Birdman 臨時株主総会
日時:2025年1月3日(金) 10:00-10:10
場所:Birdman本社(渋谷駅徒歩10分)
出席株主数:数名
お土産:無し
企業概要
Birdman(7063)
①顧客の企業としてのブランド価値や商品・サービスのブランド価値を高めるため、一般消費者へのイメージアップや認知度・購買意欲の向上などを図るためのソリューションを提供する「マーケティング・トランスフォーメーション事業(MX事業)」(売上構成比57%)、およびコロナ禍で試行錯誤の続くエンターテインメント業界をアップデートするべく、主力事業領域であるクリエイティブやデジタル・テクノロジーを駆使し、新進気鋭のアーティストやクリエイターと連携しながら新しいエンタメの形を創出することを目的とした「EX事業」(売上構成比43%)を運営。
②筆頭株主は、不動産業などを手掛けるYour Turnで、140万株、21.4%を保有。
豊崎会計事務所が、第2位の株主として、78万株、11.9%を保有。
創業者で前社長の伊達晃洋さんが取締役を務めるTが第3位の株主で、伊達晃洋さん個人での保有分も含めると、115万株、17.6%を保有。
③従業員数は、連結で34名と少人数体制。
株式情報
時価総額:20億円(2024年12月30日時点)
売上高:20.8億円(2024年6月期実績)⇒非公表(2025年6月期予想)
株価:288円(2024年12月30日時点)
1株純資産:▲195円(2024年9月末時点)、PBR:債務超過
1株当期純利益:非公表(2025年6月期予想)、PER:非公表
1株配当:無配(2025年6月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:2,824名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年6月期第1四半期は、前連結会計年度において業績の大幅な悪化などにより、多額の当期純損失を計上し、債務超過に至った経緯を再度調査した。その結果、EX事業において全面的な見直しを行い、リスクコントロールを重視した投資判断を行う方針に転換したことに伴い、大幅な減収となった。以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は65,929千円(前年比88.9%減)、営業損失は237,556千円(前年は営業損失90,773千円)、経常損失は258,434千円(前年は経常損失92,086千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は258,954千円(前年は純損失70,647千円)となった。なお、前連結会計年度においてグロース市場の上場維持基準を充たしていなかったことから、2025年6月末時点において上場維持基準を充たす(純資産の額が正である)必要がある。そのため、今後、第三者割当による増資(新株式および新株予約権)を具体的に検討し、早期に債務超過の解消を行い、上場維持基準への適合に向けた取り組みを進めていく。
②MX事業では、顧客の顕在化したニーズだけではなく潜在的なニーズも引き出し、各ニーズに合うような様々なサービスを組み合わせた提案を行い、元請けから下請けに至る多段階構造ではなくワンストップでソリューションを提供し、既成概念を打ち破るクリエイティブとビジネスソリューション、それらを実現するテクノロジーを駆使したアイデアを実装していく。また、コンサルティング会社・広告会社・PR会社などの縦割りで進めていたビジネスを内製化により一気通貫することで、迅速な対応および顧客へのコストメリットを創出することができ、企業や社会の挑戦に伴走する。当第1四半期連結累計期間においては、売上高は63,331千円(前年比85.6%減)、セグメント損失は16,106千円(前年はセグメント利益17,993千円)となった。
③EX事業では、当社グループが従来から有するブランディング・広告プロモーションやデジタル・テクノロジーの知見を駆使して、型にとらわれずジャンルレスに生きる次世代アーティスト・クリエイターがファンとの新たなコミュニケーションや関係を構築でき、スターになるためのプラットフォームを実現する。当第1四半期連結累計期間においては、前連結会計年度において多額のセグメント損失を計上したことから、全面的な見直しを行うとともに、リスクコントロールを重視した投資判断に基づく運営を基本としたことに伴い、売上高は大幅な減少となった。この結果、売上高は2,597千円(前年比98.3%減)、セグメント損失は157,151千円(前年はセグメント損失47,360千円)となった。
④当社グループは、当第1四半期連結累計期間において、売上高65,929千円以上の営業損失237,556千円、経常損失258,434千円および親会社株主に帰属する四半期純損失258,954千円を計上した結果、1,347,114千円の債務超過となり、当面の資金繰りにも懸念が生じていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在している。
⑤20224年12月5日に、「事業計画及び成長可能性に関する事項」を公表。当社創業時からの主力事業であるMX事業を徹底的に強化することで、同事業の増収増益を図る。また、2024年6月期に多額の営業損失を計上したEX事業については全面的見直しを行い、計画的にリスクコントロールしながら投資判断を進めていく。今後のEX事業については、「イベントプロデュース」、「IP(Intellecutual Property)」を中心に再生に向けて取り組んでいく。また、新たに2024年11月「新規事業開発部門」を立ち上げ、早期の収益化を目指す。そのため、2024年9月26日開催の第12回定時株主総会において経営体制を一新し、2025年6月期の黒字化に向け早期の再生に向け動き出す。現在、個別の事業毎の計画を策定中のため、現時点において、合理的に業績を算定することが極めて困難であるため、業績予想は未定としている。今後、合理的な算出が可能となった時点で速やかに公表する。
⑥2024年12月5日開催の取締役会において、2024年5月27日にYourTurnに発行した第7回新株予約権について、取得日において残存する本新株予約権の全部(1,416個(141,600株))を取得するとともに、取得後直ちに本新株予約権の全部を消却することを決議。現在の株価が大きく行使価額(743円)を下回る状況で推移しており、行使がなされる可能性が極めて低く資金調達に資することが困難であると判断。新株予約権の取得および消却日は2024年12月20日。
⑦2024年12月5日開催の取締役会において、第三者割当による新株式の発行、第三者割当による第8回新株予約権の発行を行うことについて決議。なお、本第三者割当については、2025年1月3日開催予定の臨時株主総会において本第三者割当に関する議案の特別決議によって承認されることを条件としている。また、本第三者割当により、主要株主および主要株主である筆頭株主およびその他の関係会社の異動が見込まれる。なお、主要株主であるYour Turnについては、本臨時株主総会において附議予定の各議案に賛同頂ける旨、口頭にて確認済み。
第三者割当による新株式は、1株150円で600万株をアベCに発行。発行価額の総額は9億円。払込期日は2025年1月6日。アベCは本臨時株主総会にて、当社の取締役のうち3名を指名する権利を有する。
第8回新株予約権は、ネクスタに62,800個(628万株)、KANDB INVESTMENTに52,500個(525万株)、Your Turnに30,000個(300万株)、戸谷松一さんに1,400個(14万株)、藤吉修崇さんに1,400個(14万株)、松原明男さんに1,400個(14万株)、TOFUに500個(5万株)を発行。行使価額は1株当たり150円。調達資金の額は23億円。行使期間は、2025年1月6日から2027年1月5日まで。
具体的な使途は、運転資金5億円、事業資金(MX事業)6億円、M&Aおよび資本業務提携資金20億円。
⑧M&Aの候補先は当社取締役の人脈や仲介会社によるソーシングを予定しているが、本第三者割当によって調達する資金を充当する新規事業、M&Aおよび資本・業務提携の内容としては、具体的に選定した投資候補先はなく、現段階で交渉に進んでいる案件は無いが、コア事業である広告事業および同事業に関連する企業および事業をターゲットとして、1件当たり400〜500百万円程度の出資(エクイティ・ファイナンスを基本方針とするが、状況に応じて社債などの債権による投資も検討)を想定し、デューデリジェンスおよび弁護士費用などの諸経費を10%程度見込んでいる。
⑨アベCは、経営コンサルティング事業を運営。同社との出会いは、当社社外取締役である吉川元宏さんが、以前より法律相談および投資助法で面識のあるアセマネの代表取締役である戸田裕典さんに当社の財務状況が厳しいため、第三者割当先を探したい旨相談したことに始まった経緯。戸田裕典さんがネクスタに相談した経緯で、アベCの紹介を受けた。戸田裕典さんと吉川元宏さんとの関係は2021年10月頃、吉川元宏さんが取締役を務める会社において資金調達の相談をした際から懇意にしているとのこと。なお、戸田裕典さんはネクスタの代表取締役である兼子修一さんと懇意にしており、兼子修一さんの紹介によりアベCの株主である前代表取締役の安陪信さんの紹介を受けたとのこと。また、ネクスタとアベCの安陪信さんとは、2年以上前から兼子修一さんが運営する飲食店の広告業について取引があったと伺っている。
⑩ネクスタは、当社の社外取締役である吉川元宏さんが、2023年8月頃に当社以外の会社で行っていた再生可能エネルギー事業を通じて同組合代表であり営業者であるネクスタ代表取締役である兼子修一さんと知り合っており、これまで当社の資金需要に対しては当社の事業戦略とともに情報交換を行ってきた。
⑪戸谷松一さんは、当社社外取締役である吉川元宏さんが知り合った個人であり、戸谷松一さんは吉川元宏さんが取締役を務める海帆(3133)の株主(議決権比率:2024年3月末時点0.82%)であり、2024年7月29日付で実施された第7回新株予約権の譲渡先。
⑫藤吉修崇さんは弁護士法人ATBの代表弁護士であり、当社社外取締役である吉川元宏さんが以前より会社経営に関する法律相談等で旧知であった関係であり、2024年7月29日付で実施された第7回新株予約権の譲渡先。
⑬松原明男さんは当社社外取締役である吉川元宏さんが取締役を務める海帆およびその子会社にて展開する飲食事業において知り合った個人であり、2024年7月29日付で実施された第7回新株予約権の譲渡先。
⑬TOFUは当社社外取締役である吉川元宏さんが取締役を務める海帆およびその子会社にて展開する再生可能エネルギー事業において取引のある会社であり、2024年7月29日付で実施された第7回新株予約権の譲渡先。
⑭KANDB INVESTMENTはアラブ首長国連邦ドバイ市にて投資事業を運営する法人。同社の株主でありManagerである畑瀬匡甫さんはHATASE HOLDINGSにて経営コンサル業務を行うほか、個人投資家として当社社外取締役である吉川元宏さんが取締役を務める海帆の株主でもあることから、吉川元宏さんと2023年7月に面会の機会がありそれ以降交流があった。
⑮YourTurnの保有方針は純投資目的であり、一定数を行使しつつ、市場売却によって得た利益を元に改めて行使を行う予定であり、且つ、保有比率の上限を総議決権の三分の一を超過することがないようにするとしている。
⑯本新株割当後の株主の持分比率は、アベCが47.9%となる。さらに、本新株予約権が全部行使された後、継続保有された場合の株主の持分比率は、ネクスタが筆頭株主として22.8%の保有となる見通し。
⑰2024年6月期における東証グロース市場の上場維持基準への適合状況は、「純資産」が基準を充たしていない。なお、改善期間は、2025年6月末迄であり、2025年6月末時点において、上場維持基準を充たす(純資産の額が正である)必要がある。
⑱2024年12月5日に、ADOLOGIの株式取得に関する株式譲渡契約書の解除を公表。ADOLOGIは輸出入を伴うインターネット通信販売およびその自動促進システムを展開。未行使の第7回新株予約権の消却を行うことに伴い、当該株式取得契約の停止条件(クロージング条件)の実現が不可能となったことを含め、本件株式取得契約履行後、同社の残る株式について当社株式との簡易株式交換をする見込みであったが、当社業績の悪化などに伴い、当社株式の大幅な下落もあり、以降の検討が双方で困難となり、当該株式取得契約を解除することとなった。
⑲2024年6月期に業績が大幅に悪化。2023年6月期以降、売上高が減少傾向にあったところに、大型のライブやイベント開催を見送ったことや一部公演の中止などが影響し、大型ライブが当初売上計画を大幅に下回ったことや、育成中のグループユニット向け投資費用に関し、将来にわたる長期契約期間に基づく償却費用を一括で費用計上が影響、さらに資本増強に伴う一時的なコスト負担も増加した。
2023年9月、および10月28日29日・バンテリンドームにて開催予定の韓国を中心としたアジアで飛躍するトップ俳優、女優、次世代を担うアーティストが集結する国内最大級の音楽フェスティバルを予定していたが、諸般の事情を鑑み中止した。その結果、9月のKROSS中止による出演費80,049千円、10月のKROSS中止による制作費18,700千円および出演費251,608千円が同イベントの売上によって回収が不可能となっため、2024年6月期において合計350,357千円を特別損失(貸倒損失)として計上。2024年1月開催の大型ライブ「K-Pop Masterz×KROSS vol.3」が、当初計画では売上高を1,400百万円と当初見込んでいたが、チケットの売り上げが当初計画を大幅に下回った結果、売上高を443百万円に大幅下方修正することになり、当イベントにおける営業損失は761百万円となった。
⑳2024年9月18日に、本臨時株主総会について、2024年10月3日を基準日として定め、2024年11月下旬に開催と公表。2024年12月5日に、開催日時を2025年1月3日に決定したと公表。
当初予定から変更があったのにも関わらず、2024年12月5日までに開催予定日の変更についてIRが無かったのには違和感。予定日を過ぎる前に何かしらの案内があったほうが親切だと思う。
㉑監査等委員である取締役と社外取締役を除く取締役4名の報酬等の総額は6,200万円。2023年9月に辞任した1名を3ヶ月分、2024年4月に辞任した1名を10ヵ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,010万円。また、使用人兼務役員の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会は、正月の三が日中に、Birdman本社での開催。
②特に説明は無かったが、取締役と監査等委員である取締役が4名のみ出席されており、監査等委員である取締役が1名欠席されていたように見えた。
③他社の株主総会では見かけないが、議案の説明が割愛され、ほぼ質疑応答と議案の採決のみの対応。
④質疑応答で、「今回選任する取締役1名と監査等委員である取締役2名は、事前のIRの通り、アベCからの指名なのか?」との質問あり。「その通り。」との回答。
⑤質疑応答で、「今回の新株式の発行、第8回新株予約権の発行により、最終的にはアベCではなくネクスタが筆頭の大株主となる見込みだが、ネクスタではなくアベCから取締役3名を受け入れる理由は?アベCとネクスタは関係のある会社との記載があったが、BirdmanとアベCとネクスタの3社で協議して決めたのか?」との質問あり。「3社で協議して決めた。」との旨の回答。
⑥議案の採決方法は拍手での採決。議決権の過半数を保有する大株主もいない状況で、出席者により保有している議決権数も違うので、デジタル時代に会場の拍手の多数で賛否を決めるのでは基準が曖昧に感じる。投票方式を採用したりして、その場で数字で示したほうが株主総会に出席している株主から見て納得感がある。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、Birdman本社での開催でしたので、良い機会となりました。
本臨時株主総会については、基準日が2024年10月3日であり、基準日から3ヵ月以内に開催しなければならないのものの、正月三が日のイレギュラーな日程での開催に違和感を感じました。
イレギュラーな日程での開催を避けるため、12月中の開催の方が良かったのではと思いますが、2024年11月下旬の開催予定が延期されていた点などからも、ギリギリまで議案(資金調達案)が決まらなかったように見えました。また、基準日を再設定しなかった点から、早急に開催しなければならないほど財務的に厳しい状況にあるようにも思えました。
株主総会招集通知などで説明があった通り、社外取締役であり海帆の取締役でもある吉川元宏さんの活躍で、吉川元宏さんの人脈により今回の資金調達が可能となったようです。
新株予約権が全部行使された後の株主の持分比率は、ネクスタが筆頭株主として22.8%の保有となる見通しです。なお、ネクスタはゼネラル・オイスター(3224)の筆頭株主として31.4%の株式を保有しており、ネクスタの代表取締役である兼子修一さんは、ゼネラル・オイスターの取締役です。
株価については、2022年12月の2,120円(分割後)をピークに下落が続いていますが、第三者割当による新株式の価額であり第8回新株予約権の行使価額である150円が、株価の下値の目安になるかもしれません。
当面、厳しい経営状況が続きそうですが、業績立て直しの過渡期として、今後のM&Aの動向を注視します。さらに、「Birdman」「海帆」「ゼネラル・オイスター」の上場3社が取締役や大株主などの人脈で繋がっているようなので、今後の「海帆」「ゼネラル・オイスター」へ投資する際の参考にもし、3社の関係に進展がないか継続注視します。