ウィルソン・ラーニングワールドワイド 第44回定時株主総会
日時:2025年8月27日(水) 13:00-13:50
場所:トーセイホテルココネ築地銀座プレミア(築地市場駅徒歩5分)
出席株主数:約10名
お土産:無し、ミネラルウォーターの配布あり
企業概要
ウィルソン・ラーニングワールドワイド(9610)
HP:人材開発のウィルソン・ラーニング | リーダー育成・営業力強化・価値創造と組織文化
①人材開発・組織開発のためのコンサルティングとソリューションの開発・提供や、企業内教育研修プログラムおよびリサーチプログラムの基礎開発研究を行うHRD(ヒューマン・リソース・ディベロップメント)事業を運営。
②筆頭株主は2024年11月に逝去された創業者で元名誉会長の森捷三さんで、森捷三さんが代表を務めていたサンウッドの保有分も含めると、165万株、20.7%を保有。
日本経済新聞社が、第4位の株主として、36万株、4.5%を保有。
③使用人の人数は、31名(連結で74名)と少人数体制。
株式情報
時価総額:22億円(2025年8月26日時点)
売上高:16.8億円(2025年3月期実績)⇒19.0億円(2026年3月期予想)
株価:280円(2025年8月26日時点)
1株純資産:66.0円(2025年6月末時点)、PBR:4.24倍
1株当期純利益:△8.12円(2026年3月期予想)、PER:赤字
1株配当:未定(2026年3月期予想)、配当性向:未定
配当利回り:未定
株主数:2,708名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2026年3月期第1四半期は、日本の売上高は前年と同水準、米国子会社の売上高は欧州事業の移管を受けて大幅増収で推移した。グループ全体で売上高は前年比で変化は無かったが、グループ構造のリストラクション効果で営業損失を計上したものの、販売管理費は大幅に改善している。この結果、当第1四半期連結累計期間における経営成績は、売上高4億3千9百万円(前年比0.2%減)、営業損失1億6百万円(前年は1億4千6百万円の営業損失)、経常損失1億7百万円(前年は1億5千2百万円の経常損失)となっている。また親会社株主に帰属する四半期純損失1億7百万円(前年は1億5千8百万円の純損失)となった。
②日本では、当第1四半期連結累計期間の大半の期間中企業研修市場は引続き改善傾向にある。受注ベースは改善しているが、カスタマイズ案件の納品が下半期偏重であり、売上高は微増傾向であった。なお、過年度の訂正報告のため外部業務委託費等販売管理費約3千7百万円が一時的に増加している。この結果、売上高1億6千7百万円(前年比5.8%増)、営業損失8千9百万円(前年は5千1百万円の営業損失)となった。
③米国では、欧州の事業移管を受けた結果と米欧の営業マネジメントの一元化の効果もあり、大幅な増収となった。またグループのリストラクチャリング効果による、販売管理費の削減効果が出ている。この結果、売上高2億9千2百万円(前年比47.2%増)、営業損失5千万円(前年同期は1億3千6百万円の営業損失)となった。
④欧州事業は、2024年8月米国子会社への事業移管を行い、営業を一元化した。 この結果、売上高は無いが(前年は8千5百万円の売上高)、営業損失5百万円(前年は5百万円の営業損失)となった。
⑤中国では、事業の清算を開始して販売管理費が大幅削減されているが、清算に時間を要している。この結果、売上高0百万円(前年比98.9%減)、営業損失5百万円(前年は9百万円の営業利益)となった。
⑥アジア・パシフィックは、インドでは、当第1四半期連結累計期間において昨年より順調なスタートとなり、売上高、営業損失ともに前年に比べ改善されている。一方、アジアでは、直販案件の減により、減収減益となった。この結果、売上高3千2百万円(前年比0.9%減)、営業損失1千9百万円(前年は1千8百万円の営業損失)となった。
⑦当社グループは、2020年3月期以降売上高が著しく減少し、2022年3月期までは重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失および重要なマイナスの営業キャッシュ・フローを計上した。2023年3月期においては、営業利益および経常利益を計上し当社グループの業績は改善傾向にあったが、継続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上した。2024年3月期においては、日本の国内HRD事業売上高は2023年3月期より回復傾向にあったが、全体的には減少傾向であり、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上した。前連結会計年度においては、2024年3月期に比べ、グループの構造改革をより一層進め、全体的には売上高は横ばい傾向ながらも、販管費の圧縮に努め、その削減効果も出ているが、重要な営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上した。また、当第1四半期連結累計期間においては、前年同期に比べ一部地域では売上高は回復傾向にあるが、全体的には売上高は横ばい傾向であり、重要な営業損失1億6百万円、経常損失1億7百万円および親会社株主に帰属する四半期純損失1億7百万円を計上した。このような状況のなか、今後追加の運転資金調達の重要性がさらに増すことが想定されるが、現時点では金融機関などからの新たな資金調達について見通しが得られている状況には無い。このような状況を受け、当社は複数の外部支援候補者との間で協議を継続している。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している。当該事象または状況を解消するために、「2.四半期連結財務諸表及び主な注記 (3)四半期連結財務諸表に関する注記事項 (継続企業の前提に関する注記)」に記載の対応策を実施しているが、当社グループの対応策は実施途上にあり、今後の事業収益や追加的な資金調達の状況などによっては、当社の資金繰りに極めて重要な影響を及ぼす可能性があるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識している。なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、このような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を四半期連結財務諸表に反映していない。
⑧当社の2025年3月末時点におけるスタンダード市場の上場維持基準への適合状況は、株主数、流通株式数、流通株式比率については、2021年3月31日より継続して、基準を充たしているが、株価が下降傾向のため流通株式時価総額については、上場維持基準10億円に対し5.06億円と充たしていない。次の基準日である2026年3月31日までの改善期間内に適合していることが確認できなかった場合には、東証より監理銘柄(確認中)に指定される。その後、当社が提出する2026年3月31日時点の分布状況表に基づく東証の審査の結果、流通株式時価総額基準に適合している状況が確認されなかった場合には、整理銘柄に指定され、当社株式は2026年10月1日に上場廃止となる。
⑨創業者で名誉会長の森捷三さんが、2024年11月25日に逝去。
⇒森捷三さんは、代表を務めていたサンウッドの保有分も含めると、165万株、20.7%を保有されていた。2025年8月26日時点、大量保有報告書の変更報告書は提出されておらず、本株主総会招集通知にも大株主として掲載続く。森捷三さんの保有されていた株式の行方が気になるところ。
⑩2025年5月27日開催の取締役会において、2025年6月30日に予定していた第44期定時株主総会を延期し、臨時株主総会を開催することおよび延期後の定時株主総会と臨時株主総会招集のための基準日設定について決議。当社グループ(日本、米国、英国、フランス、インド、中国、アジア(シンガポール))内での関係会社間の取引件数が多いなかで、当社の英国子会社の担当者の病没後、経理業務を引き継いだ担当者が作成した連結パッケージでのグループ内債権債務に複数の不一致が見つかったこと、その多数の取引の中からの該当取引の抽出およびその精査が続いていること、それと並行して本年2月から当社グループの経理担当者において他の関連業務が発生し業務が集中したために2月以降において監査法人に対する当社グループにおける監査資料の提出に遅れが生じたこと、これに伴い監査法人による監査工数の確保と再スケジュール策定に一定の時間を要したことなどが複合的に生じたため、2025年3月期第3四半期決算について、発表を再々延期し、その発表予定日を未定としていた。この遅れにより、2025年6月に開催を予定していた第44期定時株主総会を延期し、8月を目途に開催することとした。また、必要事項を決議するために、7月を目途に臨時株主総会を開催することとした。定時株主総会および臨時株主総会の基準日設定は2025年6月13日。
2025年7月22日開催の取締役会において、臨時株主総会を不開催とし、8月下旬開催予定の定時株主総会と一本化することを決定。7月下旬に予定していた臨時株主総会にて決議すべき議案の確定に相当の時間を要したため。
2025年7月25日開催の取締役会において、第44期定時株主総会の開催日について2025年8月27日とすることを決定。
⑪2025年7月25日開催の取締役会において、根岸正州さん、マネジメントベース、田島大輔さん、飯塚健さんおよびDKマネジメントを割当予定先とする第三者割当の方法による新株式の発行、ならびに、根岸正州さん、マネジメントベース、田島大輔さん、飯塚健さん、DKマネジメント、YCP Japanおよび杉本有輝さんを割当予定先とする第三者割当の方法による第3回新株予約権の発行を決議。新株式は、根岸正州さんへ96万株、マネジメントベースへ80万株、田島大輔さんへ32万株、飯塚健さんへ48万株、DKマネジメントへ16万株を2025年8月28日に1株62.5円で割当。調達資金の総額は1.7億円。
新株予約権は、根岸正州さんへ4,800個(48万株)、マネジメントベースへ400個(4万株)、田島大輔さんへ1,120個(11.2万株)、飯塚健さん480個(4.8万株)、DKマネジメントへ2,400個(24万株)、YCP Japanへ800個(8万株)、杉本有輝さんへ400個(4万株)を割当。割当日は2025年8月28日。行使期間は、2025年8月29日~2030年8月28日まで。行使価額は62.5円。調達資金の総額は0.7億円。
⑫2025年7月25日開催の取締役会において、代表取締役の異動(児島研介さんから根岸正州さんへ交代)を決議。なお、2025年8月27日開催予定の株主総会における取締役選任を条件として、株主総会後に開催予定の取締役会の承認を経て正式に審議決定する。
⑬2025年8月22日に、新ビジョン「成長モデル『L+ETC構想』を通じて時価総額100億円企業を目指す」を公表。3年で売上高50億営業利益5億円、時価総額100億円の早期実現を目指す。
⑭2025年8月14日に、2026年3月期通期の連結業績予想を上方修正。売上高については、国内事業において、当期第4四半期納品の大型カスタマイズ案件の受注が確定したこと、また短納期での新規案件(DX研修を含むデジタル案件)の受注確度が高まった。米国事業において、当第1四半期の実績結果が順調であり、昨年比で47%増であることと、第2四半期以降の営業パイプラインが増加している。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、欧州子会社の米国子会社への業務移管、拠点・人員整理などで販管費の圧縮を実施しており、過年度の訂正決算費用により国内での販管費が当期第1四半期で増加したものの、米国事業での営業損益が昨年比8,600万円の改善をしている。
⑭社外取締役を除く取締役2名の報酬等の総額は1,171万円。単純平均で取締役1人当たり585万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人給与は含まず。
⇒使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社からの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。
株主総会での個人メモ
①受付において、各議案の賛否について記入を求められた。
②取締役のトーマス・ホリス・ロスさんは、Zoomミーティングでの参加。
③株主総会冒頭に、社長の児島研介さんから、決算発表の遅延、および株主総会の開催が遅れたことに対しお詫びがあった。
④質疑応答で、「大株主として、昨年に亡くなられた名誉会長の森捷三さんが、サンウッドの保有分も含めて20%程度の株式を保有しているとの記載がある。相続対応中だと思うが、会社としても大株主の異動は重要事項だと思うので、遺族と協議している内容があれば教えて欲しい。」との質問あり。「相続対応中なので、名義変更されると思う。詳細は言えないが、継続して創業家と会話をしている。ネガティブな見通しにはならないと思う。」との説明。
⑤質疑応答で、「社長に就任する根岸正州さんから、どのような会社にしたいのか抱負を伺いたい。」との意見あり。取締役として選任された後に、根岸正州さんから、「60周年となり、若返りもはかられ、新ビジョンの「L+ETC構想」に沿い、新しい取り組みをやっていきたい。」とのコメントあり。
⑥質疑応答で、「前方のモニターに映っている方は誰?モニターが明るすぎて社長の児島研介さんの顔が暗くてよく見えない。」との質問あり。「取締役のトーマス・ホリス・ロスさんが、Zoomミーティングで参加している。」との回答。
⇒指摘を受け、社長の児島研介さんがモニターから離れて司会進行するようになった。また、モニターの後ろにスクリーンがあり、スクリーンに投影されている説明内容がモニターに隠れ、一部見えなかった。モニターの場所を工夫した方がよかったと思う。
⑦質疑応答で、「本社の移転について、家賃は削減されるのか?」との質問あり。「大幅に削減される。販管費が削減となる。」との説明。
⑧質疑応答で、「受付で各議案に対する賛否の記入を求められた。会場での議案の採決は不要だと思うが、何故、採決が必要なのか?」との質問あり。「会場での採決も協力して欲しい。」との回答。
⇒会場内での議決権行使(拍手の有無)を優先するのか、それとも受付で記入を求められた議決権行使を優先するのか、丁寧な説明が必要だったと思う。
⑨質疑応答で、「今回の第三者割当の方法による新株式の発行、第三者割当の方法による第3回新株予約権の発行について、著しい有利発行のように見える。公募増資としなかった理由は?」との質問あり。「取締役会で協議した結果。安定株主を確保したかった。長期保有の意向をいただいており、会社の再建を一緒にコミットしてくれる。」との説明。
⑩質疑応答で、「今回の第三者割当増資などで得る資金の使途は?」との質問あり。「リーダーシッププログラムなどの開発投資に使用する。」との回答。
⑪質疑応答で、「今回の第三者割当増資などにより得た資金を活用し投資を行った結果、売上への影響はどう見込んでいるのか?」との質問あり。「まだ開示していない。直近、業績の上方修正も行っているので、そちらも確認して欲しい。」との説明。
⑫質疑応答で、「今回の第三者割当増資などの引受先との関係や、売却制限などあれば教えて欲しい。」との質問あり。「第三者割当増資などの引受先との関係は、株主総会招集通知に記載している通り。ロックアップ期間については2年間としている。」との回答。
⑬質疑応答で、「今回の第三者割当増資などのロックアップ期間を2年間とした理由は?」との質問あり。「2年間がお互いにとって最も妥当な期間だと協議した結果。」との説明。
⑭質疑応答で、「ストックオプションの付与対象と比率は?」との質問あり。「付与対象は、役員、執行役員、社員。付与比率はまだ決定していない。」との回答。
⑮受付において各議案に対する賛否の記入を求められたが、株主総会内で、各議案の採決について、拍手での採決もあり。
⇒質疑応答でも出席株主から指摘があったが、受付で記入を求められた議決権行使が優先されるのか、各議案の採決時の拍手が優先されるのか、基準が曖昧に感じた。また、議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
質疑応答では、社長の児島研介さんが丁寧に回答対応されていました。一方で、議長の指名を受けていない取締役が議長の答弁時にフォローの発言を度々していましたが、不規則発言ということで、議長の児島研介さんが注意をされていました。
また、出席株主からの不規則発言も多く、事務局からの指摘に従って、児島研介さんが注意をされていました。注意を受けた後も株主総会が終了するまで、同一株主から不規則発言が続いていましたが、児島研介さんが優しく対応されていました。
2024年11月に逝去された創業者で元名誉会長の森捷三さんが、サンウッドの保有分も含め、株式を約20%保有されていたので、相続手続き後の株式の行方やその影響が気になります。
2019年3月期から続く赤字基調から再建がはかられるのか、新社長となる根岸正州さんの手腕に期待して継続注視します。
