションを提供し、グローバルに事業を展開している。現在のエレクトロニクス市場は、次世代自動車のみならず、製造業をはじめとした多くの産業におけるスマート化に向けた課題解決のためのIoT、AI、エッジコンピューティング、更には生成AIやDXへの対応などや技術活用ニーズが急速に高まっている。このような環境変化の中で、半導体の活用や供給面において、より顧客課題に寄り添ったソリューションが求められている。また、半導体の活用ニーズの変化に伴う製造拠点の海外移転などの影響、また米中間の貿易摩擦や輸出規制、地政学的緊張などの事業環境の不確実性も高まる中、より高度なサプライチェーンの構築が求められるなど、エレクトロニクス総合商社の役割も変化している。このような事業環境のもと、両社は今後の継続的な事業成長・発展のためには両社の経営資源を集中し、強みを生かすことで事業規模を拡大し、従来以上の付加価値を提供することが重要との認識で一致し、対等の精神に基づき相互に協力することで本経営統合を目指すことに合意した。最終売買日は2026年3月27日、上場廃止日は2026年3月30日、共同持株会社株式上場日は2026年4月1日の予定。佐鳥電機の普通株式1株に対して、共同持株会社の普通株式1.02株を、萩原電気の普通株式1株に対して、共同持株会社の普通株式2株を割当て交付。

⑧2025年10月14日に、「同日開催の佐鳥電機と萩原電気ホールディングスの各社取締役会における決議に基づき、経営統合契約書を締結するとともに、共同して株式移転計画を作成した。」と公表。新設する共同持株会社の概要は、名称は「MIRAINIホールディング」。本社(本店)所在地は、名古屋・東京の二本社制とし、本店は東京。代表取締役社長は、萩原電気ホールディングスの木村守孝さん、代表取締役副社長は佐鳥電機の佐鳥浩之さん。

⑨新商号の「MIRAINI」には、両社が目指す「新しい価値づくりに貢献するグローバルソリューションパートナー」としての姿勢を象徴する、「未来志向」「イニシアティブ」「人」といった要素が込められている。

⑩監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は7,800万円。2024年8月に退任した1名を3ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり2,400万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。

 

株主総会での個人メモ

①質疑応答で、「経営統合により株価は上昇するのか?」との質問あり。「株価は市場の評価に委ねられるので回答は差し控えるが、経営統合によりシナジー効果を発揮することにより、成長による企業価値向上を達成できると考えている。」との回答。

②質疑応答で、「取締役が13名となるが、会社の規模に対して多すぎるのでは?」との質問あり。「統合前の人数として17名。協議を重ねて決定した。今後の新会社において参考とする。」との説明。

③質疑応答で、「DX・ICTソリューション、センサー・無線技術を活用した自社製品の2026年5月期以降の売上目標や進捗状況は?」との質問あり。「中期経営計画で330億円の目標としている。目標に向け鋭意取り組んでいる。」との旨の回答。

④質疑応答で、「東京都にある佐鳥電機と愛知県にある萩原電気ホールディングスが仲良くなったかけは?」との質問あり。「佐鳥電機、萩原電気ホールディングス共に創業間もないときからNECの販売店として活動してきた。以来、60年近く行事や懇親などがあった。どちらもオーナー系の会社であり、仕入れ先に親和性もある。シナジーが発揮できると捉えている。」との旨の説明。

⑤質疑応答で、「サイバー攻撃の恐れが高まっている。経営統合時に、システムが脆弱になる可能性がある。サイバーセキュリティについて対策は取られているのか?」との旨の質問あり。「自動車業界に求められるレベルで、専門的な知見のあるITベンダーと対策をしている。重要な経営課題。」との旨の回答。

⑥質疑応答で、「統合について、具体的にどのような対応をするのか?事務所の統合、仕入れの統合、管理部門の統合などを行うのか?間接部門がそのまま維持されるのであれば、管理コストが増えるのでは?」との質問あり。「業務効率化による生産性の向上が重要な課題。物流インフラ、IT、セキュリティ、管理機能の最適化を進め、グループ全体の効率化を進める。統合後、速やかにシナジー効果を出したい。統合後、どのような組織のストラクチャーが良いのか議論をしたうえで見直しをしていく。」との旨の説明。

⑦質疑応答で、「統合後は、バーチャルオンリー株主総会ではなく、リアル会場で株主総会を開催して欲しい。」との意見あり。「新会社での株主総会の開催方法については、これから検討する。」との回答。

⑧質疑応答で、「佐鳥電機の普通株式1株に対して、共同持株会社の普通株式1.02株が割当て交付されるが、1株あたりのBPSやEPSはどのように変わるのか?」との質問あり。「のれんなどの影響もあり、現時点、確定していない。確定後、統合会社として公表する。」との説明。

⑨質疑応答で、「企業理念・経営ビジョンの「Mission・2030 Vision・Value」は、「MIRAINI」にどのように引き継がれるのか?」との質問あり。「「MIRAINI」の経営ビジョンについて検討を始めたところ。統合後、速やかに公表できるように準備を進める。」との回答。

⑩議案の採決は、WEB投票方式。
⇒株主総会に参加した株主の賛否もWEB投票で集計しており、賛成数について、具体的な数字を示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感があると思う。

 

株主総会を終えて感じたこと

佐鳥電機と萩原電気ホールディングスの経営統合に興味を持ち、平均1,854円で投資しました。

今回、バーチャルオンリー株主総会でしたが、画面上ながらも会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。

質疑応答では、社長の佐鳥浩之さんを中心に丁寧に回答対応されていました。

なお、質疑応答でもリアル会場での株主総会開催の要望が出ていましたが、下記機能があれば個人投資家に不人気なバーチャルオンリー株主総会も徐々に支持が得られるかもしれません。

1.株主側からの音声参加機能の追加。株主の発言時の抑揚など、文字だけでは伝わらない感情のニュアンスの伝達ができる。現状、音声は会社側からの一方通行。
2.発言内容の字幕付与機能。音声トラブル時に一部機能を補える。
3.各株主から見た重要度に応じて、会場で参加できるようにリアル会場併設や、もしくは、何かしらの補完機能の追加。現状、大株主などで何かしらの接続トラブルで参加できなかった場合、他の株主から出された動議への対応ができなくなり、リスクがあるように見える。

 

2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、佐鳥電機は、1株当たり純資産2,252円に対し、株価1,853円(2025年12月10日時点)、PBR0.82倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。

業績においては堅調なものの、2025年11月から始まった日中関係悪化の影響が気になります。一方で、萩原電気ホールディングスとの経営統合により、仕入れなどにおけるスケールメリット、重複部門の人財の再配置など、経営効率の改善によるさらなる業績向上を期待しています。追加投資も検討します。

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