石塚硝子 第90回定時株主総会
日時:2025年6月17日(火) 10:00-12:00
場所:アデリア総合体育文化センター(岩倉駅徒歩15分)
出席株主数:約40名
お土産:無し
企業概要
石塚硝子(5204)
HP:「モノづくり」「ヒトづくり」「ユメづくり」総合容器メーカー 石塚硝子株式会社 (ishizuka.co.jp)
①ガラス製容器などの製造販売を行う「ガラスびん関連事業」(売上構成比19%)、ガラス製および陶磁器製食器などの製造販売を行う「ハウスウェア関連事業」(売上構成比22%)、紙容器および紙容器に係る充填機械の販売とメンテナンスを行う「紙容器関連事業」(売上構成比14%)、PETボトル用プリフォームなどの製造販売を行う「プラスチック容器関連事業」(売上構成比23%)、加熱調理用器具のトッププレートなどの製造販売を行う「産業器材関連事業」(売上構成比5%)、セラミックス製品および金属キャップ製品などの製造販売を行う「その他事業」(売上構成比17%)を運営。
②半導体やFPD用製造・検査装置などを販売する東朋テクノロジーが、第5位の株主として、13万株、3.1%を保有。
ガス・水道メーターを販売する愛知時計電機が、第9位の株主として、9万株、2.2%を保有。
元社長の石塚芳三さんが、第10位の株主として、8万株、2.1%を保有。
③株主優待(3月末)
100株:クオカード1,000円分
長期保有(3年以上)
100株:クオカード1,000円分、5,000円相当の当社グループ製品 or 3,000円相当の選べるギフト
株式情報
時価総額:108億円(2025年6月16日時点)
売上高:559億円(2025年3月期実績)⇒600億円(2026年3月期予想)
株価:2,565円(2025年6月16日時点)
1株純資産:8,104円(2025年3月末時点)、PBR:0.31倍
1株当期純利益:561円(2026年3月期予想)、PER:4.57倍
1株配当:65円(2026年3月期予想)、配当性向:11%
配当利回り:2.5%、株主優待含む利回り:3.7%(3年以上100株保有時の株主優待品を3,000円として計算)
株主数:8,770名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①業績については、売上高はガラスびん関連事業、ハウスウェア関連事業およびプラスチック容器関連事業が減収となり、売上高は55,994百万円(前期比3.3%減)となった。利益については、売上高の減収に加えて、プラスチック容器関連事業新工場の立ち上げ費用が先行して発生したこと、ガラスびん関連事業の溶解炉定期更新に伴う生産停止の影響などにより、営業利益3,849百万円(前期比29.5%減)、経常利益3,713百万円(前期比30.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,088百万円(前期比34.4%減)と前期比で減益となったが、2024年度連結営業利益3,500百万円の目標を達成することができた。
②ガラスびん関連事業は、ガラスびんは、諸資材価格の高騰に対する販売価格改定の取り組みを進めたが、姫路工場の操業停止に伴い出荷総量が減少したことなどにより、売上高は11,453百万円(前期比7.3%減)となった。
③ハウスウェア関連事業は、ガラス食器は、一般市場向けの販売が落ち込んだが、企業向けの景品受注が好調であったことにより、全体としては前期並みとなった。陶磁器は、海外の昨年までのアフターコロナ特需が落ち着き、セグメント全体の売上高は13,273百万円(前期比4.0%減)となった。
④紙容器関連事業は、紙容器は、主要ユーザーからの受注数量が落ち込んだことや充填機販売が無かったが、拡販活動に加えて更なる円安進行や原紙調達コスト高騰に対する販売価格改定の取り組みにより、売上高は8,569百万円(前期比0.4%増)となった。
⑤プラスチック容器関連事業は、PETボトル用プリフォームは、新たに建設した姫路工場からの販売も加わり主要ユーザーからの受注が堅調に推移したが、費用の減少に連動した販売単価の見直しにより、売上高は14,636百万円(前期比4.2%減)となった。
⑥産業器材関連事業は、産業器材は、原材料価格の高騰に伴う価格改定などにより、売上高は2,774百万円(前期比4.1%増)となった。
⑦その他事業は、抗菌剤は、コロナ禍前の出荷水準に戻りつつあることや原材料価格の高騰に伴う価格改定などにより、セグメント全体の売上高は5,287百万円(前期比1.2%増)となった。
⑧新型コロナウイルス感染症のパンデミックや米国の通商政策を発端とするグローバル経済への影響など外部環境が目まぐるしく変化する中、当社グループは「モノづくり」を通じて体質を強化し、多少の荒波が生じても難なく乗り越えられる経営基盤を確立するため、長期的な視点で会社の方向を示すISHIZUKA GROUP 2030を策定した。また、それに基づく2027年度を最終年度とする3か年の中期経営計画を新たに策定した。2027年度(2028年3月期)の連結営業利益5,000百万円を目標として積極的な取り組みを進めていく。2026年3月期の連結経営成績については、売上高60,000百万円(前期比7.2%増)、営業利益3,800百万円(前期比1.3%減)、経常利益3,500百万円(前期比5.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,350百万円(前期比23.9%減)を見込んでいる。2026年3月期は、売上高については、ハウスウェア関連事業やその他事業の抗菌剤などの海外市場に一部陰りが見られるが、前期に稼働を開始したプラスチック容器関連事業のPETボトル用プリフォーム新工場の出荷増を見込むほか、その他事業のパウチ飲料充填事業の操業開始効果により増収を計画している。営業利益については、増収効果に加えてガラスびん事業の溶解炉定期更新工事完了による生産増を見込むが、人件費や諸資材価格の上昇影響もあり前期並みの営業利益を見込んでいる。
⑨自己資本比率の向上と財務体質の強化を進め健全な経営基盤の確立を図りながら、業績の向上に応じて持続的な増配基調をめざし、株主還元を行っていくよう努める。
⑩社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は6,100万円。2024年6月に退任した2名をそれぞれ3ヶ月分として、同月に就任した2名をそれぞれ9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり1,525万円。ただし、使用人兼務取締役の使用人給与は含まず。
⇒使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社からの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすくなると思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会会場は、石塚硝子のガラス食器ブランドのアデリアを冠したアデリア総合体育文化センターでの開催。
②質疑応答で、「PBRに対する現状認識と株価対策は?」との質問あり。「PBRは0.3倍程度と低水準と認識。これまで収益性が安定していなかったが、ISHIZUKA GROUP 2030アップデート中期経営計画でROE8%以上を設定した。段階的に改善をはかりたい。」との説明。
③質疑応答で、「政策保有株式の方針は?」との質問あり。「継続保有の合理性の低いものは縮減方針とし、2銘柄を売却した。今年度も売却を検討している。」との回答。
④質疑応答で、「27年間、PBR1倍を達成していない。段階的な改善だと問題。期限を決めて目標設定をして欲しい。」との意見あり。
⑤質疑応答で、「株価対策について、外部のコンサルタントを入れたらどうか?今までの延長では難しいのでは?」との質問あり。「PBRが極めて低いと認識している。収益を上げてPBRを上げていきたい。」との説明。
⑥質疑応答で、「人員減の理由と賃上げ状況を教えて欲しい。」との質問あり。「人員減の理由はグループ会社への出向。賃上げは対応している。」との回答。
⑦質疑応答で、「ガラスびん関連事業について、前年は業績が良かったが、今回、悪化した理由は?」との質問あり。「昨年は姫路工場の作り貯め品売り切った。姫路工場ではなく、8号炉の修理で87日停止した。」との説明。
⑧質疑応答で、「現状の株価水準についてどう見ているのか、取締役の稲本弘希さんから意見を伺いたい。」との質問あり。「株価は市場が決めるので、低いという評価はできない。」との回答。
⇒東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施している中で、回答内容に違和感を感じた。
⑨質疑応答で、「知られざるガリバーで紹介されていた珈琲は、数本しか栽培していないように見えたが、商業ベースに乗るのか?」との質問あり。「3年間テストを実施する。」との説明。
⑩質疑応答で、「知られざるガリバーで紹介されていたガラスの粉末入りの歯磨き粉は、体に入れても大丈夫なのか?」との質問あり。「人体に影響は無い。」との回答。
⑪質疑応答で、「第5号議案で買収防衛策を継続するが、買収防衛策は機関投資家が嫌がるので、結果として、株式の流動性が無くなり、PBR0.3倍、PER4倍と株価が評価されていない要因になっているように見える。経営陣の保身と思われないように、しっかりとPBRを上げて欲しい。」との意見あり。
⑫質疑応答で、「知られざるガリバーへの出演は良いIRになる。このようなメディアへの露出をどんどん進めて欲しい。今回出演に至った経緯や費用は?」との質問あり。「知られざるガリバーのスポンサーのトラスコ中山(9830)から声がかかった。出演料はトラスコ中山が負担しており、費用は発生していない。」との回答。
⑬質疑応答で、「2027年度(2028年3月期)の連結営業利益50億円は、どうやって利益を上げるのか?」との質問あり。「今の状況で到達できる目途は立っている。過去にも54億円の利益を上げた実績がある。」との説明。
⑭質疑応答で、「トッパンからパウチ事業を譲り受けるが、状況は?」との旨の質問あり。「正月明けから我々でやっている。」との回答。
⑮質疑応答で、「株式の流動性を高めるため、株式分割を実施したらどうか?」との意見あり。「東証から最低投資金額を10万円程度に引き下げるようにとの話もある。いろいろなオプションがあっても良いと思う。」との説明。
⑯質疑応答で、「買収防衛策は3年継続との内容だが、2年でよいのでは?」との意見あり。「今まで3年でやっていた。毎年、取締役の選任があり、途中で止めることもできる。2年でもよかった。」との回答。
⑰質疑応答で、「株主還元方針について、「何よりも先ず安定的な配当の継続が重要な方針」とあるが、自社株買いを否定しているのか?」との質問あり。「増配基調を目指して安定配当を続けたいとの意味。自社株買いは状況により検討する。ROEを上げる手段として自社株買いもある。自社株買いを否定するものではない。」との説明。
⑱質疑応答で、「テレビ、新聞、インターネット広告などを活用し知名度を上げて欲しい。社名も事業実態に合うように変更したらどうか?」との質問あり。「売上に占めるガラスびん関連事業の割合は20~30%程度へ減っているが、社名から硝子が無くなると寂しい。社名変更については悩んでいるところ。」との回答。
⑲質疑応答で、「借入金が多いが対応は?」との質問あり。「金利が上がる前に長期の固定金利で借り入れをした。」との説明。
⑳質疑応答で、「中期経営計画の内容が物足りない。ROE8%達成の手段について説明が無い。借入がどれだけ減れば配当を増やせるのかなどの説明も欲しい。」との意見あり。「この数年は利益が上がっているが、自己資本比率は20%台だった。安定して今の利益が出せるようにしていきたい。」との回答。
㉑質疑応答で、「中期経営計画などのオフィシャルな資料に、PBRが問題であると認識していることを明示して欲しい。」との意見あり。
㉒質疑応答で、「人口減で需要が減りつつある。海運業などのように、競合する他社と一緒になったり、販売を一緒に行ったりしたらどうか?」との意見あり。「企業価値が上がるのであれば、買収したり買収されたりすることについて拒否するスタンスでは無い。」との説明。
㉓議案の採決方法は拍手での採決。
⇒議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調な一方で、PBRが1倍を、PERも10倍を大きく下回り、また、株主優待も魅力的なので、平均2,452円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に、質疑応答では多くの質問が出ていましたが、質問が尽きるまで、社長の石塚久継さんを中心に丁寧に回答対応をされていました。
また、アデリアの食器が好きだと熱心に公言するファン株主の方もおり、印象に残りました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、石塚硝子は、1株当たり純資産8,104円に対し、株価が2,565円(2025年6月16日時点)、PBR0.31倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
現状、配当性向が10%程度と低すぎる印象ですが、設備産業のため、利益の有無に関わらず継続的に投資が必要で、また、有利子負債も多く、石塚久継さんが社長在任中に会社に万が一のことが無いように慎重な対応をしているものと推察しました。
安定的な利益を確保して財務内容の改善を図り、配当増につなげてPBR1倍へ株価が向上することを期待しています。継続保有の予定とし、追加投資も検討します。
2025年6月2日に到着した石塚硝子の株主優待の内容についてはこちら↓
石塚硝子の株主優待が到着しました【2025年6月2日】 | ぽこタンの株主総会日記
