ハウスコム 臨時株主総会
日時:2024年12月20日(金) 10:00-11:00
場所:ハウスコム本社(品川駅徒歩3分)
出席株主数:約20名
お土産:ハウスコムのロゴ入りミネラルウォーター、お手拭きの配布あり
企業情報
ハウスコム(3275)
HP:【賃貸のハウスコム】賃貸マンション・アパート・賃貸一戸建ての賃貸住宅情報満載
①貸主(家主様)からの入居者斡旋依頼を起点として、住宅や駐車場、商業施設などの賃貸不動産への入居を希望するお客様に物件を紹介し、貸主(家主)と借主(入居者)の要望を調整した後、双方が合意すれば賃貸借契約を締結する「不動産賃貸仲介業務」や、仲介業務の進行にあたり、関連サービスとして、入居者募集用の広告掲載依頼への対応、引越・損害保険などの各種サービスの取次業務、契約更新業務などの「関連サービス」を手掛ける「不動産関連事業」(売上構成比88%)を中心に、不動産仲介を契機とする家主・入居者からの原状回復工事やリフォーム工事、鍵交換・サニタリー工事の依頼に対応する諸工事などと、外部の新築工事・リフォームや改修工事などに関わる営繕・建築請負工事、下請け工事などを手掛ける「施工関連事業」(売上構成比12%)を運営。
②筆頭株主は、サブリース大手の大東建託(1878)で、400万株、52.3%を保有。
光通信(9435)の子会社の光通信が、第2位の株主で、同じく光通信の子会社のUH Partners2の保有分も含めると、63万株、8.3%を保有。
社長の田村穂さんが、第5位の株主として、11万株、1.5%を保有、
株式情報
時価総額:109億円(2024年12月19日時点)
売上高:135億円(2024年3月期実績)⇒140億円(2025年3月期予想)
株価:1,401円(2024年12月19日時点)
1株純資産:933円(2024年6月末時点)、PBR:1.50倍
1株当期純利益:65.2円(2025年3月期予想)、PER:21.4倍
1株配当:無配(2025年3月期予想)、配当性向:無配
配当利回り:無配
株主数:2,784名
会計基準:日本会計基準
株主総会前の事前情報
①2025年3月期第2四半期は、コア事業を展開している不動産賃貸仲介業界は、日本で住居を探す外国人や企業など法人からの賃貸需要が大都市圏を中心に増加したことも相まって、引き続き底堅く推移している。しかしながら、欧米や中国などの海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクや、物価上昇、中東やウクライナをめぐる情勢、金融資本市場の変動などの要因が国内の諸産業に影響を及ぼすことになれば、不動産賃貸仲介業界にも影響が生じる可能性がある。また、進行する人材不足がサービス品質や収益の低下を招くことも懸念される。こうした環境下においても、収益を確保し、持続的な成長を確保するためには、更なる事業の効率化を図り、事業ポテンシャルの高い地域に絞った新店舗の出店を実施するとともに、当社グループを構成する多様な「個」にフォーカスし、当社グループが社員一人ひとりに対し、働き甲斐を体感できる環境を常に提供できる企業体に変容、進化する必要がある。こうして生まれる社員のエンゲージメント力が顧客サービスに作用することで、より良い顧客体験と従業員体験を創出することが当社グループの本年度の重要な経営課題になっており、複数の施策をグループワイドで講じている。以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの連結経営成績は、営業収益6,581百万円(前年比5.4%増)となり、営業損失113百万円(前年は営業損失160百万円)、経常損失86百万円(前年は経常損失156百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失90百万円(前年は中間純損失121百万円)となった。なお、中間純損失は税金等調整前中間純損失の改善により前年比で縮小しているものの、税効果会計対象外の税金(住民税均等割額など)による税負担の存在のため、税金等調整前中間純損失の減少率と比較して少ないものとなっている。
②不動産関連事業は、当社グループのコア事業で、営業収益は5,600百万円(前年比2.0%増、111百万円増)、営業利益861百万円(前年比12.8%増、97百万円増)となった。当中間連結会計期間の仲介件数は前年並みに推移し、仲介単価も微増となったことから、営業収益、営業利益は堅調に推移した。また、今期中に出店を計画している5店舗のうち、金山店、登戸店、西宮店、十三店の4店舗が当中間連結会計期間中に出店され、収益に寄与し始めた。残る1店舗大井町店も、年度内の出店を目指し準備中。さらに、2023年6月に株式を取得し子会社となった不動産に関するフランチャイズ「クラスモ」ブランドを関西圏に展開するシーアールエヌ(同年11月に完全子会社化)は、2023年7月より収益に寄与している。
③施工関連事業は、営業収益は1,022百万円(前年比35.3%増、266百万円)、営業利益120百万円(前年比30.3%増、28百万円増)となった。3月決算を基本とする当社グループの連結子会社の中で唯一、12月に決算を行っていたエスケイビル建材の決算期を変更し、同社の2024年1月から6月までの6ヶ月分の業績を今期第1四半期に取り込んだことや、同社による大型案件の受注により、施工関連事業の営業収益、営業利益は前年同期比で伸長した。
④大東建託およびハウスコムは、2024年10月29日開催の両社の取締役会において、それぞれ、大東建託を株式交換完全親会社、ハウスコムを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決議。昨今、世界経済、国内経済のマクロ環境の動向に伴い、両社を取り巻く社会経済情勢も著しく変化しており、これまで以上に企業間の競争が激化していくことが想定される。また、2022年5月に「デジタル社会」の形成を目的としたデジタル改革関連法整備の一環として宅地建物取引業法が改正され、不動産取引の電子契約化が可能となるなど、今後も不動産に係る法令が柔軟に改変され、不動産業界においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)が更に進んでいくことが見込まれており、大きな変革期を迎えている。賃貸住宅市場は、2023年5月の新型コロナウイルスの第5類移行に伴い様々な制限が緩和されたことにより、販促活動の活性化を図ったことで活況を取り戻しつつある一方、住宅市場は、アフターコロナにおける生活者の住まいやライフスタイルの多様化、気候変動に伴う自然災害の激甚化、省エネや創エネ性能の高い住宅への関心の高まりなどを背景に、快適性と環境性を両立した住まいが求められるようになるなど、顧客のニーズが変化しており、企業間の競争に勝ち抜くために様々な施策を講じることが必要となっている。
⑤大きく変化する事業環境においても成長し続けることができるよう、大東建託は中期経営計画の策定を進め、その中で事業ポートフォリオの見直しに関する審議を行っていた。また、2021年6月11日にコーポレートガバナンス・コードが再改訂されるなど、近年、上場子会社のガバナンスに関して構造上の利益相反のリスクへの対応策の強化を求める動きが高まっていることを踏まえ、親子上場の在り方についても審議を行い、これらの審議を踏まえ、2023年12月頃から、ハウスコムとの資本関係について大東建託内で検討を行っていた。検討の結果、①急速な事業環境の変化に対応し、競争を勝ち抜くために様々な施策を両社それぞれが遂行している、②その過程で IT・DXの重複投資などの問題が足元では生じている、③両社が上場している状態では、独立した事業運営が求められ、事業活動を通じて入手および蓄積した顧客情報やノウハウの共有が制約されるなど、ハウスコムは中長期的な視点を持ち安定した経営を行うことが難しい状態にある、との現状を認識するに至った。そして、大東建託は、両社が遂行する様々な施策は方向性を一にするものであり、両社それぞれが単独で行うのではなく、大東建託グループ全体での経営資源の最適配分を行うことで、より一層、両社の取り組みが加速し、前述の問題が解消され、現在の厳しい事業環境下においても大東建託、ハウスコム、大東建託グループの企業価値向上が実現されると認識するに至った。本株式交換の実行により、大東建託グループとして上場維持に伴うガバナンス対応や年間上場料・開示書類の作成費用・株式事務代行機関への委託費用・監査費用などのコスト削減が可能となる。
株式の割当比率は、ハウスコム株式1株に対して、大東建託株式0.08株を割当交付。ハウスコムは2025 年1月30日に上場廃止、2025年2月1日に株式交換実施予定。
⑥社外取締役を除く取締役2名の報酬等の総額は9,431万円。単純平均で取締役1人当たり4,715万円。取締役3名中、無報酬の取締役1名は含まず。また、使用人兼務役員の使用人分給与は含まず。
使用人兼務取締役の使用人給与や、子会社などからの報酬も含めた金額が提示された方が、株主から見て実態が分かりやすいと思う。
株主総会での個人メモ
①株主総会会場は、ハウスコム本社内の会議室での開催。
②質疑応答で、「コロナ前は営業利益率が10%程度あったが、コロナ後は利益率が半分以下に低迷したまま戻らない。利益率が低下したまま戻らない理由と、今後の利益率の改善見通しについて教えて欲しい。」との質問あり。「利益率低下の要因は、コロナにより人の動きが大きく変わった点と、基幹システムの構築により経費が掛かっているため。また、仲介事業だけでは先々先細りが見えているため、リフォーム事業などの多様化を行ったが、リフォーム事業などは利益率が低い。大東建託グループのリソースを活用することによって収益の拡大につながると考えている。」との説明。
③質疑応答で、「上場している意義は何だったと考えているのか?従業員のモチベーションが心配。」との旨の質問あり。「東証2部から1部へ上場した頃は、従業員のことが念頭にあり経営を行っていた。これからも大東建託と共に頑張っていく。大東建託の社長の竹内啓さんから、「従業員に還元できるように精進しなさい。」と言われている。今回の大東建託の完全子会社化について、従業員とコミュニケーションはとっている。」との回答。
④質疑応答で、「今回の株式交換による大東建託の完全子会社化について、社外取締役の意見を伺いたい。」との質問あり。社外取締役の石本哲敏さんから、「大東建託の社長の竹内啓さんと話をし、ハウスコムの株主に不利とならないようにできる限り交渉した。」との旨の説明。
⑤質疑応答で、「今後のハウスコムのビジョンや方向性を知りたい。」との質問あり。「30年前から大東建託グループの会社であったが、もう少しスケールできる会社だと思っている。看板という意味ではないが、ブランドを維持し、ノウハウを広めていきたい。」との回答。
⑥質疑応答で、「大東建託に対するデューデリジェンスの結果について、懸念点についての報告があればいくつか教えて欲しい。」との質問あり。「デューデリジェンスの結果、懸念点は無かった。」との説明。
⑦質疑応答で、ハウスコムの複数の顧客(賃貸不動産オーナー)株主や元社員の株主から、お礼や励ましの言葉があり。
⑧議案の採決後に、議案に反対する株主に対しては株式買取請求ができるとのことで、反対株主を確認していた。
株主総会を終えて感じたこと
株主総会時点、株式は未保有ですが、今回、実際に社長や取締役を間近に見てその振る舞いを確認できたこと、会社の雰囲気を感じられたことが株主総会に参加した大きなメリットでした。特に今回、ハウスコム本社内の会議室での開催でしたので、良い機会となりました。
質疑応答では、多くの質問が出ていましたが、社長の田村穂さんが、事務局から都度メモを受け取りながらも丁寧に回答対応をされていました。
また、ハウスコムの複数の顧客(賃貸不動産オーナー)株主や元社員の株主から、お礼や励ましの言葉が複数あり、愛されている企業なのだと思え、印象的でした。
株式交換による大東建託の完全子会社化に伴い、上場廃止となるのは寂しいですが、大東建託へ投資をする際の参考とします。