七十七銀行 第141回定時株主総会
日時:2025年6月27日(金) 10:00-11:00
場所:七十七銀行本店(あおば通駅徒歩5分)
出席株主数:約200名
お土産:無し
企業概要
七十七銀行(8341)
HP:七十七銀行
①宮城県を主に、預金業務、貸出業務、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務のほか、社債受託業務、代理業務、債務の保証(支払承諾)、国債等公共債・投資信託・保険商品の窓口販売、信託業務などの銀行業務を運営。リース業務、金融関連業務としての信用保証業務、クレジットカード業務、金融商品取引業務、調査研究業務、コンサルティング業務、ファンド運営業務、人材紹介業務、保険募集業務、ファンド運営業務、投資業務なども手掛ける。
②東北電力(9506)が、第6位の株主として、169万株、2.2%を保有。
③株主優待(3月末、1年以上)
300株:地元特産品3,000円相当 or クオカード3,000円
1,000株:地元特産品5,000円相当 or クオカード5,000円
3,000株:地元特産品10,000円相当 or クオカード10,000円
株式情報
時価総額:3,757億円(2025年6月26日時点)
経常利益:562億円(2025年3月期実績)⇒625億円(2026年3月期予想)
株価:4,902円(2025年6月26日時点)
1株純資産:7,735円(2025年3月末時点)、PBR:0.63倍
1株当期純利益:593円(2026年3月期予想)、PER:8.26倍
1株配当:210円(2026年3月期予想)、配当性向:35%
配当利回り:4.2%、株主優待含む利回り:4.4%(1年以上300株保有時)
株主数:16,878名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①当期のわが国経済は、物価高の影響などがみられたものの、雇用・所得環境が改善するもとで個人消費が緩やかな増加基調となったほか、好調な企業業績に支えられ、全体として緩やかな回復の動きとなった。一方、主要営業基盤である宮城県の景況は、生産に持ち直しの動きがみられたものの、人手不足や物価高などが企業や家計の重しとなり、設備投資や個人消費が弱めの動きとなるなど、総じて足踏みする状況で推移した。こうしたなか、金利情勢については、日本銀行による二度の無担保コール翌日物金利の誘導目標引き上げに伴い、短期金利が上昇したほか、長期金利は、日本銀行の追加利上げ観測の高まりを受け、期初の0.7%台から期末には1.4%台まで上昇した。また、為替相場は、期初の1ドル=151円台から7月に162円台まで円安が進行したが、その後は円買い・ドル売りが進み、期末には1ドル=149円台となった。株価については、日経平均株価が期初の4万円台から8月には3万1千円台まで下落し、その後は4万円台前後で推移したが、米国の関税政策への警戒感から2月後半より下落し、期末には3万5千円台となった。
②以上のような経済環境のもと、株主・取引先の皆さまの支援のもとに、役職員が一体となって事業活動の推進に努めてきた。その結果、当期の業績は、損益状況については、貸出金利息および有価証券利息配当金の増加などにより資金運用収益が増加したほか、国債等債券売却益の増加などによりその他業務収益が増加したことなどから、経常収益は、前期比210億1百万円増加の1,715億53百万円となった。他方、経常費用は、国債等債券売却損の増加などによりその他業務費用が増加したことなどから、前期比89億69百万円増加の1,152億80百万円となった。この結果、経常利益は前期比120億32百万円増加の562億73百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比94億68百万円増加の392億70百万円となり、1株当たり当期純利益は529円50銭となった。過去最高益を4年連続更新、2025年度も更新を目指す。
③総資金利鞘は0.54%。金融再生法開示債権(リスク管理債権)は125,530百万円。貸倒引当金は58,323百万円。預金(譲渡性預金を含む)は、前年比23,660百万円増の8,986,452百万円。貸出金は、前年比320,651百万円増の6,188,031百万円。その他有価証券の評価損益は95,725百万円。
④国内の景気は、物価高の継続に伴う消費者マインドの低下などを通じた下振れリスクが懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や人手不足を背景としたデジタル関連投資などが緩やかな回復を支えていくことが見込まれる。また、主要な営業基盤である宮城県の景気は、引き続き人手不足や物価高などから回復の足取りが重いものの、仙台圏での再開発プロジェクトの進展などに伴う投資意欲の高まりなどから、総じて緩やかな持ち直しの動きに向かうものと見込まれる。一方、米国の関税政策を発端とした各国の対立や金融資本市場の変動の影響などから、足元では、景気の下振れリスクが一段と高まっている状況にある。このような経済環境のもと、2025年度の業績見通しは、経常利益625億円、親会社株主に帰属する当期純利益440億円を見込んでいる。また、当行単体では、経常利益610億円、当期純利益430億円を見込んでいる。
⑤PBRは改善するも、1倍の水準には至らず引き続き、「Vision 2030」などへの取組みを通じたアプローチを実施。
⑥株主還元方針は、銀行業としての公共的性格と経営の健全性維持などを考慮し、財務基盤の強化を前提として、累進的配当により、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向を2025年度までに35%以上に引き上げるとともに、機動的な自己株式取得により、株主利益と資本収益性の向上を目指していく。
⑦監査等委員である取締役を含む取締役候補者13名中、70歳以上の候補者は奥山恵美子さん(1951年生まれ、74歳)、大滝精一さん(1952年生まれ、72歳)、牛尾陽子さん(1953年生まれ、71歳)、三浦直人さん(1954年生まれ、71歳)の4名。
⇒役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑧監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役9名の報酬等の総額は37,400万円。2024年6月に退任した2名をそれぞれ3ヶ月分として、同月に就任した2名をそろぞれ9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり5,342万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、七十七銀行本店内の会議室での開催。エレベーターでの移動であったが、13階にフロアがあるものの、13階の停止ボタンが無い仕様となっており、違和感を感じた。
②株主総会会場の会議室に入口が3つ(前方、中央、後方)あったが、前方のドアから前方の席へ案内される株主(得意先株主など?)と、それ以外のドアから後方の席へ案内される株主で色分けされているように見えた。
③質疑応答の前に、説明会で多く寄せられる質問について回答されていた。
④「金融政策変更による決算への影響は?」との質問に対し、「市場金利の上昇により業績が上がる。」との旨の回答。
⑤「Vision2030の進捗状況は?」との質問に対し、「過去最高利益を更新している。当初予想を上回るペース。」との旨の説明。
⑥「利益還元と成長投資の方針」についての質問に対し、「配当性向35%以上を目指す。」との旨の回答。
⑦質疑応答で、「77ソーラーパーク富谷の太陽光発電で七十七銀行の全ての電力をまかなおうと考えているのか?」との質問あり。「本店ビルと一部の営業店で利用している。平日で20店、休日で100店分の電力に相当する。全体の電力料金が2割減った。」との説明。
⑧質疑応答で、「東証が1単元10万円以下を推奨していると思うが、株式分割についての考えは?」との質問あり。「現在、東証からは50万円未満を求められている。もっと下げるようにとの議論がなされているのは知っている。適切に検討していく。」との回答。
⑨質疑応答で、「株価の見通しについての考えは?」との質問あり。「2024年より608円上昇し、PBRが0.51倍から0.61倍へアップした。東証が求めるPBR1倍を目指したい。」との説明。
⑩質疑応答で、「使用人数が2018年の3,000人規模から足元では2,400人規模へ減っている。人員の状況に問題は無いのか?Vision2030で想定している2030年時点の使用人数も教えて欲しい。」との質問あり。「現状は、DX・AIの活用で生産性を高めている。採用者数と定年者数で調整をしている。専門性を持った人材、中途での採用を検討し、適正人員の確保を考えている。2030年の想定人員は2,100人を目指している。」との回答。
⑪質疑応答で、「現金2,000万円を下ろしに行ったところ、警察に通報すると言われ断られた。結果、3,000万円損をした。」との意見あり。「特殊詐欺もあり、宮城県警からの要請により、本人確認と用途を確認したうえで、振込みでの対応を案内している。説明が足りていなかった。」との旨の説明。
⑫質疑応答で、「株主総会のお土産が無くなった。再開して欲しい。」との意見あり。「株主公平性と地域貢献の観点から、株主優待制度への転換を行った。」との回答。
⑬質疑応答で、「業績連動報酬の限度額を9,000万円から18,000万円へ改定する理由は?」との質問あり。「4期連続最高益であり、業績へ見合う金額、同業他社、同規模の企業を参考にした。当初設定した業績連動報酬の段階の上限(当期純利益300億円)を既に突破してしまった。インセンティブにより企業価値向上につなげたい。」との説明。
⑭議案の採決方法は、頭取の小林英文さんが「ご異議はありませんか?」との問い掛けでの採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の掛け声や拍手で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調で、PBRが1倍を大きく割れており、株主優待も魅力的なので、国内金利上昇の恩恵を期待して、平均3,898円で投資しました。
今回、実際に頭取や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、七十七銀行本店内の会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、頭取の小林英文さんを中心に丁寧に回答対応されていたものの、頭取の小林英文さんが議長を務めると宣言した段階での会場前方から起こる不自然で大げさな拍手、質疑応答時に小林英文さんが「他に質問はありませんか?」との問いかけに対し、会場前方あちらこちらから起こる大きな声での「異議無し」の掛け声に大きな違和感を感じました。今となっては他社ではほぼ見かけない光景なので、昭和の古い体質が残る社風なのかもしれません。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、七十七銀行は、1株当たり純資産7,735円に対し、株価4,902円(2025年6月25日時点)、PBR0.63倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
三菱総合研究所が公表した「2022年から2030年にかけての貸し出しマーケット」の推移では、宮城県は5~10%の減少が見込まれており、今後の地銀再編の動向も気になります。
株主総会では、いくつか違和感を感じる点があり、社風に問題が無いか心配になりましたが、国内政策金利の上昇による業績向上を期待しつつ、株主優待も楽しみに継続保有の予定とします。追加投資も検討します。
