日本アジア投資 臨時株主総会
日時:2025年2月28日(金) 13:30-14:15
場所:メヂカルフレンドビル(市ヶ谷駅徒歩7分)
出席株主数:約10名
お土産:無し
企業概要
日本アジア投資(8518)
HP:HOME|JAIC
①ファンドを組成し、当該ファンドの管理運営業務を行い、ファンドの管理運営報酬や成功報酬を得る投資事業組合等管理運営業務と、ベンチャー企業や中堅・中小企業等を中心とした有望企業へ投資し、育成・支援を通じて投資先企業の企業価値を高めて、当該投資資産の売却によるキャピタルゲインを得ることを目的としたプライベートエクイティ投資や再生可能エネルギー、ヘルスケア(高齢者向け施設、障がい者グループホーム)、スマートアグリ(植物工場)、ディストリビューションセンター(物流施設)などの設備を開発・運営するプロジェクトや、主にベンチャー企業が推進するプロジェクトに対し、これらの設備を保有する特別目的会社(SPC)などに投資をするプロジェクト投資を行う投資業務を、日本とアジアで金融機関などの出資者からの出資および当社グループ自身の出資により設立される「ファンド(投資事業組合など)」と自己資金を通じて投資を運営。
②筆頭株主は、社長の丸山俊さんが代表を務めるバナンス・パートナーズを無限責任組合員とするガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合で、投資事業有限責任組合ガバナンス・パートナーズ経営者ファンド、投資事業有限責任組合ガバナンス・パートナーズ経営者ファンドNK、ガバナンス・パートナーズ投資事業有限責任組合の保有分も含めると、804万株、36.2%を保有。
③従業員数は、連結で38名と少人数体制。
株式情報
時価総額:47億円(2025年2月27日時点)
経常利益:▲11.5億円(2024年3月期実績)⇒非公表(2025年3月期予想)
株価:214円(2025年2月27日時点)
1株純資産:312円(2024年12月末時点)、PBR:0.68倍
1株当期純利益:非公表(2025年3月期予想)、PER:非公表
1株配当:無配(2025年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:7,056名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年3月期第3四半期の業績などの概要は、営業収益2,631百万円(前年比 52.3%増)、営業総利益1,161百万円(同716.4%増)、営業利益209百万円(前年は営業損失△829百万円)、経常利益296百万円(前年は経常損失△942百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益574百万円(前年は純損失△1,273百万円)となった。前年に比べて、上場株式の売却益が減少した反面プロジェクトの売却が進捗した。加えて、投資資産に対する評価損や引当金も縮小したため業績が改善した。
②管理運営報酬などには、投資事業組合などの管理報酬と事務受託報酬が含まれる。管理運営報酬などの総額は、前年並みの94百万円(前年比1.3%増)となった。
③営業投資有価証券売却高は、前年同期から増加し1,075百万円(同31.6%増)となった。主な増加要因は、プロジェクト投資資産を売却したため。前年はプロジェクトの売却は無かったが、当第3四半期連結累計期間は3件のメガソーラープロジェクトの売却により722百万円を計上した。一方で、売却高から売却原価を差し引いた実現キャピタルゲインは、前年同期から減少し356百万円(同5.7%減)となった。主な減少要因は、前年は当社グループが運営するファンドにおいて比較的利益額が多い上場株式の売却があったが、当第3四半期連結累計期間は比較的利益額の少ない未上場株式の売却が中心だったため。営業投資有価証券評価損および投資損失引当金繰入額の合計額は、事業の進捗に大幅な遅れが生じている投資先が減少したことから、前年同期から減少して28百万円(同95.3%減)となった。以上の結果、実現キャピタルゲインから営業投資有価証券評価損および投資損失引当金繰入額の合計を控除した投資損益は、327百万円の利益(前年は127百万円の損失)となった。
④営業収益のうち組合持分利益・インカムゲインなどには、当社グループが運営するプロジェクトの収入(売電収益や、野菜の販売額、障がい者グループホームの賃貸収入など)、他社が運営するプロジェクトの持分利益(プロジェクトの運営による純利益や、プロジェクトの売却益)、他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分利益、利息・配当収入、および、その他の収益が含まれている。組合持分利益・インカムゲインなどの合計額は、前年同期から増加して1,424百万円(前年比80.2%増)となった。前年同期はプロジェクトの売却が無かったが、当第3四半期連結累計期間は、ディストリビューションセンタープロジェクト1件、ヘルスケアプロジェクト(高齢者施設)1件の売却による利益を計上した。また、新規稼働したメガソーラープロジェクトの売電収益が増加した。
⑤営業原価のうち組合持分損失などには、当社グループが運営するプロジェクトの原価(売電原価や、野菜の製造原価、障がい者グループホームの賃貸原価など)、他社が運営するプロジェクトの持分損失(主に立上げ初期のプロジェクトからの純損失)、および他社が運営するプライベートエクイティファンドの持分損失などが含まれている。組合持分損失などの合計額は706百万円(同12.3%増)となり、前年同期から増加した。主に、新規稼働したメガソーラープロジェクトの原価が増加した。以上の結果、営業収益2,631百万円(同52.3%増)、営業原価1,469百万円(同7.3%減)、営業総利益1,161百万円(同716.4%増)となった。
⑥売費及び一般管理費の合計額は、前年同期から減少し952百万円(同2.0%減)となった。主な減少要因は、役員報酬の減額や前期に売却したプロジェクトの運営コストの減少。
⑦上記以外の特筆すべき損益項目は、固定資産売却益(特別利益)、および非支配株主に帰属する四半期純損益。特別利益のうち、固定資産売却益は649百万円となった。ヘルスケアプロジェクトで、障がい者グループホーム16棟を譲渡したことに伴う利益。非支配株主に帰属する四半期純損益は、当社グループが運営するファンドやプロジェクトの損益のうち、当社グループ以外の出資者に帰属する金額。当第3四半期連結累計期間は、前年同期に比べてこれらのファンドやプロジェクトの利益が減少したため、前年同期から減少して78百万円の利益(同76.0%減)となった。これらの結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は574百万円(前年は純損失△1,273百万円)と黒字転換した。
⑧当社グループが展開するプライベートエクイティ投資はその事業特性上株式市場などの変動要因による影響が極めて大きく、加えて昨今の変動の激しい環境下においては合理的な業績予想が困難なため、当社は業績予想を行っていない。しかしながら、投資家および株主の皆さまの利便に資するべく、業績予想に代えて、ある一定の前提を元に策定した「従来連結基準による見込値」を、数値の合理性は低いものの、参考情報として開示している。
⑨2024年8月14日に中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)を公表。2027年3月期に親会社株主に帰属する当期純利益10億円。
⑩2024年8月28日の取締役会において、グロースパートナーズと業務提携を行うことについて決議。グロースパートナーズは、投資およびハンズオン支援事業を行う投資会社であり、ベンチャー投資だけでなく、上場企業(タカキュー(8166)、No.1(3562)、ランサーズ(4484))への出資やバイアウト案件を手掛けている。今般の当社とグロースパートナーズとの業務提携は、当社が計画しているファンドの組成に当たり、当社のファンド運営のスキルと、グロースパートナーズの投資対象の選定や投資先企業へのハンズオン支援のノウハウを掛け合わせて、ファンドのパフォーマンスを追求することを目的としている。当社は、当該ファンドを始めとして、新規にファンドを組成して効率性の高いエクイティ投資を行い、成長戦略を早期に実現することを目指す。業務提携の内容は、投資案件のソーシングに関する協業、投資先のバリューアップに関する協業、上記を前提とした新たなファンドの共同運用または共同投資。提携開始日は、2024年9月9日。
⑪2024年8月28日の取締役会において、ジーエヌアイグループ(2160)と、主に国内企業を投資対象とするファンド組成などに関して業務提携を行うことについて決議。ジーエヌアイは、創薬に成功し製薬会社として成長した実績を持ち、中国およびその他地域において独自の販売網も有している。また海外投資家の資金を日本企業へつなげるだけでなく、投資先企業が保有する製品を海外市場に展開するための架け橋となることを目指している。2024年4月には、中国無錫市の無錫市濱湖産業投資開発(グループ)有限公司と、Wuxi Innovation Investment Group Co., Ltd.との3社間で、1億米ドル規模のファンド「GNI中日産業基金」の組成に向けた協定を締結しており、当社との連携について協議を開始している。今般の当社とジーエヌアイの業務提携は、ジーエヌアイのネットワークを介し、国内外の投資家の資金を当社のファンドを通じて主に国内企業へ投資し、また投資先企業の製品をジーエヌアイやそのグループ会社を通じて海外市場に展開することにより、投資先のバリューアップを図り、日本だけでなくアジア・中国を含む地域全般の発展に貢献することを目的としている。当社は、今後も多様な企業との間で連携を行い、国内投資家だけでなく海外投資家の資金を呼び込んだファンドの組成などで協業し、中期経営計画の達成を目指していく。業務提携の内容は、国内外企業を投資対象とするファンド組成と管理運営、ジーエヌアイの成長戦略に資する国内外企業のファンドを通じた株式保有、上記以外の投資及び株式保有に関する取り組み全般。提携開始日は、2024年9月9日。
⑫2025年2月14日に、2025年3月期の「従来連結基準による見込値」の上限を下方修正。前回発表見込値の上限では、株式の売却において投資金額の比較的多額な未上場株式の売却を見込んでいた。しかしながら、売却候補先との交渉に想定以上に時間を要しており、売却時期が来期にずれ込む見込み。一方で、プロジェクトの売却では、期初には見込んでいなかった売却を追加で行うことを目指しているが、当該未上場株式の売却による収益の全てを補うことはできない見込み。その結果、見込値の上限は、営業収益が900百万円減少する見込み。これに伴い、営業利益、経常利益、親会社に帰属する当期純利益の上限値も、それぞれ550百万円減少する見込み。一方で、前回発表見込値の下限には、変更は無い。
⑬2024年5月24日開催の取締役会において、ガバナンス・パートナーズASIA投資事業有限責任組合を割当予定先として、第三者割当による新株式の発行を行うことについて決議。払込期日は、2024年6月28日。発行新株式数は、普通株式440万株。発行価額は1株227円。調達資金の額は998百万円。当社は、借入金のリファイナンスが実現しないため借入金による新規調達ができず、他方で、収益性を高めるために必要な一定規模の投資残高を実現するための投資資金を確保することが大きな課題となっている。本第三者割当は、2024年6月26日開催の定時株主総会における承認後に当社の代表取締役社長に就任する予定の丸山俊さんが率いるガバナンス・パートナーズが運用するファンドから、投資資金を調達するために行うもの。
⑭社長の丸山俊さんは、46歳(1978年生まれ)と若い社長。
⑮監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役2名の報酬等の総額は7,100万円。単純平均で取締役1人当たり3,550万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、日本アジア投資の本社のあるメヂカルフレンドビル内の会議室での開催。
②質疑応答で、「本株主総会の要因となる増資が実施されたのは2024年6月、中期経営計画が公表されたのが8月、本株主総会の議案の減資が公表されたのが12月。公表にタイムラグが発生した理由は?」との質問あり。「本来であれば同時に公表した方が分かりやすかったと思う。増資を実施した段階では新しい経営体制ができていなかった。中期経営計画をやり、再度、資本のあり方を検討した。」との説明。
③質疑応答で、「その他資本剰余金が存在する理由は?」との旨の質問あり。「過去、減資を行った際の対応で残っている。」との回答。
④質疑応答で、「今回、資本金を1億円へ減資するが、金融機関からお金を貸してもらえるのか?社会的信用力の低下が心配。」との旨の質問あり。「当社の財産は自己資本ではなく人材。これまで主に自己資金によって行ってきた投資を改め、プロジェクトファイナンスの組成により調達する融資資金やファンドの組成によるファンドの資金を活用して投資を行う方針。」との説明。
⑤質疑応答で、「今回の減資について、金融機関には理解してもらえたのか?」との質問あり。「金融機関からは十分に理解いただいている。」との回答。
⑥質疑応答で、「ファンド組成の進捗状況は?」との質問あり。「いくつか開示している。想定以上に順調。複数の案件が進んでいるが、具体的に開示できる段階になった際に開示する。」との説明。
⑦質疑応答で、「フリーキャッシュの状況を教えて欲しい。」との質問あり。「ファンド連結で、借入が71億円あり、毎年8億円返済している。44億円の現預金がある。」との回答。
⑧質疑応答で、「毎年8億円返済しているとのことだが、返済せずに借りたままにしておいたほうが良いのでは?」との質問あり。「返済期限が過ぎており、リスケしてもらっているので返済必要。」との説明。
⑨質疑応答で、「アーリーではなくセカンダリーへ投資するファンドとの理解で良いか?」との質問あり。「シード・スタートアップをやらないということではなく、あらゆるタイプを想定している。ただし、ベンチャーキャピタルから長らく離れていたので競争力が落ちた。競争力のある分野でまずは取り組んでいく。」との説明。
⑩議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、日本アジア投資の本社が入るメヂカルフレンドビルにある会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、社長の丸山俊さんを中心に丁寧に回答対応されていました。
「主に自己資金によって行ってきた投資を改め、プロジェクトファイナンスの組成により調達する融資資金やファンドの組成によるファンドの資金を活用して投資を行う方針。その結果、運用資産が増加することで、主な収益は、不安定な投資収益から安定した運用資産からのフィー収益へと移行していく見込み」とのことで、会社が変わる過渡期に見えます。
2期連続で最終赤字が続いていますが、まずは、今期、見込値通り最終黒字で着地できるのかを確認し、また、来期の業績予想(見込値)についても注視します。
