GMO TECH 臨時株主総会
日時:2025年7月30日(水) 13:00-13:30
場所:バーチャルオンリー株主総会
企業情報
GMO TECH(6026)
HP:AIで未来を創るWebマーケティングDX GMO TECH(GMO テック)株式会社(マザーズ上場 現:グロース市場)
①Googleマップでの検索(ローカル検索)で店舗情報などを検索ユーザーが見つけやすくなる施策を行い上位表示対策をするSEMサービスなどの提供や、スマートフォンアプリおよびWebサービスのプロモーションに特化したアフィリエイト(成果報酬型)広告などを提供する「集客支援事業」(売上構成比95%)を中心に、賃貸オーナー・入居者向けのアプリケーションプラットフォームや、不動産賃貸手続きにおける契約の電子化サービスなどを提供する「不動産テック事業」(売上構成比5%)を運営。
※SEM:Search Engine Marketingの略。SEOやリスティング広告を含む検索エンジン上のマーケティングのことを指す。
②筆頭株主は、総合ネットグループのGMOインターネットグループ(9449)で57万株、54.0%を保有。
社長の鈴木明人さんが、第2位の株主として、13万株、13.1%を保有。
監査等委員である取締役の三田村徹彦さんが、第4位の株主として、15万株、1.5%を保有。
③株主優待(6月末、12月末)
100株:GMOクリック証券におけるGMO TECHの株式買付手数料キャッシュバック(上限1,000円)、自社MEO Dash!by GMO各種プラン10%割引(上限30万円)
500株:GMOクリック証券におけるGMO TECHの株式買付手数料キャッシュバック(上限3,000円)、自社MEO Dash!by GMO各種プラン10%割引(上限無し)
株式情報
時価総額:74億円(2025年7月29日時点)
売上高:68.6億円(2024年12月期実績)⇒80.0億円(2025年12月期予想)
株価:6,730円(2025年7月29日時点)
1株純資産:425円(2025年3月末時点)、PBR:15.8倍
1株当期純利益:580円(2025年12月期予想)、PER:11.6倍
1株配当:377.47円(2025年12月期予想)、配当性向:65%
配当利回り:5.6%
株主数:1,487名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①当第1四半期におけるわが国経済は、コロナ禍からの脱却が進み、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大が進む中、拡大基調で進みつつある。当社の事業領域である国内インターネット広告市場についても拡大傾向にあり、2025年度にはインターネット広告媒体費は前年度から9.7%拡大し、3.2兆円を超える見込み。人々の生活の中で、インターネットの利用は引き続き拡大しており、インターネット広告業界も引き続き堅調に推移した。
②このような環境の下、当第1四半期において、当社グループの集客支援事業は、昨年度に続き顧客基盤を拡大し、ストック収益は堅調に推移したが、フロー収益は新規案件の単価が伸び悩んだ結果、売上高は減少した。不動産テック事業については、顧客数を着実に増加させることに加え、ストック収益を拡大させている。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における業績は、売上高1,621百万円(前年比13.5%減)、営業利益176百万円(前年比35.5%減)、経常利益143百万円(前年比47.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益120百万円(前年比38.0%減)となった。
③集客支援事業は、検索エンジン関連サービスにおいては、注力サービスとしているMEOサービスについて、新規案件を積上げ、業績は安定して伸長している。アフィリエイト広告サービスにおいては、立て直しを進めているものの、新規獲得案件の単価が伸び悩んだため、前年比および前期第4四半期比で減収となった。その結果、当第1四半期におけるセグメント売上高は1,526百万円(前年比15.6%減)、セグメント利益は207百万円(前年比32.0%減)となった。
※MEO:(Map Engine Optimization)の略。主としてGoogle社が提供するGoogle Mapにおいて上位表示を実現しアクセスを増加させること、またそのための技術やサービスを指す。
④不動産テック事業は、「賃貸運営を楽にする」をミッションとし、賃貸運営に関わる方々をもっと自由にするために、サービス開発、改善に取り組んできた。当第1四半期におけるセグメント売上高は95百万円(前年比41.1%増)、セグメント損失は32百万円(前年は33百万円の損失)となった。
⑤「ITreview Grid Award 2025 Spring」で最高位『Leader』賞をMEO部門で史上初の16期連続受賞。
⑥アフィリエイトサービスは、3四半期連続で業績は横ばい、海外顧客の獲得が回復傾向、国内大手顧客の獲得が不調。営業体制強化により案件数の獲得は進んだものの、獲得案件の単価が伸び悩んだ。案件数の積み上げ施策、案件単価向上施策により業績回復を目指す。
⑦不動産テック事業は、SaaS事業によるストック収益の確実な伸長で岩盤収益増加。当社サービスの解約率は1%程度と低い水準にある。
⑧2025年5月13日に、業績予想および配当予想を下方修正。売上高については、アフィリエイトサービスにおいて、新規獲得案件の単価が伸び悩んだため、前年同期比および前期第4四半期比で減収となった。当期第2四半期以降も案件獲得数の増加と案件単価の向上により、業績回復を目指していくが、本格的な回復には時間がかかると判断し、当初見通しを下方に修正。一方で、ストック収益となるSEMサービスおよび不動産テック事業おいては、安定して顧客数を積み上げており、当初計画を上回る増収ペースだが、アフィリエイトサービスの減収をカバーするには至らない見通しとなっている。これらの結果、売上高について通期業績予想を修正した。営業利益以下の各段階利益については、SEMサービス事業においては新たなサービスの提供・顧客単価向上により、当初計画を上回る見通しとなっている。また管理部門においては、業務効率化・各種コストの見直しを推進しているが、アフィリエイトサービスの減益をカバーするには至らない見通しとなっている。これらの結果、営業利益以下の各段階利益について通期業績予想を修正した。2025年12月期より、配当性向65%以上を基準として配当を行うことを基本方針としており、通期業績予想の修正に伴い、期末配当についても修正した。
⑨GMO TECHおよびデザインワン・ジャパン(6048)は、2025年6月2日開催の各社取締役会決議により、共同株式移転の方法により共同持株会社であるGMO TECHホールディングスを設立し、経営統合を行うことについて、経営統合契約書を締結し、また、共同して株式移転計画を作成した。なお、本株式移転は、2025年7月30日開催予定のGMO TECHの臨時株主総会および普通株主による種類株主総会ならびに同日開催予定のデザインワン・ジャパンの臨時株主総会の決議による本株式移転計画の承認を得た上で、2025年10月1日を効力発生日として行われる予定。
⑩デザインワン・ジャパンは、国内最大級の口コミ店舗検索サイト「エキテン」の運営を中心に中小事業者へ集客支援等のサービスを提供している。また、新たな事業領域として、ベトナムのシステム開発子会社であるNitro Tech Asia Inc Co. Ltd.および国内の開発拠点であるイー・ネットワークスを活用してDXソリューション事業を展開している。「エキテン」では、登録店舗数(有料掲載店舗および無料掲載店舗の合計数)が約35万店舗となっており、掲載店舗もオールジャンルで提供するなどの独自性を持ちつつ、効率的なオペレーションにより低料金でサービスを提供している。この度、 両社は、店舗運営を行うお客様の強力な集客支援ツールであるGMO TECHのMEOサービスと、デザインワン・ジャパンが運営する国内最大級のオールジャンル店舗データベースである口コミサイト「エキテン」が連携することで、大きなシナジーの可能性があること、また両社の経営統括・管理部門の機能の統合、両社間の人的交流、また両社間で資金的な連携を行うことで、両社の大きな成長可能性があることを確認し、両社で経営統合を行うことが望ましいとの判断に至った。なお、本経営統合により、デザインワン・ジャパンは、GMOインターネットグループにジョインすることとなり、GMO TECHとの協働に加えて、GMOインターネットグループのグループ企業として、新たな成長戦略を実現する。
⑪A種種類株式の発行残は、親会社のGMOインターネットグループに対する45株(1株1,000万円、計4.5億円)、社長の鈴木明人さんに対する10株(1株1,000万円、計1.0億円)。A種種類株式の優先配当率は2.5%。
⑫監査等委員である取締役を除く取締役7名の報酬等の総額は15,800万円。2024年3月に退任した1名を3ヶ月分、無報酬の2名を考慮して試算すると、単純平均で取締役1人当たり3,717万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会冒頭に、議長の鈴木明人さんから、「通信障害時など議事に著しい支障が生じる場合、株主総会の延期または続行の決定権限を議長に一任して欲しい」との提案があり、WEB投票方式で採決となり可決された。
②出席取締役の紹介があったが、取締役紹介時に取締役の熊谷正寿さん、森谷耕司さんの2名は画面に映っておらず、出欠席は不明。
③質問は1人1問のみと制限されていた。その一方で、わずか30分程度で株主総会が閉会されていた。
⇒株主総会当日の出席者数や質問状況、議事進行状況(所要時間)に応じ、質問を1人1問に制限せず、株主との対話の一環として柔軟に質問を募ったほうがよいと思う。
④質疑応答で、「デザインワン・ジャパンとの経営統合後、配当金はどうなるのか?」との質問あり。「確定次第、回答する。」との説明。
⑤質疑応答で、「デザインワン・ジャパンとの経営統合後、増益は見込めるのか?」との質問あり。「シナジーの創出、経営の効率化を見込むが、10月1日の経営統合後に計画を公表する。」との旨の回答。
⑥質疑応答で、「デザインワン・ジャパンとの経営統合後の、中長期的な展望は?」との質問あり。「両社で検討し、10月1日の経営統合以降、確定次第、公表する。」との説明。
⑦質疑応答で、「デザインワン・ジャパンとの経営統合の経緯は?」との質問あり。「昨年末に、当社からデザインワン・ジャパンに対して事業提携・資本提携を提案した。シナジーが見込め、資本政策上、デザインワン・ジャパンが現金資本を保有していた。」との回答。
⑧質疑応答で、「中期経営計画はどの程度作成が進んでいるのか?」との質問あり。「両社で作成している最中。進捗は2~3割程度。大きな方針は決まっている。」との説明。
⑨議案の採決は、WEB投票方式。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、画面上ながらも会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会の質疑応答では、社長の鈴木明人さんが丁寧に回答対応をされていました。一方で、質問を1人1問に制限していたのにも関わらず、開始後わずか30分程度で閉会となりました。あまり印象が良くなく、株主との対話の観点から、当日の質問状況や進行状況(所要時間)に応じ、質問を1人1問に制限せず、柔軟に質問を募ったほうがよいと思います。
今回、バーチャルオンリー株主総会でしたが、下記機能があれば個人投資家に不人気なバーチャルオンリー株主総会も徐々に支持が得られるかもしれません。
1.株主側からの音声参加機能の追加。株主の発言時の抑揚など、文字だけでは伝わらない感情のニュアンスの伝達ができる。現状、音声は会社側からの一方通行。
2.発言内容の字幕付与機能。音声トラブル時に一部機能を補える。
3.各株主から見た重要度に応じて、会場で参加できるようにリアル会場併設や、もしくは、何かしらの補完機能の追加。現状、大株主などで何かしらの接続トラブルで参加できなかった場合、他の株主から出された動議への対応ができなくなり、リスクがあるように見える。
「親子関係にある上場会社や持分法適用関係にある上場会社における情報開示」について、少数株主保護やグループ経営に関する情報が投資判断上重要になるにもかかわらず、十分な開示がなされていない会社が多いことが指摘されています。
GMO TECHは、GMOインターネットグループが54.0%の株式を保有しておりGMOインターネットグループの連結子会社ですが、東京証券取引所が、2023年12月に、「少数株主保護及びグループ経営に関する情報開示の充実」および「支配株主・支配的な株主を有する上場会社において独立社外取締役に期待される役割」を公表しており、親子上場に厳しい目が向けられつつあるので、今後、親子上場の廃止の可能性もあるかもしれません。
現預金を豊富に抱えるデザインワン・ジャパンとの経営統合により、新規事業への取組みなど、会社が大きく変わる過渡期になるようにも思えます。まずは、今後公表される中期経営計画を注視し、親会社のGMOインターネットグループへ投資を検討する際の参考にもします。