ANAP 臨時株主総会
日時:2025年3月31日(月) 10:00-10:15
場所:朝日生命宮益坂ビル(渋谷駅徒歩3分)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業概要
ANAP(3189)
HP:株式会社ANAP
①「ANAP」とそのサブブランドなどからなる主要な販売チャネルとして、原宿に位置する路面旗艦店から、郊外に位置する大型ショッピングモールへの出店など、全国に店舗を展開する「店舗販売事業」(売上構成比70%)を中心に、「ANAPオンラインショップ」としてANAPブランドのショッピングサイトの運営を行う「インターネット販売事業」(売上構成比26%)、「ANAP」の各ブランドの商品を他社のバイヤーに対して積極的に提案し、全国のセレクトショップや量販店向けに卸売販売を行う「卸売販売事業」(売上構成比2%)、「ANAP」の各ブランドの商標について、国内および一部海外の企業に対して個別契約に基づき他社に使用許諾を行い、他社が当社商標を用いた商品を製作・販売する際に、その売上に応じた割合でロイヤリティ収入を得る「ライセンス事業」(売上構成比2%)、当社が獲得した同事業に関する知見を他社に展開するコンサルティング業務を行う「メタバース関連事業」(売上構成比0%)を運営。
②筆頭株主は、前社長の家髙利康さんで、86万株、16.8%を保有。
取締役の湯浅慎司さんが代表を務めるネットプライスが、第2位の株主として、75万株、14.6%を保有。
元会長の中島篤三さんが、第3位の株主として、55万株、10.7%を保有。
アパレル事業などを手掛ける近藤紡績所が、第9位の株主として、4万株、0.7%を保有。
元取締役の竹内博さんが、同じく第9位の株主として、4万株、0.7%を保有。
③株主優待(8月末)
100株:「ANAPオンラインショップ」30%割引優待券2枚
500株:「ANAPオンラインショップ」30%割引優待券3枚
1,000株:「ANAPオンラインショップ」30%割引優待券5枚
株式情報
時価総額:100億円(2025年3月28日時点)
売上高:27.0億円(2024年8月期実績)⇒非公表(2025年8月期予想)
株価:526円(2025年3月28日時点)
1株純資産:11.7円(2024年11月末時点)、PBR:44.9倍
1株当期純利益:非公表(2025年8月期予想)、PER:非公表
1株配当:無配(2025年8月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:3,367名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年8月期第1四半期は、当社が属するカジュアルファッション業界においては、少子高齢化や人口減少による市場規模の縮小が長期的に見込まれる一方で、原材料費や物流費の高騰、人件費の上昇が続き、販売単価が上昇基調にある。また、賃金の上昇が持続的に進む中で、家計における衣料品支出金額の減少傾向が和らぎ、徐々に回復基調に転じることが期待されている。しかしながら、消費者の購買行動は慎重さを増しており、引き続き柔軟な対応が求められる状況。このような状況のもと、当社は、経営体制を刷新し、ブランド顧客の年齢層や嗜好性に合わせたリブランディングを推進している。時代の変化に即応した新たなコンセプトのもと、ターゲット層を明確化した商品展開の試みを開始し、消費者ニーズに寄り添った価値の提供に注力している。また、商品原価率の見直しを進め、売上総利益の改善を図るとともに、当社オリジナルの商品力を高めることで、競合他社との差別化を目指している。さらに、SNSを活用した広告手法を強化することで、デジタルマーケティング戦略を積極的に展開し、ECシステムの全面的な見直しを行い、顧客体験を向上させる取り組みを進め、オンライン販売の強化を図っている。これらの施策により、安定的かつ長期的な収益基盤の確立を目指しているが、現時点においては売上・利益ともに厳しい状況が続いている。今後も更なる改善策を講じ、事業規模の再拡大に向けた企業努力を継続していく。
②強固な財務体質への変革に向けて、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続において、当社より提出した事業再生計画案について全ての取引金融機関に同意をいただき、2024年7月31日付で事業再生ADR手続が成立した。また、2024年10月31日付で全ての取引金融機関に対する残債務の弁済を完了し、これに伴い債務免除の効力が発生した。さらに、2024年11月26日開催の当社第33回定時株主総会において、新株式および新株予約権の発行を行うことを決議し、同年11月27日新株式および新株予約権の払込み完了により、当第1四半期会計期間末時点における純資産の額は、186百万円(前会計年度末債務超過額2,077百万円)となり、債務超過を解消した。この結果、当第1四半期累計期間の業績は、売上高319百万円となり、売上高が減少したことによる粗利益の減少の影響を受け、営業損失294百万円、経常損失306百万円となった。また、債務免除益などを1,399百万円計上し、四半期純利益914百万円となった。
③店舗販売事業については、不採算店舗の閉店などを実施し収益の改善を図ったものの、新規の仕入れを抑えていることから、売上利益ともに厳しい結果となった。以上により、売上高は233百万円、セグメント損失は126百万円となった。
④インターネット販売事業については、不採算の他社サイトからの撤退を進め、自社サイトおよび収益性の高い他社サイトに厳選する施策を実施したが、短期間での利益回復までには至らなかった。以上により、売上高は71百万円、セグメント損失は35百万円となった。
⑤卸売販売事業については、店舗同様に仕入れを制限したことにより新たな商品の販売が伸ばせず、売上・利益ともに厳しい状況となった。以上により、売上高は6百万円、セグメント損失は1百万円となった。
⑥ライセンス事業については、卸売販売事業と同様の要因から、売上・利益ともに厳しい結果となっている。以上により、売上高は7百万円、セグメント損失は1百万円となった。
⑦メタバース関連事業については、新規事業として当社が獲得した同事業に関する知見を他社に展開するコンサルティング業務を中心に収益化を進めていたが、主力事業の立て直しを優先する為に撤退した。
⑧当社は、今後の事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指している。財務面においては、2024年11月27日に払込みが完了している、第6回新株予約権の行使を促進させることで資本増強を図り、併せて事業構造の転換を急ぐことで収益体制の再構築を進めている。以上の理由から、今後の進捗状況によっては当社の業績に影響を与える可能性があるため、2025年8月期の業績予想については未定としているが、開示可能となった時点で速やかに公表する。
⑨当社は、当第1四半期末時点においては純資産が186百万円となり債務超過を解消しているが、2020年8月期以降5期連続で、営業損失・経常損失・当期純損失を計上し、2019年8月期以降6期連続で、営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上している。このような状況において、当社は、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況であると認識している。
⑩2025年1月20日開催の取締役会において、会社分割による持株会社体制への移行および、商号変更ならびに定款の一部変更などについて、2025年3月31日開催予定の臨時株主総会に付議することを決議。これに伴い、当社は、本臨時株主総会の承認を条件として、2025年4月1日付で「ANAPホールディングス」へと商号変更し、持株会社として引き続き上場を維持する予定であるとともに、当社が営む服飾雑貨の企画販売事業を、会社分割(新設分割)により、当社の100%子会社となるANAPに承継させることを予定している。今後の当社グループの事業拡大および、より強固な経営基盤の構築を実現するための経営体制として持株会社体制へ移行することが最適であると判断した。
⑪2025年1月20日開催の取締役会において、子会社3社を設立し、新たな事業を開始することを決議。投資関連事業(ANAPライトニングキャピタル)、美容サロン関連事業(ARF、AEL)を開始する。なお、美容サロン関連事業については、TLCとの協議を継続している。事業開始日2025年2月3日。
⑫2025年1月20日開催の取締役会において、代表取締役の異動および役員人事について決議。2025年3月31日の臨時株主総会後、社長の若月舞子さんは退任し、副社長でありネットプライス事業再生合同会社の代表でもある湯浅慎司さんが社長へ就任予定。
⑬2025年1月23日開催の取締役会において、ジェリービーンズグループ(3070)との間で「業務提携に関する基本合意書」を締結することを決議。ジェリービーンズグループは、株主優待の改善(優待金額の大幅増加)に伴い、優待取扱商品の大規模な拡充を目指している。今回の提携により当社の人気商品の取り扱いを行うことで優待商品拡充の取り組みを展開する予定。また、既存のジェリービーンズショップやECショップなどにおいて、当社商品の取り扱いも行う予定。
⑭2023年10月13日に「事業再生ADR手続およびネットプライスとのDIPファイナンスに係る契約」を締結。2024年7月31日に事業再生ADR手続の成立を公表。債務免除の対象額は約14億円。スポンサーのネットプライス・QL組合・サムライパートナーズに対し総額13.5億円の第三者割当増資(発行価額1株につき396円)を行うとともに、ネットプライス・QL有限責任事業組合に対し、引受・行使価格の総額を7億円とする新株予約権(行使価額修正条項付、下限行使価額は396円)を発行。本新株式の発行および本新株予約権がすべて行使された後、所有議決権数の割合は、ネットプライス合同会社が40.1%、QL組合が31.2%、家髙利康さんが4.6%、ネットプライスが3.2%、サムライパートナーズが2.1%となる見込み。
⑮ネットプライス合同会社の持株比率は、ネットプライス25.0%、立川光昭さん25.0%、宮田智さん25.0%、合同会社Yuasa事務所25.0%。
⑯ネットプライスの持株比率は、エムグループホールディングアンドキャピタル35.2%、Meister18.0%、立川光昭さん15.0%、須田忠雄さん13.3%。
⑰QL組合の出資比率は、安達礼さん50.0%、池直将さん50.0%。
⑱社長の若月舞子さんは、28歳(1997年年生まれ)と若い社長。
⑲社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は3,300万円。2023年11月に退任した1名を3ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,466万円。
株主総会での個人メモ
①取締役と監査役にミネラルウォーターが提供されていたが、株主側には提供が無く、経営から株主へ議案を諮る場としては違和感。会社として、株主ではなく役員の方向を見ている様子が伺えた。特にBtoCの会社として配慮不足を感じる。なお、副社長の湯浅慎司さんにのみ、同じミネラルウォーターではなくお茶のペットボトルが用意されており、社内での待遇の違いがあるように見えた。
②取締役の沼井英明さんは、やむを得ない都合により欠席。
③「ANAP」の商号の正式な読み方は、「アナップ」ではなく「エイエヌエイピー」。
④質疑応答で、「本店の所在地を渋谷区から港区へ移す理由は?」との質問あり。「本店を店舗に置いているが、事務オフィスのある場所へ変更する。業務の便が良くなる。」との回答。
⑤質疑応答で、「取締候補者4名のうち、イフィネクスジャパンから2名(川合林太郎さん、宮橋一郎さん)を受け入れる案だが、イフィネクスジャパンとの業務関係や資本関係、取締候補者とした経緯を教えて欲しい。」との質問あり。「イフィネクスジャパンとの業務関係や資本関係は無い。事業の展開を考えて、能力と経験から取締役候補とした。」との説明。
⑥質疑応答で、「取締役候補者の川合林太郎さんを代表取締役会長・執行役員に抜擢するとのことだが、会長職は社長を経験された方が就任するイメージがある。代表取締役会長とする狙いと、執行役員として担当する業務を教えて欲しい。」との質問あり。「事業再生ADR中で、今回の持株会社体制への移行が第2フェーズとなる。社長となる湯浅慎司さんはADRのスポンサーのネットプライスの職務執行者でもあり、ガバナンスと公平性を考えて外部から代表取締役会長を招集する。川合林太郎さんと湯浅慎司さんの両輪で経営を行う。」との旨の回答。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
議長は社長の若月舞子さんが務められていましたが、質疑応答は全て副社長の湯浅慎司さんが回答対応されていました。湯浅慎司さんが丁寧に説明されていましたが、社長の若月舞子さんの意見も伺いたかったです。
2024年7月31日付で事業再生ADR手続が成立し、経営再建中の真っ只中の会社なので、会社が大きく変わる過渡期に見えます。まずは、非公表の2025年8月期の業績にについて、営業利益ベースで黒字が確保できるのか、継続注視します。
業務提携先のジェリービーンズグループの役員を兼務する取締役も多く、ジェリービーンズグループへ投資する際の参考にもします。
