九州フィナンシャルグループ 第10期定時株主総会
日時:2025年6月20日(金) 10:00-10:50
場所:肥後銀行本店(辛島町駅徒歩1分)
出席株主数:約90名
お土産:無し、パックのお茶の配布あり
企業概要
九州フィナンシャルグループ(7180)
①肥後銀行および鹿児島銀行において、熊本県・鹿児島県および宮崎県を主たる営業エリアとし、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国為替業務、外国為替業務のほか、代理業務、国債等公共債および証券投資信託・保険商品の窓口販売業務ならびに信託業務などを行い、幅広い金融商品・サービスを提供する「銀行業」(経常収益構成比80%)、リース業務・貸付業務を行う「リース業」(経常収益構成比15%)、クレジットカード業務、DXソリューションおよび収納代行サービス業務、信用保証業務、金融商品取引業務、ECモール事業などを行う「その他」(経常収益構成比5%)を運営。
②一般財団法人岩崎育英文化財団が、第2位の株主として、2,093万株、4.8%を保有。不動産業を営む宝興業が、第6位の株主として、908万株、2.0%を保有。鹿児島交通や垂水フェリーなどを手掛ける岩崎産業が、第8位の株主として、761万株、1.7%を保有。
株式情報
時価総額:3,310億円(2026年6月19日時点)
経常利益:429億円(2025年3月期実績)⇒480億円(2026年3月期予想)
株価:714.5円(2025年6月19日時点)
1株純資産:1,626円(2025年3月末時点)、PBR:0.43倍
1株当期純利益:77.4円(2026年3月期予想)、PER:9.23倍
1株配当:26円(2026年3月期予想)、配当性向:33%
配当利回り:3.6%
株主数:44,321名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①当連結会計年度のわが国経済は、日本銀行の17年ぶりの利上げ実施や、公示地価上昇率や春闘賃上げ率はバブル期以来の伸びなど、インフレ経済への回帰が見られた。こうした経済環境のもと、日米金利差などを背景とした円安を追い風に輸出関連企業の業績が伸び、7月に日経平均株価が史上最高値となる42,000円台を記録した。一方、8月には米ハイテク株の急落や円高の進行により、日経平均株価は過去最大の下落幅を記録したが、米FRBの利下げなどで次第に落着きを取り戻した。年明け以降は、2025年4月から本格化するトランプ政権の貿易政策が世界景気を下押しさせるとの懸念が膨らみ、3年ぶりに年度末の終値が前年度末を下回った。為替相場は、好調な米経済指標と日銀の緩和政策継続から7月に1ドル161円台まで円安が進行した。その後、一旦は円高傾向となったものの、堅調に推移する米経済とトランプ大統領への期待から年末にかけて再び円安基調となった。年明け以降は、米国の景気後退懸念と日銀の利上げ観測により円高が進行した。
②地元経済においては、サービス消費を中心とした個人消費や外国人観光客の増加などによるインバウンド需要が回復した。また、企業においては、原材料やエネルギー価格の上昇でコスト高となる一方、価格転嫁による売り上げ増加もあり、全体としては緩やかに回復した。このような金融経済環境のもと、当連結会計年度の経営成績については、経常収益は、資金運用収益の増加などにより、前年比287億40百万円増加し2,512億92百万円となった。一方、経常費用は、その他業務費用の増加などにより、前年比241億87百万円増加し2,083億円となった。この結果、経常利益は前年比45億53百万円増加し429億91百万円となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比39億73百万円増加し303億68百万円となった。前年比で増収増益・過去最高を更新。
③有価証券の評価差額の状況は△139億円。総預金は、前年比1,273億円増の105,962億円。貸出金は、前年比2,223億円増の91,264億円。金融再生法開示債権は1,487億円。貸倒引当金は704億円。総資金利鞘は0.21%。
④2026年3月期の連結業績予想については、経常利益480億円、親会社株主に帰属する当期純利益335億円を予想している。連結当期純利益は、過去最高益を見込む。
⑤第4次グループ中期経営計画は、2027年3月期に連結当期純利益360億円。共創ビジョンは、2031年3月期に連結当期純利益500億円。
⑥2024年3月に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表。早期にPBR1倍を超える水準を目指す。
⑦2025年5月12日開催の取締役会において、創立10周年記念株主優待実施を決議。2026年3月31日時点で1年以上1,000株以上保有の株主に対し、よかもーるで利用できる「よかもーるポイント」を5,000円分贈呈。本記念優待は今回限りの実施。今後については、株主還元策を総合的に勘案し検討していく。
⑧監査等委員である取締役(補欠を含む)と取締役候補者16名中、70歳以上の候補者は上村基宏さん(1952年生まれ、72歳)、根本祐二さん(1954年生まれ、70歳)、田島優子さん(1952年生まれ、72歳)、鈴木伸弥さん(1955年生まれ、70歳)の4名。
⇒役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑨監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役9名の報酬等の総額は18,800万円。2024年6月に退任した2名をそれぞれ3ヶ月分として、同月に就任した1名をそれぞれ9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり2,593万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
⇒使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、九州フィナンシャルグループの肥後銀行本店内の会議室での開催。
②株主総会をライブ配信している中、質疑応答時に、質問株主に対し出席票番号と名前を名乗らせていた。
⇒株主総会をライブ配信する場合、個人情報保護のため、名前を名乗らせない企業が多い中、対応に違和感を感じた。
③質疑応答で、「株価向上に向けた考え」について質問あり。「株価向上の取り組みは必要。純利益500億円、ROE6%を目標にし、PERの向上にも努める。」との回答。
④質疑応答で、「株主還元方針」について質問あり。「安定配当12円とし、配当性向30%とする。継続的に検討する。」との説明。
⑤質疑応答で、「今後の株主優待の方針」について質問あり。「長期的に株式を保有してもらう1つの要素。今回限りの株主優待としたが、今後、制度として続けるか検討する。」との回答。
⑥質疑応答で、「金利上昇が業績に与える影響」について質問あり。「利上げは、年度半ばに1回、年度末に1回を見込んでいる。利上げが無くても業績への大きな影響は無い。」との説明。
⑦質疑応答で、「電子デバイス産業への取り組み状況」について質問あり。「サプライヤー11社、融資実績は3年で2,600億円。1,000億円の融資の相談もある。」との旨の回答。
⑧質疑応答で、「地銀再編について、肥後銀行と鹿児島銀行との経営統合で終わりなのか?次のステップがあるのか?」との質問あり。今後の統合などについては決定していることは無い。肥後銀行と鹿児島銀行との経営統合効果を出すことが最優先。当グループの考えに賛同してもらえる銀行があれば可能性はある。」との説明。
⑨質疑応答で、「今回限りの株主優待について、継続での実施となるよう制度化して欲しい。」との意見あり。
⑩質疑応答で、「DXなど、英語の略語を使用した言葉が多い。スマホ社会、パソコン社会が進んでいるが、高齢者も若者も意識した対応をして欲しい。」との意見あり。「地銀の強みは地域密着。顔の見える対応が必要だと考えている。」との旨の回答。
⑪質疑応答で、「株価が1,200円から700円へ下がった。株価低迷しているが、経営努力が不足しているように見える。」との意見あり。「株価は市場の需給や期待で決まるところもある。株価は700円前後で推移しているが、これでよいとは思っていない。PBR1倍を超えていかなければならないと考えている。」との説明。
⑫質疑応答で、「TSMC関連でどの程度利益が出ているのか?」との質問あり。「詳細は開示していないが、肥後銀行の利益に全て含まれている。」との回答。
⑬質疑応答で、「事業報告において、肥後銀行と鹿児島銀行の個別業績についても説明して欲しい。」との意見あり。
⑭議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調で、株主優待も魅力的なので、平均687円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、九州フィナンシャルグループの肥後銀行本店のホールのような会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、社長の笠原慶久さんが丁寧に回答対応をされていました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、九州フィナンシャルグループは、1株当たり純資産1,626円に対し、株価714.5円(2025年6月19日時点)、PBR0.43倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
TSMCの熊本への誘致で注目を集めていますが、国内政策金利の上昇による業績向上を期待しています。株主優待の制度化も期待して継続保有の予定とします。
2025年5月29日に到着した九州フィナンシャルグループの隠れ株主優待の内容についてはこちら↓
九州フィナンシャルグループの隠れ株主優待が到着しました【2025年5月29日】 | ぽこタンの株主総会日記
