日本和装ホールディングス 第39期定時株主総会
日時:2025年3月27日(木) 10:30-11:10
場所:日本橋室町野村ビル YUITO(三越前駅直結)
出席株主数:約10人
お土産:無し
企業概要
日本和装ホールディングス(2499)
HP:日本和装TOP|【受講料無料】きもの着付け教室の日本和装 (wasou.com)
①着物、帯、和装小物などの和装品の販売仲介をおこなう「きもの関連事業」を運営。
②筆頭株主は創業者の吉田重久さんで、488万株、53.8%を保有。
社長の道面義雄さんも、第5位の株主として、9万株、1.0%を保有。
株式情報
時価総額:28億円(2025年3月26日時点)
売上高:47.0億円(2024年12月期実績)⇒47.1~48.1億円(2025年12月期予想)
株価:311円(2025年3月26日時点)
1株純資産:400円(2024年12月末時点)、PBR:0.77倍
1株当期純利益:33.0~36.7円(2025年12月期予想)、PER:8.47~9.42倍
1株配当:14円(2025年12月期予想)、配当性向:38~42%
配当利回り:4.5%
株主数:10,065名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①第1四半期連結会計期間から第2四半期連結会計期間にかけては、新規顧客向けに実施した春期「きもの着付け教室」において、初開催となった「お試し3回無料着付け体験コース」に多くの応募をいただいた。その結果、体験後に本教室(全5回)へ進んだ受講者数は前年同期を上回った。また、既存顧客向けには「ブリリアンツ地区大会」を2~3月に開催し、取扱金額は前年比約130%を記録するなど好調に推移した。さらに、京都や米沢への産地ツアーや、全国18会場で開催した「縁の会」と日本最大級のきものの祭典「遊々会」では、あわせて約2,300名の方にご来場いただいた。第3四半期連結会計期間以降も、「夏の花の都ツアー」や「博多祇園山笠ツアー」などの企画が堅調な結果を残し、8月には帝国ホテル東京で開催した「きものブリリアンツ全国大会」に延べ1,000名以上が参加するなど、好評を博した。また、春期「きもの着付け教室」卒業生を対象とした「浴衣の着付け・半幅帯の結び方」教室を新たに開講し、顧客の継続化につなげた。この結果、春期の販売会の延べ参加者数は前年比115%に達し、卒業生が既存顧客向けの催事に参加する流れを生み出すなど、売上増加に寄与した。これにより、販売コストの上昇など販売費及び一般管理費は増加したものの、各施策が功を奏し、増収増益となった。さらに、新規事業として、今期新たにECサイト「KAERUWA」を開設した。このサイトでは、洗える着物や和装小物などリーズナブルな価格帯の商品を主軸に、和関連の商品の取り入れなどを行っている。若年層を中心とした幅広いターゲット層の獲得に向け、当初より目標としている「和の総合サイト」の実現を目指して、オリジナル商品の開発にも注力していく。以上の結果、当連結会計年度の経営成績については、売上高4,704百万円(前年比4.5%増)、営業利益480百万円(同22.0%増)、経常利益432百万円(同22.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益296百万円(同71.6%増)となった。
②和装業界においても、まだ先行きは不透明な状況が続いており、現在の不透明な外部環境にどのように対応していくのかという課題に直面している。しかし、そのような業界環境であるからこそ、当社グループでは新しい試みやグループ企業間のシナジー効果をより一層発揮できるように努めている。新たな試みとしては、新規顧客向けに実施した春期「きもの着付け教室」において、「お試し3回無料着付け体験コース」を初めて開催した。その結果、多くの方に応募をいただき、体験後に本教室(全5回)へ進んだ受講者数は前年を上回った。また、顧客基盤を拡大するために2024年1月にはサイトを開設し、EC事業にも注力している。
③当社グループ企業間のシナジー効果についての強みは、製造(はかた匠工芸)や、縫製機能(NIHONWASOU TRADING)だけでなく、仕入れ機能、流通機能(当社)、販促機能(ニチクレ)やアフターケア機能(当社きものリフレッシュセンター)など、グループ内で完結するいわば和装業界における「ワンストップ・ソリューション」によるグループシナジーを築いてきたことにある。これは、創業時から確固たるビジネスモデルを確立し、不変的な軸足(ビジネスモデル)を右足にしっかりと置き、時代の変化をうまく捉えられる様に左足を順応させて動かしていくことを重んじてきたことが主要因であり、その結果として、不透明な外部環境の影響を受けながらも、比較的安定した成果をあげることができている。今後はさらに幹となる日本和装事業を中心として、グループ会社がそれぞれの強みを活用することによって、和装業界に関わるあらゆるシェアの拡大に取り組み、和装業界における売上シェアナンバーワンを目指していきたいと考えている。
④当社は市場規模が縮小傾向にある和装業界に属しながら、独自のビジネスモデルによって、業界内では比較的安定した営業利益(2022年度419百万円、2023年度393百万円、2024年度480百万円)を計上している。しかしながら、広告宣伝費・販売促進費などが単体の売上高の14%弱を占めるプロモーション依存度の高い事業構造であることから、集客を担っている無料きもの着付け教室のTVCMの反応結果の影響により、シーズン毎の集客状況のボラティリティが高く、それに連動して売上高と各段階利益の変動幅も大きくなる構造となっている。このため、12月決算である当社としては、決算発表時点ではプロモーション効果を十分に織り込んだ業績予想が立てにくく、期中での業績予想の上方・下方修正も過去多く行っている。以上のことから、業績予想の安定化を図るため、当社は2020年12月期より、レンジ形式による業績予想開示を採用した。なお、2025年12月期の見通しは、売上高4,715~4,815百万円、営業利益490~541百万円、経常利益440~487百万円、親会社株主に帰属する当期純利益300~333百万円。
⑤合同会社Grace Rise(代表は小原奈名絵さん)との間で、当社の事業に関する経営アドバイザリー契約を締結。当社に対して、バランスのとれた多面的・中立的な提言や事業運営に資する幅広い アドバイスを得ることを目的。
⑥2024年10月30日に、社長の道面義雄さんが病気療養のため、鶴野尚史さんを代表取締役として追加選定するとともに、当面の措置として、鶴野尚史が社長業務を代行すると公表。病気療養中の道面義雄さんは、2025年3月27日開催の本株主総会終結の時をもって退任予定。
⑦取締役と監査役候補7名中、70歳以上の候補者は7名中、近藤美知子さん(1948年生まれ、76歳)、渡辺弘さん(1952年生まれ、72歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑧社外取締役を除く取締役3名の報酬等の総額は6,900万円。2024年3月に就任した1名を9ヶ月分として試算すると、単純平均で取締役1人当たり2,509万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①社長の道面義男さんが欠席のため、取締役の鶴野尚史さんが議長を務めるとの説明あり。監査役の二反田友次さん、三好豊さんは、やむを得ない理由により欠席。
社長の道面義男さんが欠席されていたが、欠席理由について説明が無く、違和感を感じた。各種IRから欠席の理由は推察できるが、株主総会という場でもあり、株主側からは詳細な状況は分からないので、社長の欠席理由についてはしっかりと説明が必要だと思う。
②一部取締役と監査役は黒紋付、司会者は大島紬を身にまとい出席されていた。和装業界の会社として良い対応だと思う。
③質疑応答で、「社長の道面義男さんが本株主総会に欠席とのことで体調が心配。取締役を退任されるとのことだが、子会社の取締役も全て退任するのか?何かしらの形で会社に残られるのか?」との質問あり。「子会社の取締役を含め、全て退任する。会社には残らずに退職する。」との回答。
④質疑応答で、「和装業界は衰退産業であり、同業他社の業績が良くない一方で、社長の道面義男さんのもと、業績は堅調に推移していた。メディアへの露出が多い社長で、チャレンジ精神が旺盛であった。議決権の過半を握る支配株主が存在する中、急に後を受けて社長に就任するのも大変だと思うが、社長に就任する鶴野尚史さんから抱負を伺いたい。」との旨の意見あり。「社長の道面義男さんと一緒に仕事をしてきたので、このタイミングでの社長就任でも心配は無い。既存の事業を強化し、ECも強化をしていきたい。」との旨のコメント。
⑤質疑応答で、「株主総会の出席者が少なくて寂しい。株主に参加してもらえるように対応を検討して欲しい。」との意見あり。「当社の魅力を伝える努力をしていく。」との回答。
⑥質疑応答で、「冨永愛さんなど、イメージキャラクターに株主になってもらったらどうか?」との意見あり。
⑦質疑応答で、「取締役が株式を保有していないが、何か理由はあるのか?」との質問あり。「株式の保有は、各取締役個人の判断としている。」との回答。
⑧質疑応答で、「各取締役候補から抱負を伺いたい。」との質問あり。議長の鶴野尚史さんが対応について事務局としばらく相談した後、取締役候補の鶴野尚史さんから、「成長性と組織の整備が課題だと考えている。EC対応や新しい事業、製造会社とのシナジーを生み出したい。」との旨のコメント。近藤美和子さんから、「特に講師の分野について力を入れて取り組んでいきたい。」とのコメント。社外取締役候補の代表として菅原洋二さんから、「和装業界は大変厳しい状況。その中で当社は消費者と直結しているのが強み。成長と株主還元の向上に努めたい。」との旨のコメント。
株主総会を終えて感じたこと
株価も上場以来の安値圏であったこと、日本の伝統文化であるきものを後世に残すことに貢献したいと考えて平均235円で投資しました。
株主総会では、社長の道面義男さんが欠席されていたのはとても残念でした。また、欠席理由について何も説明が無く、違和感を感じました。
質疑応答では、議長の鶴野尚史さんが緊張した様子ながらも淡々と回答対応されていました。
2023年3月に、東京証券取引所が「PBR1倍割れの企業に改善要請」を実施しましたが、日本和装ホールディングスは、1株当たり純資産400円に対し、株価が311円(2025年3月26日時点)、PBR0.77倍と低迷しており、PBR1倍達成に向けた施策が求められます。
斜陽産業で同業他社の業績が苦しい中、社長の道面義男さんは業績を堅調に維持し、社長就任期間中のチャレンジ精神・露出力・透明感(お客様に与える安心・安全感の創出など)には目を見張るものがありました。また、仲介業ですがBtoCとも言える会社の社長として、顧客層への受けの良さなどを総合的に考えると、社長の交代が今後の業績に影響を与えてしまいそうに思え、とても心配です。
とはいえ、社長に就任予定の鶴野尚史さんの手腕に期待し、まずは今期の業績の推移に変化が無いか見守りたいと思います。継続保有の予定とします。
2024年3月13日に到着した日本和装ホールディングスの株主優待の内容についてはこちら↓
日本和装ホールディングスの株主優待が到着しました【2024年3月13日】 | ぽこタンの株主総会日記
