フィデアホールディングスの株主総会に出席しました【2025年6月24日】

株主総会
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フィデアホールディングス 第16期定時株主総会

日時:2025年6月24日(火) 10:00-11:10

場所:荘内銀行鶴岡営業部(鶴岡駅よりバス5分+徒歩5分)

出席株主数:約50名

お土産:無し

 

企業概要

フィデアホールディングス(8713)

HP:フィデアホールディングス株式会社

①社荘内銀行・北都銀行において、秋田県・山形県・宮城県を主たる営業エリアとして、本支店などにおいて、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務のほか、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、保証業務などを行う銀行業を運営。リース業務、調査研究業務、ソフトウェア開発業務、投資業務なども手掛ける。

②パチンコホールなどを運営するベガスベガスが、第10位の株主として、12万株、0.7%を保有。

株主優待(3月末)
100株:特別金利定期預金優待券

 

株式情報

時価総額:258億円(2025年6月23日時点)

経常利益:42.0億円(2025年3月期実績)⇒48.0億円(2026年3月期予想)

株価:1,423円(2025年6月23日時点)

1株純資産:4,285円(2025年3月末時点)、PBR:0.33倍

1株当期純利益:183円(2026年3月期予想)、PER:7.77倍

1株配当:75円(2026年3月期予想)、配当性向:40%

配当利回り:5.2%

株主数:25,625名

会計基準:日本会計基準

 

株主総会前の事前情報

①当連結会計年度における我が国経済は、個人消費の一部に足踏みがみられ、住宅投資が概ね横ばい推移となったものの、設備投資は持ち直しの動きが続き、公共投資が底堅く推移するなど、緩やかな回復の動きが続いた。また、当社グループの主たる営業エリアである東北地方の経済においては、公共投資や住宅投資には弱い動きが見られるものの、生産は緩やかに持ち直し、設備投資が増加し、雇用・所得環境の改善がみられ、個人消費が緩やかに回復し雇用環境が改善するなど持ち直しの動きが続いた。

②当社グループの当連結会計年度の業績については、仕組貸出関連を中心とした貸出金利息の増加、中期経営計画の基本方針として取り組んでいる経費構造改革の進展、ならびに前期に一時的に増加した与信関係費用の減少などにより、連結経常利益は前期比6億40百万円(17.9%)増加し42億9百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16億37百万円(138.8%)増加し28億16百万円となった。なお、連結経常収益は、貸出金利息など資金運用収益を中心に前期比31億93百万円(6.3%)増加し531億38百万円となった。また、連結経常費用は、預金等利息など資金調達費用および国債等債券売却損などその他業務費用を中心に前期比25億53百万円(5.5%)増加し489億29百万円となった。当社グループの中核的企業である子銀行2行の単体の経営成績は、荘内銀行においては、経常収益は前期比25億29百万円増加の239億89百万円、経常利益は前期比12億19百万円増加の28億70百万円、当期純利益は前期比9億43百万円増加の15億99百万円となった。北都銀行においては、経常収益は前期比9億2百万円増加の243億70百万円、経常利益は前期比3億83百万円減少の9億29百万円、当期純利益は前期比8億6百万円増加の9億46百万円となった。

③貸出金は、前年比469億円増の19,318億円。預金等は、前年比△708億円の26,969億円。有価証券の含み損益(その他有価証券の評価損益)は△26,800百万円。金融再生法開示債権残高は36,916百万円。総資金利鞘は0.32%。貸倒引当金は12,876百万円。

④人口減少に伴う構造的な社会課題に加え、インフレ進行や景気後退懸念、内外の金利環境の変化、地政学的リスクの高まり、米国の通商政策の影響による金融市場の変動など、地域金融機関を取り巻く経営環境は大きく変化している。このような中で、2025年度の業績予想については、第5次中期経営計画の最終年度として地域における金融仲介機能の充実および取引先の経営改善や事業再生支援などに注力するとともに、コンサルティング営業の強化、両行合併を見据えての効率化施策の前倒し実施、市場部門の収益力回復に取り組むことにより、連結経常利益48億円、連結純利益33億円を計画している。なお、第5次中期経営計画において、最終年度である2025年度の連結純利益の目標値を40億円程度としていたが、本計画スタート後の金利環境の変化などを踏まえ33億円に変更している。なお、2026年3月期(2025年度)計画では、日銀政策金利が2回(7月、12月)引き上げられ1%程度まで上昇することを想定。

⑤第5次中期経営計画策定時の利益目標は、2029年3月期に、連結純利益50~60億円。

⑥今後の住宅ローンへの取り組みスタンスについて、これまでは、マイナス金利の中では採算面の懸念あり、住宅ローンについては抑制的な運営を継続してきたため、これまでは年間300億円程度減少してきた。金利のある世界に変わり、見直す必要があると考えている。一方、足元の住宅ローンのマーケット金利はそれほど上昇しておらず、営業地盤である山形県、秋田県で労働生産人口が減少している中では、住宅ローンが我々にとってのコア・ビジネスになるというような環境には未だ至っていないと考えている。従来に比べれば利ザヤや採算が改善しているので、余裕資金が拡大している中での運用資産としての位置づけは上がっており、現在の減少トレンドを抑える方向で考えている。事業性貸出に注力している営業体力を割いてまで住宅ローンを重視していくという考えではない。例えば県境を越えて東京や仙台市などにおいて、低い金利で住宅ローン営業を仕掛けていくような考えはない。

⑦合併銀行の規模が大きくなることにより、すぐに事業者向けに2倍の融資を実施していくなどは想定していないが、これまで大型のプロジェクト・ファイナンスに対して荘内銀行と北都銀行でシェアしていたものがあるが、これを1行で対応可能になる。また、山形・秋田県内で培った再生可能エネルギー事業に係る知見を生かして、県外の大型案件に参加するなどの可能性はあると考えている。ただし、再生可能エネルギー事業については、最近は、洋上風力発電の建築単価上昇に伴う計画の見直し、秋田県内の風力発電所の風車の破損事故などが起こっており、事業リスクについてしっかり見ていく必要があると考えている。

⑧合併費用及びシステム統合費用など経費増加要因(コストシナジー)については、資金交付制度(最大30億円)を活用する方針であり、金融機能強化法に基づく実施計画が当局より認定済み。合併により見込まれる経費増加要因は、合併初年度の2027年3月期に15億円、2028年3月期に20億円、2029年3月期に20億円、2030年3月期に23億円。経営基盤の強化のための措置の実施に要する費用は、総額165億円。

⑨2024年11月8日開催された取締役会において、関係当局の許認可の取得などを前提として、両行合併に関する事項について決議。合併効力発生日は2027年1月1日。荘内銀行を存続会社、北都銀行を消滅会社とする吸収合併方式とする。新銀行の商号はフィデア銀行(2027年1月1日付で商号を変更)。

⑩2025年4月25日に開催した臨時株主総会において、荘内銀行の本店所在地の変更を決定。変更後の本店所在地は山形県山形市(現在の荘内銀行山形営業部)。広域地方銀行としての今後の営業戦略および地域戦略を踏まえ、総合的に検討し決定した。

⑪「FIDEA」という名称は、「信頼」を意味するラテン語の“FIDES”と「連携」を意味する英語の“ALLIANCE”を組み合わせることで、「信頼で結ばれ、地域と共に繁栄する金融グループ」を作り上げたい、という意志を表している。

⑫取締役候補者13名中、70歳以上の候補者は西堀利さん(1953年生まれ、72歳)、堀裕さん(1949年生まれ、75歳)、布井知子さん(1951年生まれ、74歳)、廣瀬渉さん(1954年生まれ、70歳)の4名。
役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。

⑬監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は8,600万円。単純平均で取締役1人当たり2,150万円。

 

株主総会での個人メモ

①株主総会は、フィデアホールディングスの子会社の荘内銀行鶴岡営業部内にあるホールでの開催。

②質疑応答で、「東京証券取引所からPBR1倍割れの企業に対し改善要請が出ている。PBR1倍を超えなければならないという意思はあるのか?ROE5%目標だと弱いのではないか?」との質問あり。「現状、PBRは0.3倍程度。1倍を割れている状況について経営課題と認識している。株価はいろいろな要素で変動する。ROEを高めてPBRを高めていく。銀行は健全性を求められており、自己資本を厚くする必要があり、ROEを引き下げる要素となっている。企業価値を高めていきたい。金利のある世界に変わったので、収益性も上ってきており、PBR、ROEの目標設定については、第6次中期経営計画で再検討する。」との回答。

③質疑応答で、「多くの地方銀行で地域の名産品を株主優待としている。PERが7倍台と評価されておらず、株主還元と地域経済への貢献も兼ねて地域の名産品を株主優待としたらどうか?」との意見あり。「現在、優遇金利の株主優待はある。地元の特産品を株主優待としている他行があることは認識している。事業活動を通じて株価の向上を目指したい。現時点、地元の特産品の株主優待は検討していないが、検討課題と認識している。機関投資家からの意見もある。」との説明。

④質疑応答で、「荘内から本店が無くなり寂しい。荘内へのコンタクトをしっかり対応して欲しい。」との意見あり。

⑤質疑応答で、「秋田銀行、山形銀行、七十七銀行とどう戦うのか?存在感をどう示すのか?」との質問あり。「東北初の県境をまたぐ広域営業が強み。」との回答。

⑥質疑応答で、「仙台にフィデアホールディングスの本社を置くので、仙台で差別的な戦略が欲しい。仙台でのリテール営業の差別化をはかったらどうか?」との意見あり。「金利のある世界となったので、今まで以上に検討を進める。ただし、住宅ローンについては、低金利で仙台地区へ攻勢をかけている地銀がある。慎重な検討が必要。」との説明。

⑦質疑応答で、「社外取締役が多すぎる。業務をしている社内取締役を増やしたほうがよいのでは?」との質問あり。「経営管理と業務執行を分離している。社外取締役が多い点について、市場から評価をいただいている。」との回答。

⑧質疑応答で、「フィデアホールディングスとフィデア銀行との関係は?」との質問あり。「今まで(荘内銀行と北都銀行との?)壁があったが、交流や情報連携がスムーズになる。フィデア銀行は業務に特化できる。持ち株会社制の方が事業の拡大に有効。」との旨の説明。

⑨質疑応答で、「銀行に相談に行った際、回答をもらえずに放置されたことがある。お客様とのコミュニケーションを改善して欲しい。」との旨の意見あり。

⑩議案の採決方法は挙手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の挙手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。

 

株主総会を終えて感じたこと

株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、フィデアホールディングスの子会社の荘内銀行鶴岡営業部内にあるホールでの開催でしたので、良い機会となりました。

質疑応答では、荘内銀行の本店を鶴岡市から山形市へ変更した件について心配する意見も出ていました。社長の新野正博さんから、「山形市を本店としたが、荘内銀行は荘内での歴史があり、北都銀行は秋田での歴史がある。地元の皆様の想いがあるので、鶴岡営業部と秋田(北都銀行の本店)は他の支店とは特別な位置づけとする。」との旨の説明が印象に残りました。

2027年1月1日付で商号が変更されますが、新銀行の商号はフィデア銀行とのことで、若干の違和感を感じました。新銀行の商号は、荘内北都銀行でもよかったのではとも思いましたが、他行と比べるとまだ規模感が小さいので、次のステップの地銀再編をにらんだ商号の変更だったのかもしれません。

三菱総合研究所が公表した「2022年から2030年にかけての貸し出しマーケット」の推移では、秋田県は10%以上の減少、山形県と宮城県は5~10%の減少が見込まれており、今後のさらなる地銀再編の動向が気になります。

2023年3月31日に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、フィデアホールディングスは、1株当たり純資産4,285円に対し、株価1,423円(2025年6月23日時点)、PBR0.33倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。

配当利回りは魅力的であるものの、預金等が前年比でマイナスであり、その他有価証券の評価損益も△268億万円と多く気になります。国内政策金利の上昇による業績向上を期待しつつ、再投資も検討します。

 

2024年6月24日に到着したフィデアホールディングスの株主優待の内容についてはこちら↓

フィデアホールディングスの株主優待が到着しました【2024年6月24日】 | ぽこタンの株主総会日記

 

株主総会会場の荘内銀行鶴岡営業部(荘内銀行旧本店)
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