ネットイヤーグループ 臨時株主総会
日時:2025年9月2日(火) 11:00-11:20
場所:ネットイヤーグループ本社(新富町駅徒歩2分)
出席株主数:数名
お土産:無し
企業概要
ネットイヤーグループ(3622)
HP:ネットイヤーグループ株式会社|NTTデータグループ デジタルマーケティング専門家集団
①企業や行政に対してインターネット技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルマーケティング支援をするSIPS(Strategic Internet Professional Services)事業を運営。
②筆頭株主は、NTTデータグループ(9613)の連結子会社のNTTデータで、339万株、48.5%を保有。
創業者で元社長の石黒不二代さんが、第2位の株主として、53万株、7.6%を保有。
株式情報
時価総額:41億円(2025年9月1日時点)
売上高:33.7億円(2025年3月期実績)⇒35.0億円(2026年3月期予想)
株価:595円(2025年9月1日時点)
1株純資産:377円(2025年3月末時点)、PBR:1.57倍
1株当期純利益:9.86円(2026年3月期予想)、PER:60.3倍
1株配当:6円(2026年3月期予想)、配当性向:60%
配当利回り:1.0%
株主数:2,883名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①国内企業のデジタル関連分野への投資意欲は底堅く、経済産業省の「サービス産業動態統計調査」によると、2024年の情報サービス産業全体の売上高は、前年比6.5%増と堅調に推移している。
②当社は、顧客企業や行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する事業を展開している。主なサービスとして、企業、団体のあるべきCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験価値)を実現するため、フルファネルマーケティング(集客、コンバージョン、CRM、ロイヤリティプログラム)の各段階に対する支援を行い、マーケティング施策の最適化を通じて事業成果の最大化に取り組んでいる。DXは一過性のシステム開発やソリューション導入だけでは実現せず、顧客企業内の複数組織における横断的な連携が不可欠であることから、高いプロジェクト計画策定力や推進力が求められる。また、製品やサービスが飽和する社会において、供給側の企業と需要側のエンドユーザーを適切に結びつける上で、CXを中心としたアプローチの優位性は年々高まっている。
③こうした課題を解決するため、当社は今期よりフルファネルマーケティング領域に積極的に生成AI技術を導入し、マーケティングおよびシステム開発のノウハウを融合した独自のソリューションの提供を開始している。生成AIの活用を通じて、当該領域における高付加価値サービスの展開や生産性向上に資する成果が、一部案件で現れ始めている。さらに、親会社であるNTTデータが米国生成AI大手企業であるOpen AIと業務提携を締結したことを契機に、当社もNTTデータグループの一員として、NTTデータとの連携のもと、生成AIを活用した高度なシステム開発を進め、競合企業に対して競争優位性の確保に努めている。今後の事業成長に向けて、当社が強みとするフルファネルマーケティング領域でのサービスの拡充、深化とともに、生成AIを活用した新たなサービスの開発にも注力する方針。社内の生産活動においても生成AIの活用を進め、従来は外部委託していた業務の一部を内製化することで、事業収益性の向上に取り組んでいる。加えて、強固な顧客基盤を有するNTTデータとの協業強化、多様なパートナー企業との共創を通じて、多様化するニーズに応えるため、複数のソリューションを総合的に提案するコンサルティング事業の強化に取り組んでいく。
④2026年3月期第1四半期においては、当方針に基づき、顧客企業に対して積極的な提案活動を行ったが、一部大口顧客の受注が伸び悩んだことにより、受注高、売上高は前年比で減少した。一方、収益面では、販管費の抑制に努めた結果、前年比で営業損失は縮小した。以上の結果、当第1四半期累計期間の経営成績は、売上高689百万円(前年比6.8%減)、営業損失64百万円(前期は営業損失70百万円)、経常損失64百万円(前年は経常損失70百万円)、四半期純損失は45百万円(前期は純損失49百万円)となった。
⑤当社の事業は、従来より売上高が、多くの顧客企業の事業年度末となる第4四半期会計期間に偏重する傾向があるが、経済環境その他の要因によっては今後もこの傾向が続くとは限らない。
⑥当社の2025年3月31日時点におけるグロース市場の上場維持基準への適合状況は、時価総額(38.3億円)はその基準(40億円)を充たしていない。また、当初の計画期間を2025年3月末としていたが、計画未達であることから2026年3月末まで延長し、上場維持基準を充たすように各種取組を推進していく。
⑦2025年6月30日に、2025年6月24日付で公表した「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」について、証券保管振替機構の定めにより、当社の株主確定日(2025年6月30日)から7営業日以内は、臨時株主総会招集のための基準日に設定できないことが判明したため、基準日を2025年7月15日へ訂正。本臨時株主総会の開催日も、2025年8月26日から2025年9月2日へ変更。
⑧監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役7名の報酬等の総額は4,595万円。2024年6月に退任した2名をそれぞれ3ヶ月分、同月に就任した1名を9ヶ月分、さらに無報酬の3名を考慮して計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,042万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、ネットイヤーグループ本社にあるセミナールームでの開催。
②定刻の11:00になっても取締役が来場せず心配したが、11:02になり取締役が入場され、11:03に株主総会が開始。
⇒定刻から開始が遅れた理由について特に説明は無かったが、開始時間は遵守された方が信頼感を得られると思う。
③会場で出席されていた取締役は、社長の廣中龍蔵さん、副社長の中澤智彦さんの2名のみ。株主総会開始時において、会場に不在の取締役6名について、欠席理由やリモート参加の有無などについて説明も無く、大きな違和感。
⇒質疑応答時に出席株主から指摘があり、社長の廣中龍蔵さんから、「取締役の安地亮一さん、德永裕幸さん、小布施秀幸さん、渡辺今日子さん、監査等委員である取締役の古田利雄さん、河西謙治さんはリモートで出席している。」との旨の説明あり。
④質疑応答で、「今回のような不測の事態に備え、他社では監査等委員である取締役は4名としたり、補欠の監査等委員である取締役を選任したりしている会社があるが、どのように考えているのか?」との旨の質問あり。「補欠の監査等委員である取締役の選任などについては、今後、協議をする。」との説明。
⑤質疑応答で、「本臨時株主総会については、ほふりの定めを見落としていたとのことで基準日が当初の基準日から1週間後へ変更されたが、同時に株主総会の日時も当初の日時から約1週間後へ変更された。迅速に監査等委員である取締役を選任する必要があるのであれば、株主総会の日時は変更不要だと思うが、株主総会の日時も変更した理由は?」との質問あり。社長の廣中龍蔵さんからの指示で事務局内で回答について協議があり、その後、廣中龍蔵さんから、「取締役会での説明時期がずれた。社内の事務的手続きの影響。」と回答。
⑥質疑応答で、「出席されている取締役は社長の廣中龍蔵さん、副社長の中澤智彦さんの2名のみ。他の取締役が欠席されている理由は?」との質問あり。「リモートでは参加している。議案が1つだけなのでこのような形とした。」との説明。
⑦質疑応答で、「社長の廣中龍蔵さん、副社長の中澤智彦さんの2名以外の取締役については、出席しているのか分からなかった。他社の株主総会では、リモートで参加している取締役がいる場合、出席株主から見て分かるように配慮がある。モニターなどを設置して、リモート参加の取締役の顔が分かるようにして欲しい。」との旨の意見あり。「次回以降、検討する。」との回答。
⇒出席株主から見ると、会場に姿が見えない取締役の出席状況は分からないため、少なくとも、株主総会開始時に、リモート参加の取締役がいることなどについて、説明があるべきだと思う。
⑧質疑応答で、「会社の状況が心配。グロース市場の上場維持基準について、時価総額が基準を充たしていない。1億円の利益も出せていないので、市場変更もできない。追加の改善策について何か計画はあるのか?」との旨の質問あり。「決定したタイミングで開示する。」との説明。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、ネットイヤーグループ本社内のセミナールームでの開催でしたので、良い機会となりました。
通常、株主総会は時間厳守で開始されますが、数分といえども定刻になっても取締役が株主総会会場に現れない株主総会は他社では見かけず、時間にルーズな対応にやや驚きました。
親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示については、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。ネットイヤーグループは、NTTデータグループ(9613)が48.5%の株式を保有しておりNTTデータグループの連結子会社ですが、東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、厳しい目が向けられつつあるので、今後、親子上場の廃止の可能性もあるかもしれません。
株主総会では、大企業のNTTデータグループの連結子会社としては違和感を感じる点が多くありました。また、清掃状況などが気になる箇所もいくつかあり気になりました。
一方で、業績が不安定ではあるものの、財務内容については健全な会社です。親子上場廃止の可能性も視野に入れ、今後の動向を継続注視します。再投資も検討します。
