アークランズ 第56回定時株主総会
日時:2024年5月29日(木) 10:00-10:35
場所:アークランズ本社(燕三条駅徒歩9分)
出席株主数:約50名
お土産:無し、ペットボトルのお茶の配布あり
企業概要
アークランズ(9842)
HP:ホーム | アークランズ株式会社 (arclands.co.jp)
①「ホームセンタームサシ」「スーパーセンタームサシ」「ムサシプロ」「ビバホーム」などの専門店でDIY関連用品・園芸用品・ペット用品・各種資材/素材用品・事務用品・家庭用品などの販売を行う「小売事業」(売上構成比75%)を中心に、全国およびグループのホームセンターにDIY関連用品・園芸用品などの販売を行う「卸売事業」(売上構成比3%)、とんかつ専門店「かつや」などの飲食店を経営する「外食事業」(売上構成比17%)、不動産の賃貸を行う「不動産事業」(売上構成比5%)、スポーツクラブ「JOYFIT」およびフィットネスジム「FIT365」を経営する「その他」(売上構成比0%)を運営。
②創業家で元社長の坂本雅俊さんが代表を務める武蔵が、第2位の株主として、386万株、6.2%を保有。
取締役の坂本勝司さんが、第4位の株主として、150万株、2.4%を保有。
会長の坂本晴彦さんが、第7位の株主として、124万株、2.0%を保有。
元社長の坂本洋司さんが、第9位の株主として、105万株、1.6%を保有。
③株主優待(2月末、8月末)
100株:1,100円分の優待券
200株:2,200円分の優待券
1,000株:11,000円分の優待券
株式情報
時価総額:1,103億円(2025年5月28日時点)
売上高:3,157億円(2025年2月期実績)⇒3,350億円(2026年2月期予想)
株価:1,705円(2025年5月28日時点)
1株純資産:1,940円(2025年2月末時点)、PBR:0.87倍
1株当期純利益:186円(2026年2月期予想)、PER:9.16倍
1株配当:40円(2026年2月期予想)、配当性向:21%
配当利回り:2.3%、株主優待含む利回り:3.6%(100株保有時)
株主数:61,116名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①当連結会計年度の売上高および営業収入は330,964百万円(前年比1.9%増)、営業利益は16,231百万円(前年比0.7%増)、経常利益は19,169百万円(投資有価証券売却益による影響で前年比15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,126百万円(前年比11.0%増)となった。
②小売事業は、主力のホームセンター部門においては、品目別では、家庭用品、カー・レジャー用品が堅調に推移した一方、園芸用品が苦戦した。また、2024年7月1日を効力発生日として行ったフレッシュハウスの完全子会社化の影響によりリフォームサービスの売上高および営業収入は前年比28.0%増となった。ホームセンターの2月末の店舗数は、7月にスーパーセンタームサシ長岡店(新潟県長岡市)の移転増床、10月にスーパービバホーム湘南平塚店(神奈川県平塚市)の出店と5店舗の閉店をした結果、4店舗減少し139店舗となった。この他、前年下期に行った価格改定により売上総利益率が改善したことに加えて、販売費及び一般管理費については宣伝広告のデジタルシフト、物流の効率化などにより抑制を図り一定の効果があったものの、一方では新規出店コスト、人件費単価、エネルギー価格の上昇などが負担となった。その結果、小売事業の売上高及び営業収入は255,270百万円(前年比0.6%増)、営業利益は5,559百万円(前年比7.0%減)となった。
③卸売事業においては、前年下期に行った価格改定と取扱い商品の見直しにより売上総利益率が改善した結果、売上高および営業収入は4,426百万円(前年比10.1%減)、営業利益は589百万円(前年比87.2%増)となった。
④外食事業は、主力のとんかつ専門店「かつや」(国内)においては、店舗のDX化の推進に加え、14回のフェアメニューと2回のキャンペーンを実施した。その結果、1~12月における直営店の既存店売上高前年比は103.7%と好調に推移した。出退店については、直営店6店舗、FC店16店舗の出店、直営店1店舗、FC店2店舗の閉店により、12月末の店舗数は純増19店舗の491店舗となった。からやま・からあげ縁(国内)については、グランドメニューの改定に加え、11回のフェアメニューと3回のキャンペーンを実施した。出退店については、「からやま」直営店4店舗、FC店1店舗の出店、FC店8店舗の閉店、「からあげ縁」FC店2店舗の出店、FC店5店舗の閉店により、12月末の店舗数は純減6店舗の155店舗となった。以上の結果、売上高および営業収入は56,145百万円(前年比8.4%増)、営業利益は5,968百万円(前年比4.6%増)となった。
⑤不動産事業は、主に当社が開発した店舗のテナント賃料を収入源としている。これらの店舗には、核として当社が運営するホームセンターが出店しており、家電量販店、スーパーマーケットなどのテナントを誘致し併設することで、相互送客の効果が生まれ、安定した収益を確保しつつ、店舗の集客力を向上させている。当連結会計年度においては前年6月に開業したアークスクエア御経塚、昨年10月に開業したアークスクエア湘南平塚の影響により営業収益が増加したものの新規出店による初期費用などの影響があり、売上高および営業収入は14,104百万円(前年比5.6%増)、営業利益は3,695百万円(前年比6.0%減)となった。
⑥その他には、フィットネス事業「JOYFIT」5店舗および「FIT365」6店舗を含んでいる。昨年5月にFIT365ムサシ金沢店、10月にFIT365柏崎柳田店、今年1月にFIT365ムサシ金沢南店を出店した影響により、売上高および営業収入は1,018百万円(前年比5.7%増)、営業利益は38百万円(前年比49.1%減)となった。
⑦住関連(小売、卸売、不動産)の主力であるホームセンターの業界動向は、業界再編の動きが進み、異業態を含めた競争が更に激化し、厳しい環境が続くものと予想されるが、当社グループのシナジーを最大限創出し、企業価値向上、継続的な成長を目指して、1.構造改革、2.成長戦略、3.人的資本の向上の取り組みに注力していく。また、外食事業においては、国内消費の回復やインバウンド需要の増加により、コロナ禍以前の活気を取り戻しつつある。一方で、米価をはじめとする原材料価格の高騰や人手不足といった課題も依然として存在し、経営環境の厳しさが続くことが予想されるが、新たな価値の創造~変化適応による顧客創造~を経営方針として、1.かつやブランド価値の最大化、2.からやま成長の加速、3.第3の軸となる業態づくり、4.海外展開加速、5.食に関するその他事業の拡大、6.将来への種まきの取り組みに注力していく。「かつや(国内)」を直営・FC合わせて30店舗、「からやま・からあげ縁(国内)」を直営・FC合わせて10店舗、海外事業・その他の業態においても積極的な出店を計画している。 以上により、2026年2月期の連結業績見通しについては、売上高335,000百万円、営業利益19,300百万円、経常利益19,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,600百万円を見込んでいる。
⑧2024年12月13日に、ロピアとの業務提携を公表。アークランズはロピアから食品スーパーマーケットの営業ノウハウの提供を受け(ロピアをフランチャイザー、アークランズをフランチャイジーとするフランチャイズチェーン加盟契約を締結)、2025年中に新潟県内にアークランズ運営のロピア1号店をオープンする予定。その後も順次店舗展開を拡大させ、新潟県・富山県・石川県の3県で10年後に1,000億円の売上を目指す。ロピアは現在、アークランズが展開するホームセンター・ビバホーム内に計5店舗を出店している。今後アークランズが出店する大型ホームセンター「ムサシ」「ビバホーム」施設内への出店優先権を獲得し店舗網を拡大していく。
⑨2025年2月27日開催の取締役会においてペッツファーストホールディングスの全株式を取得し、同社を完全子会社化することについて決議。専門性の深耕を図るため、特に注力しているペット事業では、「ゆりかごから墓場まで」をコンセプトに掲げ、一般的なホームセンターのペット売場とは一線を画したハイグレードな商品を中心に専門性の高い品揃えを展開するほか、動物病院やペットサロンなど、ペットに寄り添うサービスも充実させた「NICO PET」の店舗拡大に取り組んでいる。対象会社であるペッツファーストHDはペッツファースト(2008年4月設立)などの7社を傘下にペット販売からアフターサポート・動物病院・ペット保険などのペットの生涯に寄り添う、ペットの総合企業を目指し、104拠点のペット販売店および動物病院などを展開している。本件株式取得は当社グループのペット事業における、市場拡大、製品ラインナップ強化、事業基盤の強化、コスト削減などを目的としており、経営資源の有効活用およびホームセンターのネットワークとペッツファーストHDの強いペット販売や透明性のあるサプライチェーン構築を実施してきたノウハウを活用してペット事業の競争優位性をより強固なものとし、約2兆円と推計される日本国内のペット市場のシェア拡大をより一層強化していく。株式譲渡実行日は未定。
⑩2025年3月1日に、代表取締役社長が、坂本晴彦さんから佐藤好文さんへ交代。
⑪第2次中期経営計画は、2028年2月期に売上高4,000億円、経常利益300億円。長期ビジョンは、2031年2月期に売上高5,000億円、経常利益400億円。
⑫監査等委員である取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は15,400万円。単純平均で取締役1人当たり2,566万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、アークランズ本社内のホールでの開催。
②事業報告は、社長の佐藤好文さんが手元の資料を読み上げるのみの対応。
③質疑応答で、「3月1日に、会長の坂本勝司さんがグローバルグループ代表となったものの、今回の取締役候補から外れている。社内にグローバルグループ代表として残るのか?それとも退職されるのか?グローバルグループ代表の職務内容は?」との質問あり。「グローバルグループ代表は名誉職。経験があるので相談をさせてもらう。」との説明。
他社で言う相談役として社内に残られるように思う。
④質疑応答で、「海外展開について、ホームセンター事業は国内のみ、外食事業は海外へ進出するイメージで合っているのか?」との質問あり。「外食事業については、既に6ヵ国86店舗があるが、新しい国への展開を検討している。ホームセンターについては、台湾にも2店舗ある。」との回答。
⑤質疑応答で、「楽天のポイント制度について、自社ポイントへの切替など今後の方針は?」との質問あり。「ビバホームは楽天ポイントと自社ポイントがダブルで付く。ムサシは自社ポイントが無い。ムサシとビバホームのポイント制度を統合しようと考えている。かつやについては楽天ポイントを導入していないが、変更予定は無い。」との説明。
⑥質疑応答で、「株主優待について、クロス取引対策がなされていない。長期保有制度などの制限を設ける予定は?」との質問あり。「現状の株主優待制度から変更の予定は無い。」との回答。
⑦質疑応答で、「東証からPBR1倍へ改善要請が出ている中、PBRが0.8倍台と低迷している。社長に就任した佐藤好文さんから抱負を伺いたい。」との意見あり。「M&A戦略もあるため、ROEなどの数値目標は掲げていないが、企業価値を向上し、PBR1倍以上を目指す。」との旨の説明。
⑧議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
業績が堅調で、株主優待も魅力的なので、平均1,679円で投資しました。
今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、アークランズ本社内のホールでの開催でしたので、従業員の方の働く様子も伺え、良い機会となりました。
2023年9月に株式交換により外食事業を手掛けるアークランドサービスホールディングスを完全子会社化しましたが、アークランドサービスホールディングスは小売り事業に匹敵するほどの利益を上げているものの、2024年5月の株主総会ではアークランドサービスホールディングスの社長の坂本守孝さんが取締役候補になっていなかった点に違和感を感じていました。
今回、アークランドサービスホールディングスの社長の坂本守孝さんが取締役に選任されたため、アークランズ内での外食事業の地位の向上が図られるかもしれません。推測ですが、創業家の坂本家の議決権保有割合(10%台?)が多くないため、バランスを取って坂本家からの取締役候補者は2名までとしていたのかもしれません。
2023年3月31日に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、アークランズは、1株当たり純資産1,940円に対し、株価1,705円(2025年5月28日時点)、PBR0.87倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
2024年12月にロピアとの業務提携を公表しましたが、食品スーパーマーケットの売上について、新潟県・富山県・石川県の3県で10年後に1,000億円を目指すとのことで、ホームセンター事業の頭打ち感を払拭し、外食事業同様に主力の小売事業も成長事業として期待できるかもしれません。
米価格が高騰している中、かつやは国産米を使用して頑張っていますが、米どころ新潟の企業として、今後も質の高い国産米の使用にこだわって欲しいです。新社長の佐藤好文さんの手腕に期待して、継続保有の予定とします。
2024年10月21日に到着したアークランズの株主優待の内容についてはこちら↓
アークランズの株主優待が到着しました【2024年10月21日】 | ぽこタンの株主総会日記
