タツミ 臨時株主総会
日時:2025年1月30日(木) 10:00-10:25
場所:タツミ本社(野洲山辺駅徒歩18分)
出席株主数:約20名
お土産:無し、控室でミネラルウォーターの配布あり
企業概要
タツミ(7268)
HP:株式会社タツミ
①主に自動車の電装品用部品およびブレーキ用部品の製造ならびに販売を手掛ける。
②筆頭株主は、自動車用電装品の専門メーカーとして小型直流モータおよびモータ応用製品を手掛けるミツバ(7280)で、318万株、53.1%を保有。
株式情報
時価総額:21億円(2025年1月29日時点)
売上高:74.1億円(2024年3月期実績)⇒74.0億円(2025年3月期予想)
株価:359円(2025年1月29日時点)
1株純資産:458円(2024年9月末時点)、PBR:0.78倍
1株当期純利益:5.00円(2025年3月期予想)、PER:71.8倍
1株配当:無配(2025年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:1,230名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年3月期第2四半期は、主要な取引先である自動車業界では、一部メーカーの型式認証不正問題の影響により、国内新車販売台数は前期実績を下回った。このような環境のなか、当中間連結会計期間の連結業績は、売上高は3,673百万円(前年比3.4%増)、営業損失は5百万円(前年は6百万円の営業損失)、経常損失は40百万円(前年は106百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する中間純損失は65百万円(前年は58百万円の純利益)となった。
②ミツバおよびタツミは、2024年11月13日付の両社の取締役会決議により、それぞれ、ミツバを株式交換完全親会社、タツミを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決定し、両社間で株式交換契約を締結。 なお、本株式交換は、ミツバにおいては、会社法に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、タツミにおいては、2025年1月30日開催予定のタツミの臨時株主総会の決議による本株式交換契約の承認を得た上で、2025年4月1日を効力発生日として行われる予定。タツミ株式1株に対して、ミツバの普通株式0.41株を割当交付。タツミの普通株式は、2025年3月28日に上場廃止となる予定。
③ミツバおよびタツミ双方が上場会社として独立した事業運営を行っている限り、様々な取組みを共同で実施するにあたっては、独立した上場会社としての利益に配慮した慎重な検討が必要となるところ、ミツバがタツミを完全子会社とすることにより、柔軟かつ迅速な意思決定体制のもとで取組みを推進できる環境を整えるとともに、ミツバグループ全体として一層の経営の最適化を図ることが可能となり、タツミグループを含むミツバグループ全体の企業価値向上に資すると考えている。具体的には、タツミが更なる成長を遂げるためには、新分野・新規取引先の開拓による受注拡大、不採算製品・ビジネスの見直し・撤退、新規技術開発が不可欠であるところ、このような事業構造の大きな変革を推進していく上では、これまで以上のコスト削減や、販売・技術・製造の各戦略強化による既存事業の収益確保および新規事業の創造のための新規投資が必要になる一方、タツミの少数株主の利益に資するかという観点でも精査が必要であるところ、現状の組織体制では、上記のような変革を推進するために必要な柔軟かつ迅速な意思決定の実現には、構造的な限界があると認識している。
④また、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、タツミ株式はスタンダード市場へ移行したが、現時点で流通株式時価総額の点においてスタンダード市場の上場維持基準を充足しておらず、仮にこのまま上場維持基準を充足できない場合は、2025年4月から改善期間に入り、最短で2026年10月1日に上場廃止に至る可能性があるところ、上場維持を最優先の目的としてタツミの経営リソースを投下することは、かえって今後のタツミの企業価値拡大を妨げてしまうものと考えている。
⑤本株式交換を通じて、親子上場関係の解消によりタツミの少数株主とミツバとの間に構造的に発生する利益相反関係を完全に解消することができるため、従来であればコーポレートガバナンス上、実現にハードルがあったグループの全体最適の施策を機動的に実施することが可能となるというメリットを、両社ともに享受することができると考えている。
⑥第12次中期経営計画は、2028年3月期に売上高80.0億円、営業利益率5.0%以上。
⑦監査等委員である取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は3,370万円。2023年6月に退任した1名を3ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり1,036万円。また、使用人兼務役員の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、タツミ本社での開催。工場内の様子や、控室として利用されていた食堂の様子が伺えた。
②取締役の席に名札が無かったのが気になった。名札があった方が、会社の顔となる役員の方々の顔と名前が一致するので親切だと思う。
③質疑応答で、「上場廃止となることで、従業員のモチベーションが心配。従業員へどのような説明を行ったのか?」との質問あり。「従業員に対して、ミツバの完全子会社となる目的を説明した。5期ぶりに黒字化したものの、それまでは苦しい思いをしてきた。稼げる体質の会社にしていきたい。ミツバとのシナジーで会社が良くなると説明した。」との説明。
④質疑応答で、「ホンダと日産の統合について、タツミにどのような影響があるのか?メリットとデメリットは?」との質問あり。「現状、ミツバを通してホンダ向けの比率が高い。何とも言えないが、ホンダ主導でサプライチェーンの再編に動いた場合、どちらかというとデメリットは無いと思う。」との回答。
⑤議案の採決後、1号議案に反対の株主については株式買取請求の手続きがあるとのことで、株主総会終了後に受付で手続きをするようにとの旨の案内があった。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、タツミ本社での開催でしたので、工場内の様子や社員食堂の様子などが分かり、良い機会となりました。
社長の伏島利行さんが議長を務められていましたが、ハキハキとした口調で、質疑応答も丁寧に対応されていました。また、議案の説明では、上場期間に受けていた採用面などのメリットについても丁寧に説明されていたのが印象的でした。
タツミとしては、上場会社としての最後の株主総会となりますが、株主総会終了時に、社長の伏島利行さんから、「上場していた29年間、応援いただきありがとうございました。」との旨の丁寧な挨拶があり、心に残りました。
2024年6月18日の近況報告のIRの中で、「2025年3月期までに復配を実現する!」との力強いコメントがあり注視していたので、今回のミツバの完全子会社化による上場廃止は残念ですが、タツミについての知見は、今後、ミツバへ投資を検討する際の参考にします。