ニーズウェル 第38期定時株主総会
日時:2024年12月23日(月) 10:00-10:50
場所:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(市ヶ谷駅徒歩1分)
出席株主数:約20名
お土産:無し
企業概要
ニーズウェル(3992)
HP:株式会社ニーズウェル
①エンドユーザーから直接受託したシステムの構築や、システムインテグレーターやメーカーを経由して受託した企業向け社内システム構築などの開発案件に参画し、顧客システムの開発・保守を行う情報サービス事業を運営。
②筆頭株主は、創業家の佐藤辰弥さんが代表を務めるオーディーシーで、佐藤辰弥さん個人での保有分も含めると、763万株、40.0%を保有。
オーディーシーの取締役を務める橋本美奈子さんが、第5位の株主として、87万株、2.3%を保有。
キヤノン(7751)の子会社のキヤノンITソリューションズが、第7位の株主として、60万株、1.5%を保有。
社長の船津浩三さんが、第9位の株主として、49万株、1.3%を保有。
株式情報
時価総額:159億円(2024年12月20日時点)
売上高:95.4億円(2024年9月期実績)⇒106億円(2025年9月期予想)
株価:391円(2024年12月20日時点)
1株純資産:111円(2024年9月末時点)、PBR:3.52倍
1株当期純利益:24.8円(2025年9月期予想)、PER:15.7倍
1株配当:9円(2025年9月期予想)、配当性向:36%
配当利回り:2.3%
株主数:8,437名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①国内IT市場は物価上昇や金融市場の変動によって影響が及ぶ可能性があるが、デジタル変革とテレワークの普及、政府のデジタル対策や企業間の協力により今後も成長が見込まれると予測している。このような状況のもと、業価値向上と持続的な成長を推し進めていくためには優秀な人材確保による開発力および信用力の強化が不可欠と考え、プライム市場が求める「流通株式時価総額100億円以上」の基準の充足を目指し、グループ全体の企業価値向上を目的とした様々な施策を講じている。資本業務提携および業務提携において、受注や販路の拡大といった成果が確実に出ていることから、グループ全体の成長と基盤強化を推し進めるため、引き続き資本業務提携および業務提携による他社とのパートナーシップやアライアンス強化に取り組んでいる。当期においては、三菱総研DCSをはじめ、計4社と新たに業務提携契約を締結した。
②また、昨今の物価上昇を背景に社員の士気向上を図るため、昇給と株式報酬の付与による実質7.5%の賃上げや、社員の奨学金補助制度などの各種社内制度を導入した。さらに、開発力強化を図るため、各種社員研修の増強を行った。2024年6月1日には、当社株式の流動性の向上、出来高の増加および投資家層の拡大を図ることを目的に普通株式1株につき2株の割合をもって株式分割を行った。さらに2024年6月17日には株価の改善と株主還元の向上、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の実行を目的に、自己株式の取得を取締役会で決議し、同年9月20日までに585千株を2億円で買付けた。このような成長戦略、業績向上やEPS向上への取組みへの理解を深めていただくため、機関投資家、個人投資家との対話を重視し、説明会やIR・PRの積極的な情報発信などに努めている。
③事業の状況としては、将来の成長に向けて必須の投資として、独自のソリューションやサービスの開発を行った。加えて、不採算案件への対応、技術者不足が継続したことから、売上の機会損失が発生した。サービスラインの状況としては、「業務系システム開発」においては、生保、社会インフラ・公共、AI関連の案件が堅調。「IT基盤」は、企業のDX人員不足の需要に応えるITアウトソーシング案件で安定したサービスを提供した。「ソリューション」は、独自のソリューションやサービスの提供により他社との差別化に注力し、受注を拡大した。また、新たなソリューションの開発にも積極的に取り組み、提供を開始した。さらに、長崎大学との産学共同研究開発の成果として生成AIを活用した入札資格自動診断ソリューション「QualiBot」を2024年10月から、決算書生成ソリューション「FSGen」を2025年1月から提供開始することを発表した。
④以上の結果、当連結会計年度における売上高は、9,549,211千円(前期比9.0%増)、売上総利益は、2,164,745千円(前期比3.9%増)となった。販売費及び一般管理費は、979,512千円(前期比0.4%減)と減少し、販管比率10.3%(前期比0.9ポイント減)となった。これにより、営業利益は1,185,233千円(前期比7.7%増)、経常利益は1,208,298千円(前期比6.4%増)となった。法人税等合計が395,505千円(前期比33.6%増)となったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は809,953千円(前期比3.3%減)となった。
⑤事業のサービスライン別の売上高は、「業務系システム開発」が6,320,447千円(66.2%)、「IT基盤」が1,686,408千円(17.7%)、「ソリューション」が1,542,354千円(16.1%)。
⑥今後の国内IT市場は、引き続きDXの取組みの強化・拡大による大きな変革期にある。IT人材の育成、先端技術支援への経済対策提言などの政策の後押しもあり、IT投資需要は今後も増加すると予測している。当社グループは独立系の情報サービス企業として、技術革新の激しい情報サービス産業において「業務系システム開発」「IT基盤」「ソリューション」の3つのサービスラインを展開しており、次期(2025年9月期)の重点施策としては、「業務系システム開発の拡大」「IT基盤の拡大」「ソリューションビジネスの拡大」「マイグレーション開発ビジネスの拡大」「ITアウトソーシングビジネスの拡大」「物流ビジネスの拡大」「AIビジネスの拡大」に取り組んでいく。次期の業績見通しについては、通期の連結業績予想売上高10,600百万円、営業利益1,400百万円、経常利益1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益943百万円を見込んでいる。
⑦2024年12月16日に、2025年6月までに株価目標600円、プライム市場上場維持基準の必達に向けて、「6.600作戦=ロクテンロクマルマルサクセン)」を実行することを公表。2024年9月末時点でプライム市場上場維持基準である流通株式時価総額100億円が未達となっていることから、経過措置が終了する2025年9月までに達成することを必須と考えている。全社一丸となってプライム市場上場維持基準の達成を目指すべく、株価目標600円を目指し、「6.600作戦」を実行していく。2024年9月末日の流通株式比率(51.7%)が継続する場合、株価600円で当社の流通株式時価総額は約120億円と試算している。
⑧中期経営計画は、2026年9月期に、売上高130億円、経常利益17億円。
⑨「無料オンラインセミナー開催のお知らせ」などの広告的な適時開示が多過ぎる印象。
適時開示は、重要なIR情報が埋もれてしまわないように、広告的な内容は別の手段でのお知らせとしたほうが良いと思う。
⑩監査役と取締役候補者8名中、70歳以上の候補者は船津浩三さん(1951年生まれ、73歳)、柳川洋輝さん(1954年生まれ、70歳)の2名。役員定年制(一般的には65歳~70歳)を設定して、未来のために次世代育成を進めたほうがよいと思う。
⑪社外取締役を除く取締役6名の報酬等の総額は9,219万円。2023年12月に退任した2名をそれぞれ3ヶ月分として、同月に就任した1名を9ヶ月分として計算すると、単純平均で取締役1人当たり2,169万円。使用人兼務取締役の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会開始前に、「会場内ではマスクの着用をお願いします。」との案内があったが、取締役と監査役の10名中、社長の船津浩三さん以外の9名はノーマスクでの出席であったのが印象的。新型コロナも5類に移行したので、コロナ対応は事業者の判断となったが、自ら内容を決めて株主にお願いしている事項なので、経営陣も有言実行したほうが良いと思う。
②株主総会冒頭で、取締役と監査役全員の紹介があった。
③質疑応答で、「今期の業績予想について、上期は横ばい、下期は上期を上回る予想としているが、例年、下期の業績は上期より落ち込んでいる。今期、下期好調と予想した理由は?」との質問あり。「前期の上期は好調に推移し、下期に不採算案件があった。今期の下期は、公共系の案件入札と生成AIの引き合いが成長する見通し。」との説明。
④質疑応答で、「プライム市場上場維持基準の必達に向けて、2025年6月までに株価目標600円を実行するとの説明の一方で、親会社の株式保有比率が40%程度と高い。株式の流動性向上のため、親会社に株式の売却をお願いしたりなど、何か親会社と話をしている内容があれば教えて欲しい。」との旨の質問あり。「親会社は、前社長の資産管理会社で、前社長が亡くなり次の世代の方がオーナーとなっている。現オーナーには現状の配当に満足頂いており、株式売却の意向は無いと聞いている。良い関係を継続しているので、安定保有いただきたい。」との回答。
⑤質疑応答で、「社員数が減少している理由と、採用目標やビジネスパートナーの数を教えて欲しい。」との質問あり。「採用計画については、既存社員数の10%としているが、採用できた人数は少子化の影響で目標以下だった。一方、賃上げなどの離職を減らす努力をしているが、現状、離職率は10%以上。コアパートナーへ仕事を優先して回す運用をしており、ビジネスパートナーで人員不足を補っている。」との説明。
⑥質疑応答で、「中期経営計画でM&Aの説明があったが、今期のM&Aの予定について進捗状況を知りたい。」との質問あり。「M&Aは単に売上が稼げるという視点ではなく、シナジー効果がある会社を対象としている。応募が多数あり、吟味している状況で決定はしていない。」との回答。
⑦質疑応答で、「AIビジネスの拡大に取り組んでいくとのことだが、AI製品とはどんな製品なのか?」との質問あり。「データ分析からソリューションまでを提供する客先専用モデル。」との説明。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。
株主総会では、体調不良なのか、社長の船津浩三さんにやや元気が無いように感じ、何度か進行箇所を見失っている点も気になりましたが、質疑応答では、丁寧に回答対応されていました。
社長の船津浩三さんが、「背水の陣で、プライム市場上場維持基準の必達に向けて、2025年6月までに株価目標600円を実行する。」と説明されていたのが印象に残る一方で、親会社(オーディーシー)に株式の売却意向が無いとのことで、親会社から大きなプレッシャーがあるようにも感じました。
「無料オンラインセミナー開催のお知らせ」などの広告的な適時開示が多過ぎて、逆に個人投資家から信頼感を損ねている印象(IRの逆効果)を受けますが、株価目標を掲げる企業は珍しく、興味を持って動向を注視します。
順調に成長を続けており、再投資も検討します。