大分銀行 第219回定時株主総会
日時:2025年6月19日(木) 10:00-11:00
場所:大分銀行本店(大分駅徒歩10分)
出席株主数:約100名
お土産:無し
企業概要
大分銀行(8392)
HP:大分銀行
①大分県を主に、本支店、出張所において、預金業務、貸出業務、為替業務、有価証券投資業務、金融商品仲介業務、保険商品などの窓口販売業務などを行う「銀行業」(経常収益構成比84%)を中心に、リース業務を営む「リース業」(経常収益構成比12%)、クレジットカード業務、債務保証業務、コンピューター関連業務、投融資業務などを営む「その他」(経常収益構成比4%)を運営。
株式情報
時価総額:595億円(2024年6月26日時点)
経常利益:110億円(2025年3月期実績)⇒132億円(2026年3月期予想)
株価:3,795円(2025年6月18日時点)
1株純資産:13,651円(2025年3月末時点)、PBR:0.27倍
1株当期純利益:578円(2026年3月期予想)、PER:6.56倍
1株配当:150円(2026年3月期予想)、配当性向:25%
配当利回り:3.9%
株主数:7,339名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2024年度の国内経済は一部に弱めの動きがみられたが、個人消費が徐々に増加したことを背景に、緩やかに回復した。設備投資は人手不足対応やデジタル関連の投資などを中心に緩やかに増加した。生産活動は世界的にIT関連需要が高まる一方で、化学製品の供給過剰感もみられ、全体としては横ばい圏内の動きとなった。個人消費は物価上昇の影響などがみられるものの、賃金上昇や各種政策の下支えにより徐々に増加した。住宅投資は住宅価格上昇などの影響で弱めの動きとなり、公共投資は国土強靭化関連工事が継続する下で底堅く推移した。有効求人倍率は振れを伴いつつ横ばい圏内で推移した。金融市場の動向については、まず株式は夏場に大きく下落した。その後は好調な企業業績を背景に落ち着きを取り戻し、横ばいで推移したものの、米国の大統領交代後は世界経済の不透明感が高まり、弱含みとなった。為替について円は、日銀の引締的な金融政策や米国の堅調な経済などを背景に、米ドルに対しては振れを伴いつつ横ばい圏内で推移しました。長期金利は金融政策正常化に伴い上昇基調で推移した。
②県内経済は、設備投資の反動減や生産活動の動きが弱く、弱含みとなった。設備投資は製造業における前年度の反動から減少し、前年度を下回った。生産活動は海外需要減速の影響から弱い動きがみられ、個人消費は物価上昇の影響がありつつも飲食料品が堅調に推移し、横ばい圏内で推移した。住宅投資はマンションが増加したが、持家などが減少しており全体としては減少し、公共投資は災害関連の工事を中心に底堅く推移した。観光は宿泊客数の増加により継続的に回復した。有効求人倍率は安定して高水準で推移した。このような経済環境の中で、当行グループは積極的な営業活動を展開し、業績向上に努めた結果、連結ベースの経常収益は、有価証券利息配当金、預け金利息および貸出金利息の増加などにより、前期比46億81百万円増加し、779億22百万円となった。経常費用は、預金利息の増加などにより、前期比26億76百万円増加し、668億33百万円となった。この結果、経常利益は、前期比20億5百万円増加し、110億88百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加などにより、前期比10億18百万円増加し、75億55百万円となった。連結は3期連続・単体は2期ぶりの増収増益決算となった。
③2025年度の業績については、経常収益803億円、経常利益132億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円を予想している。このうち当行単体では、経常収益682億円、経常利益120億円、当期純利益82億円を予想している。なお、日経平均株価を28,000円~38,000円、与信費用(一般貸倒引当金繰入額+不良債権処理額)を連結ベースで年間17億円、単体ベースで年間14億円と見込んでいる。連結・単体ともに増収増益の予想。
④総資金利鞘は0.37%。金融再生法開示債権およびリスク管理債権は40,773百万円。貸倒引当金20,937百万円。預金等は、前年比△48,783百万円の3,585,512百万円。貸出金は、前年比105,716百万円増の2,282,301百万円。有価証券の評価損益は6億円。
⑤中期経営計画2024は、2027年3月期に連結当期純利益80億円以上。Vision2031は、2031年3月期に連結当期純利益100億円以上。
⑥大分県は「アジアの玄関口」である九州の北東部に位置し、豊かな自然環境や地理的特徴を背景に、新鮮な農林水産物をはじめ、日本一の湧出量と源泉数を誇る温泉や貴重な文化財など、優れた観光資源に恵まれている。
⑦監査等委員である取締役と取締役候補者12名中、70歳以上の候補者は後藤富一郎さん(1955年生まれ、70歳)、和田久継さん(1953年生まれ、72歳)、河野光雄さん(1952年生まれ、73歳)の3名。
⇒役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑧監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は24,900万円。2024年6月に退任した1名を3ヶ月分、同月に着任した1名を9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり4,980万円。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、大分銀行本店内の会議室での開催。
②質疑応答で、「米国の関税の影響は?」との質問あり。「メインシナリオは、世界的な景気後退は回避し、年末に株高を見込んでいる。利上げの長期化をにらんでいる。」との回答。
③質疑応答で、「野村証券との連携の成果は?」との質問あり。「NISAが増加している。金融商品仲介資産残高5,000億円を達成した。2031年3月に7,000億円を目指す。」との説明。
④質疑応答で、「地域経済に根差した企業であり、資本コストや株価をあまり気にする必要は無い。」との旨の意見あり。
⑤質疑応答で、「地銀再編について、単独で経営を続けるつもりなのか?」との質問あり。「健全性、収益性もあり、単独での経営を貫くべきだと考えている。ほとんどの行員が大分県出身であり、大分に対する地元愛がある。経営統合すると資金が大都市に逃げる。大分県内の店舗が統廃合で閉鎖が進むかもしれない。」との旨の回答。
⇒回答内容から、県をまたぐ地銀再編については考えていないものの、大分県内での他行との経営統合については可能性は感じた。
⑥質疑応答で、「別府支店長を役員にしたらどうか?」との意見あり。「既に執行役員になっている。」との説明。
⑦質疑応答で、「保養所のあけぼの荘を維持して欲しい。」との旨の意見あり。「維持管理が大変。」との旨の回答。
⑧質疑応答で、「東証からPBR1倍への改善要請が出ている。PBR1倍を達成しなければならないと考えているのか?」との質問あり。「そこに近づけようという思いは強い。PBR0.29倍。努力はする。時間はかかるかもしれない。地域があっての地銀。ROE8%を目指していく。」との説明。
⑨質疑応答で、「多くの地方銀行で地域の名産品を株主優待としている。地域経済への貢献にもなると思うが、株主優待の導入についての考えは?」との質問あり。「株主優待については悩んでいる。何度もシミュレーションしている。物流コスト増、物価高もある。配当のほうがよいと思っているが、物流コストがかかるからやらないというのではなく、今後も検討していきたい。」との回答。
⑩質疑応答で、「株主総会にお土産が無い。お土産を用意して欲しい。」との旨の意見あり。
⑪質疑応答で、「ベアを8月としているが理由は?」との質問あり。「人事考課の対象が4月から翌3月まで。その後、4月から5月に評価をし、8月にベアアップをしている。妥当な仕組み。」との説明。
⑫質疑応答で、「自社株買いで株価が上がっていない。どう思っているのか?」との質問あり。「自社株買いに対し株価の上昇が不十分だと思っているが、こういった対応を続けていく。」との回答。
⑬質疑応答で、「見せかけ融資について報道されているが、大分銀行でこのような問題はあるのか?」との質問あり。「当行では確認されていない。」との説明。
⑭質疑応答で、「野村証券と連携した理由は?」との質問あり。「大分県のお客様に対し、運用を提供するためには野村證券と連携したほうがよいと考えた。」との回答。
⑮質疑応答で、「窓口でのお客様への説明を強化して欲しい。」との意見あり。
⑯質疑応答で、「自己資本比率が50%を下回る。健全性は?」との旨の質問あり。「他の業種とは違い、銀行業の自己資本比率は10%あれば健全、8%あればよいと思っている。」との説明。
⑰議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に頭取や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、大分銀行本社内の会議室での開催でしたので、良い機会となりました。会議室内に多くの銅像が飾られており、歴史を感じました。
質疑応答では、頭取の高橋靖英さんが丁寧に回答対応されており、好印象でした。株主総会終了後に、会場出口で、役員全員の見送りがありました。
2023年3月31日に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、大分銀行は、1株当たり純資産13,651円に対し、株価3,795円(2025年6月18日時点)、PBR0.27倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
預金等の減少が気になりますが、インフレによる国内政策金利の上昇の可能性、業績向上を期待し、再投資も検討します。
